敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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どうも、実は少し前に同じ剣道部の友人から左手を見せたらキモいと言われました。これまで竹刀をたくさん振って作ったマメやぞこの野郎!キモいはないやろ!


寝て起きて悩んで

風呂から上がって、月と乙和さんが風呂に入っている間、俺は自室のベッドに座って自分自身と向き合っていた。

そもそも乙和さんがウチに泊まるようにしたのか。以前の俺だったら、そんな事お構いなしに花巻家の方々に迎えに来てもらえ、と無慈悲に告げただろう。今の環境に慣れたからか••••••Photon Maidenの存続の為か••••••ただ単に乙和さん自体に特別な何かがあるか••••••頭の中はグルグルしていて、もう滅茶苦茶だった。

 

天「••••••俺が乙和さんを好きになるとか•••ないよな••••••?」

 

今までそういった経験が無かった為、俺は困惑していた。今後乙和さんをどういう目で見ればいいのか、少し迷ってしまう。いつも通り、と頭に言い聞かせても、できそうにない自分がいた。

コンコン、と扉がノックされ、俺は驚いて飛び跳ねた。恐らく乙和さんが来たのだろう。どうぞ、と許可を出すと、ブカブカのパジャマを着ている乙和さんが、恐る恐る入ってきた。

••••••似合わねぇなぁ••••••大き過ぎて袖で手が完全に隠れてるしズボンもダラーっと伸びている。

俺はため息を吐いて、パジャマの裾を丸めていく。

 

乙和「あっ、ありがとう•••天くん」

天「これくらい、いいですよ。乙和さんはベッドを使ってください。俺は床で寝ますので」

 

グイッ、と引っ張られる。乙和さんは頬を膨らませて、少し怒った様子だった。

 

乙和「一緒に寝るの!」

天「••••••少し、元気になりましたね」

 

いつもの元気な声が聞けて、少し嬉しくなった。その所為で口角が上がってしまう。

 

乙和「うぅ•••そ、そういうわけだから!」

天「はいはいわかりました」

 

多分•••乙和さんを好きになったとか、そんなんじゃないっぽいな••••••。本当に好きになってたら、こんなふざけた対応なんてできないだろう。

あくまで保護者の気持ちで、乙和さんと二人でベッドに寝転がる。

 

乙和「えっへへ〜、天くんのここ落ち着く〜」

 

そして即座に俺の方へくっついた。あぁ、そっか。この人一応俺の事を好いてくれていたんだった。だったらこんな風になっても不思議ではない••••••いやちょっと待て。これ完全に乙和さんの片想いでしょ?だからってここまでくっついたりとかするか?変に慣れてしまった所為で、俺の頭がバカになったのかもしれない。

 

乙和「勘違いしないで欲しいけど、私が今普通にいられるのはここが天くんの家で、目の前に天くんがいるお陰だからね!?外に出たらこんなに元気にいられないよ!」

天「家でだけイキるやべー奴じゃないですか••••••」

 

俺は嘆息した。目の前の人間がどんどんダメになるんじゃないかと、少しばかり焦りを覚えてしまう。

 

乙和「いいもんいいもん!天くんと一緒にいられるならそれでいいもん!」

天「••••••本当にあなた俺の先輩ですか?」

 

先輩らしさのカケラも感じないのだが••••••そう考えたら衣舞紀さんとノアさんはものすごく先輩している。それに比べて乙和さんはどうだ?後輩の俺に甘えている状態だ。俺だったら恥ずかしくて泣けるね。

 

乙和「なんだかバカにされた気がする!」

天「気の所為だと思いますよ。というか寝ていいですか?結構限界なんで••••••」

 

もう瞼が下がってきている。視界は全体のおよそ4分の1程度しか映っていない。後ちょっとでも下がれば、目の前は真っ暗になるだろう。

 

乙和「ずっとお仕事頑張ってたもんね。おやすみ、天くん。明日もお願いね」

天「えぇ••••••わかりました•••••••••」

 

俺は微睡みに負けて、そのまま夢の世界へと旅だって行く。身体中に感じる乙和さんの感触が消えかかっていた頃にーー

 

乙和「••••••••••••大好きだよ」

 

何か聞こえた気がした。それは消え入るような声で、俺の耳に入ったかすらわからなかった。

 

翌朝、俺はいつも通りに目を覚ました。が、いつもとは違う光景、というより、感覚があった。何かに巻きつかれてるような、でも柔らかくて気持ちいい感触。目線を下に下ろせば、乙和さんが眠っていた。

