私は次期アドラステア皇帝エ『レオノォォルゥゥ!!』   作:炭酸ソーダ

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学級は3つ。最古の四人は4人。
あれ、1人余るなあ……。


4月 たぶん温泉回

「フェイスレス。大司教の権限により、貴方を士官学校の用務員に任命します。各施設の管理人と協力し、施設の保守や拡張をお願いします。……しかし、本当に無給でよいのですか?」

 

「もちろん!衣食住と、生徒たちの笑顔!それさえあれば、他に何がいるだろうか!」

 

ベレス君、どれだけ気に入られているんだい。まさか要求が全部通るとは思っていなかったよ。

 

「期間は、1年。貴方の仲間が卒業するまでということになるでしょう」

 

「全く問題ない。頑張らせてもらおう」

 

「では、これで任命は終わりです。……そうですね、生徒たちと顔を合わせた方が良いでしょう。よろしいでしょうか?」

 

「もちろん。では、失礼するよ」

 

 

 

「レア。良いのか?」

 

「あの者の善性は、かつてのグロンターズで知っています。決して悪人ではないでしょう。それに、サーカスによる巡業で知見も豊富です。生徒にも良い影響が……」

 

「それはそうだが……」

 

「セテス。フレンがいるからといって、些か心配しすぎではないですか?」

 

「……むう」

 

 

 

 

「というわけで、用務員として諸君のサポートを行うことになった。からくりサーカス団長……は休業中だが、フェイスレスだ。よろしく頼むよ」

 

とりあえず、聖堂から一番近い学級にやって来た。黒鷲……ということは、あの皇女様のいる学級だね。

 

「あら、貴方は……」

 

「先日ぶりだねえ、皇女様。ご機嫌いかがかな?」

 

「おかげさまで。ふうん、用務員、ね。」

 

ふーん、どうやら僕を観察しているようだね。

 

「フェイスレス様、ご機嫌麗しゅうございます」

 

「ああ、パンタローネ。おまえはここに配属されたのかい」

 

「おお、君がそうか!」

 

ふむ。何やら気品のある少年が割り込んできたが……

 

「私はフェルディナント=フォン=エーギル!パンタローネに模擬戦を申し込んだところ、軽く捻られてしまってね。そうしたら、自分よりも団長の方が強いと謙遜していたのだよ。今度、勝負をしてもらえないだろうか?」

 

「だーめ。パンタローネに勝てるようになったら来たまえ」

 

「なるほど、では一層精進せねばな!」

 

良いねえ、高貴な一方で向上心もしっかり持ち合わせている。

 

「へえ、お強いのね。貴方、おいくつかしら?」

 

こちらの娘は、どこかで見たような……ああ、あそこだったかな。

 

「いきなり年を聞くのは無粋だよ、歌劇団のお嬢さん」

 

「あら、私をご存じだったのね。これは失礼しました、ドロテア=アールノルトよ」

 

そんな感じで、ここでの顔合わせは済んだ。この学級は、貴族が多いようだね。パイプ作りのために、パンタローネには頑張ってもらわないといけないね。

 

 

 

 

「そうか、貴様が……。フェリクス=ユーゴ=フラルダリウスだ。アルレッキーノより貴様の方が強いらしいな」

 

なんかさっきもこんな感じだったような。青獅子……ファーガス神聖王国の出身者が集う学級のようだね。

 

「うん。でも、戦うのはアルレッキーノを倒せたらだよ?」

 

「そうか。その日を楽しみにしておこう……」

 

フラウダリウスって大貴族だよね。そこの息子があんなに血気盛んなんだ。

 

「すまない。フェリクスは、昔からああでな」

 

そう言うこちらは、ディミトリ……何だっけ。長いから覚えてないや。しかしこいつも、ちょっと不穏な気配がするような……。

 

「私の地元でも、からくりサーカスの名前は聞いていましたよ。あ、すいません。私はイングリット=ブランドル=ガラテアといいます」

 

