六月も終わりを迎え始め、晴れる日も徐々に増えていた。
今日も快晴。これまでの雨が嘘と言えるほどに雲が確認できずにいる。
が、ここで一つ問題が発生する。そうーー
天「期末テストあったなーそういえばなー」
夏休み前の大事な考査だ。特に今年は受験組がウチに三人もいるので更に重要度が跳ね上がる。
そして例年通りと言うべきなのか我が神山家で勉強会が行われる事となる。今回は受験組の月も参加していて、より一層賑わいが増していた。
天「まぁ月に関してはノアさんに任せておけば問題ないよな」
元から勉強ができる月に成績優秀のノアさんが教えているんだ。死角などない。ただノアさんの目が怖いのは少しアレなのだが。
乙和「全然わかんないよー!」
とりあえず一番の問題であるこの人をどうにかしないといけない。とは言っても、俺は三年生の内容がわかるわけではないので一切手出しはできないのだが。
衣舞紀「ここはこうだよ。ちゃんとわかってる?」
乙和「うぅ•••覚えてもすぐに忘れちゃうよ〜••••••」
重症だなこれは•••。衣舞紀さんに気にかけてもらってはいるが、本当に乙和さん大学受かるのか心配になってきた。
なんだかんだ朝から集まってこの昼の時間までずっとしているが、流石に腹が減ってきたな。
チラリと咲姫に目を向けると、彼女は俺の視線にも気づかずに真面目に問題を解いていた。感心感心。
天「んしょっと•••」
月「トイレ?」
天「いや、腹減ったからみんなの分の飯作ろうと思ってな」
さも当たり前のように言葉を投げかけると、妹は目をまんまるにして驚いた。
月「え?いいよいいよ私が作るって」
天「お前は勉強しろ。受験生なんだから大人しく本番に備えなさい」
月「はーい••••••」
咲姫「私も手伝う」
天「ん、頼む」
非受験組の俺と咲姫で昼食を作る事に。まぁ何作るのか決めてないんだけども()
とりあえずはすぐに食べられてすぐ作れるものにしたいのだが••••••。
天「カップラーメン••••••?」
衣舞紀「身体にあまりよくないよ••••••」
デスヨネー。衣舞紀さんにいとも容易く流されてしまう。んじゃどうするよマジで。俺の作れるものにも限りがあるのがまた厄介だ。
咲姫「いつも通り天くんの得意料理でいいと思う」
天「•••••••••」
咲姫からの言葉に俺は無言になる。うん、メッチャ簡単な事だったわ。変に考える方がバカバカしいってはっきりわかんだね。
ピンポーン!
突然のインターホン。俺は小走りで玄関に向かって行く。
?「毎度ー、寿司屋でーす」
天「??????」
寿司なんか頼んだ覚えないんだけど?え待ってメチャクチャ怖いんだけど。実はヤクザでしたーってオチは笑えないんだけどマジで。
•••いや、こっちから仕掛けて崩そうそうしよう(即決)。
玄関を開けると、白い服に身を包んだ若い兄ちゃんが出てきた。
あっ(察し)。これ絶対住所間違えたな。
天「あーご苦労さんどうぞ入って入って」
とりあえず丁寧に中に入れてあげる。これでいかにも出前とった客ですよー、とアピールしておく。
天「ありがとうー。あれ?新人さん?」
そしてここでさりげなく話題を突っ込む。相手が答えやすい内容の質問をして更に客である信憑性に拍車を掛けさせるのだ。
寿司屋「はい、まだ見習いなんです」
しかもキッチリ答えてるよ。完全に客と勘違いしてるわ俺のこと()。
天「あっそうなんだ早いね〜(?)。いくつ?」
寿司屋「十八っす」
歳上じゃねぇか!!いや見た目から俺より歳上だろうなぁとは思ってたけど!!
天「あ、十八。頑張ってねー」
とりあえず乗っかっておいて、財布から野口を数枚出して渡す。
寿司屋「ちょうどいただきます!」
なんで金額ドンピシャで合ってんだよ謎すぎんだろ。
渡された寿司を受け取る。
寿司屋「ありがとうございまーす!」
メッチャいい声で挨拶するじゃん君。
さーてここからどう説明しようかなーって、ん?
