休日明けの絶望感と言うのは、思ったよりも恐ろしいらしく、尋常とは思えない気怠さが俺を襲っていた。
布団からはなんとか出られたが、眠いしダルい所為でずっとボーッとしている時間が続いていた。
月「•••早くご飯食べてほしいんだけど」
天「悪い、なんかあまりにも眠すぎる••••••」
テーブル前の椅子にはしっかり座っているのだが、ずっと頭をカクンカクン、と揺らしていて今にも寝落ちしてしまいそうだった。
月「はぁー•••どうしてここまでになってるんだか••••••」
天「わからん•••」
月「とりあえず早くご飯食べて準備して。学校遅刻しちゃうよ?」
天「ん••••••」
力なく身体を動かして食事を始める。咀嚼すらもいつもの早さはなく、えらくゆっくりだ。
月「おっそーい!早く食べて!」
天「だからって無理矢理突っ込むnおぼぼぼ!!」
我慢の限界に達した月が、強引に俺の口の中に今日の朝食を全部一気に詰め込んだ。
これの所為で、眠気が少し飛んだ。
月「はい終わり!さっさと準備する!」
天「へーい•••」
今日の月は、えらく厳しかった。たまにはこういう日もあるだろうと、俺は割り切ってすぐに着替えた。
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冬の寒さをも凌駕する睡眠欲は、歩いていても解消されるわけではなかった。
何度も何度も欠伸を繰り返しながら歩いているのもあって、周りから見れば寝不足のアホな学生だ。
天「あーヤバい、眠い•••」
乙和「珍しいねー。天くんと登校中に会うなんて」
天「•••乙和さんですか」
後ろから声を掛けて来たのは、乙和さんだった。こんな寒い中でもいつもの元気っぷりは健在だ。
乙和「一緒に学校行こう?」
天「いいですよ。ふわああぁぁ•••」
乙和「眠そうだね。もしかして夜遅くまで起きてたの?」
天「いえ、普通に寝たハズなんですけどやたら眠くて•••」
乙和「もしかしてまだ疲れが溜まってるんじゃないかな?あまり無理はしないようにね?」
じっ、と俺の顔を覗き込む乙和さん。眠すぎて半目になってる今の俺は、彼女の顔がぼやけてよくわからなかった。
天「本当に危ない時はどうにかしますよ。変に心配かけてすみません」
乙和「本当かな•••?天くんだとそこら辺は全く信用できないんだよね••••••」
天「えぇ•••」
あれ?俺ってそんなに無理してる•••?最近は全くそんな事ないはずなんだが••••••。
乙和「私知ってるよ?ダンスレッスンの確認をする為だけに家でも仕事をしてるってこと」
天「••••••知ってたんですね」
敵わないな、という風に笑ってみせる。が、乙和さんは笑うどころか心配そうだった。
乙和「今だって眠いのも疲れが溜まってるからだと思うよ?だからーー」
天「わかってますよ」
ぽんっ、と乙和さんの背中を軽く叩く。拍子抜けした顔をみせる彼女は、何度か瞬きを繰り返す。
天「今だけ、今だけですよ。こんな無理するのも。クリスマスライブが成功した時に、キッチリ休みますから。その日まで止めないでください」
乙和「••••••うん、わかった!それじゃあ天くんの為にもダンスと歌、頑張っちゃうぞー!」
天「乙和さんは特に課題が多いですからね、多めにこなしていきましょう」
乙和「せっかくやる気が上がったのに水を差さないでよー!」
天「アハハ、すみません」
頬を膨らませて可愛らしく怒る乙和さんを見てると、なんだか疲れているのがバカらしくなった。
だから、彼女の目の前で盛大に笑ってやるのだ。
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授業は基本つまらないので、寝るか仕事をするかのどっちかになっていた。
まだ隠れてスマホをイジイジしている奴よりはよっぽどマシだと思うが、褒められた行動ではないのは確かだ。
