敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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やっと休日だよ。まぁ月曜からテストだから普通に勉強するけどねwあー、めんどくせー。卒業までずっと遊んでいたいw


パパアタック

ライブ当日。俺は控え室でぐったりとしていた。挨拶周り、機材運びなど、力仕事に加えて一番の面倒事もあってか、まだライブが始まる前だというのに疲れていた。

 

乙和「だいじょーぶ?」

天「••••••えぇ、何とか」

 

もうライブを観るとかそんな気力は残っていない。今すぐ帰って寝たい。

 

天「••••••ねむ」

乙和「今ここで寝ておく?あんまり無理して身体壊したらダメだよ?」

天「そうしたいですけど•••流石にみんながステージ立つってところで寝るわけにはいかないですよ」

 

そんなことしたら失礼に値する。というか、マネージャーが担当の晴れ舞台を見なくてどうするって話だ。両手で両頬をバチン!と力強く叩いて強制的に目を覚ます。

 

天「••••••でもやっぱ眠いな」

 

それでも眠気には敵わなかった。多分今の睡眠欲求は父さんよりも強いだろう。熟睡コース確定である。

 

ノア「まだ私たちの出番までかなりの時間があるから、仮眠くらいは取っておいた方がいいよ?」

天「••••••そうですね」

 

コクリコクリと、頭がガクガク揺れ始めた頃に、何かに包まれる感覚があった。視界が真っ暗で何が何だかわからないが。すごく柔らかかった。

 

天「?今どうなってんだ?」

乙和「私が抱きしめてまーす」

天「あぁ•••通りで柔らかいと思ったら••••••」

 

この感覚は乙和さんの胸によるものだったのか。ならいいや。寝ていいと言ってくれるので、お言葉に甘えて俺は目を閉じる。

 

天「•••••••••すぅー•••」

乙和「あ、もう寝ちゃった」

衣舞紀「きっとかなり疲れてたのね•••ここ一週間程、仕事ばかりだったから」

ノア「天くん、何時に帰ってきてたの?」

乙和「11時から0時の間••••••」

ノア「それは疲れるよ••••••」

 

ノアさんは嘆息した。その分学校でも睡眠時間を確保してきたが、それでも足りずに今日まで眠気を引きずっていたわけだ。

 

衣舞紀「抱きしめてたら、天は苦しくないの?」

乙和「大丈夫!そんなに強く絞めてないから」

咲姫「そういう問題じゃないと思う••••••」

 

苦笑混じりに、咲姫は言葉を返した。乙和さんはぶーぶーと不満を漏らしたが、あんたはそれでいいのか。

 

ノア「それにしても、こんな体勢でよく寝られるよね•••」

 

今の俺の体勢は、乙和さんに抱きしめられたのもあって、前屈みになっている。多分普通の人がこの体勢を続けたら腰を悪くするだろう。だが生憎、鍛えている俺には全くの無傷だ。

 

咲姫「すごく安心してる•••」

乙和「だよねだよね!それに寝顔も可愛い!」

ノア「あっ、それ私のセリフ!」

 

普段ならノアさんが叫んでいるところを乙和さんが一足早く横取りする。それに対してノアさんは不平を唱えた。

 

咲姫「あまり騒ぐと、天くんが起きちゃう•••」

ノア「あっ、そうだね•••」

乙和「えっへへ〜」

ノア「••••••さっきから何してるの?」

 

ノアさんが乙和さんに目を向けると、彼女は俺の頭を撫でていた。

 

乙和「いつもやられるから仕返し!」

ノア「うわ〜、簡単に想像がついてしまう••••••」

衣舞紀「どちらかと言うと、というより完全に天の方が精神的には大人よね••••••」

乙和「二人とも酷ーい!」

天「んぅ、うぅ•••」

咲姫「起きそう•••」

 

流石にみんなの声がうるさくて、俺は目が覚め掛けていた。が、眠気は休みなく襲ってくるので、このまま起きようという気力は一切湧かなかった。でも、手がダラン、と力なく垂れているのは違和感があったので、寝ぼけたまま、乙和さんの背中に回す。

 

乙和「あれ!?」

ノア「起きてないっぽいね•••」

咲姫「多分寝ぼけてる••••••」

乙和「なんだか甘えてる子供みたい•••」

 

乙和さんは更に俺の頭を撫でる。それがとても心地よくて、寝ぼけて朦朧としていた意識が一気に途絶えた。

 

乙和「あ、また寝ちゃった。可愛いな〜」

ノア「顔•••顔見せて•••!」

乙和「やーだよーだ!天くんの寝顔は私の所有物だから!」

衣舞紀「また始まった•••よく飽きないわね••••••」

咲姫「すごく仲良し••••••」

 

乙和さんとノアさんが言い合いをするいつもの光景を、咲姫と衣舞紀さんは微笑ましそうに眺めていた。その間で呑気に眠っている俺は一体何なのだろうか()

 

しばらくして、俺は自然と目を覚ました。先程の眠気は少し残っていたが、それでもマシにはなっていた。

 

天「ふぁ、ああぁぁ〜•••あれ•••ここどこだ••••••」

 

