敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

39 / 146
はーい今回から乙和√入っていきまーす。某ふた兄貴からノア√の要望来たけど、申し訳ないことにもう乙和√の方九日前から書いてたわけなのよ。だから今更切り替えるのも難しくてね、ホントすんません。なので次はノア√書きます。


乙和√
看病はありがたいけどウザいなと思う今日この頃


天「ゲッホ!ゴホッゴホッ!!」

 

もう日が暮れていたが、俺の風邪は治る気配が全くなかった。今も喉を痛めつけに来ていて、咳が止まらない。

 

天「••••••あぁー•••キッツ••••••」

 

正直に言えば、今日の朝よりも身体は参っていた。身体を動かすような気力すらも、今の俺にはない。飯も食えてないしまともに寝る事もできていない。頭痛は増していた。何かを考えて誤魔化す事もできない程、今は痛い。

 

天「•••吐きそうかも」

 

俺は無理矢理身体を起こして、トイレへと足を引きずりながら向かう。便器の前に身体を倒して、思いのままに嘔吐した。

 

天「おえぇぇ••••••!あ゛ぁ゛ぁ゛••••••喉いてぇ••••••」

 

何も食べていないので、出てくるのは胃酸ばかりだった。その所為で喉が焼けるような感覚に陥る。

 

天「あークソ•••たかだか風邪でこんな事になるなんて••••••」

 

恐らく精神的な不安も重なっているから、こんな事になっているに違いないだろう。マジで話し相手でもなんでもいいから、誰か来てくんねぇかな••••••。

 

ピンポーン!

 

天「•••あ?誰だ•••?荷物を頼んだ覚えはないが••••••」

 

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン!!

 

天「連打すんな!誰だよ!?ーーっと••••••」

 

つい大声を上げてしまって身体がクラッと傾く。壁にゴツっとぶつかり、体重を預けた。

 

天「と、とりあえず行かないと••••••」

 

相手が誰かくらいは確かめないといけない。もし本当に荷物を持った配達員だったら申し訳ない。少しだが時間がかかりつつ、玄関まで到着する。玄関のドアノブを捻り、開けた。

 

乙和「天くーん!大丈夫•••?」

天「•••乙和さん?」

 

目の前にいたのは乙和さんだった。いや、あのピンポン連打なんてするの乙和さんくらいだろう。俺の額に彼女の手が触れ、俺はビクッとしてしまう。

 

乙和「すごい熱•••!早く寝ておかないと!」

 

乙和さんが俺の手を引く。自室の場所を伝えて、そのまま凸った。そしてベッドに寝かされる。

 

乙和「ご飯はちゃんと食べた!?」

天「食べてないです••••••食欲なかったので」

乙和「あ、お粥•••今は食べられそう?」

天「わかりません•••とりあえず食べてみます」

乙和「うん、わかった」

 

乙和さんはお粥をスプーンで掬って、俺の口の中へ入れた。素朴な味が今だけは相当美味く感じた。よっぽど腹減ってたんだな、俺••••••。

 

乙和「どう?美味しい?」

天「美味いです•••」

乙和「良かったー!じゃんじゃん食べてね!」

天「ちょっと、あまり詰め込まないでください•••」

 

何が嬉しいんだか、ニコニコ笑顔で俺を見つめている乙和さん。俺は苦笑しか返せないが、本当は嬉しかった。

 

乙和「月ちゃんは?まだ帰ってきてないの?」

天「もうそろそろ帰ってきてもおかしくないとは思いますが••••••」

 

というか、そんな事より乙和さんに訊きたい事があったんだった。

 

天「レッスンとかはどうしたんですか?」

乙和「天くんの事が心配だから抜け出してきちゃった!それで行ってみれば死にそうな顔してたんだから、行ってよかったよ!」

天「••••••俺、そんなにヤバかったですか?」

乙和「もうちょーヤバかったよ!今にも倒れそうだったんだから!」

 

