私は次期アドラステア皇帝エ『レオノォォルゥゥ!!』 作:炭酸ソーダ
マイクラン→コナン塔の騒動って8月31日の課題出撃よね。
女神再誕の儀(青海の節。7月31日)→外伝(煤闇。公式インタビューでの発言とかコンスタンツェが翠雨がどうたら言っている描写があったりするので翠雨の節の出来事)→コナン塔(翠雨の節。8月31日)って感じで。マイクランの話が出てきてないのは一応原作通りのはず……。
マイクランが出るとしたら次話以降です。描写するかどうかはわかりませんけど。
「あれは素晴らしい! できればこの手で……」
「無理よ! あきらめてさっさと逃げなさい!」
扉が閉められる。ああ……あのロボット、ゴーレム?はとてつもない力を秘めていたというのに。あれを研究すれば、自動人形のパワーの底上げに……
「なんとか逃げ切ったか……」
「ああ、ユーリス。もう鬼ごっこはごめんだぜ?」
鬼……鬼のような強さだった。今度またこっそりと侵入してしまおうか? あの四人をつれていけば……いや、無理かなあ。でもやっぱり分解してみたいけどね。
「お頭たち! こんな時にどこに行ってたんですか!」
「なんだ、また何かあったのか?」
「何かあったどころじゃねえですよ、お頭! アルファルドさんが連れ去られちまって……」
アルファルド君が? ……タイミング的に、この杯関係だろうか。
「……わかった。おまえは、騎士団にそれを伝えてこい」
「本気ですか!? アビスにセイロス教を……」
「馬鹿、それどころじゃねえってことだよ! さっさと行ってこい!」
「騎士団長代理、アロイス参上! む、先生ではないか!」
「……これを」
「む? これは……」
「始原の宝杯」
「な、何だとおおおおおおお!!!」
「……そうでしたか。事情は把握しました」
「……私たちの処分は、如何ほどになるでしょうか?」
すったもんだの末、我々でレア君に申し開きをすることになった。ユーリス君ね、そんな丁寧な話し方もできたんだね。
「所在不明だった宝杯を見つけ出した。その功で、封印を破った咎は不問とします」
「そりゃーよかった! レア君もなかなか良い沙汰するじゃないの」
「……フェイスレス、貴方がなぜ居たのかも不問にしますね」
よく言うよ。あの防衛機構は教会が作ったものに違いないのにね。
「……これは私が預かります。その上で、アルファルドの奪還をお約束しましょう」
「ちょっと待ってください。騎士団の存在が相手に露見すれば、アルファルド様の命が危ないと思われます。ここは私たちにお任せしてもらえませんか?」
「……ベレス、貴女はどう思いますか?」
「彼らに任せてみては。自分も助力する」
「……いいでしょう。宝杯は、あなた方に託しましょう」
いいのかい。わりとあっさりじゃないかね。
「レア様! このような下賎な者どもに……」
「いいのです。……例え奪われたとしても、賊徒には宝杯は使えません」
うーん? そう断言するということは、レア君は儀式の詳細を知っているのか。1000年も前の儀式の作法なんて残っているもんかねえ。
アビスに戻ってきた。……丁度良い機会かな。
「君ら、なんでアビスに流れ着いたのかね?」
「なんでって……俺は賞金首になっちまったからさ」
知ってる。というか想像がつくよ。
「ハピは……ため息が魔物を呼び寄せるからって幽閉されそうだったとこを、あの人に救われたから」
「わたくしは……お家再興の足がかりとしてですわ」
「そうかい。で、ユーリス君。君は?」
「……ちょっとばかり、教団の人間をな。殺っちまったんでな」
そりゃ大変だ。アルファルド君はよっぽどやり手の弁護士なんだねえ。
「おいおい、初耳だぜ」
「喧伝するような理由じゃねえだろ? そういうことさ」
そんな会話をしていたら、リンハルト君がやって来た。なんでも、アビスのこの四人は失われた紋章とやらを持っているらしい。そんな骨董品をわざわざ集めたのは……拉致されているアルファルド君だ。彼も真っ白ではなさそうだね。
で、今日のところは解散……した後で、ユーリス君に呼び止められた。ベレス君もいっしょのようだ。
「先生、それにフェイスレス。明日の夜半過ぎに、鐘が鳴る。それを合図に、聖廟で待ち合わせをしてほしい」
「いいよ。ベレス君もきっちり連れて行くよ」
「……言われなくても寝過ごしたりはしない」
いや、案外やりそうだけどね。