 

天「••••••あ、そっか」

 

今更になって、昨日から乙和さんがうちで泊まる事になったのを思い出す。

 

天「•••こうしてると可愛いんだけどなぁ••••••」

 

黙っていれば可愛らしさ満点の美少女だ。だが一度口を開けば、うるさいしがっついてくるしでもう滅茶苦茶や。

 

乙和「んぅ•••」

 

モゾモゾと乙和さんが動く。更に密着した状態になり、少しドキドキしてしまう。

 

天「(平常心平常心••••••)」

 

自分自身に言い聞かせて何とか落ち着くが、乙和さんが起きないと俺が動く事ができない。軽く詰んでる状態だ。

 

天「うーんどうしよう」

 

まぁもうそろそろしたら月が呼びにくるだろう。それまで普通にしていればいい。

そう思っていたら、タイミング良く階段を駆け上がる音が聞こえてきた。

バンッ!と扉を開けた月はフライパンと金属お玉を持って叩き始めた。うるさい金属音が、部屋中に響き渡る。その音に反応して、乙和さんは飛び起きた。

 

乙和「うわあぁっ!?な、何!?」

天「•••月、うるさい」

月「あれ?お兄ちゃんもう起きてたの?てっきりまだ寝てると思ってたのに」

 

月は首を傾げた。確かにいつもは俺がそれで起こされる時もある。だが今回は違う。やられたのは乙和さんだ。それでもクソうるさいので耳は死ぬが()

 

天「先輩がいる手前でいつまでも寝てられるかよ」

月「クソ真面目な後輩ぶってて草」

天「後で殺す」

月「すんません•••命だけはどうか••••••!」

乙和「朝から仲いいな〜•••」

 

いつもの兄妹トークを繰り広げていたら、乙和さんから少し呆れた目線が飛んできた。俺は何もないフリをして、月はなんだか嬉しそうにニコニコとしていた。

 

朝食も食べて、お互いに準備を済ませたので、月に一言だけ言って家を出た。

 

家を出ると、昨日に比べて乙和さんは明るかった。だが、何処かしら警戒しているのは見て取れた。俺の腕に巻きつくのは変わらず、少し歩きづらい。

 

天「大丈夫ですよ。俺がいますから」

乙和「う、うん•••」

 

更に抱きつく力が強くなり、腕に乙和さんの胸の感触が伝わってきた。だが今の彼女がこんな状態なので、離れろとは少し言い難い。

 

乙和「ごめんね•••昨日からずっと迷惑掛けちゃって」

天「大丈夫ですよ。マネージャーとしての仕事の内です」

 

いや全く違うけど。最早プライベートにまで侵食しちゃってるよ。

 

乙和「えへへっ、優しいね」

天「••••••そんなことないですよ」

 

俺は顔を逸らす。今の乙和さんの笑顔を見て、なんだか恥ずかしくなった。うーん•••こんなはずでは。もっと精神を鍛えなければ。

 

天「学校の方では衣舞紀さんとノアさんを頼ってください。四六時中は相手できませんので」

乙和「じゃあお昼休み!」

天「わかりました。呼びに行くので待っててください」

乙和「はーい!ねぇねぇ、こうしてると私たち、カップルみたいだね!」

天「そうっすね」

 

俺は無表情で適当に返した。乙和さんはご立腹なご様子で、俺に掴みかかった。

 

乙和「そこまで普通に返さなくてもいいじゃん!」

天「そんな事言われましても•••付き合ってないのは事実じゃないですか」

乙和「じゃあ早く返事ちょうだい!」

天「•••••••••それは」

 

俺は口籠る。まだ、今乙和さんに向けている感情が何なのかわからない。だから返答に困る。

 

天「••••••まだ、よくわかりません。ただ、嫌なものではないというのは確かです」

乙和「••••••?どういうこと?」

天「今の乙和さんに対する感情というか、そういったものが何なのか、わかりません」

乙和「••••••へぇー、そっかそっか!ならゆっくりでもいいから考えてね!それか他の人に相談するのも手だよ?」

 

急に機嫌が良くなった乙和さんから立て続けにアドバイスをいただく。かえって訳がわからなくなり、俺は首を傾げた。

 

乙和「(きっと天くんは私に恋してるんだ•••!嬉しいなぁ•••お昼休みはもっと大胆に攻めちゃお!)」




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