英雄フィアナの迷宮探索    作:雑魚王

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三話 団欒と英雄譚

「それでねそれでね!」

 

 ギルドを飛び出した後、フィアナは道すがら雑貨店や武具店でアイテムと装備品を購入。ラインナップは、ギルドの初心者セットとほぼ同一であるが、値段は五〇○○以下。値切りに値切り、驚異の四二○○ヴァリスだ。消耗品の増量サービスまで取り付けたので、実際には更に値切ったとも言える。

 そして、意気揚々と迷宮に乗り込み、第一階層でゴブリンを相手に大立ち回りを演じてから帰還を果たした。宿屋の食堂とレイアと再会し、昼食を取りながら、己が冒険譚を語る。

 

「ゴブリンが殴りかかって来たから、盾で受け止めたの! ドンってくる衝撃を、足を踏ん張って堪えてカウンターの斧をお見舞いしてやったわ! 血沸き肉躍る攻防、これこそ戦いの醍醐味よね!!」

 

 ゴブリンと新人冒険者の一対一(タイマン)に、血沸き肉躍る要素はないが、そのツッコミを入れるのは無粋だ。如何な英雄もそこ(・・)から始まった。勝利を祝いこそすれ、侮ることなどあってはならない。

 

「ヒュウ! 小人族の嬢ちゃんカッコイイねぇ! もっと聞かせてくれぇ!」

 

 食堂には、フィアナたち以外にも食事を摂っている宿泊客が数名いる。彼らの囃し立てる歓声に応え、小さな女戦士は謳い上げる。

 

「名づけるなら、【英雄フィアナの迷宮探索】ってところね! 今はまだ序章(プロローグ)しかないけど、完成したら本にして広めることも許可してあげるんだから! 老後は吟遊詩人で安泰よ!!」

 

「あっはははは! そりゃあいい!」

 

 髭面の男が、楽器の奏でに歌を乗せる吟遊詩人へ転職するとはこれ如何に。外見的なギャップが凄まじい。だから面白い。件の男は手を叩いて笑い、仲間内で騒ぎ立てる。

 無茶苦茶な言動を発しても負の感情を抱かせないのは、フィアナの人柄ゆえのことだ。天真爛漫にして純真無垢。相手によって態度を変えることもなく、誰に対しても平等に接することのできる、稀有な人間性。よほどの悪人でない限り、彼女に悪感情を向けることは難しい。

 

「レイア様! 午後も冒険して来るから、宿屋(ここ)で待っててね。もっとすごいお土産(冒険譚)を持って帰ってきてあげる!」

 

「ありがとう。でも、無茶だけはしないでね。フィアナちゃんが無事に帰って来てくれることが、一番嬉しいんだから」

 

「英雄は女の子を泣かせない。涙を拭いてみせるのよ。

 だから、未来の大英雄の私も、レイア様を悲しませることは絶対にしないわ!」

 

 英雄譚はハッピーエンドで締め括るべし、とはフィアナの信条だ。

 涙なしには語れない、悲しい結末の物語もある。そういった物語ならではの良さがあることも知っている。しかし、涙よりも笑顔の方が美しいことは語るに及ばず。フィアナはいつまでもハッピーエンドを希求する。

 

 

 

 

 

 




 はい、 というわけでここまでがプロローグってことになりますね!
 今後もこうご期待ってことで宜しくお願いします!

【レイア・ファミリア】に新加入する幼女はどんな幼女が良いか

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