朝の日差しが襲い掛かってきて、俺は目覚める。昨日の記憶がしっかりと残っていたので、ふと視線を下に下ろした。
乙和さんが穏やかな寝息を立てて、俺の胸の中で眠っていた。一度口を開けば元気でうるさいが、こうして眠っていればとても可愛い。
乙和「んぅ•••あれ•••?」
どうやら乙和さんも目が覚めたようだ。目を開けた瞬間日差しが目に入って、びっくりしたように瞑る。
乙和「えっへへ、おはよう天くん」
天「おはようございます」
上目遣いからの笑顔で挨拶を向ける乙和さん。それに対して俺は、微笑しながらのものだった。
乙和「天くんのここ落ち着くなー。おかげでぐっすり眠れたよ!」
天「それはよかったです。乙和さんも抱き心地最高でした」
乙和「•••なんだかえっちに聞こえるのは気の所為かな•••?」
天「だんだん月に毒されてきましたね••••••」
乙和さんがうちで暮らしていても、月は相も変わらず問題発言を繰り返していた。乙和さんは赤面しっぱなしだったが、今は少しだけ慣れてきていた。
乙和「月ちゃんって•••家だとあんな感じなんだね••••••」
天「父さんに似てしまったもので••••••」
俺は遠い目を向ける。見た目は全くもって似てないが、性格の変態的な悪い部分は、ほとんど父さんと変わらない。いや、むしろ月の方が酷いとすら言える程だ。何がどうしてこうなったのだろうか。
月「はいはいはーい。お二人さんまだ寝てるのー?朝ご飯食べるよー」
天「ん?もうそんな時間か」
乙和「今行くね〜」
俺の部屋に来た月が呼び掛けた。俺と乙和さんはベッドを降りて、一階のリビングへと向かう。テーブルには朝食が並んでおり、いつもの位置に全員座った。
月「それで、二人はもう付き合ってるんでしょ?」
天「いやなんでわかんの?」
毎度毎度思うが、エスパーなのか?この妹は。その例の月は自信満々に胸を張っていた。まな板め。
月「何年私がお兄ちゃんの妹をしていると思ってるのさ!これくらいわかるに決まってるじゃん!」
乙和「兄妹ってそういうものなのかな?」
天「月が特殊なだけですよ」
月「私たちラブラブ兄妹だもんねー?」
俺は嘲笑を月に向けた。月は笑顔のままだが、少しキレてるだろう。微妙に殺意を感じるからだ。
乙和「私たちの方がラブラブだもん!」
隣に座っている乙和さんは、俺の腕を抱いてこちらに引き寄せた。もう月の掌の上で踊らされてるなこの人••••••。
月「それで、セックスはいつするの?」
天「お前口開けばいつもそれだよな」
俺は呆れた目を月に向ける。乙和さんは顔を赤くして黙り込んでしまった。
月「お互い恋人なんだし、結婚後の予行練習と思ってしときなよー?結婚初夜で失敗とか笑えないからね」
天「クソ先の話すんな•••お前•••」
しかも意外と現実的な事言ってるのが何よりムカつく。というか乙和さんがいる前でセックス言うなや。
天「俺たちには俺たちのペースがあんだよ。一々言わなくていい」
月「•••そうだね。お兄ちゃん、しっかりしてるからね」
今の月の表情は、母さんを思わせた。今はあまり見ない母さんの優しい笑顔を、月で見たような気になった。
月「お母さんシック?」
天「バカ言うな。俺がそんなタマじゃねぇのは、月が一番わかってるだろ?」
月「まぁね。どうせ高校卒業したら、家出るんでしょ?」
微笑みながら、何処か悲しそうな表情を月は見せた。俺が一人暮らし始めたら、一人であのやべー奴二人の対応頼んだぞ。俺は知らん。
天「ぶっちゃけ今からでも出たいんだよな••••••」
月「気持ちはわかるよ•••うん••••••」
乙和「???どう言う事?」
