私は次期アドラステア皇帝エ『レオノォォルゥゥ!!』 作:炭酸ソーダ
プロットとかなしの直書きなんで話が不安定です。
あ、ベレトス先生が出てきたので初投稿です。
というか前書き書いている時点で先生の性別を決めていないという。別にどっちでも大差はないだろうけど。
4月 おはよう脈無先生
ルミール村は、決して危険な村ではない。さりとて、安全を保障できるかといえば、断言もできない。そうでなければ、傭兵など雇う必要はないだろう。それも、フォドラにその名を轟かすジェラルト傭兵団を、である。
「……」
「やれやれ、またあいつらか。まあ、危険地帯にも踏み込む奴らだ。どこにいても不思議じゃねえがな」
そのルミール村の外縁に、大きなテントが建っていた。テントといっても、ただ雨と日を避けるだけのものであって、四方を布が覆っているものではない。
「……」
その柱に貼り付けられた、演目が書かれた紙をじっと見つめる女性がいた。その格好を見て、彼女が一端の傭兵だと気づく者はほとんどいないだろう。その装束は急所である腹部を剥き出しにしており、脚には一見経年劣化したかのような、その実緻密に意匠が施されたストッキングを履いている。
「これが見たい」
「おいおい、俺たちは遊びにきたわけじゃねえんだぞ」
窘めるように言う大男の声を聞き、しかし女性は聞き入れた様子はなかった。
「わかった、だが一演目だけだ。それで、どれにするんだ?」
女性が指差したのは、ちょうどこれから始まろうとしている演目「5重鍵からの脱出」だった。
「また地味なものを選んだな。まあいい、さっさと見て帰るぞ」
「やあやあ諸君、お待たせした。しかし、その待ち時間に見合うショーをお見せしようとも!」
「……出やがったな、フェイスレス」
「……」
壇上に現れたのは、顔に少しの幼さが残る青年だった。彼は、自らの額と顎に手をやる。
「びょーん」
およそ人間とは思えないほど、顔の皮が上下に伸びた。この時点で、即席の客席に座った村人たちからは歓声が響いている。
「……びょーん」
「おいやめとけ。真似してできるもんじゃねえ」
そして、舞台脇から二人がかりで装置が運ばれてきた。運んでいるのは、つばの広い帽子をかぶった男と、鼻の高い男である。
「パンタローネに、ドットーレだったか。……どいつもこいつも一目でただ者じゃねえとわかる。なんでこいつらがサーカスなんてやってんだろうな」
男が言うが、隣の女性は聞いていない。その目は既に装置に釘付けになっている。
「さて、みなみな様!これから僕が入るのは、この鉄の処女と呼ばれる拷問器具でございます。もちろん棘はないけれど、しかし!二つ工夫がされているんだよね」
青年が器具を開くと、さらに同じ形の、しかし一回り小さな器具が出てきた。
「おわかりかな?そう、この鉄の処女、なんと五層構造なのだよ!この全てに鍵をかけるため、僕はその全てを開けないと脱出できない!……さらに!」
青年が指示を出すと、器具から水が溢れ出した。器具の背中の部分に給水口が付いていて、舞台の裏へと管が伸びているようである。
「工夫その2、水責め!顔の位置まで満たされるまでおよそ2分!そう、このショーは失敗しようが成功しようが2分で終わるのだ!時間に追われる傭兵さんでも、安心して見物できるよねえ!」
「あの野郎、聞いてやがったのか。ったく、油断も隙もねえな」
男の反応に反し、女性の目は爛々としている。名指しされたことがよほど嬉しかったようであった。
「さあ、では始めようか!2分後にまた会おう!」
器具が閉じられた。それからしばらくして、ガチャンという音がした。その音はそれからも4回鳴り響いた。青年の出現を今か今かと待ちわびる村人と女性であったが、それ以降器具に変化はなく、遂に2分が経過した。
「おいおい、こりゃやべえんじゃねえのか?」
ざわめく観客に対し、サーカスの団員は慌てる素振りを見せない。すると、巨大な器具の中腹のあたりが開いた。それも、縦方向にである。鉄の処女の腹を食い破るかのようして、青年が姿を見せた。
「いや失敬!鍵が簡単すぎたので、鉄の処女そのものを分解してしまった!」
よく見ると、鉄の処女は上部と下部が腹部のあたりでネジによって留められたものであった。しかし、ネジは外側から固定されたものであった。つまり、青年はネジの頭ではなく軸を、それも素手で回転させ外したのである。
「顔の皮もそうだが、ありゃ人間から片足をはみ出してんな」
「……見習わなくては」
「だから無理だっつってんだろうよ」
サーカスが片付けを終え、朝方になった頃。傭兵団の拠点であるルミール村の集会所に、からくりサーカスの面々もいた。
「お久しぶりだね、ジェラルト君。最後にどこであったっけ?」
