敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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緊張感MAX地獄

放課後になり、俺は一目散に二年生の教室へと走って行った。案の定、乙和さんは一人で佇んでいて、俺に気がつくとそのまま腕に抱きついた。

••••••しばらくはこの状態が続くだろうと覚悟はしていたから、それでいい。だが、不安はかなりある。

 

衣舞紀「とりあえず、事務所の方に行こうか」

天「はい。•••乙和さん、行きますよ」

 

頷く動きだけは見えた。それだけで十分だったので、そのまま全員でネビュラプロダクションへと向かった。

 

天「ただ•••仕事したいんですけど、乙和さんが離れる気配が••••••」

乙和「ううん•••ここなら大丈夫••••••」

 

事務所内なら安全だと悟ったのか、意外にも乙和さんは俺から離れた。後は他の三人に任せて、俺は仕事部屋へ入った。

 

天「はぁ••••••今日中に終わらせるの絶対無理だろ••••••」

 

仕事の量に絶望してしまう。これは9時どころか10時まで掛かりそうな希ガス。はぁー、辞めたくなるわこんなの。クソやん、マジで。

 

天「でもやるんだけどさ••••••」

 

だって仕事だもの。責任はしっかり持って取り組まないと、後々彼女たちや事務所に迷惑が掛かってしまう。それだけは避けなければならない。

メモ帳に万年筆で書きながら、パソコンの方も打っていく。こうやって二つ一気にやってないと、終わる気がしないからだ。

 

天「•••面倒くせぇ」

 

どうしても嫌な部分が出てきてしまう。乙和さんの件も相まって、俺はかなり疲弊していた。頭の片隅には、どうしても乙和さんのあの光景がフラッシュバックしてしまう。あの怯えた表情は••••••今後の彼女の精神的にもあまり良くないだろう。どうにかして今まで通りに戻したいが、そこは本人のペースでしかどうにもならない。ものすごくもどかしいが、仕方のない事だ。

そうこう考えていたら、仕事の方はかなり進んでいた。それと同時に時間もどんどん進んでいた。

 

天「このペースなら••••••9時には終わりそうだな」

 

少し余裕ができた俺は、更にやる気が増した。キーボードを打つ指が、紙の上を走る万年筆が加速する。このまま集中力が保てば、本当に時間通りに終わりそうだった。

 

天「••••••音楽流そ」

 

更にやる気をプラスする為に、俺はヘッドホンを装着して、パソコン内に入れてるCDを使って、音楽を流し始めた。そこで一気に気合いが入り、仕事に没頭した。

 

何とか仕事は9時に入る頃に終わった。まだレッスンはしているのか気になるが、この時間だ。確実に終わっているだろう。いや終わらせないと俺の責任問題になる。スケジュール立ててるの俺だし。

 

天「さーて帰るか」

 

椅子から立ち上がって、大きく伸びをする。身体がボキボキと鳴って、少し気持ちがいい。ドアを開けると、ビクッと驚いた乙和さんがいた。

 

天「あれ•••?まだ帰ってなかったんですか?」

乙和「••••••怖いよ•••天くんのお家に行きたい••••••」

天「••••••わかりました」

 

乙和さんの家はここから離れている。一人で帰るのは怖くて無理だったのだろう。俺は仕方なく頷き、乙和さんを連れて家まで向かった。

 

家に着いて玄関を開けると、月が出迎えに来てくれた。が、乙和さんの姿を見て仰天した。

 

月「乙和さん!?どうしたんですか•••!?それに顔色もすごく悪い••••••」

 

月に朝の件を話すと、妹は、同情して暗い表情になった。だが、すぐに明るい顔に戻る。

 

月「そっか•••。でもお兄ちゃん、よくやったよ!あそこで乙和さんを守るなんてカッコいいよ!」

天「俺の事はどうでもいいだろ。とりあえず、乙和さんの家に電話を掛ける」

 

すぐに家の固定電話を手に取り、資料に書いてある花巻家に電話を掛けた。

 

天「夜分遅くに申し訳ありません。私、お宅の娘さんの花巻乙和さんのマネージャーを務めさせていただいております、神山天と申します。本日このようなお電話をさせていただいたのは、今朝、乙和さんが暴漢に襲われて掛けていましたので、まだその恐怖が残っています。その所為でそちらの方まで帰ることができないとの事らしく••••••乙和さんが落ち着くまでは、うちで面倒を見てもよろしいでしょうか?•••はい、私と妹が普段います。両親は仕事が忙しくてあまり帰ってきていません。•••わかりました。責任を持ってお預かりさせていただきます。では、失礼致します」

