敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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皆様、お久しぶりです。約束通りこの五月十日、咲姫の誕生日に再びこのハーメルンに帰ってきました。いやーD4の小説あんまり増えてないね。わかってたけどwもっと書く人増えろよー頼むよー。
一応注意書きしておくと、一年時が進んでいる設定です。なんで天くんとかは高校二年生になっているのでよろしくお願いします。


特別編
Happy Birthday 咲姫


学年も一年上がり、二年生へとなった。クラス替えこそあったが、そこまで大してメンツが変わるわけでもない。

変わり映えしない毎日が続く事は前々から変わっていなかった。それに不満などなく、いつもと同じというだけで精神的に楽ではある。

 

天「まぁ、クラス替えして一ヶ月経つわけだが••••••本当に変わらないな」

 

教室中を見渡しても、去年と変わらない内装にため息すら漏れる。何かしら刺激が欲しいと感じてしまい、つい誰かしらに目を向ける。

 

焼野原「まさか連続で一緒になるとはな」

 

天「ん?あぁ•••いたのか」

 

焼野原「いや酷くない?俺の扱いどうなってんの?」

 

気さくに話しかけてきてくれたが、生憎とそんな気分ではない俺は軽く一蹴する。

ただ一つだけ言えることがあるならばーー、

 

りんく「天くん天くーん!何か食べ物持ってないー?」

 

この教室にりんくがいる事だろう。今日も今日とて騒いで俺にたかっている。ちなみに今年から同じクラスだ。

 

天「悪いが何も持ってない。他を当たってくれ」

 

りんく「本当に何も持ってないの?」

 

天「いや持ってないが••••••」

 

もしかして知らない内に月から何か握らされていたか?少し気になって鞄を漁ってみる。

するとどうだ。中からチョコ出てきやがったよ。あいついつの間に入れやがった?

 

天「••••••食うか?」

 

りんく「食べるー!」

 

俺の手からチョコを受け取ったりんくはすぐさまそれを口に運んだ。いや腐ってないかの確認くらいはしろよ。これがアフリカ育ちの人間か。恐ろしや。

 

焼野原「相変わらずだなお前ら••••••」

 

天「お前も食うか?」

 

まだ余っていたチョコの小包を彼にポイッと投げる。落としそうになりながらも受け取った焼野原くんは、それを口に含んだ。

 

焼野原「結構うめぇなこれ」

 

天「これ何処のチョコだ?」

 

りんく「市販じゃ見ないものだね。もしかしたら有名な所のかも!」

 

天「ふーん•••」

 

まだあるチョコを眺めながら、興味なさげに声を漏らした。何度も上に小包を投げながら、それを掴む動作を繰り返す。ただの暇つぶしだ。

 

咲姫「私も食べていい••••••?」

 

天「ん?ほらよ」

 

ちょうどこちらに近づいてきた咲姫にチョコを渡す。モグモグと咀嚼しながら食べているのがわかる。

 

天「しかし、まさかまた一緒のクラスになるとはな」

 

咲姫「うん、私も驚いた」

 

焼野原くんと一緒なのも驚いたが、まさか咲姫とも連続だとは思わなかった。

 

天「昔の俺だったらメチャクチャ嫌な顔してただろうな」

 

焼野原「そういや去年の今頃は出雲さんの事やたら避けてたよな」

 

天「あの時は関わりたくなかったからなー」

 

当時は仕事だけの関係しか望んでいなかったので、あまり無理に話をしようとは考えていなかった。

マジであの時は同じクラスだった事を呪ったね。

 

りんく「ちょうど一年前は咲姫ちゃんとあまり仲良くなかったの?」

 

天「仲良くないって言うよりは関わる気がなかった、に近いな。仕事上の関係だけでいいと思ってたから」

 

咲姫「•••••••••」

 

グイッ、と咲姫が俺の制服の裾を引っ張った。この手の話をされるのはあまり好ましくないらしい。

 

咲姫「今は違うから••••••」

 

天「はいはいそうだったな」

 

優しく咲姫の頭を撫でてやる。それでも彼女の表情は変わらなかったが、さっきよりも身体は密着していた。

 

