敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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またまた多少ながら期間が空いてしまい申し訳ない!!今回は前回と違って一ヶ月も間を開ける事なく投稿できました。何とか時間絞り出して書いたおかげですな。


密着取材後編

月「おかえりー•••って今日は珍しく勢揃いだね」

 

玄関のドアを開けると、すぐに月が出迎えにやってきてくれた。

しかしその瞬間に笑顔が一気に増した。何せPhoton Maidenの全員が集まっているのだから。久しく全員が一緒になる事がなかったので、彼女にとってはかなり嬉しいのだろう。

 

天「飯買ってきたぞ」

 

月「特に何も言ってなかったけど何買ってきたの?」

 

天「肉」

 

月「え?」

 

天「肉」

 

月「•••••••••それだけ?」

 

天「うん」

 

月「••••••••••••••••••」

 

めっきり月は黙り込んでしまい、目を見開いたまま俺の顔をじーっと見ていた。

 

天「俺の顔になんかついてるか?」

 

月「ついてないけどさぁ•••せめて野菜くらいは買ってこようよ。栄養偏っちゃうじゃん」

 

天「夜食えば良いじゃん」

 

月「そういう問題じゃないんだけど!?」

 

真顔で発した俺の言葉に対して、月は叫ぶようにツッコミを投げつけてきた。

耳を塞ぎながら妹に目を向けると、大きくため息を吐いて俺の手から袋を乱雑に取り上げた。

 

月「何作れば良いの?」

 

乙和「フラスコ!」

 

ノア「シュラスコ。言えないなら言わなくていいのに」

 

天「乙和さんはおしゃべりクソ女だから無理ですよ」

 

乙和「酷い!今までで一番シンプルで一番酷い罵倒をされた!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

リビングにドカドカと上がり込んでいく。俺はソファに座り込んでテレビを眺めていた。

休日の昼下がりはバラエティーもなんだかんだ流れていたので適当にソレを点けている。

隣には咲姫が座っていて、俺の肩に頭を置いている。放っておいたら寝てしまいそうだが起こせばいいしそっとしておいた。

 

天「最近芸能人の不倫とか増えてんな。大丈夫か芸能界」

 

ノア「私たちも一応芸能人の仲間なんだし、気をつけないとね。問題起こすって面では乙和が一番危ないけど」

 

乙和「私はそんなことしないもん!それに現状だったら天くんと咲姫ちゃんの方が危ないと思うよ?」

 

天「•••••••••」

 

咲姫「•••••••••」

 

核心を突かれて、俺と咲姫は黙り込んでしまう。

まぁ、確かに付き合っている事を正式に発表しているわけでもなければ、周りに見せつけるつもりもない。

 

天「そもそも俺と咲姫はお互いの同意の上で交際してるんですから、不倫とは一切関係ないと思うんですが」

 

月「いやお兄ちゃんならやりかねない」

 

天「殺すぞクソガキ」

 

月「そろそろ暴言から離れろよガキが」

 

衣舞紀「どっちもどっちね••••••」

 

俺と月の睨み合いから発せられる暴言を前に、衣舞紀さんは苦笑しながら言葉を漏らしていた。

ちなみに昼飯を作っているのは月とノアさんと衣舞紀さんだ。

残りの俺ら三人は呑気にテレビを眺めている。

なんか知らん間に乙和さんが隣にいたけど。

 

咲姫「天くん、浮気したりしないよね?」

 

天「しねぇよ何当たり前のこと言ってんだ」

 

月「咲姫さん、騙されたらダメですよ。この人平気で裏切ってきますから」

 

天「これまでの人生で裏切ったのお前しかいないけど」

 

月「は?うせやろ?」

 

天「マジマジ」

 

月「私の事なんだと思ってんの?」

 

天「家政婦」

 

月「殴っていいかな?」

 

笑顔で包丁を握りしめる月が目の前にあった。これ以上煽ると包丁をぶん投げてきそうで怖いからやめておこう。

 

衣舞紀「私たちはさっきから何を見せられているの••••••?」

 

ノア「可愛い痴話喧嘩かな?」

 

当の俺らは喧嘩してるつもりは一切ないのだが、変に否定する気も起きなかったので、黙っておいた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

鉄製の串に貫通された肉たちが、テーブルに並ぶ。かなりの量を買ってきたのもあってほぼ全域を肉で覆っていた。見事に茶色だ。

 

全員「いただきます!」

 

六人の声が重なり、偏った昼食が始まる。皆一斉に肉目掛けて手を伸ばして、串ごと口の中へと運んでいく。

 

天「ん、美味いな」

 

月「でしょ?味付けとか結構拘ったんだから!」

 

乙和「おいしー!これ幾らでも食べれちゃいそう!」

 

衣舞紀「野菜•••本当にないのね••••••」

 

周りが歓喜に包まれる中、唯一衣舞紀さんだけは緑の存在が消えていたことに落胆を覚えていた。俺たちはそんな事お構いなしに、どんどん肉に手をつけていく。

 

天「•••食ってる姿まで撮るんですか」

 

ノア「当然!その為に家までついてきたんだから!」

 

呑気に肉を口に入れていた所をノアさんに撮影されてしまう。変な顔をしていないといいのだが。

 

天「咲姫、レバーもちゃんと食べなさい」

 

咲姫「••••••レバーは苦手」

 

