敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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ラブハグのフル難し過ぎません?序盤で死にまくって話にならないんですけどw後ノアの育成間に合わない死んじゃうw


あなたの事が•••

天「ーーはい、そのようにお願いします。はい。はい、では失礼します」

 

通話を切って、俺はベンチの背に体重を預けて、大きなため息を吐く。

••••••ライブの件は断った。メンバーの一人から俺の引き抜きを反対する意見が出たと正直に伝えて、今回の件は無しになった。

 

咲姫「どうだった••••••?」

天「ライブは無しだ。全く、ワガママ言ってくれたな•••」

咲姫「•••••••••ふふっ」

天「•••?何かおかしな事でもあったか?」

 

悪態を吐いたはずなのに咲姫はクスリと笑った。

 

咲姫「発言に対して天くんの色はとても温かい•••」

天「うっ•••クソ、内側まで見られるの忘れてた•••」

 

今後咲姫には隠し事は通用しないかもな••••••。今まではぶっきらぼうに付き合って来たから内面を見られる事がなかったからいいが、今は彼女の事を信用している。その所為で否応なく感情の蓋が開いてしまったのだろう。

 

咲姫「でも、これで安心。天くんが私たちから離れる事がなくなった」

天「はいはい、離れない離れない。いつも通りマネージャーとして寄生するよ」

 

無表情無感情で答える。気を逸らす為に弁当をかき込んで、口の中で大きく咀嚼する。

 

咲姫「きっと、みんなも天くんが残るように説得したと思う」

天「流石にねぇだろ」

 

全員が全員、咲姫みたいに俺に甘いわけではないだろう。必ず誰かはライブをしたかった、と言うに決まっている。

 

天「そういえば今日の弁当、少し不格好だな。もしかして咲姫が作ったのか?」

咲姫「う、うん•••」

 

少し顔を赤くして咲姫は顔を逸らした。可愛いなぁ、と微笑む。

 

咲姫「•••まだ練習中だから」

天「わかってる。それで完成形だったらビビる。彼氏の為だろ?」

咲姫「彼氏••••••?私に彼氏はいないよ••••••?」

天「はっ?」

 

咲姫は訳がわからない、と言うように首を傾げて、それに対して俺は素っ頓狂な声を漏らす。

 

天「いやだって、大事な人がいるから料理練習してるって言ってただろ•••?」

咲姫「それは••••••っ、天くんなんて知らない•••!」

天「え、えぇ•••?(困惑)」

 

何故か彼女は怒ってぷいっと顔を背けた。今度は俺が訳がわからなくなった。それから会話はなく、静かな昼食&昼休みを過ごした。

 

 

乙和「ーーそんな事があったの!?私は断固反対だよ!天くんには残ってもらわないと!」

 

事務所に訪れて事の次第を話すと、みんな怒ったように俺にくってかかった。

 

衣舞紀「いくら天でもそれはいただけないかなぁ••••••勝手に辞めるのは許さないわよ」

ノア「天くん以上に私たちに合ったサポートができる人なんていないと思うよ?姫神プロデューサーも頭抱えてたし」

 

えぇ•••あの姫神プロデューサーが頭抱えるレベルの案件なのか•••俺ってそんなにこの中でデカい存在だったのか•••?

 

咲姫「言った通りでしょ?」

天「全くその通りだったよ••••••俺が一番驚いてる」

 

絶対ライブ優先の人が出ると思っていたのに、その思惑は見事に真反対に外れた。

 

衣舞紀「それに聞いたぞ〜?咲姫の目の前で泣いたんだって?あまり感情を表に出さない天が珍しいわね〜」

天「それに関してはどうでもいいでしょ••••••俺の泣き顔とか誰も見たくないと思うんですけど?」

ノア「私は見たかった•••!できれば写真に納めたかった•••!」

天「怖っ」

 

冗談抜きに寒気を感じて咲姫の後ろに隠れた。しかしそのシーンを写真に撮られた。泣きたい。

 