えぇ•••そんなにヤバい状態だったの俺•••?乙和さんが誇張表現してる可能性も否めないが、そこんところどうなのだろうか。

 

天「俺の顔の事はどうでもいいとして••••••流石に戻った方がいいのでは?」

乙和「大丈夫だよ〜!ちゃんとみんなに事情は説明してるから!逆に天くんから追い出された、なんて言えないよ」

 

むぅ、一理あるな。確かにそれは追い出しづらい。まぁでも、月が帰ってきたらお役御免って事で帰そう。そうすれば後味が残ることはない。

 

乙和「それにもう今日は戻る気ないから、このまま天くんの相手でもしよっかな〜と思って!」

天「•••は?(困惑)」

 

素っ頓狂な声が漏れた。••••••今なんつったこの人。流石にずっと居座られるのはなんかなぁ••••••。

 

乙和「流石に月ちゃんが帰ってきたら帰るよ?そうしないと天くんが怒りそうだし」

 

ある程度は俺の気持ちを汲んでくれるようで安心した。それでも月が帰ってくるまでは居座るようだが。

 

乙和「じー••••••」

天「あの•••気になって眠れないのですが」

 

俺は諦めて寝ようとしたが、乙和さんがずっと俺を見つめる所為で、気になって眠れない。

 

乙和「いや〜、こうして見ると天くんの顔って整ってて可愛いなぁって思って•••」

天「喧嘩売ってます?」

乙和「売ってないよ!?」

 

唐突に何かと思えば、可愛いと言われたので少しムカついた。

 

乙和「天くんはあまり可愛いって言われるの好きじゃないの?」

天「嫌ですよ。男なのに可愛いとか言われるのは•••」

乙和「そういうところが可愛いんだけどな〜」

天「風邪治ったら覚悟しておいてください」

乙和「おぉう•••ちょっと怖い••••••」

 

少し睨むと、乙和さんはたじろいだ。俺はすぐに目線を逸らして、ため息を吐く。それと同時にーー、

 

月「ただいまー!」

 

月が帰ってきた。こちらに向かってくる足音がどんどん大きくなっていった。

 

乙和「月ちゃん帰ってきたし、私はそろそろ帰ろうかな」

月「お兄ちゃん大丈夫ーーって乙和さん!?どうしてここに!?」

 

乙和さんが立ち上がったと同時に、月が俺の部屋に入る。そして、見知った顔を見て驚いた。

 

月「もしかして、お兄ちゃんの看病してくれていたんですか!?ありがとうございます!よかったらご飯食べて行きませんか?」

乙和「えっ!?いやー流石にそれは悪いかなー•••」

 

お前すぐ人を飯に誘うよな•••。友達にもそういう誘い文句掛けてセクハラしてんのかなぁ••••••。こいつホンマ怖いわ。

 

月「お兄ちゃんも乙和さんがいた方がいいでしょ?」

天「••••••さぁな」

 

俺は曖昧に返答する。それに対して月はニヤニヤとしたいやらしい笑みを浮かべていた。

 

月「ほうほう、つまりは一緒がいいと」

天「うるせぇな••••••」

乙和「えぇ〜?天くん私とご飯食べたいの〜?」

 

しかもタチが悪いことに乙和さんが便乗してしまっているのだ。逃げ道がない。完全に詰みが確定してしまった。

 

天「•••あぁもうわかったよ!食いたいって言えばいいんだろ!」

乙和「じゃあしょうがないなぁ〜。この乙和ちゃんが一緒にご飯を食べてしんぜよう」

 

明日風邪治ってたらマジでぶっ潰してやる。俺は多少ながらの殺意を抱いた。

 

結局乙和さんはうちでご飯を食べる事になり、俺は少しばかり辟易としていた。ストレスが溜まるってこういう事なのかな•••(謎の悟り)。

 