天「ダメだ。ほら口開けろ」

 

レバーの刺さった串を手に取って、咲姫に近づける。彼女は少し嫌そうに首を横に振った。

 

天「好き嫌いはダメだぞ」

 

咲姫「•••食べない••••••」

 

天「強情だな•••」

 

はぁ、とため息を吐いて仕方なく俺がレバーを口にする。

咲姫は俺から視線を逸らして自分の肉を食べようとしたところでーー、

 

天「隙ありっ」

 

咲姫「んんっ!?」

 

予め串から抜いておいたレバーを口の中に入れ込んだ。突然の事で吐き出すこともできず、咲姫は大人しくレバーの食感に踏み込んだ。

 

咲姫「••••••意地悪」

 

天「逃げるからだ」

 

月「エゲツないねぇ•••もぐもぐ••••••」

 

ジト目で咲姫に睨まれている中、月は他人事のように口を動かしていた。

 

天「そういえばお前、受験勉強の方どうだ?」

 

月「うーん、普通?今のところ変に躓いてるわけでもないし」

 

天「ならよかった。まぁ月の成績だったら余裕で受かるだろうよ」

 

月「へーいへい、ありがたやありがたや。そういうお兄ちゃんこそ来年に向けて今から勉強してほしいものだよ。咲姫さんはちゃんと成績残してるらしいけど?」

 

天「•••••••••うっせぇな。仕事で忙しいんだよ」

 

月「仕事を言い訳にしない。ここにいるみんなが仕事してるようなものなんだから」

 

ぐうの音も出ない正論に、俺はだんまりを決め込んでしまう。

 

天「わかってるよ。普通車の免許も取らないといけないし、今のうちに勉強はしておく」

 

月「ん、それでこそ私のお兄ちゃんだよ。少なくとも、咲姫さんには釣り合う男になってよね」

 

咲姫「大丈夫。今でも天くんの事は大好きだから」

 

こちら側にくっつきながら、咲姫は微笑んでそう言葉を発する。

無性に恥ずかしくなって、俺は顔を逸らしてしまう。

 

月「あ、そういえば!写真撮ってるならみんなの集合写真とか撮りませんか?見たところお兄ちゃんメインっぽいし、お兄ちゃん真ん中で!」

 

衣舞紀「いいわね!みんなで撮りましょうか!」

 

ノア「ほら、天くんこっち!」

 

天「引っ張らないでくださいよ••••••」

 

無理矢理手を引かれて並ばせられる。屈むような体勢となり、俺は中心へと誘われた。

 

月「もっと寄ってくださいよー。写すの顔だけなんですから」

 

咲姫「こう?」

 

月「そんな感じでーす!」

 

くっつきそう、というよりほぼくっついているのだが、隣に咲姫の顔が迫ってきた。

 

乙和「私も隣もらうね〜!」

 

乙和さんもグイグイとやってきて密着し始めた。

せ、狭い•••窮屈だ••••••。

そして衣舞紀さんとノアさんは俺の斜め上辺りに頭を置いた。これくらいの距離感が一番ちょうどいいよ。

 

月「撮りますねー•••お兄ちゃんもっと笑ってよ」

 

天「別に笑う必要もないだろ」

 

咲姫「ダメ。せっかく一緒に写真を撮るんだから」

 

衣舞紀「そうよ。多分この写真、絶対に載るから笑っておいた方がいいわよ」

 

天「•••••••••へいへいわかりましたよ」

 

衣舞紀さんに言いくるめられて、俺は渋々承諾した。とは言ってもそんないきなり笑顔を作れと言われても無理な話なのだがな。

 

月「早よ笑えよ」

 

天「うるせぇ。急に笑えるかよ」

 

乙和「えいっ」

 

仏頂面で月に文句を吐いていたら、隣に控えていた乙和さんが突然俺に抱きついてきた。顔もさっきより密着する。

 

天「急にどうしたんですか」

 

乙和「どうせ写真撮るなら仲良しアピールもしておきたいなーと思って!」

 

咲姫「乙和さん、ズルい••••••」

 

そう言って咲姫もくっついてきた。あ、暑い•••。でもなんか柔らかい感触のおかげでなんとか我慢できている。

 

ノア「相変わらずね•••まぁでも、アピールをするっていう面は賛成かな」

 

衣舞紀「そうね、イメージアップにも繋がるし」

 

ノアさんと衣舞紀さんも便乗という形で身体が触れた。あまりにも強引で、俺になんの権力もなくねじ伏せられてしまう。

情けないばかりだが、同時に嬉しくもあった。ここまで心を許してくれているんだ。

 

月「撮るよー。はい、チーズ!」

 

シャッター音と共に、俺たち五人が揃った姿が小さな長方形に収まった。

撮りたてホヤホヤのソレを見て、俺は小さく苦笑する。

 

天「••••••だっせぇ」

 

そこに映っていたのは、自然とは全く真逆のぎこちない笑顔。だが、本心で笑っていたということだけは間違いない。

 

月「これもちゃんとした思い出だよ。残していかないとね」

 

天「•••••••••そうだな」

 

自分の姿こそ気に入らないが、他の四人はとても輝いていた。

そっと横目に彼女たちを眺めながら、薄らと口角を上げる。

 

天「思い出だな」

 

今日、また一つ忘れられない大切な記憶が刻まれた。




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