ライブの翌日は完全にオフの日となった。本来なら家でゴロゴロして過ごしているだろうが、今日はライブの打ち上げをする予定が入っている。昨日の横浜アリーナでのライブは大成功を納めて、俺はものすごく気分が良かった。なので、朝飯は軽く済ませてから運動をする。
そして限界まで腹を空かせる。何せ打ち上げで行く店は焼肉だからだ。これは腹一杯食べるしかないだろう。代金は事務所持ちだから遠慮は一切するつもりはない()
月「お兄ちゃーん?って部屋暑っ!」
天「ん?どうかしたか」
身体を動かしていたので、熱を放出していたようだ。部屋に入った月は暑そうにパタパタと手団扇で自分に風を送る。
月「今日打ち上げでしょ?そろそろ家出ないと遅刻するんじゃない?」
天「え、今何時•••11時40分••••••寝るか!(諦め)」
月「早く行きなよ!」
月に背中をぶっ叩かれて、俺はすぐに着替えて家を飛び出した。身体があったまったままなので、遠慮なく俺は猛ダッシュする。
運が悪い事に、目的地の焼肉店はかなりの距離があると言うこと。多分15分くらい全力で走ってるがまだ半分くらいしか行ってないだろう。なんでこんな遠い所にしたんだよ。誰だ選んだやつ。俺だったわちくしょう()
乙和「あっ、おーい!天くーん!」
向こうで俺の姿に気づいた乙和さんが手を振っていた。俺は手を振り返す余裕など一切なく、荒く息を吐きながら彼女たちの元へ走った。
天「はぁー、はぁー、はぁー•••今、何時ですか••••••?」
咲姫「12時13分•••13分遅刻」
無慈悲にも咲姫から宣告を受けた。俺はもう諦めモードで、ぜーはー息を吐いている。
衣舞紀「天•••大丈夫••••••?もしかしてずっと走って来たの?」
天「家出たの•••40分過ぎくらいですので••••••」
咲姫「大丈夫•••?ッ、熱い•••」
咲姫が俺の身体に触れると、反射反応で手を引っ込めた。俺自身がわかるくらい、今身体が熱い。多分日陰とかに行ったら湯気出てるんじゃないか•••?試そうとは思わないが。
ノア「とりあえず、早くお店の中に入ろう。中は冷房効いてると思うから」
天「はい••••••」
最近は走ったりとかはあまりしてなかったので、多少体力が落ちたかもしれない。我ながら情けなかった。
咲姫「天くん、楽しみにしてたんだね」
天「•••バレるか」
店員から席に通してもらってる間に、咲姫が俺に向かってそんなことを言う。頬をポリポリと掻いて誤魔化すが、少し頬が赤くなった気がした。
ノア「照れてる天くんカワイイなぁ••••••!」
そして相も変わらずノアさんは平常運転だった。いや、叫んでないからこれは安全運転だろう(謎理論)。
天「そういうノアさんこそ、可愛いですよ」
ノア「えっ!?そ、そうかな••••••?」
いつもいつも可愛い可愛い言われてムカついていたので、お返しにノアさんを褒めてみた。すると彼女は、普段の俺がするとは思えない発言に驚き、照れたように目線を逸らした。意外とイイ反応だった。
天「ーーッ!?」
だが、隣から冷たい視線が飛んでくる。咲姫が俺をジトーッとジト目で見つめていた•••ちょっと怖い。
咲姫「••••••浮気?」
天「断じて違う!」
店内などお構いなしに俺は悲痛の叫びを上げた。これからは咲姫がいる前で女の子を褒めるのはやめよう。いずれ血を見そうだ。
ノア「でも、天くんがどうしてもって言うなら咲姫ちゃんから乗り換えても•••というか咲姫ちゃんも一緒に私と付き合おう!」
天「色々飛躍し過ぎでしょこの人••••••」
ここまでの猛ダッシュに加えてノアさんに対する呆れも加わった。疲れが一気に来たような気がする。
衣舞紀「焚き付けた天が悪いからね?」
天「後半はノアさんが勝手に暴走しただけじゃないですか」
