『LIVE☆Twinチャンネルーッ! キスキル!』
『……LIVE☆Twin、リィラ』
『毎年恒例、デュエルシティ・ジュニアリーグの開催が迫ってきてるね☆』
――点けたままのディスプレイからは、『DUEL LIVE』内で大人気のチャンネルが流れていた。
サイバネット内で活動をしているサイバース族ユニットの『LIVE☆Twin』チャンネルは、キスキルとリィラの二名で構成されている大人気『
今や、デュエリスト達が利用する動画配信サービス『D-LIVE』はデュエリストだけでなくデュエルモンスター達も活用しているほどにその名は広まっていた。……とはいえ、ほとんどがサイバネット内に生息するサイバース族なのだが。
机の上には表面の塗装がところどころ剥げて擦り切れたスタンダードモデルのデュエルディスクが無造作に置かれている。
液晶画面に背を向けたまま旅支度を始めている十六歳の彼は、毎年開催されているデュエルシティ・ジュニアリーグの参加者だ。
液晶画面の中では、『LIVE☆Twin』の二人が大会の概要を喋っている。大人気ユニットだけあってコメント欄も盛り上がっていた。中にはお布施付きでコメントをするものもいるようだが、彼はただの一度もそうしたコメントをしたことはない。
『ジュニアリーグは属性別に六人のジムリーダーがチャレンジャー達を待ち構えているっ☆』
『……その六人を突破した人だけが、最終トーナメントに参加できるよ』
身支度を整えながら、彼はデュエルディスクの傍らに置いていたデッキを手にする。
そして、机に残されたのは――無機質な仮面。表情の窺えない白い仮面は、顔を隠すために用意したものだ。
ふと、鏡を見る。
カードに魂が宿るように。
この世界ではデュエルモンスター達が人間や動物と同じように存在する。それらを扱い、競い合うように決闘するもの達を人はデュエリストと呼んだ。
本物のモンスターと、それを模したレプリカカード。デュエリストの中にはレプリカカードであっても本物のように魂を宿らせるものがいるという。その性格も千差万別、同じカードの同じ性格のモンスターがいないほどに。
サイバネット内のモンスター達はどうなのか詳しくは彼も知らない。だが、近年の『D-LIVE』ネットワークを構築しているのは人間に協力的なサイバース族達の活躍があるという話だ。
『――そして、待ち受けるチャンピオンに挑むのは君だッ☆!』
『……もしかしたら私達にも会えるかもね』
聞き流していた配信もそろそろ終わりが近づいてきている。
カードが乱雑に散らばっている机の角に目を向けた。そこには、幼い彼と。彼の敬愛する兄が並んで写真に映っている。
無二の親友。あるいは、家族同然に傍らにデュエルモンスターが並んでいる。
初めて自分と心を通わせたカードとの記念写真が写真立てに飾られていた。
手を伸ばして、写真立てを机に伏せる。
――ただの一度も、兄に勝ったことはなかった。
誰よりも強く、誰よりもカードを信じてデュエルを制する兄の姿は、まるで空に輝く一番の星のようで。
その星に手を伸ばして、走り続けてきた。
今もまだ、届かない星に手を伸ばして走り続けている。
ディスプレイの電源を切って、デュエルディスクを左腕に装着する。鞄を持って、仮面を付けると部屋を後にした。
階段を降りてリビングに出ると、そこではソファーでくつろぎながらテレビを観ているブラックフェザー達がいた。仲良く一緒にいるのはインフェルニティ達だ。
「――行くぞ、お前たち」
彼がそう声を掛けると、真っ先に駆け寄ってきたのはインフェルニティ・リベンジャー。続けてインフェルニティ・デーモンとネクロマンサー。
『もうそんな時間カ?』
「ああ。ゲイル達も、いつまでテレビを観ているんだ」
疾風のゲイルが大きな目をパチクリと瞬きさせながらリモコンを操作してテレビを消した。黒槍のブラスト、月影のカルートが渋々といった面持ちをしている。
『いいところだったのに……』
「それは悪かった。どうせ後で動画配信サイトでも観れるだろうから、今は我慢しろ」
『デュエルシティに着いたら絶対見せてもらうからなー!』
「もちろんだ。わかったらカードの中に入ってくれ」
ゲイル達が頷くと、黒羽を舞い上がらせながらデッキの中へ吸い込まれるように消えていった。
しかし、インフェルニティ達は戻らずにそのまま外まで付いてくる。
『ハンカチは持ちましたか? ティッシュも大丈夫ですか? 春先から夏場にかけて暑くなっていきますから水分補給と適度な休憩も大事ですよ』
「……ネクロマンサー、それぐらいはわかっている。体調も万全だ」
『墓地にいってしまってもインフェルニティではないので蘇生はできませんよ?』
『実は墓地にいったらインフェルニティになるかもしれないぞ』
『なるほどぉ。流石はデーモン』
「なるほどじゃない。いいからお前らもカードに入れ」