 

用件を伝えて返答も貰ったので電話をコトリ、と置いた。

 

月「問題なさそう?」

天「とりあえず許可は降りた。渋々だったけどな」

 

そりゃそうだろうな。ほぼ二人暮らしの家に可愛い娘を預けるなんて普通できないだろう。乙和さんが頼ってきたから、という理由があるからこそ実現した賜物だ。

 

月「とりあえずご飯できてるから食べよっか!乙和さんもどうぞ!」

乙和「うん•••ありがとう、月ちゃん」

 

まだ元気のない乙和さんは小さく月に礼を申した。リビングに入って、それぞれの席に座って夕食を食べ始める。

 

月「お仕事、意外と早く終わってよかったね」

天「あぁ。なんか今日はえらく集中できてな。予定より早く終わらせる事ができた」

月「予定通りじゃないの?9時だけど」

天「9時に終わる気しなかったからな。10時くらいまでは掛かるだろうな、と思ってた」

月「へぇ〜、お兄ちゃん優秀〜」

天「なんかウザい言い回しだな••••••」

 

相も変わらず月は月だった。が、乙和さんは会話の中には一切入ってこなかった。無言でただ飯を食べているだけ。

 

月「•••とても怖かったんだね••••••」

天「多分今までそういった事がなかったんだろうな••••••」

 

少しばかり同情してしまう。が、今は感傷には浸っていられない。今後どうするかを第一に考えなければならない。

 

天「とりあえず、乙和さんが落ち着くまではここに泊まり続けるって事で。月のパジャマは••••••入らねぇな」

月「今絶対私の胸見ながら言ったでしょ!?」

 

バッ、と胸の辺りを腕で隠した。だって仕方ないやん。乙和さん身長の割に胸デカ過ぎるんだから。

 

月「でもお兄ちゃんのは大き過ぎるし•••どうしよう」

天「俺が中学だった頃のを引っ張り出そう。それならイケると思う」

 

多少ブカブカにはなるだろうが、恐らく大丈夫だろう。オーバーし過ぎている訳でもないし。

 

天「ごちそうさま。乙和さん、お風呂は一人でーー」

乙和「無理そうかな••••••」

天「•••そうですか。月、頼んだ」

月「お任せあれ!」

 

食い気味に断りを入れた乙和さんを見かねて、月にすぐに頼んだ。こういう時家に女がいるのはありがたいと思った。

 

月「乙和さん、今日からしばらく一緒に寝られますね!」

乙和「•••寝るなら、天くんとがいいな•••安心できるから」

 

オォウ•••俺は心の中で絶望した。付き合ってもいない男女が一緒に寝るのはかなりヤバい。論理的に考えて。

 

天「いや•••さ、流石にそれは••••••」

乙和「ダメ••••••?」

 

ンッ!!今の上目遣いには相当ドキッとした。いや、今のはマジで可愛かった•••。

 

月「今は乙和さんの事を一番に優先しないといけないでしょ?お兄ちゃん何もする気ないだろうし、寝ちゃいなよ」

天「簡単に言うなよ•••」

 

俺だって性欲の一つや二つある。ちゃんと人間なんだぞこっちは。しかも相手は美少女だ。少し無理がある。

 

月「じゃあどうするの?もしそれで乙和さんが病んだらお兄ちゃんの所為だからね?」

天「•••••••••わかった•••わかったよ!乙和さんの為だ!やってやる!」

 

意を決した俺は叫んだ。今日から俺は精神を落ち着かせる。何事にも動じない強い心を手に入れてみせる。

 

天「ただ•••クソ眠い••••••」

 

ずっとパソコンとメモ帳と睨めっこしていた所為で、目が疲労MAXの状態だった。今すぐにでも寝たい欲に駆られている。

 

月「あー•••なら、先にお風呂入っていいよ。病み上がりだし、すぐに寝た方がいいかも」

天「あぁ、そうするわ•••」

 

俺は少しフラフラしながら風呂場へと向かう。先程の決意で多少疲れが加速した。いや、大丈夫だ。俺が変に手を出さなければいい事。しっかり乙和さんの相手をして無事に花巻家に帰す。それだけの事だ。なに、何も心配する必要なんてないじゃないか。俺は薄ら笑いを浮かべながら、湯船に浸かった。




感想評価オッスお願いしまーす。前回感想評価くれたら腕の写真送るって言ったけど、ガチで要望きてビックリした()
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