私は次期アドラステア皇帝エ『レオノォォルゥゥ!!』   作:炭酸ソーダ

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書いてはいた。しかし手違いで吹き飛んで遅くなりました。

一応ね、煤闇は公式設定でここ(女神再誕の儀の後日)のはずやで。


8月?日 アビスのそのまた下の話

「つーわけだ。あの先生は聖廟で謎の襲撃者を撃退。んで、そこにあった英雄の遺産になぜか適合した。それが……」

 

「ネメシスの剣、俗にいう天帝の剣ね。あの子も不思議な存在だねえ」

 

「あの子っつーか……あんたよりも年上じゃねえの?」

 

 

結局、大金はたいた女神再誕の儀の見学についてははずれだったみたいだね。その代わり、ある意味もっと面白いことがあったみたいだけど。

 

 

「ネメシスねえ。なんだっけ、昔教会に刃向かったんだっけ?」

 

「らしいな。なんでそいつの剣があんなとこにあったんだか」

 

「さあ? でも棺には剣しか入ってなかったんでしょ? 何でそんなもの盗りに……というか何でそれがあるってことを知ってたんだろうね」

 

 

何でも、下手人は西方教会の関係者だったとか。そんなことをする背教者は処刑っていうことになったらしいけどね。処刑はいいけどさ、もっと尋問したらどうだい。

 

 

「そんなところかな。大金のわりには大した情報でもなかったが……いいのか?」

 

「いいっていいって。……ああそうだ、ドットーレに聞いたんだけどさ。アビスもちょくちょく襲撃されているらしいね」

 

「まあな。そう本格的なもんでもねえんだが……。とはいえ、あそこは非戦闘員が大勢だからな。楽観もできねえよ」

 

 

アビスを伺おうなんて、どこの誰がやってるんだろうねえ。あんなところ、獲ったところでおいしくもなんともないような気がするけどね。

 

 

「そうだねえ……。手伝ってあげようか?」

 

「ありがてえが、やめといた方がいいぜ。大司教殿や教会のお歴々は、アビスのことを疎ましく思ってんだ。そこに関わるんじゃ、良い見方はされねえよ」

 

「今更じゃないの? 君を使って色々やってるし、彼らを脅して好き勝手やらせてもらってるんだからさ」

 

「……脅してって、何やってんだあんた」

 

 

ちょっとばかり秘密を握って、ちょっとばかり万能薬を使ってるだけなんだけどね。あんまりいい目では見られていないけど。

 

 

「そりゃ、手伝ってくれるってんならありがたいが。つっても、あんたに見返りなんて何もねえぞ。金も持ってねえからな」

 

「そうでもないさ。賊が狙うってことは、僕も君も知らない価値があるのかもしれない。賊が歴史を知ろうってことはないだろうし、もっと世俗的な何かがね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らが話していた頃。各級長とベレスは、城壁に空いた大きな穴の前にいた。

 

 

「これ、どこまで繋がっているのかしら」

 

「わからない。しかし、人為的なものであることは確かなようだ」

 

「どうする、先生? 上に報告するっていうこともできるが……」

 

「……」

 

そこへ通りがかった、ヒルダとアッシュ。それにリンハルト。

 

 

「あれ、クロード君たち。どうしたの……って、何? この穴」

 

「これは丁度良かった。入ろうにも、人不足だったんでな。……先生。さっきはああ言ったが、やっぱり入ってみないか?」

 

「クロード、あなたね。そう急かすものではないわ」

 

「……いや、行ってみよう」

 

 

 

 

 

 

 

「お頭!」

 

 

ユーリス君とアビスにやってきた。と思うも束の間、彼の配下らしい男が近づいてきた。君、お頭って呼ばれてるんだね。

 

 

「どうした、仰々しい」

 

「地上の連中が、侵入してきました!」

 

「はあ? 地上って……敵襲じゃねえのか?」

 

「はい! 士官学校の制服を着た連中です!」

 

 

ふうん。僕はアビスの存在を言いふらしたりはしていないし、偶然かな。

 

 

「どこにいる?」

 

「すぐそこです!」

 

 

そう言うので、ついていってみると……ああ、ベレス君か。どうもこの世界は君を中心に回っているように感じるねえ。

 

 

「ベレス君、なぜここに?」

 

「地上の壁に穴が空いていた。降りてきたらここに着いた」

 

