敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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いやー遂に百話ですよ。早いもんですね。まさかここまで続くとは思ってなかったので驚きです。そして日間ランキング22位、ありがとうございます!Twitterでも言いましたが、引退までよろしくお願いします!


12月3日(水)

水曜日辺りになると、どうしても学校生活の一週間の疲れが見え始めてしまう。が、それは次の日の金曜日で吹き飛ぶだろう。

平日の真ん中。それだけでやる気が変わってくるものだ。俺に休日なんてほっとんどねぇけど()。

授業はすぐに終わり、俺は事務所へと向かっていた。一人で歩いているのは、学校を出る前に一つの野暮用を済ませていたからだ。

 

天「はぁー•••まさか学園側から校内ライブの要請が来るとはな••••••」

 

ため息を吐きながら、俺は頭を掻く。前々からそういった頼み事は普通にあったし、その度にやんわりと断っていた。だが今回は強く迫られてしまったので、今後のPhoton Maidenの学園での立ち位置も考えて、仕方なく応じた。

ハピアラや、Peaky P-keyなる陽葉学園のトップに居座り続けるユニットもあるらしく、少しばかり興味が湧いて調べていたらこんな時間になった。

大事を取って仕事をある程度終わらせていたのが幸いだった。

 

天「しかし•••ハピアラやピキピキには面白い奴がいるな••••••」

 

ハピアラには渡月家のお嬢様、ピキピキには犬寄しのぶという、有名なDJの祖父を持つ者や(知り合いだけど)、清水家の御令嬢までもいる。メンバーがやたらと濃い。

いや、メンバーの濃さでいったらウチも負けない自信があるし、実力面でも劣っているとは思わない。

そもそもPhoton Maidenにはそのユニットの世界観というものがある。

ハピアラはとても楽しそうで愉快な世界観、ピキピキは派手で暴れられそうな、それでいて音楽がピーキーに尖っている異様な世界観。それぞれのユニットに違いが存在している。

 

天「そもそも•••みんな学園ライブやってる余裕なんてあるのか?」

 

こっちはクリスマスライブの準備で大忙しだっていうのに、学園側も面倒な事をしやがる。

陽葉学園とは比べ物にならない規模だから少しは遠慮して欲しかったのだがな••••••。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

事務所に入って、まず最初にレッスン部屋へ向かった。先に彼女たちに校内ライブの件を話しておかなければならない。

ほとんど練習が終わっていたPhoton Maidenのメンバーは、水分補給をしながら休憩していた。

 

乙和「あ、天くんやっほ〜。遅かったね」

 

天「えぇ。少し、というよりまぁまぁやる事あったので、来るのが遅れました」

 

衣舞紀「それって学校で、でしょ?何かあったの?」

 

勘のいい衣舞紀さんはすぐに察して訊いてくる。俺は小さく息を吐いて、多少ながら面倒くさそうに言葉を吐いた。

 

天「陽葉学園側から、校内ライブをしろとの事です」

 

ノア「学園側から•••?断れなかったの?」

 

天「そもそもPhoton Maiden自体があまり校内ライブをしていませんので•••そろそろ出てくれないと困る、と教師からわざわざお達しがきた訳です」

 

ノア「つまりは断れる余地はなかったって事だね•••」

 

乙和「え?ノア、今のでわかったの?」

 

ノア「逆に乙和は分からなかったの•••?」

 

天「要は圧を掛けられてるって事です。もし断ろうものなら学園での立場は弱くなるぞ、と」

 

イマイチ理解できていない人が約一名いたので、わかりやすくーー遠慮が一切ないーー説明をする。

 

乙和「え〜。クリスマスライブあるのに〜?」

 

天「ミニライブでもいいので、パーッとすぐに終わらせられるスケジュールを組もうと思っています。もしくはクリスマスライブの練習として利用するのも手かと」

 

衣舞紀「じゃあ、クリスマスライブの練習っていう想定でいきましょうか。咲姫も問題ないよね?」

 

咲姫「うん•••大丈夫••••••」

 

変な心配はハナからしていなかったが、こうも手順通りに物事が進んでいくのは気持ちよかった。

 

天「それじゃ、俺は仕事の方に•••」

 

俺はひらひら手を振りながらレッスン部屋を出て行く。そのまま仕事部屋•••に行く訳などなく、俺は外に出た。

 

天「はぁー•••うお、めっちゃでてくるな」

 

息を吐いてみると、真っ白い煙のようなものが口から放出され、それは風に流されて消えた。

 

天「なんか飲み物買い行こ•••」

 

温かいものを飲みながら仕事をしたい気分なので、俺は近くのコンビニに向かって歩き始める。

もう外はうっすらと暗くなり始めており、その所為で更に寒さが増していた。

 