彼の言葉に、二匹のモンスターもデッキの中へと入っていく。ただ、リベンジャーだけはじっと見上げてきていた。
『今度こそ見つかるといいナ!』
「当然だ。そのためにここまできたんだからな」
『もし今年もダメだったら、どうすル?』
「また来年挑戦するだけだ」
ケケケと笑って、それからインフェルニティ・リベンジャーもカードの中へと消えていく。
誰もいなくなって静まり返ったリビングを見渡して、それから彼は扉を閉めた。
――向かう先は、数多のデュエリスト達が集まる決闘の地。デュエルシティ。
チャンピオンという王座に興味がないわけではない。そこは一つの到着点であり、興味があるのはむしろその過程にこそある。
無数の強者達が待ち受けているという事実、ただそれだけで気分が昂揚する。
またあの時のように幾度となく衝突を繰り返せる強者と出会えるだろうか――そして、あのデュエリストは今年も参加するのだろうか、と。
そんな期待を込めながら彼は歩み始めた。
来たるべき時、行くべき決闘の地へと。
――デュエルシティ・オープニングセレモニーの開催。
ジュニアリーグの大会概要が説明される中で、今年度挑戦するチャレンジャー達の目は輝いていた。
一部では困惑しているものもいる。――というのも、自分のすぐそばに無機質な仮面を付けた男が立っていれば無理もない話だ。しかしその陰口と好奇の視線に晒されていても彼は一向に気にした様子はなく、堂々と腕を組みながら今年度のジュニアリーグの概要に耳を傾けている。
紺色の跳ねた髪に、無機質な白い仮面。その私服も、まるで道化師のようにブラックフェザーモデルのコートを着込んでいる。防寒性よりも通気性を重視したアウターは、ファッション性でユーザーの人気を勝ち取っていた。そうしたモンスターモチーフのブランドは数多く存在している。
開会式が終わり、今年度のデュエルシティ・ジュニアリーグの参加者達は続けてエントリーネームの登録手続きを踏む。
『LIVE DUEL』と呼ばれるデュエリスト御用達の配信サービスは幅広く活用されており、その様子を『D-LIVE』で配信する決闘者を『LIVEデュエリスト』或いは『D-LIVER』と呼ぶ。
リーグ運営委員会所属の受付嬢は、この時間が一番忙しい。エントリーネームは謂わばデュエルシティ内で名乗る第二の名前であり、変更は基本的に受け付けていない。中にはそうしたルールを知らずに参加して決めあぐねる者もいる。受付窓口では大忙しだ。
エントリーネームは重要だ。なにせその名前が『LIVE DUEL』内で公表される上に、個々にチャンネルも設定されるのだから。
「次の方、どうぞ。エントリーネームはお決まりですか?」
「もちろん」
「では、デュエルディスクをお預かりします」
朗らかな笑顔を浮かべる担当窓口の女性は、そのチャレンジャーの顔を見て少し驚いている。
なにしろ、無機質な白い仮面を付けているのだから。表情も年齢も窺えない相手は、間髪入れずにデュエルディスクを窓口の女性に預ける。
「それでは、お名前をどうぞ」
「エントリーネーム、蛮族だ」
「――エントリーネーム、『蛮族』様でお間違いないでしょうか?」
「問題ない」
受付嬢がデュエルディスク内にエントリーネームを登録すると、彼――『蛮族』に差し出す。それを淀みのない動きで受け取ると、左腕に装着した。
「それでは、お気をつけて」
迷うことのない足取りで蛮族は鞄を手にして担当窓口を後にしようとした、その時である。
別な担当窓口から女の子の悲鳴が挙がった。身丈に合わないほどやけに長いマフラーを付けた女の子は、どうやら「お名前をどうぞ」という部分を勘違いしてエントリーネームではなく本名で登録してしまったらしい。周囲からも密かに笑い声が上がっているが、蛮族は思わず大笑いしてしまった。
どうやら今年度もデュエルシティは飽きさせてはくれないようだ。
デュエルシティ・ジュニアリーグが開催され、一番最初にチャレンジャー達が目指すのは風属性ジムがある「ウィンドミルタウン」だ。
現在地は三番目に突破する炎属性ジムがある「サーマルタウン」であり、移動する必要性が出てくる。そこまでの移動手段は徒歩しかない。
先を急ぐにも、登録を終えたばかりのチャレンジャー達でごった返している。蛮族はまず、デュエルシティ全体の地図を確認していた。
大抵の挑戦者は隣町への移動だけで体力を使い切ってカードショップに併設されている宿泊施設で一泊するだろう。チャレンジャーであれば無料で利用できる重要な拠点だ。他を追い抜くならば最初のジムを突破するまでに休憩を挟む余地はないだろう。
(……まず初日でウィンドミルタウンを突破。休息するのは水属性ジムのある「クーラントタウン」で間に合うな)
準備体操を始めていると、早速肩慣らしと言わんばかりに『LIVE デュエル』を始めるチャレンジャーの姿が目に留まった。誰かが始めると、それに続くようにあちこちでデュエルを始める者達が現れる。
