敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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最終回です(迫真)。次の日におまけの投稿をしますが、その時にとある事をお話しします。これ見てくださってる方達次第だから色々考えといてや!?


出雲咲姫より愛を込めて

横浜アリーナは今大熱狂に包まれていた。Photon Maidenの単独ライブと聞いて、沢山の人が足を運んで来ていたのだ。なんだかんだチケットはすぐに完売し、客席は全て埋め尽くされていた。Photon Maidenがちゃんと客を集められる程の実力があることを完全に証明してくれていた。

 

天「うわぁ•••なんつー人の量••••••」

 

チラリと会場を覗くと、観客は既にペンライトを着けて待っている。気が早ぇよお前ら•••どんだけ楽しみやねん。

 

咲姫「みんな、すごく楽しみにしている••••••」

 

客席の色を見ていた咲姫が呟いた。これは土壇場でのセトリの切り替えは無さそうに見えるが、ライブ中に急な切り替えをしそうではある。

 

天「こうして見ると圧巻だな。一万人を超える人間がPhoton Maidenを求めてここに集まっているのだから」

咲姫「うん•••とっても嬉しい••••••」

 

緑や水色などの、Photon Maidenを意識した色が会場中を広がる。その光景に俺は感動していた。

 

天「そろそろ戻るか。準備もあるだろうし」

咲姫「うん••••••」

 

俺は咲姫の手を引いて、控室へと戻る。メンバーのみんなは落ち着きがなく、ソワソワしていた。

 

天「••••••どうしました?」

乙和「緊張してるんだよ!単独でライブができるのは嬉しいけど、あんなにお客さんたくさんいたら、緊張しちゃうのも無理ないよ!」

 

そりゃそうだろう。俺だって乙和さんの立場になれば緊張するどころか失神すらしそうだ。

 

ノア「すごく緊張はするけど•••せっかく天くんが持ってきた仕事だから、絶対に成功させないと」

衣舞紀「そうね。これが成功すれば、私たちは更に前へ進むことができるもの」

 

いつもなら落ち着き払ってるあの衣舞紀さんが、いかにも緊張してます、と言った具合を見せた。更に言うならノアさんも、普段は緊張とかは心の中に押し込めるのに今は外側にバリバリ出てしまっている。

だがこうやって話せる時間は殆ど残っていなかった。だから俺はこれだけ言っておこう。

 

天「今日まで、レッスン等お疲れ様でした。今までやってきた練習の成果を発揮すれば、このライブは必ず成功します。なので、自分に自信を持って、全力で•••楽しんできてください!」

 

ライブを成功させるなど二の次だ。まずは自分が、観客たちを、自分自身を楽しませなければならない。仕事で歌とダンスをしている風でやっても観客はちっとも楽しくないだろう。

 

天「俺はみんなを信じています。やれば絶対にできると信じています••••••頑張ってください」

 

俺は笑った。本当はそんな余裕なんてない。不安で押し潰されそうになっている。だが表には出さず、彼女達が舞台に立つまではいつもの自分を演じなければならなかった。

 

衣舞紀「ありがとう、天。じゃあ、行ってくるね」

乙和「行ってきまーす!無事終わったら、パフェ食べようね!」

ノア「天くんも、不安なのはわかるけどあまり気負い過ぎないでね」

天「•••••••••え?」

 

ノアさんが控室を出る瞬間に言い残した言葉は、俺の心に刺さった。隠していたはずなのに見破られていた•••?もしかして顔に出ていたか?様々な疑問が浮かぶが、咲姫は俺の目の前に立ってて、無言だった。

 

天「•••咲姫も、頑張れ」

咲姫「••••••ぎゅうとなでなで」

天「ははは•••最後までブレないなぁ••••••」

 

お望み通り抱きしめて頭を撫でてやる。帽子を被っているので、おでこに近い辺りを撫でてやった。

 

咲姫「大丈夫。天くんが安心できるパフォーマンスを魅せるから」

天「•••••••••あぁ、楽しみにしてる」

 

咲姫は俺から離れて、小さく手を振ってから走っていった。一人取り残された俺は、小さくため息を吐き、関係者席へと向かった。

 

関係者席に座って、俺はPhoton Maidenのパフォーマンスを眺める。以前のライブでも感動したパフォーマンスは更に進化していた。いや、個性が増したと言うべきだろうか。

