私は次期アドラステア皇帝エ『レオノォォルゥゥ!!』   作:炭酸ソーダ

16 / 17
あかん。展開をどうしたらええんや……




ん? 他人の人格(ソティス)を無理矢理植え付ける? それって……



9月 れあせんじゅうななさい(±100さい)

「ってわけで、ゴーティエ家元嫡子マイクランは英雄の遺産に取り込まれ魔獣化。辛くも我が金鹿は彼を鎮圧せり、ってとこか?」

 

どーでもいいが、ユーリス君はスカウトされて金鹿に入ったらしい。他の3人もなんやかんやで各学級に配属されたとか。

 

「で、その時に蠢いていたのが……」

 

「破裂の槍に付いてる、紋章石とかいう奴だ。そこから靄が湧いてきて、マイクランに絡みついていった結果が魔獣化さ」

 

「……紋章石、ねえ」

 

8月、翠雨の月も既に過去だ。その最終日に、金鹿の学級は課題として出撃した。目的地は王国領にあるコナン塔。紋章が発現しなかったとかで廃嫡された男が、盗賊を率いて根城にしているとかで、その討伐任務だったね。

 

「そんで、マイクランとやらは?」

 

「わりとなんともなく生きてるよ。ここまで連れてきて、牢にぶち込まれたらしいぜ」

 

で、その顛末を金鹿のニューフェイスに聞いているというわけだが……。

 

「それでだ。紋章石については、どれくらい知っているのかね?」

 

「あー、英雄の遺産には窪みがあるんだが……。そこにはめ込まれている赤い石ってこと以外はよく知らん。ただ、適応する紋章がないと扱えねえって言われてたんだよ」

 

「その証明が、今回の一件というわけかね」

 

紋章がない人間が扱うと、紋章石とやらに侵食されてしまうわけだ。報告を受けたレア君は、この事実にも箝口令を敷いたみたいだけど……『英雄』の遺産が、実は化物を生み出す存在だと知られると問題があるということだね。

 

「君の話を聞く限り、紋章石っていうのは生きているみたいだねえ。マイクランを取り込んだことも確かだけど、微妙に蠢いていたんでしょ?」

 

「生きている、か。そう表現すんのがしっくりくるかもな」

 

ん? そういえば……

 

「ベレス君のやつって、石付いてたっけ?」

 

「あん? ……そういやあ、付いてなかったような気がするな」

 

「彼女の紋章は……なんだっけ、炎の紋章?」

 

「らしいが。かのネメシスと同じやつだな」

 

ネメシスが使っていた剣こそ、他ならぬベレス君の天帝の剣と。……うーん?

 

「あのびゅーんって剣が伸びるやつは、確かベレス君しか使えないんだよね?」

 

「戦技ってやつだな。特殊な力である戦技は、対応する紋章持ちじゃねえと出ねえって話だが。……それがどうかしたか?」

 

「紋章石ってやつが、おそらく遺産の本体なんだろうね。適応しない人間は、それの力に適応しないってことだろうか。紋章という免疫がある人間は、紋章石の力に取り込まれないってところかな」

 

「よくわからんが、だから何が言いてえんだよ」

 

「あの剣には紋章石がないのに、なんでベレス君は戦技を使えるんだい?」

 

ユーリス君の話を鑑みるに、英雄の遺産には通常紋章石がはめ込まれている。しかし、あの天帝の剣にはそれがなかった。

 

「じゃあ、あんたの前提が間違いなんじゃねえか? 紋章石は本体ではなく付属品で、武器自体が遺産の本体とか」

 

「勝手に動いて人間を侵食する。そんなものが付属品だったら、英雄の遺産なんてものはもっと恐ろしい力を持っているはずさ。でも、違うんだろう?」

 

「そうだな。英雄の遺産といえど、所詮はちょっと便利な武具ってだけのはずだな」

 

「となると、やはり紋章石が本体だろう。本体というか、英雄の遺産を英雄の遺産たらしめる権能の根源ってことだけどね」

 

だとすると、やはりベレス君が戦技を扱える理由が分からなくなるが……いや。

 

「ユーリス君。紋章石って、これくらいの球体かい?」

 

握りこぶしを作ってみせる。

 

「もうちょっと小さいかもしれないが、確かそれくらいの玉っころだったぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベレス君の心臓の正体は、天帝の剣の紋章石だったんだよ!!」