蛮族もまた、それに参戦したいという逸る気持ちを抑えつつ、しっかりとストレッチで筋肉を慣らしていく。だがそんなことをしていると、デッキから勝手に出てきた《インフェルニティ・リベンジャー》が顔を覗かせた。
『なぁ、デュエルしないのカ?』
「それもいいが、まずは準備体操だ」
『早くオレも出番欲しいゾ』
「なら、あとで嫌というほどデュエルしてやる」
楽しみダ、と嬉しそうな言葉を残して《インフェルニティ・リベンジャー》はデッキの中に戻っていく。
それを偶然見かけたからか、蛮族が扱うデッキに目をつけた相手が声を掛けてくる。
新品同然のデュエルディスクを装着した、赤縁のアンダーリムメガネを掛けた軽薄そうな印象を受けた。軽々しい、というよりも人懐っこい感じだ。
「あー、そこのアンタ。仮面を付けてるアンタだよ、アンタ」
「ん、俺か?」
「今出てきてたの、もしかしてインフェルニティ?」
「そうだが。それがどうした」
「そっかそっか。名乗るの遅れたな、俺は『トーク』だ。アンタは?」
「エントリーネーム『蛮族』だ」
「……こ、個性的な名前で登録したんだな。まぁいいや。暇してたら俺とデュエルしないか?」
「デュエルの申し込みとあったら断る理由などない!」
「随分と自信があるんだな。もちろん、『LIVE デュエル』でいいよな?」
「そちらに合わせる」
「よっしゃ! そうと決まれば! オープンチャンネル!」
「――LIVE デュエル、オンエアー!」
トークがデュエルディスクを起動させながら、『LIVE デュエル』開始の宣言をするのに続けて蛮族もまた後に。個々人に設定されたチャンネルから、自分たちのデュエルを生配信するというシステムは『D-LIVE』の利用者であれば誰でも視聴可能となる。そのため、勝者の栄光も敗者の無様も中継され、そういった面から毅然とした態度でデュエルに望むリテラシーが問われる。もちろんそれに目をつけている企業も数少なくない。
そして今――蛮族とトークの二人のデュエルもまた配信されることとなる。
【VSトーク戦 先攻1ターン・トーク】
デッキのカードをシャッフルしていると、思い出したようにトークが尋ねる。
「先攻は俺がもらってもいいか?」
「いいだろう! 先攻は譲ってやる! 存分に展開するがいい!」
「へへ、悪いな! ありがとよ! と言っても、俺もまだデュエリストとして駆け出しでな。プレイングミスとかあったら許してくれよ」
「そうか。ちなみに、デュエリスト歴はどれぐらいだ」
「まだまだ初心者、一ヶ月だ!」
どうやら、トークは本当に駆け出しデュエリストのようだ。蛮族はそういうことなら、と快諾して先攻を譲り、初手の展開を見守ることにする。その間、チャット欄に流れてくるコメントを横目で流し見ていく。
大抵は『初見です』といったコメント。中には蛮族が仮面を付けていることを気にしているコメントが流れてきたりしていた。初心者と宣言したトークの応援コメントまでもが流れてくる。
「それじゃあ行くぜ! 俺は手札から、永続魔法《サイバネット・コーデック》を発動! コイツは「コード・トーカー」モンスターがEXデッキから自分フィールド上に特殊召喚された場合に、そのモンスター1体を対象に発動できる! そのモンスターと同じ属性のサイバース族モンスター1体を手札に加える」
「サイバース族。それも「コード・トーカー」使いか」
「手札から《マイクロ・コーダー》を通常召喚! そして、通常魔法《
使用しているカードはレプリカモデルなのか、まだカードそのものに精霊が宿っている様子はない。メインモンスターゾーンに召喚された《マイクロ・コーダー》がじっと佇んでいる。
「続けて、俺は手札から《ビットルーパー》を召喚! 《マイクロ・コーダー》と《ビットルーパー》をリンクマーカーにセット! 召喚条件は効果モンスター2体! リンク召喚、リンク2! 《コード・トーカー》!」
メインモンスターゾーンとは別に、トークの右側のEXモンスターゾーンに召喚された《コード・トーカー》が剣を振るい、構えていた。
蛮族はリンク召喚よりも、シンクロ召喚を軸にした展開を得意とする。というのも、カードを手にした時はそれが主流だったということもある。その後に、エクシーズ召喚やペンデュラム召喚といったものが流通し、近年ではリンク召喚も加わった。そのため、リンク召喚は最新鋭の召喚方法と言えるだろう。そこから入ったデュエリスト、というのならここまでの展開も納得がいく。
「まずは《サイバネット・コーデック》の効果からだ」
「デッキから同じ属性のサイバース族1体を手札に加える、だったな。続けていいぞ」
