今の時刻は午前5時。俺がこんな時間に起きてるなんて珍しいだろ?俺もそう思う。そもそもなんでこんな事になったかというと、先日、寝る前にスマホ見てたら新島さんからラ◯ンが来て『明日の早朝ランニング、一緒にやらない?』とお誘いを受けたからだ。ぶっちゃけ断りたかったけど、最近身体鈍ってるだろうからたまにはいいだろうと軽い気持ちで承諾した。
んでその結果。日も出てない暗い中さっむい風浴びながら新島さんと走ってるわけだ。走ってるのに寒いってヤバくね?身体全然温まらん。
衣舞紀「まだまだ余裕そうだね。距離伸ばす?」
天「新島さんに合わせますのでいくらでもどうぞ」
衣舞紀「オッケー。じゃあ後5km追加!」
ちなみに既に10kmは走っている。父さんに鍛えに鍛えられてたおかげで余裕だが、涼しい顔してこの距離を走っている新島さんは素直にすごい。
天「ところで、どうしてランニングのお誘いを?」
衣舞紀「一緒に走る仲間が欲しかったのと、天が最近運動してないなーってぼやいてたからかな」
あ、仕事中につい零した呟きを聞かれていたのか。参ったな。このまま行ったら俺のあられもない秘密まで知られそうだ。んなもんないけど()
衣舞紀「何かスポーツ経験とかはあったりする?」
天「特にはないですけど•••父が軍人ですので、近接格闘や軍隊式のトレーニングとかを大体十年間してきましたね」
衣舞紀「だからそんなに身体引き締まってるんだね•••」
新島さんが納得、といった顔を見せた。俺の身体はほとんど無駄な肉がついておらず、筋肉が顕著に露わになっている。それでも細身なので、服着ていれば普通に女扱いされる。悲しいなぁ•••。
衣舞紀「お父さんの後を追って軍人になろうとは思わなかったの?」
天「思いませんでしたね。軍人になってお国の為に働くよりも、マネージャーとして目の前で担当を支える方が、俺の趣味に合ってました」
衣舞紀「へぇー人の為に働くのが好き、かぁ。そういうところは好感持てるなぁ」
天「どうしてですか?」
俺は首を傾げた。新島さんは変わらぬ微笑んだ表情を保ったまま口を開いた。
衣舞紀「やっぱり仕事って、少なからず自分の為ってなるでしょ?私なんて、ほぼ自分の為に踊ったり歌ったりしてるわけだし。それに比べて天は私たちの為にずっと動いてて、すごいなーって思ったの」
天「どこのマネージャーもそんなもんと思いますけどねぇ」
衣舞紀「ううん、やっぱり少なからず担当してる子とかに手を出す人はいるから、そういう人は自分の為に動いてるって人だから•••」
あぁ、そうか。今までそういった事案に遭遇しなかっただけで、別のところでは当たり前のようにあることだ。最近のニュースでも芸能人関係のあれこれなんて毎日のように報道される。もし、Photon Maidenの良くないニュースが流れたら•••そんな想像をするだけで何もかも投げ捨ててしまいそうになる。
天「••••••そうですね。あ、それと、何か嫌な事があったらちゃんと俺に言ってくださいね?弱音とか聞いてあげるのもマネージャーとしての仕事ですから」
衣舞紀「うん、ありがとう。でも、弱音といったら•••天の方が、たくさんあるんじゃない?」
ギクッ、と俺の心が悪い跳ね方をした、走っていて速くなっていた鼓動が更に加速し、胸を痛めつける。
衣舞紀「天も何かあったら私たちに相談してね?天、いつも一人で抱え込んでそうだし」
はいもう全くおっしゃる通りで••••••。本当なら、今すぐにでも乙和さんに告白された事とか、その返事を迷ってる、乙和さんを傷つけないかとか、弱音なんていくらでもある。でも乙和さんの件はPhoton Maidenには話せない。あの中で乙和さんの立ち位置が変わる可能性があるからだ。
天「大丈夫ですよ」
だから俺は誤魔化した。何も明かさずに俺の心の中にしまい込んでおこうと決意した。
天「本当に何かあったら、相談しますよ。ありがとうございます、新島さん」
衣舞紀「•••••••••いい加減さ、その、新島さんってやめない?なんだか他人行儀だし」
天「はぁ•••じゃあ、衣舞紀さん」
これでPhoton Maidenのメンバー全員を名前呼びすることになる。なんか、本格的に仲間として認識されてるような、そんなちょっと温かい嬉しい感情が湧いてくる。だがこれは仕事だ。俺はこの人たちをどんどん次のステージへ連れていかなければならない。その為には手段は選ばない。やれるだけの事をやる。
衣舞紀「ふぅ••••••そろそろ、折り返そっか」
天「そうですね」
衣舞紀「実は走り足りないんじゃないの?余裕どころか普段の呼吸と全く変わりないし」
天「先程も言いましたが、俺は新島さ•••衣舞紀さんに合わせるつもりでしたので」
衣舞紀「お?今苗字で言いかけたなー?このこのー」
衣舞紀さんは冗談混じりに俺の脇腹をつつく。が、そこまで大きな波が来なかった。
天「•••あれ?」
衣舞紀「?いつもみたいにならないわね•••」
まさか•••。
天「昨日の乙和さんのアレで、耐性ができたのかもしれません•••」
アレとはもちろん事務所内で凸られた事の話だ。これは•••どんどん耐性をつけていけば『カスが効かねんだよ(無敵)』状態になれるのでは!?
衣舞紀「これは、触りまくっても大丈夫なのでは•••♪」
天「なんか親父臭いですよ衣舞紀さん•••」
俺は後ずさる。それに合わせてにじり寄る衣舞紀さん。完全に構図が出来上がってしまった。
衣舞紀「更に耐性をつける為に、大人しくしろおぉ!」
天「うわああああぁぁぁぁ!!!?」
突如追いかけてきた衣舞紀さん。俺は絶叫しながら全力で走って逃げた。マッジで•••怖ぇ•••(戦慄)。その後は、逃げ切った、というよりも衣舞紀さんが追いかけるのをやめたので、大人しくランニングに戻った。久しぶりにいい汗かいてスッキリしたぜ(爽やかスマイル)。
今のうちに書き貯めしておかないとなぁ•••ちなみに今咲姫√を書いています(唐突のネタバレ)