天「あれ?」
寿司屋「お?どうしました?」
なんかやたらと違和感がすごいと言うか、何かが足りないと言うか••••••。なんか一部だけあからさまに空いてんだよな。丁度寿司が一つ入りそうな空洞が••••••。
そして寿司の中に入っているテンプレでこの中にないものはもう一つしかない。
天「いなりが入ってないやん!どうしてくれんのよこれ!」
寿司屋「•••いえ、すいません」
何か訳ありなのか、寿司屋の兄ちゃんは少し縮こまった声で謝っていた。
天「え?注文通ってないの?あんたんとこの店」
寿司屋「いえ、そげなことは、ないっすけど••••••」
天「だからないじゃんいなりが」
寿司屋「たiーー」
天「いなりが食べたかったから注文したの!」
食い気味に追い討ちを仕掛けてやる。というかいつの間にか説明からただのイジメになってるんだけど大丈夫?これ。
天「なんでないの?」
まぁ、それでも続けるんですけどねwwwなんか楽しいわwwwやめらんねぇwww。
寿司屋「その、僕がさっき、食べちゃいました」
天「食べた!?」
え••••••キミ客に渡す寿司勝手に食ったの?いやそれはマズイでしょ。というか十八歳のいい大人がそんな事するって日本社会大丈夫かこれ?(過剰批判)。
いなり男「すいません」
天「え、い、いなりを食べたの?この中の中で?」
完全に脳が困惑していて言葉遣いがかなりおかしくなってしまう。あまりにも目の前の兄ちゃんが行った行為が信じられないからだ。
天「はぁ••••••親方に電話させてもらうね」
携帯を取り出して電話を掛けるフリをしようとするが、すぐにいなり男が俺の腕を掴んできた。
いなり男「いや、それだけは•••!やめてください」
天「いなりを食べたんだから電話させてもらうから(キレ気味)」
いなり男「いや、親方だけは」
天「なんで?(威圧)」
いなり男「クビになっちゃうんで」
そりゃそうだ。むしろそれでクビにならない方がおかしいっちゅう話やねん。
天「関係ないよこんなんクビになったらいいやんいなり食べたんだったら」
というかなんで俺はこの男と取っ組み合いになってんだよ謎過ぎんだろマジで。
いなり男「いやそれだけはほんと、勘弁してください」
天「いやもうね、もうね、もう許せへんし。もういいからもう!(ガチギレ)」
いなり男手を振り払ってまた携帯の操作(大嘘)を再開しようとしたが、いなり男がなんと土下座をしたのだ。俺の目の前で。というか初めて見たんだけど、土下座。
いなり男「すいません」
声に覇気が全くねぇ•••本当に反省してんのかこいつは••••••。
天「そんな土下座されたってさぁー••••••」
流石に対応に困ってしまう。とりあえずはこの男の顔を上げさせないと。
いなり男「すいません」
天「顔上げて」
まぁ回りくどいことなんてせずに直球で言うんですけどね〜(ダミ声)。
天「いなり作ったことあんの?」
そして自分自身でも何言ってるのかよくわからん謎発言をしてしまう。もういなり関係ないだろ。馬鹿じゃねぇ?
いなり男「いや、僕はまだないです」
天「ないのにつまみ食いしたの?」
何かいなり作れるならつまみ食いしてもいいみたいに聞こえるんだけど気の所為?気の所為だよな?な?
いなり男「はい」
そしてキッチリ認めるんだねキミ。まぁ状況が状況だからしゃーないんだろうけど。
天「はぁーあーもうこんな、若い子に言い聞かされたら•••わかったほんならー」
いなり男「はい」
天「お題をタダにしてくれたら、今回の事は親方には内緒にしてあげる(クズ)」
いなり男「えっ、そんな事でいいんですか•••?」
天「うん、ちゃんとお金返してくれる?」
いなり男「はい」
そして、ポケットにしまった数千円を受け取る。オイオイオイ、タダで寿司ゲットしてしまったぞ。
天「わかった、いいわ。今回は許したる(寛容)。はよ帰り」
いなり男「はいっ。あざっした」
そしてそのままいなり寿司つまみ食い男は帰って行った。
••••••••••••••••••。
天「マジかよ」
昼飯作る必要なくなったよ。やったねたえtyaゲフンゲフン。
リビングに戻ると、みんな待ちくたびれた様子で俺に目を向けた。
咲姫「誰がきたの?」
天「寿司屋の出前の兄ちゃん」
月「え?お兄ちゃんいつの間にお寿司取ってたの?」
天「んー?内緒。まぁいいだろ。昼飯は寿司に決まったわけだしな」
ノア「••••••天くん」
天「はい、どうしました?」
ノア「変なことは、してないよね?」
天「え?なんです??」
圧をかけながら再度問いかける。諦めたのか、ノアさんはこれ以上は訊かなかった。おう、それでええんや。
ちなみにみんなで寿司を食った後に即勉強は再開。乙和さんが泣くのは最早恒例行事と化していた。
かくいう俺はいなり男に少し悪いことをしたな、とほんのちょっとだけ反省した。だが後悔はしていない。
ではまたー。次の投稿?いつかわかんないなー。とりあえず12、13はスイパラや名古屋遠征するんで何処かで会おう(会えない)。