「へへ、じゃあ。《コード・トーカー》は闇属性だから闇属性・サイバース族を手札に加えさせてもらうぞ。俺が選ぶのは――コイツだ! 《スタック・リバイバー》! そして《サイバネット・コーデック》の効果を発動後、俺はターン終了時までサイバース族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できなくなる、といってもサイバース族しかいねーけどな!」
トークの手札は2枚。1枚は《スタック・リバイバー》であることは確定している。
「おっと、そうだ。《マイクロ・コーダー》の効果を発動させてもらうぜ。こいつは《コード・トーカー》モンスターのリンク素材として手札・フィールドから墓地に送られた場合、「サイバネット」魔法・罠カードをデッキからサーチできる。だが、フィールドから素材にした時は手札に加えるカードをサイバース族・レベル4モンスターにできる――ってわけで、俺は手札に《コード・ラジエーター》を加える。コイツの効果はさっきの《マイクロ・コーダー》みたいなもので、「コード・トーカー」モンスターのリンク素材にする時は手札からも素材にできる! ってなわけで、続けてリンク召喚させてもらうぜ!
EXモンスターゾーンの《コード・トーカー》と、手札の《コード・ラジエーター》をリンクマーカーにセット! 召喚条件はサイバース族モンスター2体以上! リンク召喚!
リンク3――《シューティング・コード・トーカー》! 初手でここまで持ってこれると気分がいいな!」
その気持ちは確かにわかる。蛮族はトークの言葉に同意して頷いていた。そして、「コード・トーカー」モンスターが新たに特殊召喚されたことにより再び永続魔法「サイバネット・コーデック」の効果が発動される。
水属性・サイバース族モンスターである《スクリプトン》を手札に加えて、手札が3枚となったトークはカードを一枚セットする。
「よっし、これで俺のターンエンドだ! 攻撃力2300の《シューティングコード・トーカー》を初手で突破できるもんならしてみやがれー!」
「いいだろう! 私のターンだ!」
「そ、そこまで自信満々にされるとちょっと腰が引けちまうんだけど!?」
【先攻1ターン目・トーク フィールド】
手札 2枚(《スタック・リバイバー》《スクリプトン》)
EXモンスターゾーン 《シューティングコード・トーカー》
メインモンスターゾーン 無し
魔法・罠ゾーン 《サイバネット・コーデック》 及び、伏せカード1枚
【後攻1ターン・蛮族】
「では、私のターンだ! ドロー! ……ふむ、悪くない手札だな」
「デュエル歴は短いが、これでも昔の召喚方法とか色々調べてんだ。シンクロ召喚とか、エクシーズ召喚とかまだ経験が浅くてね。デュエルを通じて身を持って学ぼうってことだから、ばんばんシンクロ召喚とかしてくれよ」
「良いだろう。そこまでしてリンク召喚した《シューティング・コードトーカー》には残念だが即刻墓地送りになってもらうぞ」
「えっ、それはちょっと、こう……手加減してくれねぇかな?」
「シンクロ召喚はしてやる」
「うちのエースだぞ!?」
「攻撃力2300程度でこの私を止められると思うなよ! 止めたければ3000ラインは超えてもらわなければな!」
「そんな無茶言うなよ!?」
サイバース族は攻撃力が低い、という話がある。だがその分豊富なサポートで補う、というのは魔法使い族に通じたものがあった。とはいえ。蛮族にとってしてみれば、相手の戦略など真正面から粉砕するものなのだが。
「私は手札から永続魔法「黒い旋風」を発動!」
「黒い旋風? それって……」
「
「……ちょっと待った。あんたさっき「インフェルニティ」を連れてなかったか?」
「連れていたが? なんなら私の無二の相棒だ」
「おかしいだろうが!!!」
初心者のトークでも、その組み合わせに違和感を覚えるくらいの知識はある。流し見た程度でしかないが、それでも記憶にある限りでは以下の通り。
「インフェルニティ」テーマは、シンクロ軸のひとつ。手札が0枚の時に真価を発揮する。
「BF」テーマは、同様にシンクロ軸。展開に優れ、戦闘面、安定性と全体的に高水準にまとまっている。それでも、リンク召喚が参入してからというものあまり姿を見ることはなかった。
「いや、流石に初心者の俺でもわかるわ! その2つのカテゴリ混ぜてどうなるんだよ!?」
さしものトークの指摘に、コメント欄も同調の意思を見せている。しかし、仮面を着けているからか、蛮族はわかりやすくこれみよがしに肩をすくめて呆れるジェスチャーをしてみせた。
「それをこれから見せてやるというのだ。では行くぞ! 私は手札から《BF―疾風のゲイル》を通常召喚!」
『よっしゃー、オイラの出番だー!』
「うお、そっちも喋るのか!?」
『なんだよぅ、喋って悪いか!』
「ゲイル。今はデュエルに集中しろ」
『わかった任しとけ! あ、あとでちゃんとテレビ観せてくれよ?』
「まだ覚えてたのか……宿に着いてからな」