「……フェイスレス。任務を依頼したり、柔らかい石の話なんてしたり。あんたは何で俺なんかを信用するんだ?」
なぜ、か。そうだねえ。
「君は、何を信じて生きているんだい?」
「女神様、っていう答えは不正解みたいだな。……結局、自分自身だな。色々あった人生だが、最後に信じられるのは俺だけだ」
「僕もさ。他人を信用していないわけではないけれど、僕は自分を信じている」
「……それが、何?」
ベレス君、君はどうなんだろうね。感情に乏しいから、君の内面を今だ把握しきれていないんだよねえ。
「自分を信じている人間は、夢を叶えられるのさ」
「……答えになっていねえ気がするんだが」
「わかりやすく言えば、ただのシンパシーさ」
翌日。相手の指定場所、旧礼拝堂までやってきた。
「君たち……なぜ、なぜ来たのです!」
「始原の宝杯はここにある。人質と交換してもらおうか」
「おいおい、宝杯を先に渡せよ。こっちはてめえら皆殺しにしたっていいんだぜ?」
通じないねえ、話。
「しょうがねえ。……ハピ、やってくれ」
「……え、なに?」
「いつものあれだよ。やってくれ」
「はぁぁぁ。嫌なんだけどなあ」
おっ、凄い速さで何かが近づいてくる。彼女のため息が魔獣を呼ぶっていうのは本当なんだねえ。それにおののいて、敵は逃げ出してしまっているね。……ということは、ただの傭兵か。
「舐めやがって……!」
逆に言えば、逃げなかった連中は精鋭ってことだね。……まあ、昨日とは違って今日の僕はちゃーんと準備をしてきたからねえ。
「いくよ、おまえたち」
「「「「御意」」」」
「君で最後だね、どこぞの盗賊君」
「……く、くくく。まあいい、数節後には俺も帝国の……」
帝国? ……何か知ってそうだね。
「パンタローネ、足を狙……」
「あばよ!」
……逃したか。力がなくても、逃走は速い。盗賊の鑑だねえ。
「フェイスレス様……」
「いいさ。今回の目的は、アルファルド君の奪還だ。それは達成できたんだから……」
後ろの方を振り返ると……あれ。さっきまでそこにアルファルド君たちがいたはずなんだけどね。悲しげなベレス君しかいない。というか……
「ベレス君。ちょっと胸元切れてない?」
「……これはユーリスの演技。ちょっと刃先が当たったけれど」
あーなるほど。アルファルド君が本当は黒幕で、ユーリス君はアルファルド君の獅子身中の虫になっていると。僕は凄いからね、君が説明不足でも理解したよ。
「……間に合いませんでしたか」
戦闘が終わった後、レア君がやってきていろいろと話していった。あの4人の血で儀式が可能だとか何とか。それ、最初から伝えてくれればよかったんじゃないの?
「レア様! 街に盗賊団が……」
アロイス君の報告を聞いて、レア君もさっさと立ち去ってしまった。
「……まあ、行くんでしょ? 聖廟」
ベレス君に言う。
「ええ。彼が待っている」
「僕がユーリス君を信用する理由は言ったけどさ。君は何で彼を信じるんだい?」
「……生徒を信じない教師はいない」
良い先生だねえ。
で、指定された夜半の少し前。地上の生徒も一緒に聖廟に忍び込んだけど……
「なあ、あれって……」
「ああ、あれは……」
「師、よね……?」
アルファルド君が、縛った3人に何やら力説している。ユーリス君は、その隣でつまらなさそうにそれを聞いている。いや、そんなことはまあどうでもいいけど。彼らの前にある台に寝かさせられているあれは……
「……私そっくり」
「というか、君の母君の死体じゃないの?」
何でこんなとこにあるかは知らないけどさ。しかも鮮度抜群だしね。
「ぐあっ……!」
あ、彼らの腕が切られた。4人から血が垂れてるよ。でも、鐘がなるまでは待機なんだよね。……と、思っている間に来たね。荘厳な、鐘の音だ。
「さあ行こう、諸君。ささっとやってぐっすり寝ようじゃあないか」
魔法は未だに理解が遠いけれど、これでも科学者の端くれなのでね。この儀式がものすごく精緻な法則で成り立っていることぐらいはわかるよ。そして、術者の執念も。
……まあ、女を延々と追いかけるというのは、彼らとどこかしら重なるところもあるけどね。
「フェイスレス様。術式、解体に成功いたしました」
「御苦労だね。術も4つ、お前達も四人。未知の術式に人間をむやみやたらと放り込むというのも怖いからねえ」