 

「……」

 

さすがベレス君、リアクションが薄いなあ。

 

『それが分かったところで、何がどうなるのじゃ?』

 

ソティス君、君もかい。

 

「普通驚かない? だって、心臓だよ? 人工心臓とかならまだしも、何とも知れないただの石っころが血流を生み出しているんだよ?」

 

「生まれた頃からあるのだから、別に驚かない」

 

そーいう話じゃないと思うんだけど。

 

「君、マイクランと戦ったんだよね? あれを魔物に変えた石が、君の体の中でおとなしくポンプになっているんだよ?」

 

「……でも、私はいたって健康だ」

 

君だけに収まる話じゃあないんだよねえ。紋章石を埋め込んだのがレア君だとして、彼女はその効力を知り尽くしているということになる。そうでなければ、心臓の代わりに石っころ突っ込もうなんて考えるはずがないよね。

 

「時には強力な武器の源になり、時には人間を魔物に変え、時には心臓の代役になる。そんなとんでもないモノ、どうやって作ったんだろうね」

 

「あなたの考えは?」

 

「教会……いや、レア君がもの凄く危険な知識を持っている。これはほぼ確定だろうね。彼女は紋章石を知り尽くし、人体の仕組みも知り尽くしている。……ん?」

 

彼女はどうやって紋章石と人体の関係を知ったのか? ……いや、そもそも。

 

「君の母が死んだのは20年前。その時、心臓をあれこれしたのはレア君だろう。……彼女って、何歳なのかね?」

 

『ううむ……20年前の時点で、そのようなことができるとすると……』

 

「レア君は、アルファルド君に『貴方も子ども同然だ』みたいなことを言っていたよね。アルファルド君は、シトリーと同年齢だから……40くらいか。レア君は、50前後、それより上の年齢だと考えるのが自然だろうね」

 

「……あれで、50?」

 

「レア君だけじゃない、ジェラルト君もさ。彼が出奔したのは20年前で、その時既に騎士団長だった。しかも、アルファルド君の先生みたいな存在だったはずだよね。……二人とも、実年齢に対して若すぎるんじゃないかね?」

 

これは、本人に聞いた方が早いか。

 

 

 

 

 

 

 

「……いきなり風呂の裏まで連れてきて、椅子に座らせて。何の用――――」

 

「君は、年をとることがない」

 

「ああ? 何馬鹿なことを言ってんだ」

 

「ベレス君。そこの針、どうなったかな?」

 

「上下に凄まじく揺れている」

 

……いつぞやの嘘発見椅子、役にたったね。こんなとんでもないことを証明するとは思っていなかったけれどね。

 

「……大司教レアも、年をとることはない」

 

「……てめえ、何のつもりだ?」

 

「動いてる。さっきよりも振れ幅が大きい」

 

この椅子は、問いに対して後ろめたいことがあれば反応する。つまりは、ジェラルト君らが不老不死だとかまでは証明できない。しかし、何かがあるというのは分かった。

 

「……君の娘、そして妻の心臓だったもの。それは、英雄の遺産の紋章石だ」

 

「なっ……なんだと!? なぜそんなものが、こいつらに……」

 

「さあ? でも、そんなものを埋め込んだのはまず間違いなくレア君だ。……君が知っているレア君の秘密、是非とも話してくんないかなあ?」

 

 

 

 

 

 

「……俺は、元々王国の兵士だった。100年も前の話だがな」

 

『ひゃくねん!? おぬしら、人はかように生きられるのか!?』

 

「普通は不可能。ジェラルト、続けてほしい」

 

「ああ……懐かしい。お前の母親も、とにかく話の先を促す奴だった」

 

「亡き妻を娘に見るのもいいけどさあ、感傷に浸るのは後にしてくんない?」

 

「そうさな。……ある戦いで、俺は瀕死の重傷を負っちまった。レア様を庇った結果、ドジをこいちまったわけだが。その時だ、レア様は自分の血を俺に与えたのさ」

 

血、ねえ。

 

「俺の怪我は瞬く間に治り、しかも紋章まで発現しちまった。それからまもなく、レア様に誘われて騎士団に入った。あとはまあ、語るまでもでもねえだろうよ」

 

つまり、レア君の血によってジェラルト君の寿命は延びた。延びたどころか、100を超えても若々しい姿を保っている、と。

 