流れてくるコメントに『ゲイルかわいい』『何この子、うちのゲイルと違う』『BFのぬいぐるみとか人気だよな』といったデュエル以外のコメントがチャット欄を埋めている。
「では「黒い旋風」の効果を発動! 手札に《BF―疾風のゲイル》より攻撃力の低い「BF」モンスターを手札に加える。私が手札に加えるのは、《BFー砂塵のハルマッタン》! 何もなければこのまま続けるぞ」
「お、おお! どんどん来やがれ! 攻撃力1300の下級モンスター程度ならうちのエースでなんとでもならぁ!」
「ならば遠慮なく! 手札から《BFー黒槍のブラスト》を特殊召喚! こいつは自分フィールド上に「BFー黒槍のブラスト」以外の「BF」モンスターが存在する場合、手札からも特殊召喚が可能となる」
「シンクロ召喚してこっちの攻撃力上回ろうって魂胆か?」
「いいや? このまま行くぞ!」
「はぁ!? 正気か!」
「《BFー疾風のゲイル》の効果を発動! 1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を選択し、選択した相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする! 選択するのは《シューティングコード・トーカー》だ!」
「マジで!?」
「やれ、ゲイル!」
『任せろ! 必殺、攻守半減ビーム!』
一気にチャット欄が湧いた。
『攻守半減ビームてwww』『ダッサwwww』『攻守ww半減wwビームwww』『なんだその技名』――そんなチャット欄を覗き込んだゲイルが、LIVEデュエルカメラに向かってポーズを構えた。
『リスナーにも攻守半減ビーム!!』
「やめんか」
《シューティングコード・トーカー》 ATK2300→ATK1150
「――では、バトルフェイズに入るぞ。いいか?」
「お、おう……こうなりゃ次のターンで挽回してやる!」
【バトルフェイズ】
「では、まずは《BFー疾風のゲイル》で《シューティングコード・トーカー》にアタック!」
「それだけだったらまだ余裕だぜ!」
「そのダメージステップ時に私は《BFー月影のカルート》を手札から墓地へ送る! これによりこのターン、エンドフェイズ時まで攻撃力1400ポイントアップ!」
「はいぃぃ!?」
《BFー疾風のゲイル》ATK1300→ATK2700
トーク LP8000→LP6450
「ぐぐ……!」
「続けて、黒槍のブラストでダイレクトアタック!」
「くそ、そうはさせるか! 罠カード発動! 「戦線復帰」! 墓地の《ビットルーパー》を守備表示で特殊召喚!」
「む。守備力2000か……、ならば攻撃は中止しておこう」
「くっそー、《シューティングコード・トーカー》がやられちまった……」
「メインフェイズ2に入るぞ! ご期待通りにシンクロ召喚を見せてやる。私はフィールドのレベル4《BFー黒槍のブラスト》とレベル3《BFー疾風のゲイル》をチューニング! シンクロ召喚! レベル7――《A BF―涙雨のチドリ》!」
『初心者相手とはいえ、加減のないことで』
「それが私のやり方だ。そして、
「どうしろってんだ!?」
「安心しろ、脅威となるのは打点の高さだけだ。効果で破壊なり除外なりするがいい!」
『自分はチュートリアルキャラかなにかですか……』
「そしてこれで私はターンエンドだ。さぁ、次はそちらの番だ!」
『インフェルニティ使ってなくね?』『これただのBFでは?』『初心者相手に加減してるとかじゃなくて?』『手札残してるけど満足してなくね?』――そういったコメントがチャット欄に流れてきても蛮族は一切意に介した様子はなく、腕を組んでトークのターンを待った。
【後攻1ターン目・蛮族 フィールド】
手札 2枚(《BFー砂塵のハルマッタン》)
メインモンスターゾーン 《A BFー涙雨のチドリ》
魔法・罠ゾーン 「黒い旋風」
【先攻2ターン目・トーク】
「くっそー、どうやって突破すりゃいいんだ……!? とにかく悩んだって仕方ねぇ、ドロー! ぐ……今は来ても仕方ねぇんだけどな……」
トークは手札の《スタック・リバイバー》と《スクリプトン》とにらめっこ。そして、今ドローしたカードも含めて考え抜く。そうしていると、コメントがちらほらと流れてきた。
『最初にマイクロ・コーダー出すなら効果で出してた方が良くなかった?』『それじゃコード・ラジエーターをサーチ出来んくなかった?』『まだ初心者らしいし許したれ』『無理そうなら
「効果耐性が無いならなんとかなるかもしれねぇ! 見てろよ、目にもの見せてやるからな!」
「よし来い。こちらもリンク召喚の戦い方というものを学ばせてもらう!」
