カーテンから日差しが漏れて、その光によって俺は目を覚ました。
天「•••あ、あぁ••••••?」
まだ寝ぼけている目は視界を捉えていない。酔ってるかのようにグルグルしている。その間に瞬きを何度繰り返しただろうか。無意識のうちに行ってるその作業は、数えるなんて無理な話だった。
ようやく視界が落ち着いた頃に、身体の感覚もわかるようになってくる。
何かに巻きつかれてる••••••?少しだけ感覚が暴走してしまうが叫んだり暴れたりする程のものでもない。慣れの恐ろしさを改めて感じた。んで、巻きついている、と言うより、抱きついているのはーー、
天「咲姫•••あ、昨日一緒に寝たんだった」
恋人の咲姫だった。目覚めがいつも通り過ぎて、いるのをすっかり忘れてしまっていた。当の咲姫は俺にくっついたまま寝息を立てていた。昨日はあんな事をしたのに、寝ているとこんなに落ち着いて見えるものなんだな、と感心する。
そしてこんな事を考えた所為で昨晩の光景がフラッシュバックしてしまう。
天「••••••やっぱり実感が湧かねぇなぁ••••••」
俺、本当に童貞卒業したのか•••?あまりにもふわふわとした事だったのもあって、真実味を一切感じない。
咲姫「すぅー•••すぅー•••」
頭の中でそんな葛藤をしている中、咲姫は呑気に寝息を立てて安らかに眠っている。なんか死んでるような言い方だな()
今日は日曜日で仕事もない。Photon Maiden全員も完全にオフの日だ。今日一日くらいはゆったりと過ごしたいと思っているが、咲姫次第で決めよう。
天「••••••というか、そろそろ月が帰ってきそうなんだよなぁ••••••」
ガチャリ。そんな言葉を呟いた瞬間に玄関が開く音がした。タイミング良すぎて逆に怖いぞ•••。
月「ただいまー。お兄ちゃん起きてるー?」
階段を上がる音がどんどん近づいてくる。さーてどうしたものか。咲姫は寝ている。まぁぶっちゃけ咲姫がうちに泊まったって事実がある時点で詰みは確定している。
天「咲姫、起きろ」
咲姫「んぅ••••••?」
まだ眠たい様子の咲姫はパチパチと瞬きをして目を開ける。そして俺の姿を確認すると、小さく笑った。
咲姫「おはよう、天くん」
天「あぁ、おはよう。多分今から月が部屋に来るだろうけどどうしようか」
咲姫「いつも通りに振る舞えばいいと思う」
天「咲姫が俺の家に泊まったって知れば面倒なことになるんだけど」
咲姫「そうなの•••?」
首を傾げた。咲姫はあまり神山家の面倒な事情を知らないだろうな。一緒に飯食べた時に片鱗は垣間見えたけど、あれはまだまだ優しい方だ。
月「お兄ちゃーん?おはよーー咲姫さん!?」
部屋にやってきた何も知らない月は、俺たちが抱き合って寝てる光景を見て驚愕の声を上げた。朝っぱらから叫ばれるのは嫌だな•••頭に響く。
天「•••おはよう」
咲姫「おはよう、月ちゃん」
月「お、おはようございます••••••。あ、朝ご飯、作ってきます••••••」
情報の処理が追いつかなかった月は、逃げるようにして一階へと降りていった。俺は安堵のため息を吐き、身体の力が抜けた。
天「マジでどうなるかと思った••••••」
咲姫「意外と大丈夫かも•••?」
まだ安心はできないが、一先ずは大丈夫だろう•••大丈夫だよな?