俺たちの話についていけてなかった乙和さんが首を傾げた。俺と月は力なく笑うだけで、その内容を話す事はなかった。
支度を終えて家から外に出れば、乙和さんは遠慮する事なく俺の手を握った。チラリと見てみれば、目があって笑顔を向けてくる。•••こういう誰に対しても笑顔なのがモテる秘訣なのかね、としみじみと感じた。俺はもう乙和さんがいるからモテる必要ゼロなんだけど。
天「もうそろそろ家に帰ってもいいのでは?」
乙和「やだ!天くんの家にずっといる!」
天「えぇ•••(呆然)」
元々は乙和さんの精神面が落ち着くまでのはずだったのに、今となってはただうちに住み着く居候に成り果てていた。親御さん悲しむぞ。
天「流石に家には帰ってあげましょうよ••••••それに長く居座らせたら、乙和さんのご両親になんか言われそうで怖いです」
乙和「大丈夫だよ!その時は私もちゃんと説得するから、もうしばらくは天くんの家で暮らしたいな•••ダメ•••?」
少し不安そうな上目遣いで俺を見上げる乙和さん。身長差がかなりあるので、それも自然と行えていた。そして何よりその顔が可愛くて、俺は渋々ながら頷いた。
乙和「やった!」
こんな小さな事で一々喜ばれると、なんだかこっちもほっこりする。まるで娘を見ているようだ。この人先輩だけど()
乙和「あーあ。天くんがもっと子供っぽかったら、私がお姉ちゃんみたいに相手できたのに」
天「乙和先輩以上の子供とか小学生レベルじゃないですか」
乙和「それどういうこと!?私って小学生といい勝負するくらい子供なの!?」
天「少なくとも俺が見てきた限りでは」
乙和「酷いなー天くんは!」
乙和さんは少し怒って抱く力を強めた。その所為で乙和さんの胸の感触が腕に伝わってドキドキした。クソ、身体は小さいのになんで胸は育ってんだこの人。
乙和「ど、どう?少しはドキドキしたんじゃないかな•••?」
天「•••早く学校行きますよ」
乙和「あ!天くん照れてるー!かっわいい!」
天「可愛い言うな」
くしゃくしゃと乱暴に乙和さんの頭を撫でてやった。髪型が乱れたが、そんなことは今はどうでもいい。
乙和「むぅ•••これじゃ私が子供扱いされてるみたい••••••」
天「だったらノアさんみたいに落ち着きを持ったらどうですか?」
乙和「そこでノアを比較に出さないで欲しいな••••••」
天「まぁわざとですけどね」
乙和「天くんの当たりが強くなった気がする•••」
天「遠慮がなくなった、の方が近いかもしれないですね」
もう恋人だし、変に気を遣うつもりは無くなった。その方が乙和さんも対応しやすいだろう。そのおかげで月並みに何でもかんでも言うようになったが。
乙和「私の事いじめて楽しいの!?」
天「乙和さんの反応が面白いので楽しいですね」
乙和「ふーんだ!天くんなんて知らない!」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。それでも俺の手は握り続けている。俺は小さく息を吐いて、乙和さんの手を再度握った。
天「すみません。乙和さんの事が可愛いのでつい」
乙和「••••••ホント?」
天「釣れるの早いですねwww」
乙和「〜〜〜!天くんのいじわる!」
俺と乙和さんは、学校がすぐ目の前にあるのにも気がつかず、仲のいい友達のようにふざけた。そしてそれを見ていた男子生徒は、
男子生徒A「なんだあのイチャイチャは••••••シャム(ホテル)カレー食お•••••••••」
呆れた目を向けながらカレーを食べようと決意した。いやなんでカレーやねん。
感想評価オナシャス!そういやよくよく考えたら大晦日お正月はこれ書けないから今のうちに書き貯めしといて正解だったなwやったぜ。