プロローグ
迷宮都市、あるいは世界の中心とも言われる大都市オラリオ。ある日、活気に満ちたその街に、一人の少女が降り立った。
パチクリとした大きな目。丸みを帯びた頬。見事な童顔と、百二十
朝焼けにキラキラと瞳を輝かせ、金色の髪を風が揺らす。子供らしい顔に勝気な笑みを浮かべ、フィアナ・グローリーは堂々と宣言する。
「ここがオラリオね。将来、史上最高で最強で最美の女英雄が誕生したと言われるようになる地! はははははは! そこのあなたたち、感涙に咽び泣くがいいわ! たった今、空前絶後の英雄譚の幕開けに立ち会えたのだから!!」
朝日が昇ったばかりの時間であるがために、人影の少ない大通りにフィアナの大声は良く轟いた。
甲高い声に反応した人々は、総じて小さな子供を見守るかのような暖かな笑みを浮かべ、手を振って応援した。フィアナも『未来の英雄』を自負するが故に、気前よく
「ねえ、ギルドってどこにあるのかしら? っていうか何にも知らないから、オススメの宿屋から【ファミリア】の加入方法まで全部教えて欲しいのだけど!」
恰幅の良い女主人は、気前よく答えてくれたが、それはそれとして疑問は湯水のごとく湧き出す。寒風吹き荒ぶ早朝の路地に、長時間立っているわけにもいかず、質疑応答は女主人が経営する酒場【豊穣の女主人】の内部で行われることとなった。
ミア・グラント。そう名乗ったドワーフの女主人は、太い腕で大樽を二つ三つ抱え上げてしまう剛力の持ち主だが、しつこく問うフィアナを見捨てないのだから根は善良なのだろう。あるいは、フィアナの小人族としての外見が、女主人の厚意を引き出したのやもしれない。
「で、嬢ちゃん。あんた、どんな【ファミリア】に入りたいんだい。ここにゃあ色んな神様がいるからね、それだけ【ファミリア】にも種類がある。自分に合ったとこじゃないと後で苦労するよ」
「私はウルトラスーパーな英雄になるんだから、探索系以外ありえないわ! でも、そうね……出来れば、既にある【ファミリア】に入るんじゃなくて、一から神様と【ファミリア】を作っていきたいわ」
「ほう。そりゃまたどうしてだい? そのちっこい頭でも、派閥を設立するのが大変だって分かってるだろう」
「そんなもん決まってんでしょ。小人族だからって見下されるのが嫌だからよっっ!!!
ヒューマンは賢しらぶって馬鹿にするし、獣人は身体能力の低さを笑うし、自称高貴なエルフ様は気取った言い回しでこき下ろすし、ドワーフは職人風吹かせて相手にもしないし!」
過去の因縁を思い出し、遂には「ムキィィイイイ!!」と歯軋りしながら地団太を踏もうとするフィアナ。しかし、酒場の椅子に座った彼女の足はプラプラと宙を揺れるだけで、床には到底届かなかった。
「どいつもこいつもムカつくのよ! だから、ぜーんぶ見返してやるの! 手始めに最強の冒険者とか言われてるやつを引き摺り下ろしてやるんだから! その顔に鼻糞擦り付けてやる!!」
「あっはっはっはっは!」
フィアナの目標は荒唐無稽極まる。しかし、だからこそ面白い。若くて、しかも冒険者なのだ。これくらいの大言壮語を吐けずして何とする。
そう言わんばかりにミアは大笑した。
子供だと取り合わないのではない。無謀だと嘲ることもしない。「それでこそだ」と評価する。
「あの『猛者』に鼻糞を付けるか。良い目標だねぇ、嬢ちゃん。思う存分、顔面が鼻糞塗れになるくらいやってやりな!!」
「ふふん! もちろんよ、この私に二言はないわ!
あなたは見る目があるようだし、『大英雄フィアナ・グローリーが絶賛した味』って売り出すことも認めてあげる!!」
「はっはっは! 嬢ちゃんが本当に英雄になれたときには、是非ともその文句を使わせてもらうこととするよ」
「しかし」と、ミアは顔色を曇らせた。
フィアナもお転婆ではあるが、馬鹿ではない。良くない話の前兆だと察し、心を落ち着かせ、聞く姿勢を整える。
「第一希望の一から派閥を作り上げるってのはちょいと厳しいかもしれないね。オラリオには、そりゃあたくさんの神様がいるけどさ、大概は多かれ少なかれ眷属を抱えてるもんさ。
下界にいるのに【ファミリア】を結成していない神なんて、それこそ降臨したばかりの神だろうさ」
つまり、神の降臨とフィアナのオラリオ到着。因果関係のない二つの事象のタイミングがぴったりと合致していない限り、少女の希望が叶う確率は甚だ小さいのだ。仮に条件に該当する
けれど、フィアナは不敵に笑う。ミアの忠告を理解した上で、不安を笑い飛ばすのだ。
「だから何よ? どれだけ難しくてもね、そんなのは夢を諦める理由にはならないの。こちとら、ハイパーデラックスな英雄になるためにオラリオに来たんだもの。無理難題は乗り越えてナンボのもんよ! 諦めなければ、夢はいつかきっと叶うと信じているのだから!!」
ミアは数舜呆気に取られ、そして小さな英雄未満を褒め称える。
薄弱とした意思では、何一つ成し遂げられやしない。フィアナが大成するかどうかは誰にも分からない。けれど、彼女の意思の強さだけは本物だ。ミアは、そに光を見出した。
「よく言った! 今日の晩御飯はウチの店で食べていきな。特別サービスしてあげるよ」
「ありがとうミア! 大好き!」
おすすめの宿屋に武具店。ギルドの場所と道順。その他にも訊くべきことは、軒並み訊き終えた。星が弾けるような、眩い笑顔を残して、ピューンとフィアナは走り去る。
出会いから別れまで、一貫して嵐の如き少女である。ミアをして、ペースを握られっぱなしだった。
二人の会話を面白げに観察していた店員らに檄を飛ばすと、ミアも開店準備を再開する。
かつて団長を務めた【ファミリア】の主神に祈る心はないけれど。フィアナと同じ名前を持つ女神にならば、彼女との出会いについて、感謝を捧げても良いと思える。
食材を力強く刻みながらも、ミアの顔は柔らかく綻んでいた。
全てのダンまちファンに捧ぐ――
ダンまちアニメ三期を祝して、新作を投稿じゃーーーーい!!
ダンまち二次創作よ、増えたまええええええ!
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