天「ところで、今日はどうする?」
咲姫「天くんと何処か出掛けたい」
シンプルで直球な要望が返ってきた。俺は頷いて、月から呼ばれるまで何処に行こうかと話し合った。
しばらくして月から飯ができたから来いとの声を受けて、俺と咲姫は一階に降りてリビングへと赴く。
ほぼ所定の位置に座るが、何故か俺の飯だけうな重だった。••••••なんで?月の方に目をやると我が妹は目を逸らした。
咲姫「朝からたくさん食べるんだね」
天「何でだろうな••••••わかんねぇや」
本当はわかる。鰻は精のつく食べ物だ。つまりは”そういう”ことだろう。月のやつ、余計な事しやがって••••••。
月「咲姫さん大丈夫でしたか•••?お兄ちゃんが乱暴したんじゃないか心配で••••••」
咲姫「ううん、天くん、とっても優しかった」
なんか変な意味に聞こえるけど何も言わない方がいい。触らぬ神に祟りなしだ。俺はだんまりを決め込む。
月「それでお兄ちゃん、咲姫さんとセックスしたの?」
天「ブッフォア!!?」
咲姫「••••••ッ!!?」
月の爆弾発言に、俺は口の中で咀嚼していたうな重を噴き出し、咲姫はボンッと音を立てて赤面した。
天「突然何言い出すのお前!?しかも咲姫がいる前で!」
月「だって二人で一緒に寝たんでしょ!?何かあってもおかしくないじゃん!」
だからってストレートに訊いてくるか普通!?マジでこの妹の神経の太さに引くわ。いや、引くどころか恐怖すら感じる。
咲姫「•••••••••」
咲姫はずっと顔を赤くしていて何も喋らない。その反応で月は大体を察してしまっていた。ニヤついた顔がやけにうざったい。
月「咲姫さん咲姫さん、どうだったんですか?」
咲姫「い、言えない••••••」
顔を逸らす咲姫。その姿は可愛いが少し可哀想でもあったので、月の頭にチョップを一発お見舞いする。
月「いったいなぁ!何するのさ!」
天「あんまり咲姫を困らせるなよ。それにこれ以上質問しても何も答えないのはわかってるだろ」
月「はーいはい、わかりましたよーだ」
つまらなそうに首を横に振った月はご飯を口に含む。咲姫もまだ顔が赤いが飯はちゃんと食べている。俺もうな重を口に放り込むが、いかんせん味がわからん。
月「今日お仕事は?」
天「休み。昨日ライブだったからな。流石にライブの後日にレッスンさせるわけにはいかない」
月「相変わらず甘々ですな〜?」
天「厳しくしてそれで倒れてしまったら俺の責任問題だ」
月「これをお母さんが聞いたら怒りそうだなぁ••••••」
確かに母さんなら怒鳴る程の案件だろうな。あの人はとにかく厳しい。仕事を容赦無く放り込むし、休みなんて最悪与えない時もある。かなり鬼畜な人だ。
天「母さんにはちゃんと俺のやり方で通すってのは言ってある。変な事は言わせないつもりだ」
月「Photon Maidenのみんなは天くんの方針が一番合ってるっぽいしね」
咲姫「うん、みんな天くんのやり方に満足してる」
ようやく落ち着いた咲姫が話に加わる。まだ頬がほんのり赤いが、ツッコむのはやめておこう。
天「ごちそうさま」
一足先に食べ終えて手を合わせる。鰻重はパック入りのやつだったので、軽く水洗いしてゴミ箱にPAPAPA!した。
天「じゃ、着替えてくる」
二階に上がってパジャマを脱ぐ。昨日の行為の後というのもあって少し疲れているが、これくらいならどうって事はない。俺は大きく伸びをして息を吐く。さて、シャツを着るかーー
ガチャッ。
天「あ?」
咲姫「え?」
ドアが開いて振り向くと咲姫がいた。え、来るの早くね•••?
咲姫「ご、ごめんね•••早かった」
天「あ、あぁ••••••」
申し訳なさそうに咲姫は部屋を出た。あまりにも予想外の事態に俺はその場で固まってしまった。
そして着替えてからお互いに部屋を出入りして、出かける準備を整えた。一応仕返しに咲姫が着替えてる途中に部屋に入った。めっちゃ驚いてて可愛かったです(小並感)。
感想評価待っとります!あ、後一つ。UA5000を突破しました!ありがとうございます!ただ•••こっちよりR18の方が伸びてるのがいかんせん残念で泣きたい•••。