私は次期アドラステア皇帝エ『レオノォォルゥゥ!!』 作:炭酸ソーダ
・赤ルート→エガちゃんと教会がバチバチすぎて戦争不可避
・青ルート→闇うご?何それ状態
・黄ルート→王道。やるならここだが……
・全ルート共通して教会が役に立たないよう。
というかちまちまやってると絶対エタルよねっていう話です。
あと風花雪月廃人とかじゃないので突っ込んだ所まで描写しきれないというのもあります。
そうそう、赤ルートにしないのはエガちゃんと仲良くしすぎない為でもあります。
(追記)10話目やんけ!なんかご褒美(評価とかお気に入りとか感想)くれや。
「柔らかい石をね、作ろうと思ったのさ」
開口一番。突然の寮の工事の理由を尋ねたリシテアに、フェイスレスは言った。
「柔らかい石とは?」
「ある意味では、賢者の石。万能薬アクア=ウイタエを生成する石さ。もっとわかりやすく言えば、なんでもできる魔法の石だね。……でもエレオノールは手に入れられなかったか。なんでもできるわけじゃないや」
「……何でもというのは?」
「打ち身からリウマチ、風邪から熱病、骨折から不老不死(偽)まで。文字の通り、わりかし何でもできると思うよ」
リシテア=フォン=コーデリアは、期待していた。彼女の身、その内部は実験によって大きく変貌しており、健康からかけ離れた状態だったからである。
「あ、でも君の寿命は延びないと思うよ」
「……え?」
「これ、魔術的な考慮は全くしてないからね。もし生き延びたいなら、アクア=ウイタエに体を溶かして誰かに飲ませるのが一番早いと思うけど」
「そんなこと……できるわけないじゃないですか!」
リシテアの激昂に、フェイスレスは動じない。その口元は先細ほどから綻んだままであり、今のリシテアにとってはすこぶる腹立たしいものだった。
「結論を焦るのはよくないよ。柔らかい石ではできない、そう言っただけさ。……僕には魔術の知識がなさすぎる。でも、君は違うだろう?」
「……まあ、魔術に関しては誰にも負けはしませんけど」
「その知恵を、僕に貸してくれないかな。対価は、君の寿命を延ばすことだ」
はあ、とため息がこぼれる。誰のものかなど言うまでもない。
「できるんですか?」
「おいおい、僕を舐めて貰っちゃあ困る。僕は、もの凄いのさ」
「ああ、これを渡しておこう」
「……なんですか、この表は?」
「一日の糖分の許容摂取量さ。長生きしたけりゃ、それ以下にしときたまえよ」
「で、何で俺が手伝わなきゃならんのだ」
「人手が足りないのだよ、ジェラルト君。騎士団だって、いつも忙しいわけじゃあないだろう?」
堅琴の節、つまりは5月の初頭。ついに寮の改築工事が始まったが、いかんせん人手が足りない。最古の四人と僕だけでは、一週間でなんて無理だよね。というわけで、騎士団にも助力を頼んだわけだ。
「ったく、こんな工事を許可するなんてな。レア様も何を考えてるんだか。俺はあの人がますますわからなくなったぜ」
「そうかい?どこまで踏み込んで良いかわかってれば、あの人は案外甘いと思うよ」
「ああ?てめえ、また何かやらかしたのか?」
レア君は基本的に甘い。かと思えば、フェイスレスみたいな目をしていることもある。じゃあいつそうなってるかといえば、それはベレス君と話す時だ。……ソティス君のことなんかは言わない方が良いだろうね。
「でもあの……アロイス君だっけ?働くねえ」
「あいつはまあ、ああいった奴だからな。言っちまえば馬鹿なんだが」
一週間という期日から分かる通り、改築というほど大がかりなものではない。ちょっとばかり地下室を作って、ちょっとばかし隠し部屋を作って……。まあそんなところだね。2階建てを3階建てにしようってわけじゃあないよ。
「ただまあ、野営しといて損はねえ。特に士官学校の生徒ならなおさらな。……そういや、ガキ共はどこで野営するつもりなんだ?」
「ああ、えーっとね。なんだったっけ。確か……
ザナド、だったかな?」
「……」
「せーんせっ、そんな怖い顔しないでくださいよー」
赤き谷ザナド。荒涼としたその土地に、二十人を超える生徒が集っていた。彼らは各学級ごとにテントを設置し、仮の教室としていた。
「やめとけよヒルダ。先生は、コロンビーヌが来ないってんでご立腹だ」
クロードが言う。コロンビーヌを含めた最古の四人は、寮の改築工事に駆り出されていたため欠席している。
「で、先生。ここで野営するのは良いんだが、具体的に何をさせられるんだ?」
クロードの問いは、生徒の総意だったようだった。他の金鹿の生徒も、同調するようにうなずいている。