衣舞紀さんに嗜められるが、俺はいつも通りの自分を貫いた。解散した後に咲姫に何されるか分からないのが怖いけど。
席に通されて、俺たちは座る。焼肉なんて久々だな•••何食べよ。
天「種類多過ぎてわからん•••」
カルビホルモンタン••••••何が何だかさっぱりだ。ブロック肉しかわかんねぇんだよこっちはよぉこの野郎(逆ギレ)。
乙和「焼肉とか普段食べないの?」
天「外食で来たのは小学生以来ですかね•••いつもは月が焼いてますので、肉の種類なんて知らずに育ちました」
父さんも母さんも忙しいから、家族で外食なんてものは少なかった。月と二人でするのもなぁ、という思いもあり、月が飯を作れない日にだけ外食をしていた気がする。
ノア「お肉は私たちだけで頼もうか、知らないうちに天くんが変なのを頼んじゃったら怖いし」
咲姫「そうしましょう•••」
なんかやべー奴みたいな感じになってるな俺•••。やべーのは咲姫の中の人だけでいいんだけど(禁句)。
衣舞紀「だったら無難にセットでいいんじゃない?後から自分たちで単品で頼めばいいと思うのだけど」
乙和「それ採用〜!」
衣舞紀さんの提案に、ノーコンマで乙和さんが反応した。俺もその方が変に考えなくていいので頷いた。
セットということで、様々な種類の肉が乗った皿が運ばれて来た。それをテーブルの中央のアツゥイ!金網に放り込む。肉の焼ける音がなんとも心地いい。
天「いい店なだけあるな•••すごく美味そうだ」
乙和「このお店選んだの天くんだよね?何も考えずに決めたの?」
天「いえ、事務所がお金出してくれるって言ってたので、調子に乗って高い店選んだ結果がこれです」
ノア「事務所•••大丈夫かな••••••」
ノアさんが心配そうに苦笑していたが、俺は知らん。まぁ金はあるだろうし大丈夫だろうと、俺は自分に言い聞かせた。
その後、どんどん肉が焼けていき、俺は以前自分の歓迎会で見せたバカ食いを行っていた。
天「肉うめぇ」
肉汁があふれんくらいにドバドバ出てくるものだからヤバい。これは美味い優勝。
咲姫「天くん、お野菜も」
天「あぁ、ありがとう」
咲姫から野菜をいただいて、肉と一緒に口の中に放り込む。
天「ここの店美味いな。選んで正解だった」
咲姫「でも、お値段••••••」
天「事務所持ちだし大丈夫だろ」
大丈夫だろうが、恐らく小言の一つや二つは確実に言われるだろう。まぁこの店選んだの俺の独断だから怒られても被害は俺だけだ。
咲姫「はい、お野菜•••」
天「やたら野菜進めてくるなお前•••」
まぁ食べるんだけども。何故か咲姫はニコニコと俺が食う姿を見ているが、何が楽しいんだか。
結局、一時間くらいこの店に居座ったが、相当の量の肉を食べたおかげで、店員は引いていた。なんか申し訳ない。でも金払うから許してちょんまげ。
店を出てから、俺と咲姫はみんなと別れて歩き出す。どちらからともなく手を繋いで、家までの道を歩いていた。
天「いやー楽しかった」
咲姫「うん。でも、浮気はダメ•••」
天「咲姫の中ではあれが浮気判定なのか••••••まぁでも、咲姫が言うなら今後は気をつける」
咲姫「本当?•••えへへ」
咲姫は俺の手ごと、少しだがブンブン振った。その仕草が可愛らしくて、頬が緩んでしまう。
咲姫「これからも、ずっと一緒•••」
天「あぁ、一緒にいよう•••まだ夏休みはたっぷりある。色んな所に行こうか」
咲姫「うん。今度はまた違う所に行ってみたい」
天「じゃあすぐにでも計画立てるか!」
咲姫「うん!私、天くんについて行く•••」
天「•••ありがとう」
俺は静かに感謝を述べた。そして、俺たちは唇を重ねて、お互いに好きと言い合った。
また二人でどこかに旅行に行くのは、また別のお話••••••。
感想評価オナシャス!そして腹が減った!夕飯何食べよう•••カップ麺やな!()