天「あー•••そういや今日木曜か」
毎日が忙しくて、もう曜日感覚がおかしくなっているらしい。
天「終業式いつだっけ?」
椅子に体重を預けて、ダラーっと脱力する。頭を後ろ向きに回して、後ろの席の焼野原くんに顔を向ける。
焼野原「おぉ•••急にそれをするな怖いわ。確か来週の月曜だったはずだけど」
天「もうそんな時期か•••早いな。まぁでも学校行かんでいいって考えると楽だな」
ケラケラと軽く笑う。焼野原くんもそれは同じようで、俺と似たような笑みを浮かべていた。
焼野原「まぁでもお前は冬休みなんてあってないようなもんだろ?どうせ仕事漬けなんじゃないか?」
天「否定できないのが辛過ぎる。まぁ実際仕事の上に漬物石置かれてるわけだけど」
焼野原「表現が謎過ぎんだろw」
天「それなwクソつまんねぇwww」
なんか初めて男子高校生なノリができた気がする。正しいのかどうかはさて置きだが。
天「つっても、高校一年もうちょいで終わりかぁ。はえぇなぁ」
焼野原「そうだなー、あっという間だった••••••」
俺と焼野原くんはしみじみと感じながら、ほぅ、と息を吐く。
変にしみったれたが、まだ後二年高校生活があるのだ。どうもこうも言ってられない。
天「ま、来年からは受験も視野に入れないとなー」
焼野原「え?受験の事考えるのなんて三年生になってからだろ?」
天「遅い遅い」
俺は人差し指を振って、焼野原くんを挑発する。あまり意味が分かってなかった彼は、首を傾げるだけだった。
天「三年生になってから急いで考えるよりも、二年生の間に志望をいち早く決めて受験に備えるんだよ。焦らずに確実にだ」
焼野原「ははっ、神山らしいな。相変わらずの安全思考で安心したわ」
天「物事は確実に片付けないとな。それに、失敗するよりはマシだろ?」
焼野原「それもそうだな」
納得したように焼野原くんが笑った。野郎と何気ない会話をするのも楽しくて、俺は心が少しウキウキしていた。
天「(俺自身も少しずつだが変わってるんだよな••••••)」
昔は人との繋がりなんて一切どうでもいい、なんて考えてたけど今は違う。こうやって繋がっていけばいくほど、人として成長できる。変わっていくことができる。
最も、それを教えてくれたのはPhoton Maidenのみんなだけどな。
焼野原「••••••やけに嬉しそうだな?」
天「ん?あぁ•••今の環境に感謝してたんだよ」
焼野原「ふーん?」
天「自分から訊いてきた癖に白けた反応すんなよ」
無表情で応えた焼野原くんに対して、俺は苦笑混じりで悪態をついた。
と、そこに教室の外から声が漏れてきた。
りんく「天くーん、いるー?」
天「•••りんく?」
焼野原「お呼ばれか?行ってきなよ」
天「へーいへいへい」
焼野原「時には起こせよムーブメント♪」
天「死ね」
焼野原「辛辣!!」
ノッてきてくれたところ悪いが、そういう気分ではなかったのでキツい一言だけを投げつけた。
泣きそうな顔で俺を見送った焼野原くんは、すぐに別の男子に絡み始めていた。
廊下に出た俺は、りんくと顔を合わせる。
天「んで、なんか用?」
りんく「実はねー、ハピアラでクリスマスライブやるから来て欲しいなーってお願いしに来たのー!」
天「•••••••••ぶふっ•••!」
つい、噴き出してしまう。え?こいつPhoton Maidenがクリスマスライブやる事知らないわけじゃないよな?