「……ここに、騎士団が盗賊を追い込んでくる。あらかじめ陣地を形成しておき、ここで彼らを討伐することが目的」
「えー、戦闘になるんですかあ!?お風呂も入れないし、嫌になっちゃうなあ」
文句を垂れるヒルダに反し、他の生徒は乗り気になっていた。早速陣形を考え始めるクロードに、弓の手入れをし始めるレオニー。「腹が減っては……」と言いながら何かを食べ始めるラファエルなどである。
「なあ、先生。あんたガルク=マグを出る前に、何かフェイスレスから渡されていたよな。あれって一体なんだったんだ?」
ふと、クロードが疑問を口にした。不機嫌そうな顔をしながら、ベレスは懐から何かを取り出し、簡易式の机に置いた。
「これは……何だ?」
「わからない。だけど、できれば教団には見せるなと言っていた」
「おいおい、そんな物を俺たちに見せていいのか?」
クロードの懸念は尤もなものである。危険物を持っていたと知れたら、罰を受けるのはフェイスレスだけではない。
「構わない。そもそも、あの男が本当に危ない物を渡すとは思えない」
「……まあ、基本的には優しいですからね。最初から渡すなっていう話ですけど」
リシテアの言葉は、フェイスレスをよく理解したものだった。フェイスレスは絶妙に人騒がせな存在である。一ヶ月の生活で、皆の共通理解ができていた。
「結局なんだろうなこれ。弓のようだが……」
「使い方は聞いた。何でも、対象を無力化するらしい」
「君たち、相手をやたらめったら殺すよね」
「んなこと言っても、相手だってこっちを殺しに来てんだ。そうそう手加減なんてできやしねえんだよ」
みんなが「分解」できれば良いんだけどね。あれは教えられるものじゃあないから、そんなことは夢物語さ。じゃあ、どうするかという話になるわけだけど……
「ベレス君には渡しておいたけど、君も使うかい?」
そう言って差し出したのは、麻酔銃……ではなく、麻酔ボーガンってところだ。さすがに銃をおおっぴらにはできない。
「何だ、こりゃあ……」
「撃った相手を眠らせる、機械仕掛けの弓ってとこだね。もっと大きな弩は元々あったけど、小型でかつ殺傷能力のない物を作ってみたよ」
「俺は不器用でな。槍だけで十分だ。……まあ、あいつは器用だからな。上手いこと使ってみせるんじゃねえか」
ジェラルト君に似ていないベレス君ではあるが、内面までも似ていない。彼らが本当に親子なのかと疑いたくもなるけど、そこはどーでもいいかな。
夜のザナドは、昼間と変わってそれなりに冷え込む。砂漠とまではいかずとも、熱を溜め込む土といった要素がないためである。
「エーデルガルト様、外は冷え込みます。ご自愛いただけますかな」
「わかっているわ。……今回の野営訓練、あなたはどう考えているのかしら?」
そんなザナドの地には、月明かりに照らされて小さな影と大きめの影ができていた。
「あのフェイスレスという男、なかなかやり手のようですな。大司教を丸め込み、寮の改築などを認めさせるとは。いや、丸め込まれたのは大司教というより……」
「師ね。……全く、あんな男に何を見いだしているのかしら」
はあ、と息をこぼすエーデルガルト。
「まあ、今回は都合が良かったわね。私たちの手であの盗賊を始末できるのだから」
「その点については、あの男に礼を言うべきかもしれませんな」
くくく、と低い笑い声をこぼすのはヒューベルトである。主従二人は、冷え込む夜の最中にも関わらず、その後も外に佇んでいた。
「ち、ちくしょう!なんでこんな所にガキ共が……」
明くる日。盗賊コスタスは、セイロス騎士団に追われていた。ルミール村近辺で士官学校の生徒を襲撃したことによって、大司教レアによる討伐指示が出されていたからである。
そんな彼とその一党は、命からがら逃げ延び、ついに赤き谷ザナドへとたどり着いた。しかし、そこで待ち構えていたのは、幾重もの柵を構築した士官学校の生徒たちだったのである。
「お、お頭!逃げましょうよ!」
「……馬鹿野郎、今更どこへ逃げるってんだ!死ぬのが怖くて盗賊やってられるかよ!」
うろたえる彼らを前にして、生徒の士気は高揚していた。
「来たな、盗賊が……!」
「ええ。いつかのお礼、今日返させてもらおうかしら」
級長であるディミトリとエーデルガルトは、敵を目前にして息を荒らげていた。
「そんなお二人に提案があるんだが、聞いてみないか?」
飄々としたクロードが声をかける。
「提案だと?」
「ああ。彼我の戦力差、士気の差、準備の差。万に一つも負けやしない。じわりじわりと殲滅していくってのも味気ないだろう?」
「それで?何が言いたいのかしら?」