乙和さんのダンスはいつもよりオーバー気味だ。正に自分自身が楽しんでいる。観客のウケは上々のようで、テンションが上がっていた。

ノアさんも自分を表現するような、控えめながらも力強いダンスを見せつけている。•••あ、目線が動いた。なんかカワイイもの見つけたなあの人•••。

衣舞紀さんはこれまで培ってきた身体能力を生かした、激しく動きに魅了されるダンスを踊っていた。それによって会場のボルテージは更にアガっていった。

咲姫のDJプレイも熱かった。落ち着いた曲だろうがお構いなしに激しいパフォーマンスを魅せつけてくれた。••••••?今、こっちを見たか?俺の思い違いだと思いたいが、咲姫ならやりかねないだろうな、と苦笑した。

今日のPhoton Maidenは一段と輝いていた。これこそが、自分たちで築き上げた『作られたPhoton Maiden』ではなく、『個性のあるPhoton Maiden』なのだと感じた。

 

天「•••••••••数ヶ月程度だけどこのユニットを見てきたが•••才能ってのは、すごいな•••••••••」

 

元からある才能に加えて努力もあるのだ、すごいに決まっている。そして、そのユニットのマネージャーとしてここまで彼女たちを導けたと思うと、妙な達成感を感じて、涙を流す。

 

天「あーあ•••泣かないって決めてたのにな••••••」

 

絶対に嬉しくて泣くって、自分自身が一番わかっていたのに、結局泣いてしまった。相変わらず情けないな、と自分に嫌気が差してしまう。

 

天「••••••でも、今日くらいはいいよな•••••••••?」

 

彼女たちの晴れ舞台だ。親目線にでもなって泣くのも、いいだろう。俺は人知れずに、静かに涙を流した。

 

ライブが終わった。終始観客たちの盛り上がりは続き、休む暇など一切なかった。それは俺も同じで、騒いで、泣いて、疲れた。

控室に戻ると、汗だくの状態で座っているPhoton Maidenの姿があった。

 

乙和「あっ天くん!ライブどうだった!?どうだった!?」

天「••••••すごくカッコよかったです。今までのライブの中で一番••••••!」

ノア「でも疲れた••••••咲姫ちゃんが急にあんなこと言うから••••••」

天「あんなこと?」

 

俺は咲姫に目を向ける。咲姫は小さく笑いながら、口を開く。

 

咲姫「私は、私たちのPhoton Maidenを魅せる為に、自分自身を表現してほしい、って言った」

天「あぁ••••••だからあんなに『らしい』なぁ、って思った訳か」

 

みんながみんな、自分らしさを出していた。いつも元気いっぱいな乙和さんらしい楽しいダンス。落ち着き払っているノアさんの冷静なダンス。たゆまぬ努力を惜しまない衣舞紀さんの激しく丁寧なダンス。そして咲姫の、普段は落ち着いてても心は強く、激しいDJパフォーマンス。どれもこれもが、Photon Maidenのメンバーの自分らしさを強調していた。

 

天「はー安心した•••何とか成功を収めることができた•••」

衣舞紀「もう、天はあそこに立ってないでしょ?」

 

衣舞紀さんが呆れ半分、安心半分の笑顔を浮かべた。それに対して俺は苦笑を返した。

 

天「舞台には立ってなくても心はあそこにいますから」

ノア「あながち間違ってはないかも•••あれを用意してくれたの天くんだし•••」

 

いやまぁそうだけども•••()だからと言って俺の功績になるわけではないが。盛り上げたのは全部彼女たちだ。九割九分九厘彼女たちの成果と言えるだろう。

 

咲姫「••••••天くん」

 

クイクイッと服の裾を咲姫が引いた。

 

天「なんだ?」

咲姫「少しお話がしたい••••••」

乙和「なになに〜?恋人同士で密会ですかな〜?」

天「煽んないでください。わかった、行こう」

咲姫「うん」

 

俺は立ち上がって控室を出て行く。後は咲姫の思うままに引いてもらった。そして入った部屋は使われていない真っ暗な控室だった。ホコリがあまりないのを見るに、掃除自体はしているようだ。

 

天「こんな人気のないところでする話か?」

咲姫「••••••」

 

小さな衝撃が襲いかかる。咲姫が俺に抱きついたからだ。少し困惑したが、何か察してしまったので、少しドキドキしてしまう。

 

咲姫「私•••ライブ頑張った••••••」

天「••••••そうだな。よく頑張ったよ、咲姫は」

咲姫「•••ご褒美、欲しい」

天「はぁ•••ワガママだなお前は••••••わかった。お望み通りに」

 