「俺は手札から《スタック・リバイバー》を召喚! そして、こいつだけでリンクマーカーにセット! 召喚条件はレベル2以下のサイバース族モンスター1体! リンク1、《トークバック・ランサー》! そして、《スタック・リバイバー》の効果発動! こいつはリンク素材にされて墓地に送られた時、墓地のレベル4以下のサイバース族モンスターを守備表示で特殊召喚できる! これで墓地の《コード・ラジエーター》を特殊召喚するぜ!」
【トーク フィールド】
EXモンスターゾーン 《トークバック・ランサー》
メインモンスターゾーン 《ビットルーパー》《コード・ラジエーター》
魔法・罠 「サイバネット・コーデック」
「う~ん、どうする……!? いやでも、今やるしかねぇか……墓地の《スタック・リバイバー》を除外して、手札から《スクリプトン》を攻撃表示で特殊召喚!」
「ほう。随分とフィールドが埋まるじゃないか」
「見てろよー! 俺は、《コード・ラジエーター》と《ビットルーパー》をリンクマーカーにセット! 召喚条件はレベル3以上のサイバース族モンスター2体! リンク2、《エルフェーズ》を召喚! これで《トークバック・ランサー》と《エルフェーズ》は相互リンク状態だ!」
「だがそれでもこちらのチドリは超えられないようだな」
「《コード・ラジエーター》の効果なら――って、あれ? まさか俺ミスった?」
『「コード・トーカー」モンスターのリンク素材じゃないと効果使えないぞ』とチャット欄で指摘されて、そこでトークが気づいたのか頭を抱えている。まだデッキへの理解が薄いようだ。
「ぐあー、そうだったぁー!! しくじったぁー! いやでもまだなんとかなる、はず! とにかくあのシンクロモンスターをどかさないことには話にならねぇ! こうなりゃこれでいくしかねぇ! 俺は《トークバック・ランサー》と《スクリプトン》をリンクマーカーにセット! 召喚条件はモンスター2体、リンク2! 《セキュリティ・ドラゴン》! そしてぇ! 相互リンク状態のコイツは1ターンに1度だけ、表側表示の相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる効果がある! そのモンスターを手札に戻す!」
「そう来るか。ならば、《A BFー涙雨のチドリ》はEXデッキへ戻るぞ」
『破壊じゃなくてよかったです。それでは後ほど』
「ああ」
『A BFー涙雨のチドリ』がフィールドから消えたことにより、蛮族のフィールドは完全に空いている状態となった。当然、ここを逃すほどトークもバカではない。
「よっし、ならバトルフェイズだ! いくぜー!」
「よしこい!」
「だったら、この2体でダイレクトアタックだ! まずは《エルフェーズ》から! 攻撃力がリンクモンスターの数×300アップだから、2300のダイレクトアタックだ!」
蛮族 LP8000→LP5700
「続けて、《セキュリティ・ドラゴン》だ! 攻撃力1100!」
「受けてくれるわ!」
蛮族 LP5700→LP4600
「よーし、これで半分くらい削れたな!」
「なるほど。リンク召喚、中々に手強い……」
「俺はこのままターンエンドだ。来るなら来やがれー!」
【先攻2ターン目・トーク フィールド】
手札 1枚
EXモンスターゾーン 《セキュリティ・ドラゴン》
メインモンスターゾーン 《エルフェーズ》
魔法・罠 「サイバネット・コーデック」
【後攻2ターン・蛮族】
――実のところ、トークはかなり冷や汗をかいていた。なにせ、再び《A BFー涙雨のチドリ》を出されれば対抗策がない。どうにかこうにか考え抜いて出した苦肉の策が《セキュリティ・ドラゴン》によるものだ。勝てるとは思っていないが、それでも勝てたら嬉しいものだ。負けて当然とはいえ、負ければ当たり前に悔しい。
「それでは私のターンだ! ドロー!」
「なんか嬉しそうだな、あんた」
「当然だろう! デュエルとは心躍るものだからな! 相手が強者であれば尚更なこと! ビギナーと言ったな、トーク! こちらも先を急ぐ手前、あまり長引かせるわけにはいかなくてな! 早々に我がエースモンスターを出させてもらおうか!」
「そんなフィールドが空っぽの状態からどうやって!?」
「見ていればわかる――ではいくぞぉ! 手札から「
蛮族 LP4600→3600
レベル5の融合モンスターは、インフェルニティやブラックフェザーとは毛色の違う、まるで羊のぬいぐるみのようなモンスターだった。トークはそんなモンスターは見たことがない。なにせまだまだ勉強中の身だ。融合や儀式といった召喚方法は無知と言っていい。
「手札から《BFー極北のブリザード》を召喚! 召喚に成功した時、墓地からレベル4以下の「BF」モンスターを表側守備表示で特殊召喚できる。私が選ぶのは《BFー疾風のゲイル》だ! 舞い戻ってこい、ゲイル!」
『ぷはーっ! あ、ブリザード』
『墓地からおかえり。もう一仕事やでー』
『えー、テレビ観てダラダラしていてーよー』
談笑していたゲイルとブリザードだが、横を漂うデストーイ・チェーン・シープを見て目を細めて悪い笑みを浮かべると、蛮族の方を見て深く頷いた。