 

あれ、ここの警備ってそんなにザルなのかい。いやまあ修道院から地下の人間を殺しに来たりはしないだろうけどね。地上に敵が紛れてでもいない限りはね。

 

 

「ここはアビス、地上を追われた人間がたどり着く終着点さ。あんたらみたいな将来安泰な人間が来る場所じゃねえぜ」

 

「ん? 僕は?」

 

「あんたはこっち側に近いだろ」

 

 

僕はこれでも限界は弁えているんだよ。レア君にベレス君の秘密をぶちまけたりとか、ダスカーの件をそこの王子に言わなかったりとかね。

 

 

「フェイスレス。貴方がなぜここにいるのかしら?」

 

「なぜ? 僕はフェイスレス、修道院の施設の管理が仕事さ。ここだって、言ってしまえば修道院の施設だろう?」

 

「詭弁ね」

 

「建前というのは大事だよ? 次期皇帝という力があるならともかく、僕みたいな後ろ盾のない存在にはね」

 

 

詭弁ではあるけど、実際僕には味方が少ない。教会はあまり味方にはつけたくないし。そうなると王国とか帝国とかに接近するべきなのかもしれないけど……はっきりいって、どこもあまり信用できないよね。いくとすれば、ベレス君経由で同盟を引きずり込むのが一番かもしれないね。

 

 

「そういうわけで、アビスに降り注ぐ火の粉をなんとかしたいんだけど。ノブレス・オブリージュってやつで協力してくれない?」

 

「ほう。あんたがそこまで義理立てするってことは、ここには何かがあるのかねえ」

 

なかなか分かってるじゃないの。これまでの経験上、クロード君は目ざといみたいだね。ベレス君の教えが良いのかなあ?

 

 

「民草が危険に晒されるのなら、俺は見過ごせない。協力させてもらおう」

 

「私もよ。フェイスレスは癪に障るけれど、それとこれとは話が別ね」

 

「俺は……先生次第だな。先生、どう思う?」

 

「放ってはおけない」

 

「そういうわけで、金鹿も参加するよ。ヒルダ、逃げるなよ?」

 

 

なかなか話がわかるじゃないの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからすぐに、傭兵らしき集団が来襲したけど……特に強くもなかったね。ユーリス君の指示通り、闘技場跡に誘い込んで殲滅した。そうこうしていると、アビスの世話人とかいうアルファルドという男が姿を現したんだよね。

 

 

「私は、君の母君とは幼馴染だったんですよ」

 

 

そんなことを言ってきた。僕にじゃなくて、ベレス君にね。彼もベレス君の母も、かつてはジェラルト君の教え子みたいなものだったらしい。……ジェラルト君、君ってわりと若々しいね。ざっと考えても、たぶん50は超えてるよね。下手したら60いってんじゃないの?

 

 

「私が知る範囲なら、ご両親のこともお話しましょう」

 

 

そりゃあいいね。ベレス君の生まれはファンタジーすぎるから、当時を知る人の話はできるだけ聞いておきたいしね。

 

 

「ところでユーリス、賊は何か白状しまして?」

 

 

コンスタンツェ君が尋ねる。

 

 

「収穫なし。奴ら、雇い主の名前も知らないみたいだった。だが、その狙いがここにある何かだってのははっきりしたな」

 

「あー……確かに、宝でも探してるみてえだったな」

 

 

宝探し、まあそんなところだろうね。こんな辺鄙な地下遺跡をわざわざ奪いに来るなんて、何かを求めてやって来たとしか思えないし。

 

 

「アルファルドさんだっけ? 心当たりありそうな顔してますけど」

 

 

リンハルト君の指摘。

 

 

「いえ、さすがに荒唐無稽だと思いますが」

 

「おっと、そういうものが真実に近かったりするもんだ」

 

「どんな手がかりでも構いません。指針を定めるためにも、是非」

 

クロード君とディミトリ君の連携だ。

 

 

「このアビスには、伝承があるのです。ここよりもさらに下層の『封印の谷』に、『始原の宝杯』が残っているという……」

 

 

彼の話を鑑みるに、それはセイロスが作らせた神器らしい。かつてそれを使った宝杯の儀とやらが行われ、しかし失敗。その後その杯は封印された、と。しかもその儀式の目的というのが……

 

 