一目で分かった。この娘は、騎士だよ。この見た目で騎士じゃなかったら詐欺だよ。

 

このクラスは、なんだろうね。表面上は、問題がなさそうだが……。ファーガスの王子に、フラウダリウスか。……ダスカーの悲劇が闇うごのせいだと言えば、こちらになびいてくれるかなあ。いや、確証はないけどね。確証はないけど、あーゆー陰謀はだいたい闇うごが絡んでるでしょ、たぶん。

 

 

 

 

最後の学級に行こうとしたら、聞きなじみのある声がした。

 

「あんた、その声で変なこと言わないで貰えます?」

 

「変なことってなーに?アタシは、恋愛ってどういうものか聞いてるだけじゃない」

 

「それが変なことだって言ってんの!」

 

コロンビーヌが2人いる。いや、これは声が似ているだけかな。

 

「あっ、フェイスレス様!聞いてくださいよ、このちんまいのが~」

 

「ちんまいのはあんたもでしょう!」

 

学級を除くと、コロンビーヌが近づいてきた。それを追うように、白髪の娘もやってきたが……。

 

「コロンビーヌ。クラスメートとは仲良くするもんだよ?」

 

僕の声を聞くや否や、その娘の体が跳ねた。なにその反応?どっかでなんかあったっけ?

 

「そ、その声は……」

 

この声?変哲もない男声だけどね。

 

「あ、あんた!昔コーデリアで……」

 

コーデリア?あそこは僕が生まれた()所だが……。

 

「ちょ、ちょっと来なさい!」

 

小さな少女に手を引かれ、教室から出て行くはめになった。

 

 

 

やって来たのは中庭。娘は周囲を見回した後、口を開く。

 

「あんた、4年前、コーデリア領で……」

 

やけに興奮してるけど、大丈夫かね。過呼吸?

 

「4年前なら、確かにいたけどね。それが?」

 

「コーデリア伯の、地下牢でしょう!?」

 

あー思い出してきた。そういや牢を分解して、1人逃がしたような気がする。

 

「君、あれかい。闇うごの被検体だったかい?」

 

「闇うご?……でも、そう!実験動物にされていた……!生きていたんですね!」

 

「そりゃこっちの台詞だよね。生きてたのかい」

 

「……あの後、結局また捕まって。その後運良く紋章が発現して、生き延びたんです」

 

ふーん。あの実験場では、紋章を無理矢理発現させようとしてたんだ。

 

「良かった……!生きてた……!」

 

そんな嬉しいことかね?……いや、これは使えるね。

 

「君、名前は?」

 

「リシテア……リシテア=フォン=コーデリア……!」

 

「よおしリシテア君、君は闇うごを知っているね?ああ、闇うごというのは君で人体実験していた連中のことだよ」

 

「もちろんです。片時も忘れたことはない……!」

 

「僕はね、彼らに対抗しようとしているんだ。君の力も借りて良いかな?」

 

「そんなもの……言うまでもないじゃないですか……!!」

 

よおし。……っていうか、この子今コーデリアって言ったね。君、自分ちで実験されてたのかい。そりゃあ大変だったねえ。

 

 

 

 

「よお、逢い引きでもしてたのかい?」

 

金鹿の学級に入るなり、色黒の少年に言われた。まあそう見えるよね。

 

「違います!わたし、からくりサーカスのファンなんです。だから、サインを……」

 

「つってお前、コロンビーヌにはねだらなかっただろ?」

 

「こいつにもらう気はありません!」

 

「あら、失礼しちゃうわ」

 

すっごく楽しそうな少年。なんとも腹黒そうだねえ。

 

「悪いね。俺は、ここの代表をやってるクロードだ。下は覚えなくてもいいぜ」

 

「あ、あたしも!ヒルダっていいます!」

 

「それなら僕もだ。ローレンツ=フォン=グロスタールだ。はーはっはっはっは!」

 

「オデも!ラファエルってんだ!よろしくなあ!」

 

「わ……私も……。マリアンヌといいます……」

 

「ですよね、マリアンヌさん!僕は、イグナーツです!」

 

「おいおい、みんながっつきすぎだろう?あ、わたしはレオニーってんだ」

 

……居心地いいね、ここ。たぶんみんな裏表もないし、良い子ばかりじゃあないか。他の学級も、見習わないといかないんじゃないの?