術さえ解除してしまえば、後は楽だね。術の解除を察知してか、ベレス君がアルファルド君へと斬りかかっていく。
「くっ! 彼女の忘れ形見を傷つけるのは気が引けるが……」
やっぱりあれはベレス君の母君か。……あっ、アルファルド君が膝を付いた。まあ修道士とバリバリの傭兵じゃあねえ。
「……なぜです! ここにいるのは、君の母親です! 母と再会しようという気持ちは、貴女にはないのですか!」
「おいおい、母親って。さすがに信じられないだろうよ」
「師のお母上は、はるか昔に亡くなっている。遺体がそんなに綺麗なはずないわ」
「……私とて、10年前見たときはそう思いました。それから10年、彼女の死の謎を解明すること、彼女を蘇らせることのみを考えてきたのです……!」
10年前、彼はこの死体を見つけた、と。まあ死んで10年も経った人間が、まるで生きているような姿を保っていたら驚くよねえ。……問題は、誰がそんなことをしたのかという話だけど。
「……そこまでです、アルファルド」
噂をすれば何とやら、容疑者の最右翼がお出ましだね。
「……レア! 彼女に何をした。なぜ、彼女の遺体が残っている……!」
「……それを語る言葉を、私は持ちません。しかし……1つ、伝えておきましょう。彼女は自らの命を犠牲にし、赤子の命を救った。私は彼女の意思を尊重した。そのことに偽りはありません」
視線、発汗、反射。……嘘は言っていない。が、全てを話しているわけでもないような気がする。勘だけどね。
「……く、ふはははは! ……どうして貴様を信じられる。こうして彼女の遺体がある事実に、語る言葉がないなどとほざく貴様を!」
闇落ちするのも、わからんでもない。常識的に考えて、彼の思考はそれほど捻くれてはいない。だって、現に死体が保存されてんだもんね。エンバーミングとかの知識があるならまだしも、この世界の常識ではありえないことだよ。
「レア、貴様に用はない。私は……儀式を完遂する!」
瞬間移動……というか、ワープかな。炎帝もそうだったけど、そうぽんぽん使われると科学者としては名状し難い気分になるよ。
「アルファルド! ……まだ近くにいるはずです!」
聖廟の近くって……大聖堂しかないよねえ。
やっぱり。大聖堂まで上がってきたら、アルファルド君がいた。もちろんベレス君似の死体も一緒にあるね。
「……もうおやめなさい、アルファルド!」
「宝杯は四使徒の血を受け取った。それでも足りぬなら、我が血を注いででも……!」
その理屈はどうだろうか? アルファルド君の血……というか、そこらへんの人間の血なんて、儀式には必要ない。それどころかただの異物になると思うんだけど。
「始原の宝杯で、人の子の魂を呼び戻せなどしません! いいえ、魂どころか体さえ完全に再生することは……!」
……やっぱり知りすぎじゃないの? レア君、君はやはりそこが見えないね。
「やめてくれ」
ベレス君の声。……まあそうか。法律とかそういうのを気にしている場合ではないけれど、普通は彼女の意思が優先されるべきだよね。
「
「フェイスレス君、でしたか。君の言うとおりです。……しかし、もはや引き返すことなどできないのですよ……!」
そーなるよね。……でもね、今日の僕は準備万端だと言ったはずだよ。いや、思っただけで言ってはいなかったっけ。
「ばーん」
「ぐっ! ……貴方、何を!?」
「……それは」
以前、ベレス君は撃ったことあるよね? この被殺傷兵器。
「いつぞやの試作型麻酔弾、それの完成品さ。……君に言ってもわからないだろうけどどね」
「……く、意識、が……」
意識朦朧そうだ。こういう時のために、即効性を強めておいたんだよね。麻酔の強さはコスタス君の時よりも弱くしておいたけど。
「私は……シトリー……」
はい、鎮圧。
「……最初からこうすれば良かったんじゃねえの?」
「それは違うよユーリス君。こういう切り札はできるだけ取っておくもんさ。……アルファルド君みたいに、いつ誰が敵になるかもわからないんだからね」
「……フェイスレス、アルファルドはどうなりましたか?」
「ちょっと深い眠りについただけさ。今のうちに拘束するべきだよ?」
レア君の指示で、アルファルド君は騎士団の手で運ばれていく。で、そっちはどうでもいいんだけど……
「レア君。
「……経緯はどうであれ、家族の元に返すのが道理というものでしょう」