「レア君は、いつから生きているのかね?」

 

「さあな。だが……俺に発現したのは、セイロスの大紋章ってことだな」

 

あ、そうだった。そもそも、セテス君とフレン君がキッホルとセスリーンだったね。じゃあレア君がセイロスでも別に不思議じゃあないか。

 

「つまり、レア君……いや、セイロスか。彼女は自分の名を冠した教会という勢力を持ち、1000年近くもフォドラに君臨してきたというわけかね」

 

「……」

 

「帝国を建国し、教会を設立。やがて内紛が起きたときには、王国の建国を承認。さらにはレスターの独立を看過し、フォドラを3つに分割させた。……やれやれ、フォドラの歴史は彼女の歴史でもあったわけだ」

 

逆にいえば、1000年も闇うごを放置してきたということか。……そんな彼女が、果たして今後闇うごを打倒できるだろうか? 無理な気がしてきたよ。

 

「フェイスレス。死にたくなきゃ、言いふらさねえ方がいいぞ」

 

「言いふらすわけないでしょ。そんなことしたらセイロス様の罰が下されちゃうよ」

 

だが……結局の問題が解決していないね。

 

「で、だ。彼女は、なんで紋章石なんてものを人に埋めたのかね?」

 

「知らねえよ。むしろこっちから聞きてえ。嫁の死の原因かもしれねえからな」

 

「そもそも、シトリーって緑髪だったよね。レア君の身内か何かじゃないの?」

 

「……いや。あいつのことは、アルファルドと同じく幼少の頃から知っている。あいつは間違いなく俺より年下で、20そこらで死んじまったはずさ」

 

「彼女の父母は?」

 

「いねえ。修道院で育ってる以上、あいつは孤児だったはずだ」

 

……まずいね。相手が1000年もフォドラのリーダーだったなら、歴史的な事実をねじ曲げている可能性が高い。隠蔽された事実のある程度はアビスに存在するだろうけど、全てがあるとも思えない。不幸中の幸いは、彼女も闇うごとは敵対しているという点かな。しかし、決して味方であるとも言い切れない。

 

「……何を期待してか、彼女は僕を泳がせている。しかし、その理由がわからない。当初は甘く見ていただけかもしれないが、最近の僕は活発に動いている。それを察知していないとは考えにくいよね」

 

なぜ僕を放置している? シトリーの死体もすんなり渡してきた。一応はベレス君に渡したものだが、その彼女が僕と懇ろなのは間違いなく知っているはず。そして、僕の科学技術も最古の四人の存在が証明している。心臓の秘密に僕らが気づくことくらい、彼女は予測できそうなものだ。

 

「それよりも、紋章石なんてものをぶち込まれたこいつは大丈夫なんだろうな?」

 

いや。彼女の目的は、それか? 紋章石をベレス君に埋め込むことが彼女の目的だとしたら、既に目的は完遂されている。僕やその他の有象無象がうろちょろしたところで、今更どうこうできるものではない。

 

「私はすこぶる健康だ」

 

母子共に危篤だったから、母の頼みで心臓を娘に移植した。……「あんなもの」を、果たして娘に移植してくれなどと頼む母親がいるだろうか? 当時の証人はジェラルト君しかいないが、彼はお産に立ち会ってはいない。危篤だったかなんて、そこにいたレア君の妄言かもしれないじゃないか。……心臓を移したかったのは、レア君じゃないか?だとすれば、なぜそんなことをする必要が?

 

生きているかのような紋章石。生体に拒絶されることなく、それは心臓と同じ働きをする。……紋章石とは、生物……それも、人間の心臓が材料なのか?

 

『フランシーヌの髪の毛ってさ、彼女の記憶をたっぷり持ってると思うんだ。

それをアクア=ウイタエに溶かしちゃったりして……。そしてそれを誰かに飲ませちゃったら……はい! 2番目のフランシーヌの完成でしょ?』

 

まさか。

 

『ううむ。体のないわしにはわからぬ話じゃのう……』

 

他者の情報を取り込み、その人格を別の人間に付与する。それでは、まるで……

 

「ダウンロード理論……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




それって……ダウンロード理論やんけ!




やっぱりレア様=フェイスレス QED

この小説のお目当ては?

  • FE風花雪月
  • からくりサーカス
  • どっちも知らない猛者
  • フェイスレス様ラブ勢
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。