焼野原「見せつけてくるねぇ••••••」

 

呆れた笑いを浮かべながら俺たちを眺める焼野原くん。その表情は何処か我が子を眺める父親のように見えた。

 

天「まぁ、いつも通りだと思ってもらえれば」

 

焼野原「いつも通り過ぎてむしろ怖いわ」

 

天「••••••そんな露骨だったか?」

 

りんく「だっていつも咲姫ちゃんと一緒にいるんだもん」

 

含み笑いを浮かべながら俺と咲姫を見比べるりんく。俺は少し微妙ななんとも言えない表情へと変わった。

 

咲姫「•••••••••」

 

天「なんか今日はやたらと近いな」

 

ずっと俺の身体にしがみついていて、離れる気配は一切ない。このままズルズルと行ったらまた担任にどやされてしまう。

しかし現実は非情とはこの事を言うのだろうか。噂をすれば影というやつだ。

つまり、担任が入ってきやがった。そして一番に俺と咲姫の姿を目に入れた。

 

担任「お前ら•••またか••••••」

 

天「サーセン」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

昼休みになると、すぐさま乙和さんが俺と咲姫のいる教室にやってきた。ワープでもしたかのようだ早さだ。

まさかゴルシワープならぬ乙和ワープ?語呂悪。

 

天「そういえば咲姫以外の三人はもう受験生ですね。衣舞紀さんとノアさんは心配してませんが、乙和さんは大丈夫ですか?」

 

乙和「失礼な!大学くらいパパッと受かってみせるよ!」

 

天「フラグですか?」

 

乙和「違いますー!」

 

ポカポカと子供のように俺を叩き始める乙和さん。

それを俺はニヤニヤと笑いながら受けていた。

 

咲姫「•••••••••むぅ」

 

天「おっと、どうした?」

 

突然咲姫が俺の腕に抱きついてこちらに引き寄せた。それによって少し身体がグラついてしまう。

 

咲姫「乙和さんに意識が向いてた••••••」

 

天「•••あのなぁ、俺は軽ーく乙和さんをイジっただけだぞ?一々こんな事で口出ししてたらキリがない」

 

不満気たっぷりな顔を咲姫は向けていたが、ここで俺が折れてしまったらズルズルと引きずってしまうことになる。

 

天「くっつく分には構わんが急にするのはやめてくれ。いいな?」

 

咲姫「うん••••••」

 

ションボリと落ち込んでしまった。流石に言い過ぎたか?と少し考えてしまったが今後の事を考えたら仕方のない事だ。

 

天「二人きりの時はいくらでも相手してやるから、な?」

 

咲姫「キス、してくれる••••••?」

 

天「するするいくらでも」

 

乙和「ちょっとイチャ過ぎだと私は思うかなー••••••」

 

天「え?」

 

乙和さんが苦笑いをこちらに向けていたので、首を傾げながら辺りを見渡すと不特定多数の一般通過生徒達にジロジロと見られていた。

 

天「••••••恥っず」

 

大勢の人間に見られるのはやっぱり慣れず、顔が赤くなってしまう。

 

乙和「あはは!天くん顔真っ赤!可愛い!」

 

天「黙れ大学落ちろ」

 

乙和「辛辣過ぎる!!」

 

乙和さんの発言のおかげで、変な羞恥心は何処かへと飛んでいった。不本意だが感謝しよう。

 

学食に到着し、俺たちは既に席を確保していた衣舞紀さんたちの方へと向かって歩く。

ノアさんがこちらに気づいたのか、手を振っているのがわかった。それに反応して乙和さんは振り返す。

 

乙和「聞いてよノア〜。天くんったら私に大学落ちろーなんていうんだよー」

 

ノア「どうせ天くんに余計なこと言ったんでしょ?」

 

乙和「可愛いって言っただけなのに••••••」

 

天「それが嫌なんですよ。いい加減学んでください」

 

ノアさんに愚痴を吐き続ける乙和さんに対して、俺はストレートに抉る言葉を発する。

頬を膨らませる乙和さんが目に写ったが、気にせず食事を続けた。

 