「私は、レベル5の《デストーイ・チェーン・シープ》に、レベル3の《BFー疾風のゲイル》と、レベル2の《BFー極北のブリザード》をチューニング! 現れろ、レベル10!」
「――はい?」
呆気に取られるトークの目の前で、蛮族のフィールド上のモンスターが3体。光となってシンクロ召喚のための素材となる。
それには視聴者達も困惑していた。何が召喚されるのか見当もつかなかったからだ。
「君臨せよ、紅蓮の暴君! 暗雲と黒羽を焼き払い、灼熱の嵐と共に! ――《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》!!!」
炎の渦が、火柱となって蛮族のフィールドを埋め尽くす。その中から翼を広げて君臨するのは赤き竜。腕を組み、仁王立ちのままトークとそのフィールドのモンスター達を見下ろしている。
絶句した。トークも、その視聴者達も。一丸となって言葉を失っていた。
『「そうはならんやろ!!!!」』
コメント欄と、トークの悲鳴にも似た指摘が飛んでくるが、蛮族は腕を組んでいる。シンクロ召喚した《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》と同じく仁王立ちしていた。
「な っ と る だろうが!!! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》の効果発動! 1ターンに1度、自分メインフェイズ1に発動できる。このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する! さぁいくぞ、タイラント!」
『……フン!』
「アブソリュート・パワー・インフェルノ!!」
《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》が腕を広げ、熱波でフィールドを焼き払う。これにより、トークのフィールドだけでなく蛮族のフィールドのカードも破壊された。
フィールドには、ただ1体のモンスターだけが君臨している。その圧倒的な迫力と、威圧感に気圧されて思わずトークは後退った。
「この効果の発動後、このカード以外の自分のモンスターは攻撃できない。が、コイツがいれば十分だ」
「い、いいやまだだ! リンク召喚された《エルフェーズ》は、フィールドから離れた場合、自分の墓地からレベル4以下のサイバース族モンスター1体を対象として発動できる! 俺が選ぶのは――《コード・ラジエーター》だ! 守備表示で特殊召喚! このターン、効果を無効化し、リンク召喚のための素材にもできないが、あんたのターンだから関係ないな!」
「ならばバトルフェイズ! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》で《コード・ラジエーター》をアタック! 獄炎のクリムゾンヘルタイド!」
「くそぅ、すまねぇ《コード・ラジエーター》……!」
「これで私はターンエンドだ!」
あまりに圧倒的な存在感と破壊力。攻撃力3500を突破できるだけのモンスターをトークは持っていない。
苦肉の策であった《セキュリティ・ドラゴン》も破壊されてしまった。墓地蘇生の手段も乏しい。モンスターをセットしても、効果で破壊される。魔法・罠で凌ごうにも手札が悪い。
(ダイレクトアタックを食らっても2ターンか……いやでも、その間にモンスター召喚されたら意味ないよな……)
「どうした。ドローしないのか?」
「お、おぉ? あ、俺のターンだったな。ドロー!」
手札に加わったのは、罠カード「リコーデッド・アライブ」だった。
(いや待てよ? あのシンクロモンスターの効果発動後は確か、あのカード以外攻撃できないってデメリットがあったよな……)
フィールドの破壊効果も含めれば、あのシンクロモンスターと他のモンスターが並ぶ事は少ないはず。
一撃。このターンさえ乗り切ればまだ勝機が――いやない。絶対にない。なんなら時間稼ぎ程度でしかない。
デュエルシティのジムチャレンジャーで、オープニングセレモニーが終わったばかりで更に先を急いでいると言っていた。ならば、こちらの都合でデュエルに付き合わせてしまっている手前、無駄に勝負を長引かせるわけにもいかない。大人しく降参しようかとする素振りを見せた瞬間に、蛮族が指を突きつけた。
「おい。やるのなら最後まで貫き通せ」
「いや、負けは確定してるし。俺のデッキでそのモンスター超えられる奴はいないし?」
「魔法・罠はないのか?」
「あるにはあるけど……そう都合よく手札に来るとも限らないだろ?」
「引けばいいだけの話だ」
「それが! できたら! 苦労してねーよ! 俺はモンスターをセット! そしてカードをセット! そしてターンエンド! これが俺の精一杯だよ!!!」