月「はい、どうぞ!たくさん食べてくださいね!」

乙和「わーい!いっただっきまーす!」

天「•••いただきます」

 

月の作った料理を、乙和さんは美味しそうに食べる。それに対して俺は、まだ頭痛が残っているので、ちびちびと食べる。

 

乙和「天くんいつもの食欲はどうしたの〜?」

天「風邪引いてる時にまで求めないでくださいよ」

 

俺の対応は至って淡白なものだった。乙和さんからの冗談まじりの問い掛けにも、無表情、無感情で返す。

 

月「乙和さん、あまりお兄ちゃんをからかわないであげてください。多分まだ頭が痛いんだと思います」

乙和「あ•••そうだったんだ•••ごめんね天くん•••」

天「いえ•••」

 

この人普通におバカだから、そこら辺まで気が回ってないのだろう。ノアさんしっかり教育しておいてください。

 

乙和「なんだかすっごく嫌な事を言われた気がする!」

天「気の所為だと思いますよ」

 

ちなみに俺は変わらずお粥だ。胃袋は多少余裕ができたので、多めに腹にぶちこんでる。

 

乙和「天くんもお肉食べた方がいいんじゃない?」

天「流石に肉までは受け付けてないですよ」

 

お粥とかお腹に優しいものはいいが、肉や味が濃いものは食べられる気がしない。

 

月「お兄ちゃん明日には風邪治してね?お仕事貯まるんでしょ?」

天「ゔっ•••その事を忘れていた••••••」

 

今日の分の仕事を明日の分と並行してやらなくてはいけない。あー、これは詰んだは。マネージャー辞めてぇ。辞めないけど。

こういう事があるから体調は崩したくないのだ。面倒事が増える増える•••。

 

乙和「じゃあ私が手伝ってあげよっか!?」

天「何もできない未来が見えるので遠慮します」

乙和「酷い!」

 

そもそもあなたはレッスンが忙しいでしょうが。こっちにまで手を回せる余裕は絶対ないと言い切れる。

 

乙和「天くんったら冷たいんだから•••!」

天「元から俺はこんな感じですよ」

月「••••••なんだかカップルみたいだね」

天「は?」

乙和「えぇ!?」

 

俺は絞り出た声を、乙和さんは驚いたような声を上げた。

 

天「どこがそんな風に見えるんだよ•••」

月「だってねぇ?お互いに気を遣わずに言い合ってるから、何年も一緒にいる恋人みたいだなーって」

乙和「そ、天くんとはそんな関係じゃないよ〜•••」

 

乙和さんは顔を赤くしながらおちゃらける。一応まだ告白の返事は保留にしてるからなぁ•••乙和さんにとっては複雑な心境だろう。

 

天「今は恋愛とかそういうのはどうでもいい。とりあえずはPhoton Maidenの今後の事だけでいい」

乙和「•••••••••」

 

乙和さんが明らかに気分を落としたのがわかった。だが今の俺はこんな感じだ。恋愛よりまず仕事。その思考は変わらない。

 

月「ちゃんと相手作ってくれないと、神山家の今後が掛かってるんだからね!」

天「へいへいわーってる」

 

俺は適当に返す。その後も、乙和さんは気分が暗いまま食事を続けた。

 

飯さえ終われば、乙和さんがここにいる理由はないので、鞄を持って、玄関に立っていた。

 

天「今日はありがとうございました。気をつけて」

月「ありがとう乙和さん!バイバーイ!」

乙和「じゃあね!バイバイ!」

 

最後は元気よく家を出て行ったが、暗いのには変わりなかった。最後の最後は押し込めてなんとか明るく振る舞っていたが、やはり見え隠れするものだった。

 

天「(近いうちに、返さないとな••••••)」

 

不安しかないが、俺はキッチリ正面から臨もうと、決意した。




感想評価オナシャス!後もう一つ。感想計100件ありがとうございます!こんなに貰えるとは思ってなくて感激してます••••••!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。