ノア「確かに天くんは可愛いって言われるのをあまり好まないのはわかるよ。でも顔とか整っててお目目パッチリでカワイイんだもん!!」

 

天「••••••••••••」

 

衣舞紀「そ、天、大丈夫?」

 

天「••••••えぇ。多少ながらストレスにはなってますが」

 

死んだ目を衣舞紀さんに向けながら、俺は力なく笑う。自分でもわかるくらいに精神的に死んでるのを感じた。

 

響子「あ、Photon Maidenのみんな••••••と、天•••顔大丈夫?」

 

響子たちがこちらにやってきたのに気がついて顔を向けると、彼女は心配そうな表情となる。

 

天「一応大丈夫••••••」

 

しのぶ「徹夜でゲームでもしてたの?」

 

天「お前じゃねぇんだからしねぇよ」

 

乙和「あ、ちょっと元気になった」

 

しのぶから軽いイジりを受けてなんとか気分が戻った。

 

天「まぁ確かに最近はゲームとかもしてるぞ。モ◯ハンライズとか」

 

しのぶ「ちょっと前にアプデきてハンターランク解放されたけど今どれくらい?」

 

天「50」

 

しのぶ「全然やってないじゃん••••••私と月はもう300いったよ?」

 

は!?もうそんなに進めてたのお前ら!?というかやり過ぎだろ!

 

天「ク◯ャル一式周回して装備完成したら満足しちまってな••••••」

 

しのぶ「今作のフルク◯ャ剣士スキルとガンナースキル混合になってて地雷化してるじゃん••••••」

 

それでも関係ねぇ!ク◯ャルへの愛さえあればスキルなんて関係ねぇんだよ!ガンナースキルついてようが匠があればそれでいい!それでチャアクを振り回せればなぁ!それにク◯ャル固有スキルの体力自動回復がチートで最強なんだよこの野郎(作者)!

 

由香「私もやってるよー。モ◯ハンの新作!天やしのぶみたいに進んではないけどね」

 

そういえばここいらの連中は一応モ◯ハン自体は認知しているのか。

やってるかやってないかは別として、制作会社の方からモンスターの装備を着させられたりしてたんだし。

 

しのぶ「今作は前作とは違う要素が織り込まれてかなり面白くなったしね」

 

天「チャアクは弱体化したけどな••••••」

 

強くなったり弱くなったり、お前本当に忙しいよなチャージアックス。それでも使い続けるが(作者)。

 

響子「そういえば月ちゃん、今年から受験生なんだよね?」

 

天「あぁ。まぁあいつ成績はいいから有栖川学院に難なく受かるだろうよ」

 

絵空「月さん、有栖川学院に行くの?」

 

天「何でか知らんけどな。でも、月が行きたいって言うんだから止めたりはしない」

 

しのぶ「••••••本音は?」

 

天「あいつ普通にこっちくると思ってた」

 

だって来年から入ってくる時は今の三年生組がいないとしても、咲姫にしのぶ、りんくがいる。顔を知ってる人間が何人もいるのだから、陽葉に入学するものだと思っていた。

あまりちゃんと訊いていないが、そこまで大層な目的もなく有栖川に行くらしいし、何がしたいのかわからん。

 

咲姫「•••••••••ん」

 

天「ん?どうした?」

 

咲姫が俺の腕に抱きついた。首を傾げて彼女に顔を向けると、頬を膨らませて不満気たっぷりの表情となっていた。

 

天「•••悪かった。話に夢中になり過ぎた」

 

咲姫の頭を撫でてなんとか機嫌を取ろうとするが、あまり効果はなかった。

 

天「•••••••••」

 

それとも、『今日』の事について触れないから怒っているのだろうか。

五月十日。それは咲姫の誕生日であり、今現在の日付でもある。

周りにチラリと目を向けると、何を言ってるのか察しがついたのか、頷かれた。

 

衣舞紀「今日、天の家に行ってもいい?」

 

天「••••••えぇ。問題ないですよ」

 

乙和「あ!じゃあ私も行くー!」

 

ノア「私もお邪魔します」

 

咲姫「わ、私も、私も行く••••••」

 