万事休すとはこの事か。
【先攻3ターン目・トーク フィールド】
手札 0枚
メインモンスターゾーン 1体
魔法・罠ゾーン 1枚
「では、私のターンだな! ドロー! ――喜べ、今日はブラックフェザーの日だ!」
「インフェルニティの日とかあんの!? ちょっと理解できないデッキなんだけど!?」
「されようなどとは微塵も思っていない! 私は手札から魔法カード「アゲインスト・ウインド」を発動! 自分の墓地に存在する「BF」と名のついたモンスター1体を選択して、そのモンスターの攻撃力分のダメージを受け、手札に加えることができる。私が選ぶのは《BFー極北のブリザード》だ!」
蛮族 LP3600→LP2300
「そして、《BFー極北のブリザード》を召喚! 効果発動! 墓地からレベル4の《BFー黒槍のブラスト》を表側守備表示で特殊召喚!」
「この流れさっきも見たぞ俺ぇ!」
『ブラストはーん、出番ですぜー』
『ぷはー! さっきゲイルの奴が蘇生されるの見たから嫌な予感はしてたけどよ!』
『まぁまぁまぁ』
《BFー黒槍のブラスト》と《BFー極北のブリザード》が見上げた先、そこには再び腕を組んで仁王立ちしている《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》がいた。横目で二体を見下ろしている。
「そして、私は手札から《BFー砂塵のハルマッタン》を特殊召喚! 自分フィールド上に《BFー砂塵のハルマッタン》以外の「BF」モンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる。更に、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分の「BF」モンスター1体を対象として発動できる。このカードのレベルをそのモンスターのレベル分だけ上げる!
私は《BFー黒槍のブラスト》のレベルを《BFー砂塵のハルマッタン》に加える。これで《BFー砂塵のハルマッタン》はレベル6! レベル2、《BFー極北のブリザード》をチューニング! シンクロ召喚、レベル8!
地獄と天国の間、煉獄よりその姿を現せ! 《煉獄龍オーガ・ドラグーン》!」
「嘘ぉ!?」
「ご期待通り手札は0枚だ!」
《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》と《煉獄龍オーガ・ドラグーン》の間に挟まれている守備表示の《BFー黒槍のブラスト》が2体を見上げて見比べていた。そして、とても気まずそうに振り返って蛮族を見ている。
『…………』
『…………』
『ねぇ! ちょっと! めっちゃ気まずいんですけど!? この2人の仲が険悪なの知ってるでしょ!? なんで並べたの! なんで俺を挟んで並べたの!? この配置悪意を感じますけど!?』
――なお《煉獄龍オーガ・ドラグーン》と《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》の仲が険悪な理由は互いに「赤さが気に食わない」という至極くだらない理由である。
『……ぶっぱ、していいか?』
「ダメだ。ここは堪えろタイラント。バトルだ! まずは《煉獄龍オーガ・ドラグーン》で裏守備モンスターにアタック!」
「俺のプロトローン! こんなことなら《リンクリボー》出しておきゃよかったー!」
まさか効果を使わずにそのまま殴ってくるとは思いもしなかった。
――というか、そもそもにして蛮族のデッキは対戦しているトークですら理解不可能な動きを見せている。リスナー達も困惑のあまりコメント欄が狼狽えていた。
「受けてもらうぞ、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》でダイレクトアタック!」
「うおおおおぉぉぉ、アッチィィィィィッ!!!!」
トーク LP6450→LP2950
獄炎のクリムゾンヘルタイドの直撃を受けてトークのライフポイントが激減。それにはさすがにチャンネルを視聴していたリスナー達もお通夜ムードになっていた。だが、そこまで健闘したトークを讃えるコメントが流れている。
蛮族は自分のチャンネルから流れてくるコメントに一瞥もくれていなかった。ただ腕を組んでトークの出方を待っている。
「ターンエンドだ! デッキトップのドロー1枚で戦況は覆せるかもしれんぞ」
「できねーよ!!!」
「ちなみに、手札が0枚の場合《煉獄龍オーガ・ドラグーン》は1ターンに1度、相手の魔法・罠カードの発動を無効にして破壊するぞ」
「勝 て る かぁ!!」
頭を抱えたトークはデッキからカードをドローするものの、それはこの窮地を打開してくれるカードではなかった。
――結果から言えば、そのデュエルは蛮族の勝利で終わる。