天「さっむ」

 

つい口に出てしまった。少し急ぎ目に、コンビニ向かって走り始める。が、走ったら走ったで変に身体があったまって逆に暑くなった。調整難しい。

 

コンビニで温かいミルク(吉◯吉◯風)を買って、それをちびちび飲みながら事務所に戻る。少し程度の暗さだった空は、いつの間にか真っ暗に近い色になっていた。

街の街灯と飲食店やビルの明かりがライト代わりになり、周りには既に仕事を終えたであろうサラリーマンや、部活終わりの学生が集まっていた。

 

天「•••さっさと戻ろ」

 

この中で一人にいるのがなんだか心細くなった。学園ライブのヤツで少し精神的に参っているのかもしれないな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

事務所に到着し、俺は流れるように仕事部屋に入った。いつものように仕事を片付けようとパソコンを起動する。

 

天「•••というか、みんなレッスンそろそろ終わる時間だよな••••••マジで学園で時間使いすぎた••••••」

 

まぁ今はそこまで忙しいわけでもないのでいいのだが。いや前言撤回、学園ライブの準備でクソ忙しくなる。普通にダルい。

電気を点けると、外の景色がよく見えた。薄暗い中で一部の地面だけが明るくて、そこにいる人間の身体がよく見えた。

 

天「っと、さっさと終わらせないとな」

 

椅子に座って、キーボードを叩き始めたがーー、

コンコン•••。

控えめなノックと共に、始めたばかりの作業が途切れた。

 

天「どうぞ」

 

いつもの声量で許可を出すと、扉が静かに開いた。入ってきたのは、予想通り咲姫だった。

 

咲姫「まだ終わらない?」

 

天「今始めたばっかり。でもそこまでないからすぐ終わる」

 

液晶画面に視線を移す。横からガラガラと椅子を運ぶ音が聞こえ、咲姫が隣に座った。

 

咲姫「学園ライブはいつする予定•••?」

 

天「一週間後になってる。セトリとかはみんなに任せるから、頼むわ」

 

咲姫「うんっ」

 

少しばかりの威勢の良さを感じた。俺は小さく頷き、キーボードを打つ速度を上げる。

 

咲姫「最近パソコンばかりだけど、手書きは大丈夫•••?」

 

天「手書きの方はもう終わってる。授業の合間合間にこっそりな」

 

咲姫「また怒られても知らないよ•••?」

 

バレなきゃ犯罪じゃないんですよ(キリッ)。授業つまらんしこれくらいええやろ(適当)。

 

天「今日は学校でしなかったら多分九時ぐらいまでかかってるぞ」

 

時計は十九時半を示しており、残りのパソコンでの作業はこのまま行けば二十時前には終わる。

 

天「っと•••後少し」

 

咲姫「頑張って•••」

 

俺の肩に頭を置いて、画面を眺めながら咲姫がエールを送る。応援する気あんのお前?

 

カタカタといった無機質な音だけが響き、俺たちの会話はゼロに等しかった。作業を終えて、それを保存してパソコンの電源を閉じる。

 

天「うし、終わった」

 

咲姫「お疲れ様」

 

さーっとパソコンを鞄にしまって、ジッパーを閉じる。そこにそっと、咲姫の手が重なる。

 

天「•••?どうした?」

 

振り向くと、彼女の頬はわずかばかりに火照っていた。

 

咲姫「最近、キス•••してない••」

 

天「•••それ、今言わなくてもいいだろ•••」

 

少し引き気味に言葉を漏らしていたら、いつの間にか咲姫の手は俺の頬にまで移動していた。

ため息を吐いて、咲姫を抱き寄せる。

 

天「全く•••少しは我慢しろよな」

 

咲姫「ごめんなさい•••でも、天くんが大好きだから••••••」

 

天「わかってるから、そんな事言うな。恥ずかしい」

 

咲姫「•••ふふっ」

 

咲姫から顔を逸らすと、彼女はくすりと笑った。視線を戻して、後頭部に手を回して唇を重ねた。

 

咲姫「んっ•••ちゅ、ちゅっ••••••」

 

咲姫は俺の制服の胸元を引っ張って、必死にこちらに引き寄せようとしていた。そんな事をしなくても抱き締めているので、身体は完全にくっついていた。

 

咲姫「はっ•••。好き•••大好き••••••」

 

天「俺も好きだぞ•••」

 

恐らく事務所内には何人も人がいるだろうが、俺たちはお構いなしに抱きしめあって、無常にも時間が過ぎて行った。




それじゃあ私は筋トレの方に•••夕食が肉だらけなので徹底的に追い込みます!
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