周りがどんどん便乗する中で、咲姫も負けじと声を張った。

 

天「ん、どうぞ」

 

薄らと笑みを浮かべて、彼女たちを歓迎する姿勢を取った。

 

しのぶ「じゃあ私も行こうかな。ついでに月と遊びに」

 

天「おぉ来い来い。久しぶりに三人でモ◯ハンするか」

 

しのぶ「百◯夜行周回するけどいい?」

 

天「ハンターランク上げる気マンマンだなお前••••••」

 

あまりのブレなさにため息すら漏れてしまう。ク◯ャル周回と言いかけた俺も大概だが。

 

響子「じゃあ私たちも行くよ」

 

天「•••二人は?」

 

由香「行くよー!」

 

絵空「お邪魔させていただきます♪」

 

天「はは•••かなりの大所帯になるな••••••」

 

これが本当は咲姫のバースデーパーティーになるとは、本人が知る事は絶対にないだろう。

現に彼女は俺に抱きついたまま、俺の顔をずっとまじまじと見つめていたのだから。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

響子がりんくに誘いを入れたのもあって、ハピアラの面々も参加することが決定した。

大丈夫?我が家パンクしない?ねぇ?

そこら辺は家の頑丈さに期待するしかないだろう。仮にぶっ壊れても親の金で何とでもなる。

 

天「そんで•••ここら辺の時期は仕事が楽でいいもんだ••••••」

 

あまりライブの予定も入ってないので、俺にはそこまで多く仕事が回っていなかった。精々広告とか、次のライブのチケットの準備だとかの作業ばかりだ。

 

天「みんなが終わる前に片付きそうだな」

 

残りの仕事にチラリと目を向けて、そう確信する。4、50分後には全ての仕事が終わるビジョンが明確に視えているのがなんとなくだがわかった。

 

そしてその予想通りに、一時間経過の少し前程で仕事が片付いた。

パソコンとメモ帳をしまい、俺は椅子の背もたれにのしかかって大きく息を吐いた。

 

天「はぁ〜、終わったー。みんなが終わるまで寝てるかねぇ」

 

そのまま机に突っ伏し、寝息を立て始める。意識こそしっかりあるが、眠気自体はかなり精神を蝕み始めていた。

あ•••ダメだこれ。寝てしまう••••••。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

天「••••••はっ!」

 

目が覚めて、勢いよく身体を起こすと外は真っ暗に染まっていた。

頭をポリポリと掻きながらため息を漏らす。

五月のこの時期に夜になるなんてかなり後の時間のはずだ。つまり寝過ぎた。

 

天「時間時間••••••七時。まぁレッスンも終わり頃か」

 

が、過度な睡眠は取ってないようで安心した。これで八時とか九時まで寝てたら完全に地獄だ。そう考えると冷や汗が止まらない。

 

ブー、ブー。

 

天「うおっ!?」

 

突然ポケットに入っていた携帯が振動を始めた。ビックリして背筋がピン、と伸びる。

 

天「だ、誰だ••••••りんくか」

 

突然何の用だ?いやあいつの事だ。どうせもう家に着いてるー、とかそんなところだろう。

 

りんく『もしもし〜?もう天くんの家来てるよー!』

 

天「やっぱりか••••••」

 

予想通り、既に俺の家に到着しているようだった。俺は苦笑いをしながら、呆れたように声を漏らした。

 

天「響子たちはもういるか?」

 

りんく『うん!みんなもう来てるよ!」

 

天「早いな••••••」

 

まだ俺帰ってきてないのに行動早すぎないか?流石に驚きだわ。

 

りんく『後ねー、天くんと月ちゃんのお父さんとお母さんもいるよー!』

 

天「•••は?マジで?」

 

りんく『本当だよー』

 

••••••マジか、あの二人今日に限って帰ってきてるのか。えぇー、という心底嫌そうな子どもらしい声が漏れてしまう。

 

天「••••••はぁー、めんどくせぇ」

 

りんく『お父さんたち待ってるから早く帰ってきてねー』

 

天「へーい••••••」

 