りんく「もー!何で笑うの!?」
天「いや、悪い悪い。せっかくのお誘いだが生憎ウチも同じ予定でな、りんくの方に顔を出すことはできないんだ」
りんく「あっ、そっか。天くんもライブ会場の方に行かないといけないんだ!」
ハッ、とした様子でりんくは恥をかいたように頬を赤く染めた。それが何だか面白くて、更に笑ってしまう。
天「ちょっとした保護者みたいなもんだからな」
りんく「あの中だと天くんの方が歳下なのに?」
天「屁理屈言ってんじゃねぇよ」
減らず口の両頬を指で摘んで引っ張ってやる。びよーん、と餅のように柔らかく伸びた。
むに「ちょっとアンタたち何やってるのよ••••••」
りんく「ほはふんひひっははへへふー」
天「何て言ってるかわかんねぇ••••••」
このままじゃ会話が成立しないような気がしてきたので、指を離す。
意外と触り心地良かったんだよな•••。
天「むには何でこっちに?」
むに「アンタとりんくが一緒にいたから気になって来ただけーーちょっと!にょちお持っていかないでよ!」
天「いいだろ可愛いんだから」
ちょうどいいところにむにの頭に乗っていた、猫型音楽プレーヤーことにょちおを抱き上げる。これがむにの自作だって言うんだから驚きだ。
天「こうして見てると、猫とか犬とか飼いたくなるんだよなぁ」
りんく「飼わないの?」
天「あぁ。俺も父さんも母さんも仕事で忙しいから、世話は月に任せっきりになってしまうしな。それにあいつも高校に入ったら忙しくなるだろうし、ペットなんて飼ってる暇はないんだ」
にょちおを撫でながら、俺は力なく笑う。だからこうやってにょちおをペットーー家族代わりにしているのかもしれない。
たまにご近所さんの犬や猫と戯れたりもするが、やっぱり家にちゃんといる方がいい。
天「にしても本当にこいつは可愛いな」
とても愛くるしいデザインをしていて、いつまでも見ていたい可愛さだ。マジでこのままお持ち帰りしたい。
むに「もう終わり!」
天「残念」
無理矢理むにに奪われて、俺は肩をすくめる。にょちおを大事そうに抱えているむにも、それはそれで可愛い。
りんく「あっ!そうだ!今度の休日、天くんのお家に行ってもいい!?」
天「唐突だな•••俺は構わんぞ」
りんく「じゃあハピアラのみんなで!」
天「ん、わかった」
むに「わ、私も!?」
むにが自分自身に指を刺しながら驚いたような顔になる。俺とりんくはお互いに顔を合わせてから、むにに対して頷く。
天「むにも来いよ。妹が大量にゲーム持ってるから、遊んでやってくれ」
むに「しょ、しょうがないわね!どうしてもって言うなら行ってあげるわ!」
天「決まりだな。じゃあ頼むわ」
ヒラヒラと手を振って、俺は教室の中に戻っていく。そこで、別の男子生徒と談笑していた焼野原くんがこちらに気づいた。
焼野原「終わったか。なんかあったん?」
天「休日うちに来るらしい」
男子生徒A「どうして神山ばっかり••••••!」
男子生徒B「許さん、許さん•••!呪い殺してやる••••••!」
天「いつにもなく荒れてんなぁ」
九割が俺の所為だが能天気に言葉を垂らすだけにしておいた。これくらいおちゃらけておけばキレるのもバカらしくなるだろう。
咲姫「りんくさんたち、天くんの家に来るの••••••?」
天「ん?そうだけど?」
咲姫「•••私も行く••••••」
天「あぁ、わかった」
横から入ってきた咲姫も、小さな声で参加を宣言した。今更一人増えようが変わらないので、俺は頷く。
男子生徒A「神山の家って•••美少女が集まるパワースポットなのかな••••••」
男子生徒B「俺も神山の家に行ったら美少女と一緒に過ごせるのかな••••••」
焼野原「切実だなお前ら••••••」
血涙を流す男子生徒二人に、焼野原くんが呆れながら宥めていた。面倒な友達持ったな•••。
天「というかハピアラのメンツで来るってことは麗もいるのか••••••。現役お嬢様に家見られるのあんまり好きじゃないんだよな」
リリリリの奴らというか前例があるとは言え、やはり憚れるものが少なからずあるのだ。頭をポリポリと掻きながら唸る俺に、咲姫が手を握った。
咲姫「堂々としてた方が天くんらしい」
天「え?あっ•••わかってるよ」
コツン、と頭を軽くぶつけて、ニッ、と軽く笑う。咲姫も微笑むような表情で俺を見上げた。
天「まぁでも、とりあえず••••••」
目の前で泣いてる男子二人•••止めるか。床もあいつらの血の涙で汚れてるしいい迷惑だわ。
適当にモンハンしながら執筆もちょいちょい進ますcar。まぁほとんど終わってるんだけどね