天「••••••ま、意外と早く終わりそうだな」
ボソッと小さく呟いて、今日の分の仕事を片付けていく。
あまり音を出さないように慎重にキーボードを打つのが、これ程もどかしいとは夢にも思わなかっただろう。
また別の授業では永遠と睡眠を貪っていた。授業を聞いているフリをして、パソコンに隠れてもうメチャクチャに寝まくっている。
焼野原「(•••なんか今日の神山、かなり、というよりすっごい自由だな••••••)
学校の勉強なんてやってられるかって話だ。少なくともこの時期だけはガン無視させていただくつもりである。
天「••••••すぅー」
小さな寝息が、教室中に静かに響いた。誰も気づく事はなかったが、後ろの席にいた焼野原くんにだけはバッチリ聞かれた。泣く。
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昼休みになると、咲姫はすぐにこちらへ向かって歩いてくる。
咲姫「お昼ご飯••••••」
天「あぁ、わかった」
よいしょ、という声と共に立ち上がる。ずっと寝てた所為で腰が少し痛い。トントン、と腰を叩きながら身体を逸らす。
見事にボキボキッ、と身体から音が鳴った。
咲姫「おじいさん••••••?」
天「そんなに鈍ってねぇよ」
微笑みながら咲姫を連れて移動する。行き先はいつもの学食ではなく、中庭の方だった。
久しぶりに二人きりで話がしたかったから、ここへ連れて来たのだ。
天「さて、と•••まぁ色々話しておきたい事が山積みなわけなんだが」
咲姫「••••••?」
咲姫は首を傾げる。俺は小さく息を吐き、口を開いた。
天「昨日も言った通り、今のPhoton Maidenは課題が多いって話はしたよな?その件で少し咲姫にも色々伝えておきたかったんだ」
咲姫に表情が固くなる。俺は苦笑してリラックスするように言い聞かせた。
天「まぁまずは•••ダンスの技術はしっかり上がってる。咲姫はDJをしながらだから他のみんなよりは大変だと思うが、できてるところはしっかりとできている。後は細かい所を直していけばライブも必ず成功できるぞ」
咲姫「•••あれ••••••?褒められてる••••••?」
天「褒めてるが•••?」
そういや注意が多めで褒めるのはあまりなかったなそういや。俺自身が忘れていたわ。
天「久々に褒められた気分はどうだ?」
咲姫「嬉しいけど•••照れる••••••」
頬を赤く染めながらモジモジとし始める咲姫。俺はその姿を微笑ましく眺める。
天「確かに俺はいつも悪い部分しか注意しないけどさ、裏を返せばその悪い所以外はできてるって事だ。課題が少ない人程ちゃんとできてるんだよ」
まぁ乙和さんは少し話が別になってしまうところがあるが、別に今咲姫の前で話す事でもないだろう。
天「よく頑張ってるよ、咲姫は。だから自信を持って練習に取り組んでくれ」
咲姫「うん•••ありがとう、天くん」
頭を優しく撫でてやると、彼女は目を閉じて、俺の肩に体重を預けた。
天「って、早く飯食わねぇと昼休み終わるわ」
咲姫「•••ッ!そ、そうだった••••••!」
お互いにハッ、となって、急いで弁当をかき込み始める。実際はそこまで時間が押しているわけではないが、食い終わった後に咲姫とまた話をしたかったので、急いで食べた。
天「いやまぁ、流石に早すぎたな」
俺が一足先に食べ終えてしまって、今は咲姫が食べている様子を眺めている。
咲姫「あ、あまり見られると恥ずかしい••••••」
天「逆にお前はよく俺が食ってる所を見てるだろ?お返しだ」
俺も俺でキッチリ恥かかされてるんだ。これくらいの仕返し、許されてもいいだろう。
天「とりあえず、今日も頑張れよ?応援してるからな?」
咲姫「•••うん!頑張る••••••!」
咲姫から返ってきた声は、とても強気で、やる気に満ち溢れていた。
それではご飯食べて人狼してきまーす。モンハン?後じゃ後