エーデルガルトは、やや苛立っているようである。クロードはそれに気がついたが、その理由を詮索することはなかった。
「何、簡単な話さ。どの学級が敵の大将を討ち取るか、勝負しないか?」
「……俺はかまわない。元々、それが目的だからな」
「……」
エーデルガルトは、少し考え込むようにしていた。
「じゃあ、お前はどうだ?」
「……わかったわ。その勝負、受けて立つ」
「そりゃよかった!じゃ、戦いの後で会おう!」
クロードは、金鹿の陣へと帰っていく。
「エーデルガルト、君らしくもない。考え込むような話でもなかっただろう」
「……ええ、そうね。何をしていたのかしらね」
「ぐはあ……!」
「……また強くなれた」
戦闘は予測通り、一方的なものであった。戦闘と言うより、殲滅に近しいものである。逃げ場のない盗賊団は、その体を大地へと横たえていった。
「なめんじゃねえ!」
ついに護衛すらいなくなり、コスタスは近くにいたベレスへと突進していく。
「……」
「ぐが……!」
一瞬の交錯の後、倒れたのはコスタスであった。
「大将首は先生か。クロードにしてやられたな」
ディミトリが近づいてくる。そのすぐ後に、エーデルガルトやクロード、他の生徒も集まってきた。
「師、まだ息があるようだわ。さあ、とどめを」
エーデルガルトが促すと、ベレスは懐から何かを取り出した。
「それは……?」
破裂音のような音。しばらくして、もがいていたコスタスは動きを止めた。
「……マリアンヌ」
「は、はい……」
「ライブを」
「えっ……。先生、怪我を……?」
ベレスは首を横に振ると、コスタスを指差す。
「こっちにお願いする」
「なっ……!師、それは何のつもりかしら!?」
エーデルガルトがそう言ったが、他の生徒も驚いた顔をしている。ただ、金鹿の生徒は落ち着いた様子で立っていた。
「彼は殺さない。生かしてガルク=マグへ連行する」
「……なるほど、尋問か。こいつらは、この馬鹿を殺そうとしていた。裏を知っている可能性はあるな」
青獅子のフェリクスが同調する。
「その通り。余裕がなければ殺すしかないけれど、今回はそうではなかった。なら、生け捕って情報を得るのも大事なこと」
「そういうこった。てなわけで、賭けは金鹿の勝ちってことだ」
クロードの言葉を合図に、その場には勝ち鬨が上がった。
「……な、なぜ生きている?」
コスタスが目を覚ますと、そこは暗い部屋の中であった。
「起きたかい?いやいや、悪いね。試作式麻酔銃はちょっと強力すぎたみたいだ。丸々一週間も眠っていたんだよ、君」
「て、てめえは……!」
コスタスは、その男に見覚えがあった。任務を引き受け、ルミール村を襲撃し、そして返り討ちにあった。そこにこの男がいたことを思い出したのである。
「おめでとう!僕の研究室の栄えある最初の来室者、それは君だ!」
「ふざけんな!俺に何をするつもりだ!」
「何を?あーいや、僕は非人道的なことはしないよ。起きたばかりで悪いけど、ちょっとばかし質問をしていくよ。全て『いいえ』で答えてね」
フェイスレスは、コスタスを見ていない。ただ、回転する紙を見ている。
「君は、教会に依頼を受けた」
「……」
「王国に」
「……」
「それとも、帝国に?」
「……」
フェイスレスは険しい顔をする。
「はずれかあ。じゃあどーしようかなあ」
「おい、俺はこれからどうなるんだ?」
しばらく沈黙していたコスタスは、口を開いて尋ねた。
「さあ。セイロス教が裁判なんてやるのか知らないけど、まあ死ぬんじゃないの?」
「……てめえは、俺を救えるのか?」
「ほー、司法取引?君が知ってる情報にもよるけど、なかなか厳しいよ?」
コスタスは再び沈黙し、やがて口を開いた。
「……炎帝。依頼主は、そう言っていた」
「堰堤?いや、炎帝か。安直というか何というかだね」
「それだけじゃねえ。奴の配下か仲間かは知らねえが、人間とは思えねえ顔色の奴がいた。……そうだな、薄紫色の肌をしていた」
「……ふーん?」
フェイスレスが、どこか面白げな顔をする。
「それぐれえだ。あとは、炎帝って奴の外見くらいしか知らねえ」
コスタスは大きく息を吐く。自分の生殺与奪は、眼前の男の心次第である。これ以上、彼自身にできることはない。
「……そうだねえ」
フェイスレスが、口を開く。
「まだ君には、利用価値がありそうだ」
5000文字くらいいくと、なんだか書いた気がします。
前も書きましたけど、本文を後先考えずに書いています。ベレス先生は金鹿の担任ってことになりました。理由?前書きと同じです。
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