おや、わりとすんなりと返してくれるんだね。……アルファルド君の反応からしても、大修道院の地下にあったという状況からしても。あれを保存しておいたのはレア君だろう。……レア君、何がしたかったんだい。
後日。
アルファルド君が管理していた灰色の学級は、解散することとなった。ついでに、僕らには箝口令が敷かれた。まあ、アビスだったり枢機卿の乱心だったりエンバーミングだったりと、世間にばれれば教会の権威が傷つきそうだからね。
「……そうか、アルファルドの奴がそんなことを……」
修道院を離れてどっかに行っていたジェラルト君には、事の顛末を伝えておいた。というか騎士団長兼
「アルファルドは……どうなる?」
「反逆したとはいえ、実際のところ死人は出ていないし、物的な実害もなかった。だからまあ……殺されはしないんじゃない? 教会には従わないだろうから、幽閉とか流刑とか。そんなところかなあ」
アルファルド君はどーでもいいといえばどーでもいい。本題はこっちだよ。
「すごいよねえ。死んではいるのに、なぜか腐敗する気配すらない。これはもう科学的知見のの敗北としか言えないね」
そういう僕の目の前には、件の死体が安置してある。ここは浴室の最奥部、建前上は施設管理人室だ。あれから、僕とベレス君でここまで運んできたわけだね。
「……間違いねえ、これはシトリーだ。まさかもう一度目にするとはな」
「……私そっくりだけど、髪の色は違う」
そうだね。ベレス君と比べて、髪の色がやや明るいかな? ……そんなことはやっぱりどーでもいいんだよね。
「で、これを保存していたのはレア君だ。その魔法はもう解除したらしいから、お別れを済ませたらさっさと埋めるなりした方がいいよ」
「待て。そもそもレア様はなぜシトリーを……」
「建前は、レア君がそのシトリー君とやらを『人として』愛したから。暗い土の中に埋めておかれるのが耐えきれなかった。それで、こっそりアビスに隠してたまにお参りに行っていた。……らしいよ」
「……らしい、っつーのは?」
「ここからは、ベレス君に言ってもらおうか」
不意を突かれたような顔をするベレス君。でもさ、こういうのは本来家族だった君らが話すことだと思うんだよ。
「……レア様は、母の心臓を私に移植したと言っていた」
「! 心臓、だと……?」
「出産時、母子共に危篤だった。母の意思で、止まっていた私の心臓を母のものに取り替えた、と……」
「……移植。そんなことが可能なのか? フェイスレス」
当然の意見だね。この時代の人間が、「内臓を移植した」なんて聞いて納得できるわけがない。
「可能さ、高度な医療技術さえあればね。……それよりも、もっと重大なことを僕らは知っているはずだよねえ?」
「心臓……つまり、ベレスの中のあの球体は!」
「ベレス君の中のあれはシトリー君の心臓だったと。いや、心臓じゃあないけどね」
とんでもないことだよ。ベレス君どころか、その母親の心臓も謎の球体だったんだから。とんでもないというか、ホラーかな?
「結局は、ある問題に帰結する。……あの球体は、一体何なのか」
「……」
ジェラルト君はかなりショックを受けているようだ。娘の心臓が心臓じゃなかったどころか、死んだ妻までそうだったんだからね。
「そして、おおよそ真実であることが1つ。移植手術までやっているレア君は、球体の正体をほぼ確実に知っている。いや、それどころか……」
「……レア様が、シトリーにそれを埋め込んだ」
そうなるね。……レア君は、僕らがベレス君の心臓の正体に気づいていると知っているのだろうかね?
「おい、口封じの危険は?」
「それはない。箝口令が敷かれたとはいえ、各国の次期頭領がシトリー君を目撃しているからね。よしんばこのタイミングで僕らを消そうとすれば、そんな彼らに怪しまれるのは……シトリー君を保存していたという、レア君自身だ」
こうなってしまっては、やはり球体の正体を暴かなくてはいけないね。……しかし、そんな得体の知れないものの情報なんて、どうやって探したら良いのだろうね?
たぶん過去最長(6770文字)です。
アルファルドを融合変身させなかったのは、シトリー(死体)を回収するためです。
……アビスの一件もそうだけど、やっぱり教会(とういかレア様)はだめだね。
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