「死者の蘇生ねえ。ありがちな話だけど」

 

「そうと決まれば善は急ぐのが相場ですわ! 確かめにいきますわよ!」

 

「……それはなりません。君たちは十分傷ついてきた。これ以上危険な目に遭う必要などないのです」

 

 

アルファルド君は、コンスタンツェ君の意見を拒絶したね。……なんだろう、心配だという感情も当然だけど、それだけではないような……

 

 

「とにかく、今は勝手な行動は控えてください」

 

 

とりつく島もないってやつだね。アルファルド君はそのまま去って行ってしまった。……そんな忠告をしたところで、止まるような生徒たちではないと思うけどね。

 

「さあ、地下に潜りますわよ!」

 

だろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、そのまま地下へ地下へと歩くこと……3,4時間くらいかな? 

 

 

「コンスタンツェ、お前……宝杯発見の功とかで、教会に実家の再興を頼もうとでもしてるんじゃねえか?」

 

「な、何を言っておられるのかしら?」

 

「あ、やっぱりそうなんだ。コンスタンツェさんって、ヌーヴェルの元令嬢なんですね」

 

 

リンハルト君が納得したような声を上げる。ヌーヴェル……そんなような所も巡業で行ったっけ。港町だったような……

 

 

「お、いよいよ谷底みたいだぜ」

 

 

バルタザール君の声。上を見上げると……なるほど、ここは橋梁の真下みたいだね。大聖堂が山であるなら、確かにここは谷だ。というか……やかましかったコンスタンツェ君がやけに静かになったね。

 

 

「私という矮小な人間が、神秘を暴こうなどと烏滸がましい……」

 

 

あれは……二重人格かな? ドットーレが報告していたような覚えがある。実家が没落したストレスか何かでああなってしまったとか言っていたっけ。

 

 

「っていうか、あそこ。何かいませんか?」

 

 

ヒルダ君の声。ああ、何というか……巨大なからくりみたいなのがいるね。というか、ロボット? 

 

 

「宝杯を守る番人ってとこか? 歯ごたえがありそうじゃねえか!」

 

 

……最古の四人は、ちょっとアビスに行くだけって言って置いてきた。こうなると、僕一人で頑張らないといけないかなあ。いや、ロボットなら「分解」しやすそうだから、魔術的な敵じゃなくてよかったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

「分解」  

 

 

ああ、できた。基本構造はやっぱりロボットだね。ただ、これは……障壁みたいなものが全身を覆っているみたいだね。「分解」できたんだから物理的な影響はない。となると、魔法をはじく? ……面白いじゃないか。

 

 

「君たち! 後で()()を運んでくれるかい?」

 

「そんなこと言ってる余裕はないわよ!」

 

 

皇女様が反応してくれた。君、どうして斧でロボットを破壊できるんだい。いや、ヒルダ君もやってるか。案外装甲が弱っちいのかな?

 

 

「フェイスレス! あの装置をなんとかできるか?」

 

 

あのって……あれかね。敵の制御措置らしき物体が、だいぶ隅っこの方に鎮座しているね。三つあるけれど、当たりは一つかな。はずれを解除したら罠でもあるんじゃない?

 

 

「できるさ。僕はもの凄いからね」

 

「じゃあさっさとやってくれ!」

 

「クロード君、珍しく余裕がないねえ」

 

 

木々の間を抜け、制御装置らしきものにたどり着く。これは……電気制御ではないね。どうやら魔法であれらを制御しているみたいだ。まあ、やることは変わらないさ。

 

 

「分解……」

 

 

無理矢理装置を分解すると、機械たちの動きが止まった。運の良いことに、最初の装置で当たりを引けたみたいだね。……と、地震が。

 

 

「おい、あれを見ろ! 穴の中に何かあるぞ!」

 

 

地震で、岩肌にぽっかりと穴が空いたみたいだね。その中に……4つの紋章と、杯っぽいものが鎮座している。なるほど、あれが……

 

 

「宝杯、か。噂も案外当てになるようだ」

 

「その通りだね、ディミトリ君。火のないところになんとやらだ」

 

 

お、雨が降ってきた。早いところ杯を持って退散しようか。

 

 

「ああ、君たち。このロボットも持って行って……」

 

「無理よ。こんな重いもの、運べるわけがないじゃない」

 

 

ちぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちまちま本編をやりながら書きました。

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