電話を切って、ポケットにしまう。鞄を持って立ち上がり、仕事部屋を立ち去る。

一足先に外に出て彼女たちを待つが、いかんせん暇だ。適当に携帯をイジイジしながら、寂しく待つ。

暗くなったのもあって、五月であっても寒さを少なからず感じられた。

 

乙和「おまたせー!」

 

背中に衝撃が走った。振り向くと、乙和さんが俺の後ろにタックルをしたらしい。

更にその後ろにはレッスンを終えた三人の姿があった。

 

天「んじゃ、帰りますか」

 

衣舞紀「今から楽しみね」

 

天「••••••そうですね」

 

表情に出さないようにして、衣舞紀さんから顔を逸らした。

前だけを真っ直ぐに見つめながら歩き始めると、片方の手が握られた。

 

咲姫「早く帰ろう?」

 

天「はーいはい」

 

咲姫に手を引かれながら、俺は娘を見るような優しい目でされるがまま引っ張られた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

無事我が家に到着。玄関を開けると、すぐに賑やかな声がうるさいくらい耳に入った。

 

天「うるっさ•••!」

 

ノア「ご近所さんに怒られないかな••••••?」

 

それは家の防音を頼るしかないだろう。頭を抱えながら大きなため息を吐いてしまう。

リビングに入ると、かなり大所帯の状態になっていた。まだ狭いと感じないからまだいい方だろう。

 

月「おかえりー。もうすぐで準備終わるよー」

 

天「ん。悪いな」

 

猛「おっせぇぞ天ぁ!」

 

月と話している中に割り込むように、父さんが俺に肩をまわした。

 

天「酒くっせぇ!客来てるんだから遠慮しろよ!」

 

猛「固い事言うんじゃねぇよ!今日は特別な日なんだろ••••••?」

 

天「時と場合を考えろ」

 

猛「つれないねぇ••••••」

 

渋々、といった様子だが、酒を飲むのだけはやめるつもりはないらしい。ソファにどかっと座りながら、缶の中の液体を口の中に流し込んでいる。

 

柚木「久しぶりね、天」

 

天「•••母さん••••••」

 

数ヶ月ぶりに見る母親の姿は、前と変わりなかった。だがどことない懐かしさを感じることができた。

 

柚木「たくさん友達ができたようで安心したわ。女の子ばかりなのは少し気になるけど」

 

天「ちゃんと男の友達もいるから••••••」

 

月「まぁいつも遊ぶのは女の子とだけみたいだけど」

 

天「何故か知らんが遊ぶ機会はないんだよ••••••」

 

あいつらあまり誘ってこないし、俺から誘ってもなんか断るんだよな。なんか思い出したら悲しくなってきた。

 

響子「天」

 

天「ん?」

 

響子から声をかけられたと思いきや、小さな物体を4つ渡される。え、何これ。

 

天「クラッカー?」

 

円錐型の、爆発と共に紙テープを飛ばすパーティーグッズ御用達のアレだ。

しかも4つって••••••あっ(察し)。

 

天「なるほどな••••••」

 

響子「何をするかわかった?」

 

天「わーかったよ。全く誰が考えたんだこんなこと••••••」

 

響子「言わなくてもわかるでしょ?」

 

天「••••••なんとなくな」

 

どうせ月だろ。こんなくだらない事を考えつくのは、俺が知る限りあいつしかいない。

咲姫にバレないようにこっそりとクラッカーを三人に回し、目配せでなんとか察してもらう。

••••••なんか嫌な笑み浮かべたな、特に乙和さん。

 

準備が一通り終わったようで、20人用の長テーブルの上には数々の料理が並べられていた。

 

天「すげぇな••••••」

 

見た目の豪華さも相まって、高級ホテルの料理を見ているような気分だった。

 

真秀「この人数分ってなるとねぇ••••••。結構大変だったよ」

 

天「悪いな、客人なのに手伝わせてしまって」

 

料理できる人が何人もいるとやっぱり変わるな。こういう面では人を呼んだのは正解だった。

続々と席に着く中で、緊張が走る。表面上は飄々としているのがなんとなくわかるが、失敗をできないだけに変な空気が流れていた。

 

天「(••••••なんかミスりそうだな)」

 

もっとリラックスしろよ。こんな状況でも関係なく酒飲んでゲラゲラ笑ってる父さんを見習ってほしい。

 

りんく「天くん!」

 

いや俺に投げるのかよ!?そこはちゃんと通してくれないと俺が困惑するんだけど!

