ロクでなし魔術講師、アルベルト=フレイザー   作:つりーはうす

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第二章
7話 任務復帰、アルベルト


アルベルト、イヴ、バーナードによる形式上私闘と扱われた職場での鬼ごっこ(魔術戦)から数日後。

本来なら私闘は軍紀違反のため数週間の謹慎処分が妥当なのだが、特務分室という軍の中でも強力な戦力をそんなくだらないことで遊ばせるほど軍には余裕などなく、始末書で手打ちとなった。

今日もまた我らが特務分室の室長であるイヴに呼び出され、特務分室の職務室(オフィス)へと向かっている途中に一人の青年と鉢合わせた。

 

 

 

「おい、アルベルト。いい加減リィエルの子守を交代しろ!」

合った瞬間にこのような文句を言う男の名はグレン=レーダス。

帝国宮廷魔導士団特務分室執行官ナンバー0、"愚者"を拝命しているアルベルトの同僚である。

理想は高いが実力はそれに見合うほどのものがなく、世間でいうところの第三階梯(トレデ)、つまり魔術師としては平凡の実力の持ち主である。

事実、その特異な魔術特性(パーソナリティ)を利用した固有魔術(オリジナル)がなければ宮廷魔導士団に入ることすら出来なかっただろう。

いや、その固有魔術(オリジナル)があったとしても、軍用魔術は基本三属しか使えず、平凡な魔術師であるグレンを周りはすぐに死ぬだろうと予想していた。

だが、その予想は裏切られ続け、どんな絶望的な状況でも帰還してくることから、残り一回の勝利を一番最初に引く男として呼ばれるようになり、今や宮廷魔導士団の切り札(ジョーカー)的な存在に至るまでになった。

 

 

 

「グレンか、その願いは聞けん。イヴから呼び出しを受けた。おそらく新たな任務だろう」

「また単独任務かよ・・・。アイツの暴走を止めれるのはお前が一番相性がいいだろ。いい加減子守を変えてくれないと俺の評価が駄々下がりなんだよ」

「何かあったのか?」

グレンの深刻そうな表情を見てさすがに気になり、話を聞くアルベルト。

 

 

 

「この前の任務だ。軍と特務分室から派遣された俺、白犬、リィエルで敵魔導士の拠点制圧の作戦があってな。まあ白犬がいてた時はリィエルの面倒を見ていたんだが、作戦に当たっていた軍将校との連絡会議(ブリーフィング)に白犬が行った矢先だ。あのヤロウ単騎で敵拠点に殴り込みやがった。敵拠点の制圧には成功したが、作戦を立てた軍将校の面子はズタボロ。アイツの代わりに俺が監督不届きで始末書を書くハメになったんだよ!」

いつも通りのリィエルだったか。

 

 

 

「そういえば俺が始末書をイヴの所に出しに行ったときなんでお前とじじい、イヴも始末書を書いていたんだ?なんかうまく隠していると思うけど職務室(オフィス)もなんか焼け焦げていたし。何があったんだ?」

グレンからの思わぬ追及に先日のことを思い出すアルベルト。

今思い出しても殺意が湧いてくる。

それに反応したのか、それ以上グレンは何も聞いてこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルベルト。もう一度魔術学院に行ってもらうわよ。今度はヘマしないようにね」

いつものように室長のデスクに座り、任務書を手渡すイヴ。

その内容はもう一度アルザーノ魔術学院に潜入し、元王女であるルミアを護衛せよというものだった。

 

 

 

「後釜は他の奴らが座るのではなかったのか?」

まさか自分がこの任務にもう一度行くようにと言われたことには少なからず驚き、質問する。

 

 

 

「貴方の実力と現実が上の決定を変えたのよ。元王女とはいえ今や市井の身。それをまさか第二団(アデプタス)地位(オーダー)”レベルの奴らが彼女目当てに学院を襲ったのよ。もし貴方じゃなかったら悲惨な結果になっていたのは明らか。だから上は反対意見を押しきって、もう一度貴方に任せようという判断よ。まあおそらく、いや真の意図はあの王女を餌にして天の智慧研究会の外道魔術師を釣ること。そのために相手取る此方の人員を、実力者である貴方が適任だったというわけよ。あと元王女とその身近な人間、まあフィーベル家の娘ね。あの二人とはある程度関係を深めておきなさい。ないとは思うけど協力してもらうことがあるかもしれないから。あとそれと・・・」

イヴは任務書の他にもう一つの書類をアルベルトに手渡す。

 

 

 

「これは貴方宛ての私的な依頼よ、女王陛下からのね」

思わぬ依頼に驚愕するアルベルト。

それを無視してイヴはさらに続ける。

 

 

 

「女王陛下直々の勅命よ。これは"円卓会"のメンバーですら目を通していない、いわば密命。これを手に取った瞬間、貴方は陛下直属の部下として任務にあたることとなり、陛下直々の命令以外はすべて拒否できるわ。この私の命令をもね。まあ元王女関連だとは思うけど、事が事だから、周囲に誰もいないところで見なさい」

余りの出来事に唖然としたアルベルトだがすぐに平常へと戻り、いつもの鉄仮面へとなる。

新たな任務書を手に取り、もう一度魔術学院へと赴くこととなる。

 

 

 

 

「あ、わかっていると思うけど二度目はないわよ。今度またヘマをして私に迷惑を掛けたら全身全霊で貴方を消し炭にするから」

「・・・善処する」

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