乙和「でも良かった〜。咲姫ちゃんのお陰で今もこうして天くんがここにいるわけなんだし」

咲姫「うん。頑張って説得して良かった」

天「俺の慰留を喜ぶのは結構ですけど、昨日の分の仕事が貯まってるので今から部屋こもります」

 

パソコンを抱えて俺は仕事用の部屋に入る。そこで俺はようやく一息つくことができた。椅子に座ってため息を吐きながらパソコンを起動する。メモ帳にも色々書いているが、パソコンにもそのスケジュールを書いて事務所内にばら撒かないといけない。面倒くせぇ。

本来なら昨日この仕事をしていたのだが、風邪を引いてしまったので今日の内に済ませないといけないのだ。これは夜まで掛かるかもなぁ••••••。ヘッドホンを装着して、音楽を垂れ流しながら、俺は作業に入った。

 

天「••••••わかってたけどおわらねぇ••••••」

 

昨日と今日の二日を合わせて終わらせる仕事を無理矢理一日で終わらせるのだ。終わる訳がねぇ。あまりに量が多すぎて泣きそうな上に病みそう。

時間を確認すると夜の七時半。もう三時間も作業を休憩なしでぶっ続けでしてるよ。目もチカチカしていて今すぐ寝落ちしたい。

コンコン。扉がノックされた。俺はどうぞ、と一言だけ言ってまた仕事に戻る。ガチャリと扉が開く音を鳴らしながら誰かが入ってきた。俺の視界はパソコンしか映っていないので、誰がきたかはわからない。

 

咲姫「まだ終わらない?」

 

咲姫だった。俺は何も言わずただ頷いた。そう、と短く返して、俺の隣に座った。

 

天「帰らなくていいのか?」

咲姫「天くんが終わるまで待つ」

天「後二時間は平気でかかるぞ」

 

ようやく昨日の分の仕事を終えて、今日やる仕事に移ったところだ。これも中々に面倒なので時間を取られるのが痛い。

 

咲姫「じゃあその間•••少し前の話をしてもいい?」

天「唐突だな。作業しながら聞くから話していいぞ」

咲姫「うん。私がPhoton Maidenのオーディションを受けに行った日、帰りに不良みたいな男の人に絡まれた事がある」

 

いきなり重そうな話が出てきたんですけど•••え、何、咲姫その人たちに襲われたとかそんな話題?だとしたら襲ったやつ今すぐ殺すけど(過激派)。

 

咲姫「私は怖くて何も言えずに動けなかった。でもその時に、誰かを探してた人が助けてくれた」

 

•••••••••んー?なんか妙な覚えがあるぞ?待てよ?Photon Maidenのオーディションがあったのって四月の初めだよな?その時は中堅俳優のマネージャーをしてた筈だ。なんか知らん間にどっか行ってる面倒な人だったのは覚えている。

 

咲姫「その人はすごく必死で、私に構ってる余裕もなかったみたい。不良みたいな人のターゲットが私からあの人に移って、不良を倒してすぐに走っていった」

 

あー?なんか少しずつ思い出してきたぞ。確かに担当の俳優を探している途中で男に絡まれて殴り飛ばしたのは記憶している。え、もしかしてその時に咲姫いたの!?待て思い出そう。

 

天『はぁ、はぁ、はぁ•••あの人何処行ったんだよマジで•••!いつもいつも気がついたらいないし•••』

 

荒く息を吐きながら街中を俺は走る。人が多い所為もあってその担当を探すのはかなりの労力を使った。でも見つけないと今後の話とか何もできないから必死になって探す。

 

天『あっ』

 

ドンっと知らない人にぶつかってしまった。ぶつかった人は鋭い眼光を俺に向けた。

 

不良A『なにぶつかってんだコラァ!?』

天『すみません。人を探していて焦っていました』

不良A『謝って済むならなぁ!警察なんかいらねぇんだよ!こっちは骨折れてんだぞ!慰謝料払っつってんの!』

 