 

天「•••はいはい!せーのっ!」

 

俺の掛け声と共に、咲姫以外の全員がクラッカーを構えた。そして、小気味良い音と共に紙テープが咲姫に向かって舞い上がった。

 

咲姫「えっ••••••?」

 

全員「お誕生日おめでとう!咲姫!!」

 

全員の声が重なり、それは部屋中に響き渡る轟音へと昇格した。

 

咲姫「えっ、えっと••••••?」

 

天「何驚いてんだよ。元から咲姫の誕生日パーティーをする為だけに、みんなここに集まったんだぞ?」

 

咲姫「そ、そうだったの••••••?」

 

天「そういうわけだ。というか•••自分の誕生日くらいは覚えてるよな?」

 

咲姫「覚えていたけど•••まさかこんな事になるとは思ってなかった••••••」

 

盛大に祝われるのは想定外だったらしい。こんな大人数からの一点集中の祝いの大砲(クラッカー)を受けて、大変困惑したご様子だ。

 

天「ほら、食えよ。みんな咲姫の為に作ってくれたんだから」

 

咲姫「••••••うんっ!」

 

とても嬉しそうな表情だった。それを見て安心することができて、俺も飯を食べ始めた。

 

猛「•••咲姫ちゃんよ」

 

咲姫「はい?」

 

突然、父さんが真面目な顔で咲姫に話しかけた。当の彼女は首を傾げている。

 

猛「こんな息子だが、これからも仲良くしてくれ。天のヤツ、不器用だからな。自分から甘えることも弱味を見せることもできない。咲姫ちゃんじゃないと、こいつの弱い所は見せないと思うんだ。だから•••こう言うのもなんだが••••••天を、頼んだ」

 

咲姫「はい!」

 

天「酔ってんのか?」

 

なんか急に語り始めたと思ったらよくわからん事を咲姫に言って勝手に締めやがった。咲姫も咲姫で律儀にキッチリ応えてるし。

 

猛「うるっせぇなぁ!咲姫ちゃんに愛想尽かされたらお前どうすんだよえぇ!?」

 

天「普通にありそうな事を言うのはやめてくれ••••••」

 

咲姫「私はずっと天くんと一緒」

 

月「相も変わらずラブラブだねぇ••••••」

 

りんく「いいな〜。二人を見てると私も恋愛してみたくなっちゃうなぁ!」

 

ノア「でも恋っていいことばっかりじゃないよ?丁度一人、玉砕した人がいるから」

 

乙和「その話はいいでしょー」

 

クスリと笑いながら、ノアさんは乙和さんに顔を向けた。乙和さんは頬を膨らませながらジト目を向けている。

 

麗「実らない恋もありますが••••••でも、あの二人を見ていると、やっぱりいいな、とは思います」

 

天「え、何、何だよ」

 

なんか色々話されているらしく、少し圧を込めた目を向ける。

 

しのぶ「アンタと咲姫が羨ましいって話」

 

天「あぁ、そう••••••」

 

あまり興味の惹かれない内容だった。ぷいっと顔を背けて、飯を食らう。

 

柚木「相変わらずね••••••。照れてないで少しは会話に参加したらどうなの?」

 

天「••••••うるさい」

 

母さんから目を逸らす。苦し紛れに飲み物を突っ込んだ。

 

月「ほらお兄ちゃん!色々お話しよ!」

 

天「あーもうはいはいわかったわかった」

 

月から多少強引に誘われて、渋々承諾したのだった。とは言っても、俺から話す話題はあんまりないのでそこまで会話に参加できなかったのだが。

もう少し会話力磨くか••••••。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

咲姫の誕生日パーティーは無事に幕を閉じた。チョロチョロとみんなが帰っていく姿を見送りながら、全てが終わった時には、夜の十時を回っていた。

 