目の前が真っ暗で何も見えない•••あ、そういえば乙和さんに抱きしめられながら寝たんだった。じゃあこれ乙和さんの胸か••••••えぇ•••(困惑)。

 

乙和「あっ、目が覚めたみたい」

ノア「大丈夫?まだ眠たい?」

天「いえ、だいぶスッキリしました。乙和さん、ありがとうございます」

乙和「いえいえ〜!彼女として当然の事をしたまでだよ!」

衣舞紀「乙和、そろそろ行くよ」

乙和「わかった!•••その前に、んっ!」

 

俺の目の前で、乙和さんは両腕を広げる。俺は苦笑しながら、彼女を抱きしめた。

 

天「頑張ってください」

乙和「うん!頑張ってくる!」

 

乙和さんはすぐに離れて、ステージの方へ向かっていった。俺も控え室を出て、関係者席へと足を進めた。

 

ライブは滞りなく終わった。観客からの歓声もしっかりあって、成功したと言えるだろう。

控え室に戻った後、俺は大きく息を吐いた。

 

天「いやー終わった終わった」

 

妙な安心感があり、心落ち着いた。不意に、スーツの裾を引かれて振り向くと、乙和さんが笑顔でこちらを見ていた。

 

乙和「ね、天くん。ちょっといいかな?」

天「えぇ、大丈夫です」

乙和「じゃあ、こっち」

 

乙和さんは俺の手を引いて、控え室を後にしたーー。

 

打ち上げをいつものファミレスでやった後、俺は乙和さんと咲姫の二人を連れて、家へと帰っていた。

 

乙和「んー!ライブ良かったねー!」

咲姫「うん。いろんな色が見えた」

 

乙和さんは興奮が冷めない様子で、咲姫は涼しげに感想を述べていた。が、俺は何処か上の空だった。

 

天「もっとデカい所でも行けそうだな••••••」

乙和「?何か言った?」

天「いえ、何でもありません」

 

打ち上げ中に軽くPhoton Maidenについて調べていたら、行けなかった、という人の声がかなりあった。もう少し大きいハコを押さえて、更に集客を計りたいと考えている。

 

天「•••••••••?」

 

俺は違和感を感じた。目の前にやたらデカい人影があり、威圧感を感じさせた。咄嗟に立ち止まると、二人も止まる。そして、その人影を見て怯えた表情を見せた。

 

天「••••••父さん、何でここに」

猛「•••天か。死ねぇ!」

天「ーーッ!?」

 

唐突に飛んできた拳。受け流すと咲姫か乙和さんに当たりかねないので、すり足で後ろに下がって躱した。

 

天「何なんだ急に!」

猛「オラオラオラァ!!」

 

どんどん飛んでくるパンチを、俺は受け流して避ける。風切り音を鳴らしながら飛んでくる拳は、まるで隕石のようだった。隙を見つけて顔面に手の甲を叩きつけるが、効いている様子は一切なかった。

 

猛「天ぁ••••••なんでおめぇはそうなんだ•••••••••」

天「•••?あっ•••(察し)。酔ってるなこれ」

 

暗闇に目が慣れて、父さんの顔が微かにだが見えた。もう酷いくらいに真っ赤で、酔いに酔っていた。

 

乙和「天くん大丈夫!?」

天「はい!先に戻っていてください!」

 

乙和さんから心配の声が上がるが、今の状況だと近くに居られる方がかえって困る。なのですぐに家に向かうよう指示を出した。それを聞いた乙和さんは、咲姫と一緒に歩き出した。

 

猛「なんでマネージャーなんて仕事に就いたんだおめぇはよぉ••••••父さんと同じ軍で良かったじゃねぇか••••••」

天「お生憎様、俺は今の仕事に満足している。今更乗り換えなんてできないさ」

猛「ふんっ!」

天「ほっ」

 

飛んできたパンチを受け流す。そこにキックも飛んできて、俺は腕をクロスにして防ぐ。ビリビリと腕が痺れる。父さんの足蹴りの威力を物語っていた。

 

猛「今からでも遅くねぇ••••••こっちに来い••••••!」

天「嫌だっつーの••••••」

 

父さんの本音が聞けたのは正直嬉しい。だが、そんな切実な願いでも、俺にもやりたい事、つまり願望がある。だから聞き入れられない。

 

天「なぁ、父さん。頼むからもう終わりにしてくれ、その話は」

 

俺が初めてマネージャーとして職に就いた中学一年生の頃。父さんからは酷い反対を受けた。何故軍に入らないのか、国の為に戦いたくないのか、と。あの時は曖昧にして誤魔化してきたが、今ならハッキリと言える。

『今の仕事が好きだから』と。前までは本当に『仕事』としてやってきたが、今は楽しい。本当に心からそう思う。

 

天「ほら、さっさと家帰るぞ?月も待ってる」

猛「俺は•••諦めないからな••••••お前を迎え入れる••••••」

 

グラリと、巨体が揺れた。そしてそのまま前方へと倒れる。それを受け止めて、担ぎ上げた。

 

天「おっも•••」

 

90kg以上あるものを持ち上げているのだ。腰が折れそうである。だが我慢して、俺は家まで父さんを肩に担ぎながら、歩いた。




R18も投稿したので、見たい人はどうぞ!
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