咲姫の背中と後頭部に手を回して、こちらに引き寄せる。そしてそのまま唇を重ねた。

 

咲姫「んむ、んっ、ちゅっ••••••」

 

咲姫の言ってる事が正しいならこのままそっちの方向にもって行くが、まだわからないので手探り気味に触れる。

 

咲姫「••••••いいよ?」

天「あっ、あぁ••••••」

 

前言撤回。完全に咲姫はその気だった。咲姫の身体を反転させ、後ろから抱きしめたーー。

 

行為が終わり、俺と咲姫は服装を整える。何とか衣装を汚す事なく終えられた。そこには多少の安心感があった。後々が面倒になるからなんだけども()

控室に戻ると、全員既に着替えていた。咲姫を部屋に入れて、俺はドアを閉める。

咲姫の着替えが終わるまで、壁にもたれかかって待機する。その間に今後の事を考えよう。

 

天「(今回のライブは文句なしの大成功だ。後は周りの評価とか見て、行けなかったと嘆く声もあれば更にデカいところに交渉に行くか••••••。次は東京ドームを狙うのもいいかもな•••いや、流石に飛ばし過ぎか)」

 

何でもかんでも思い通りに行くと思ったら大間違いだ。俺らしく手堅く攻めて行きたいが••••••。

 

咲姫「もう入っても大丈夫••••••」

天「ん?あぁ」

 

ドアを少しだけ開けて顔をひょっこり出した咲姫が声を掛けた。俺は頷いて部屋に入る。

 

乙和「咲姫ちゃんと何話してたの〜?」

天「人には言えないアレコレですよ。詮索は控えてください」

乙和「ウチに来たばかりの天くんみたいになってる••••••」

 

確かに誰にも内側を曝け出さない今の発言は、昔の俺そっくりだ。今はこの環境にも慣れたので、ある程度楽しんでいたりする。

 

衣舞紀「きっと大事な話をしてたんでしょ。あまり深く追及しないであげて」

 

そういう気遣いいいよ•••実際はただイチャイチャしてただけなんだから••••••。なんか罪悪感を感じてしまう。

 

天「あはは••••••」

 

結局俺は苦笑いだけして、この何とも言えない場を乗り切った。

 

打ち上げは後日行う事になり、俺と咲姫は二人で帰り道を歩いていた。八月になっても、夜は少し冷えていて、身震いした。

 

咲姫「少し冷えるね•••」

天「あぁ•••ちと寒いな••••••」

 

少しでも温まろうと、咲姫にくっつく。普段は俺から行ったりはしないので、咲姫は少し困惑していた。

 

咲姫「珍しい•••」

天「俺だってたまには自分から行く事くらいある」

咲姫「今日は泊まっていく•••?」

天「••••••どうするかねぇ。明日でいいか?打ち上げした後にでも咲姫の家でゴロゴロしたいかな」

咲姫「うん。私も、天くんとゴロゴロしたい」

 

俺のちっさい願望にも、咲姫は快く頷いてくれた。予定とか色々話していたら、俺の家は目の前にあった。名残惜しそうな表情をする咲姫の頭を優しく撫でる。

 

咲姫「ありがとう••••••天くん」

天「どうした改まって」

咲姫「天くんがいたから、私たちはここまで来る事ができた。他の人だったら、絶対にあそこでライブをするなんてできなかった。全部全部、天くんのおかげ」

天「それでも頑張ったのはみんなだ。俺はあくまで仕事を持ってきただけだよ」

 

俺は肩をすくめる。俺が用意したのはハコだ。それを埋めたのは紛れもなく彼女たちの力で、俺の仕事など微々たるものだ。

 

咲姫「それでも、私たちの為にこんな大きな舞台を届けてくれたのは、嬉しい」

天「今後もデカいのは用意して行くつもりだから、楽しみにしててくれ」

咲姫「うん、私も、その大きな舞台の為に頑張る」

 

そして、小さな衝撃がやってくる。咲姫は俺に飛びかかって抱きつき、そのままの勢いでキスをした。

 

咲姫「大好き、天くん」

 

きっと彼女と、彼女たちとなら、どんな辛い事も乗り越えていけるだろう。何せ、愛は人を強くするのだから••••••。




感想評価お待ちしてナス!R18も出したけど期待はしないで(切実)
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