天「うお•••もうこんな時間か」

 

壁掛けの時計で現在の時刻を確認して、俺は驚く。いや俺よりも帰って行ったみんなの方が大丈夫だろうか。

 

月「お風呂沸いたよー」

 

天「わかった。咲姫、月と二人で入ってこい」

 

咲姫「嫌。天くんと二人がいい」

 

天「えぇ••••••」

 

どうしてこういう時にだけ頑固になるのだろうか。別に二人で入る分には構わないからいいんだけども。

 

月「先どうぞー。お兄ちゃんの残り湯っていうのは気に入らないけど」

 

天「蹴るぞテメェ」

 

月「サーセン」

 

後で殺す。

 

二人で湯船に浸かると、湯が音を立てて溢れていった。それと同時に大きな息も漏れた。

 

天「楽しかったか?」

 

咲姫「うん。とても幸せだった」

 

天「ん。咲姫が満足したならよかった。やたらと大々的にやったのも悪くなかったな」

 

あそこまでするとは思ってなかったが、咲姫の驚く顔が見られたから十分な収穫だった。

いやー思い出すだけでも面白いわ。あの鳩が豆鉄砲をくらったような顔は。

 

咲姫「••••••むぅ」

 

コツン、と咲姫の後頭部が俺の胸板に当たった。

 

天「どうした」

 

咲姫「変な事考えてた」

 

天「敵わんな」

 

頭を撫でながら薄らと笑う。咲姫は目を閉じて、頭だけでなく身体全体を俺に預けた。

 

咲姫「天くん」

 

天「ん?」

 

咲姫「ありがとう」

 

天「•••そりゃどうも」

 

屈託のない笑顔を向けてくるものだから、僅かに上がっていた口角が更に上がったのがわかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

風呂から上がり、自室に入るとその時の時間は十一時を回っていた。そろそろ寝ないと明日ちゃんと起きられるかどうかわからなくなってしまう。

ベッドに潜り込むと、そこに続いて咲姫も入り込んできた。

そしてすぐに俺に抱きついて、身体が密着した。

 

天「暑い」

 

咲姫「掛け布団を使わなかったらいい」

 

そういう問題?というかそんなことしたら絶対に風邪引くんだけど?

 

天「ダメだっつに。離れなさい」

 

咲姫「嫌」

 

天「咲姫に風邪引かせたら俺の責任問題になるからワガママ言うな」

 

咲姫「••••••じゃあ、キス」

 

天「あ、あぁ••••••」

 

離れる代わりに、のつもりなのだろう。咲姫の望み通りに、頬に手を添えて唇を重ねた。

 

咲姫「んっ、ちゅっ•••ちゅ••••••んぅ、んっ、ちゅう••••••」

 

ご無沙汰、という程ではないが、そこまで頻繁にしているわけではないのは確かだ。だからなのだろつか、やたらと長く吸い付いてくる。

 

咲姫「ぷはっ••••••えへへ、キス、幸せ••••••」

 

天「•••そうだな」

 

咲姫の背中に腕を回して、こちらに抱き寄せる。目をぱちくりとさせた咲姫は、何処となく嬉しそうな笑みを零した。

 

咲姫「離れないの?」

 

天「気が変わった」

 

キスのおかげで火が着いたのか、離れるのが少しだけ惜しくなった。絶対に口にはしないが。

 

咲姫「でも、明日も早いから寝ないと••••••」

 

天「まぁ、そうだな。変に夜更かしせずにさっさと寝るかね」

 

だが流石に暑い••••••。掛け布団を取っ払って、身体を完全に外気に晒した。

 

天「改めて、誕生日おめでとう、咲姫」

 

咲姫「ありがとう、天くん••••••。おやすみ••••••」

 

天「おやすみ」

 

そう言って、俺たちは目を閉じて眠りにつき始める。夢の中へ旅立つ前に、俺はそっと心の中で呟いた。

誕生日おめでとう、咲姫。この一年が幸せになることを、心から願っているぞ。




それではさようなら。今度こそ本当に。まぁグルミクのどこかで会えるでしょうけどwではでは〜
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