「王国だろうよ。……で、それはともかくだ。こんな時間に、なんでうちの拠点にいるんだ?」
「そりゃあないよ、君。娘御に朝方に来いと招待されたというのに」
ジェラルトが振り向くと、いそいそと人数分の椅子を用意する娘の姿があった。
「ったく、俺はおまえらが気に入らん。人間としてはともかく、傭兵としちゃあ得体の知れねえ連中は好きにはなれん」
「貴様、言わせておけば……」
「いーよドットーレ、ステイステイ」
さあ来い!と言わんばかりに待ち構えるベレス。しかし、団員の一人が部屋に駆け込んできた。
「ジェラルトさん!すまんが、来てもらっていいか?」
「どうした?」
「いえ、それが……」
「突然申し訳ありません!実は私たち、盗賊に追われているんです。どうか力を貸していただけませんか?」
「盗賊、だと?」
「ええ。野営中に……」
「分断されて多勢に無勢、命まで盗られるところでしたよ」
金髪の少年、白髪の少女、黒髪の少年。彼らは、傭兵団に助力を求めていた。
「ん?その制服……」
ジェラルトが言うや否や、斥候に行かせていた団員が戻ってきた。
「村の外に、かなりの大所帯だ!」
「ったく、ガキ共はともかく村は見捨てられねえ……」
ジェラルトは、背後のベレスの方に顔をやる。
「おい、行くぞ。……なんでてめえらもいるんだ」
そこには、どことなく不満げなベレスと共にからくりサーカスの面々もいた。
「数が多いのだろう?これも縁だ、助力してあげよう」
「……こちらの方々は?」
白髪の少女の問いかけに、青年は自ら答えた。
「これはこれは皇女殿。僕はフェイスレス、からくりサーカス団長のフェイスレスさ」
「……サーカス団に頼るほど、私たちは落ちぶれてはいないわ」
「いや、いい。フェイスレス、お前等の力も借りるぞ」
ジェラルトの声に、少年少女は各々驚きの表情を見せる。
「ま、待ってください!サーカス団を戦わせるつもりですか!?」
金髪の少年の反応に、ジェラルトは顔だけを向けた。
「心配いらねえよ、こいつらは強い。少なくとも……」
体ごと少年たちに向けて、言葉を続けた。
「てめえらよりは、よっぽどな」
「分解」
「緋色の手」
「純白の手」
「深緑の手」
「紺碧の手」
「気張れてめえら!サーカス団に手柄全部持ってかれるぞ!」
ジェラルトが叫んだように、山賊の大多数はサーカスの面々が討ち取っていた。関節を外された者、全身を焼かれた者、穴が貫通した者、肉が溶かされた者、切り刻まれた者……。彼らに始末された山賊は、外見から一目で判断できた。
「おいおい、これがサーカス団かよ。冗談きついぜ……」
黒髪の少年の言葉が、その場の人間の総意であった。
「ちっ……なめんじゃねえ!」
逃げ惑う山賊の中、頭と思しき男が駆けだした。その先には、気を抜いていた白髪の少女がいた。
「なっ……」
「っ……!」
その前にベレスが割り込み、彼女に斧が振り下ろされ――――
「……む?これは……」
山賊の関節を外そうとしていたら、突然体が動かなくなった。
「おぬしおぬしおぬし!」
なんか幻聴まで聞こえてきた。あれ、僕どうなっちゃったの。首も動かないけど、見える範囲の何もかもが止まっている。時間でも止まったみたいだ。
「……」
なんか幻聴とベレス君がしゃべっているっぽい。時を止めた?はじまりのもの?ソティス?それって確か女神の名前だったよね。これは何だ、ベレス君の脳内に、女神が転送でもされていたのかい?
あ、なんか時間が戻っていく。あれだ、ビデオの巻き戻しでも見てるみたいだね。動けるようになったので、とりあえず相手を「分解」しておいた。
ジェラルト君は、元セイロス騎士団長だったらしい。20年も出奔してたけど、とうとうばれて出戻りするみたいだね。
「セイロス騎士団、か」
なんかソティスの声が聞こえた。ベレス君もびびってるあたり、幻聴ではないらしい。
「パンタローネ、聞こえたかい?」
「申し訳ありません、フェイスレス様。失礼ながら、問いの意図が分かりかねます」
オートマタにも聞こえない。となると、やはり僕とベレス君にしか聞こえないのか。
それはともかく、どうも皇女殿たちを救援した礼をしたいとかで、僕らもガルグ=マグとかいう大修道院に招かれてしまった。フォドラも一通り巡ってきたので、それほど時間に追われていることもない。ここは、せっかくだし乗っかることにしようかね。
それにしても、皇女エーデルガルト。こんなところで相見えるとは、晴天の霹靂といやつだったよ。偶然って恐ろしいよね。
はい、ここからほんへに入ります。学級どうするとか考えねば……。あとドット―レの技ってどんなのか不明なんですよね。書きづらかったです。
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