うっはぁ、面倒なのに絡まれたなぁ••••••。やる事あるのに一々面倒事引き起こすのも怠い。何とか平和的に解決したいところだが••••••。

 

不良B『ほら、お嬢ちゃん。俺たちと楽しいことしようか?』

少女『•••••••••』

 

いかにも怯えた様子の女の子が絡まれていた。うーんこれは見過ごせないかなぁ••••••。手荒な真似になるが仕方ない。俺は拳を男に叩き込んだ。

 

不良A『ぶべっ!?』

不良B『トモくん!?』

 

男は一発でダウンした。••••••うっそだろおい。そんな強そうなナリしてワンパンKOはいただけないのだが。

 

不良B『なにすんだテメェ!』

天『ほい』

 

殴る体勢に入った瞬間に鳩尾に拳を叩き込む。男は咳き込みながら蹲った。

 

天『んー•••やっぱり暴力はダメだなぁ•••スッキリしねぇ。というかさっさと探さないと!何処行きやがった!』

少女『あ、あの•••』

天『ん?』

少女『あ、ありがとうございました••••••』

天『あぁ、はい。気をつけて帰りなよ』

 

構ってる余裕もないので俺は走り出した。ちなみに担当を捕まえたのはそれから一時間が経った頃だった。

 

•••••••••咲姫と話の内容バッチリ合ってやがる••••••。嘘だろ?俺、知らん間に咲姫と会ってたよ。

 

咲姫「私はずっと助けてくれたあの人の事を探していた。そうしたら、転校先に•••あなたがいた」

 

咲姫は真っ直ぐに俺を見つめる。名前も知らない恩人をようやく見つけて、安堵した顔だ。

 

咲姫「あの時のお礼をずっと言いたかった••••••天くん、ありがとう••••••」

天「いや、すまなかった。あの時、咲姫って知らなくて」

咲姫「ううん、必死だったのは知ってるから、大丈夫。再会できた事が何より嬉しい」

 

でも咲姫はどうして急にこんな話を持ちかけてきたのだろうか。

 

咲姫「あの時から、私にとって天くんは大事な人なの••••••」

天「••••••え?」

 

大事な人の正体って、俺!?じゃあ、料理勉強して振る舞いたい大事な人って俺なの!?

咲姫の顔は赤かった。ずっと閉じ込めていた想いを解き放って、スッキリしたというような顔ではない。それとはまた違う、何かの決意を抱いたような顔だ。

 

咲姫「私、天くんにまた会えた時からずっと伝えたかった。名前も知らない私を助けてくれたあの日からずっとずっと•••天くんの事が•••好きです」

 

告白だった。周りに人がいない静かな空間で、咲姫の声は一言一句聞き逃す事なく俺の耳に響いた。

•••俺が答えを返す番だ。いや••••••俺の答えは既に決まっていた。彼女を可愛い、なんて思ってた時から、俺は負けていたんだ。

 

天「俺も咲姫の事が好きだ•••俺と付き合って欲しい」

咲姫「••••••はい•••」

 

その時、小さな衝撃がやってきた。咲姫が俺に抱きついたのだ。身体が気持ち悪くなるが、前と比べたら全然マシだ。俺も抱きしめ返し、咲姫の頭を撫でる。

 

咲姫「天くんのなでなで、気持ちいい•••」

天「ん。それはよかった」

 

俺の身体も少しずつだが耐性がつき始めてきた。いずれは何処を触れられても大丈夫なようになる日を願おう。

 

天「それじゃ、残りの仕事頑張って終わらせるか」

咲姫「終わるまで待ってるね」

天「あぁ。すぐに終わらせる」

 

お互いに頷き、俺は作業に戻った。横で咲姫が応援してくれたのもあって、一時間で終わらせる事ができた。愛は人を強くする。まさしくその通りだった。




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