 

「あっ、そうだ。僕は施設の拡張もできるんだけど、何か要望あるかい?」

 

「「「「「浴室!!」」」」」

 

揃ったねえ。そんなに悪いのかね?

 

「いや、悪くはないんだが……」

 

「蒸し風呂なんですよねえ、あそこ。乙女としては、やっぱりお湯に入りたいなあって」

 

「僕も同意見だ。貴族としては、常に清潔を心がけなくてはね」

 

蒸し風呂かあ。確かに、訓練で汗まみれになる士官学校としては、湯船に浸かりたいというのは当然だね。

 

「任せたまえ。簡単なものなら、夜までに作ってみせよう」

 

「嘘だろ!?さすがに時間がないだろう!?」

 

クロードが目をひんむいている。しかし、だよ。

 

「おいおい。僕は、もの凄いのさ」

 

 

 

 

「何ごとかね!?」

 

夜。いつもなら静かな時間であるのに、その日はやけに騒がしかった。厳格なセテスがそれを聞き逃すはずもなく、音の元へと向かっていた。

 

「あ、お兄様!」

 

「フレン!いったいどうしたんだい?」

 

教室の横を通り、浴室の方へと向かっていたセテスは、愛む……妹の上気した顔を目撃した。

 

「フェイスレスさんのおかげで、すっごく気持ちよかったのですのよ。体中がポカポカして、もう天にも昇る心地でしたわ!」

 

「フェイス……レス……?気持ちよかった……?」

 

「ま!お兄様、お顔が恐ろしいですのよ!」

 

「フェイスレス、貴様ぁ!やはり招き入れるべきではなかったようだなぁ!」

 

浴室への階段を駆け上っていくセテス。途中いくらか生徒とすれ違ったが、その全てが女生徒であり。その体は、漏れなく火照っていた。

 

「フェイスレス!」

 

浴室の入り口に、フェイスレスはいた。机と椅子を構え、その脇には木箱が置かれていた。

 

「あれ、セテス君じゃないか。今は入っちゃだめだよ」

 

「フェイスレス、貴様!フレンに何をした!」

 

「何って、風呂だよ。風呂に入ってもらっただけさ」

 

「風呂、だと?」

 

「うん。実験的に……」

 

「いかがわしい風呂にかぁ!!」

 

「君、とっつきにくそうかと思ったけど。案外仲良くできそうな気がしてきたよ」

 

 

 

 

「湯船、か」

 

「うん。初日から大盛況さ。女生徒の、いやガルク=マグの女性の総意だったみたいだよ?池から水を引いてきて、膜で濾過して、アルレッキーノとパンタローネに温めさせたわけだね」

 

「そうか。フレンが喜ぶなら、それで良い」

 

「入場者には、石鹸もプレゼントしておいたよ。ああ、それと水量が少ないから、麓から直接水を引きたいと思ってるんだよね。いいかな?」

 

「……」

 

 

 

 

「レア、やはりあの男は危険だ。奴は高度な科学技術を持っているようだ」

 

「なればこそ、我々の目の届く範囲に置いておくべきでしょう?」

 

「……」

 

「それに……」

 

「なんだ?」

 

「わたくしだって、お風呂に入りたいのです」

 

 

 




見りゃわかるかもしれませんが、金鹿好きです。どこぞの軍師の影響もあるかも。
それはさておき、問題です。ドットーレはどこにいるでしょうか?

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