父さんを連れて家に帰り着く。普段はあまり入らない父さんの部屋に入り、彼をベッドに放り込んで俺はすぐに部屋を出た。銃とかナイフが置いてあって、あまり見たくなかったからだ。
リビングに顔を出すと、月と乙和さんと•••咲姫がいた。なんでや。
咲姫「おかえり•••。大丈夫だった?」
天「あぁ。あのバカ、ただ酔ってただけだった」
月「お父さん何やってるの•••まさかご近所さんに手出したりしてないよね••••••」
月が肝が冷えたような怯えた表情になる。俺はあぁ、と納得の表情を浮かべた。ご近所様方からは、月は大層可愛がって貰っている。父さんの事を隠して()さっきの父さんの行動が明るみに出れば、ちょいと面倒な事になる。多分被害は俺にもまわるだろう。
乙和「あ、咲姫ちゃん泊まって行くって」
天「え、そうなのか?」
咲姫「うん••••••ダメ?」
天「いや、全然構わない。着替えは?」
咲姫「ない••••••」
天「月のは••••••無理だな。身長的にも体格的にも」
月「胸なんでしょ!?わかってるよ!しかもこのやり取り二回目だよ!!」
そして一回目に見せた時と同じように、月は腕で自分の胸を隠すポーズを取った。俺は無感情に笑う。
天「また俺のパジャマ引っ張り出すかぁ••••••」
まさかこんなところで中学時代のパジャマが活躍するとは思わなかった。捨てなくてよかったよ。
天「咲姫の身長なら、多少は大丈夫かもな」
乙和さんの場合は本当に小さいからパジャマがブカブカだった。一部分を除いて。咲姫の今の身長は159cm。中1当時の俺の身長は161cmだ。多分イケる。胸はキツいだろうけど。
咲姫「何から何までごめんね••••••」
天「気にしなくていい。どうせ捨てるものがまた使えるんだ。再利用大事」
月「お兄ちゃんからそんな言葉が聞けるとは思わなかったなー。万年筆のインクは無駄遣いしてるご様子で?」
天「仕事で使ってんだからすぐ無くなるんだよ•••」
多分ゴミ箱には万年筆の空インクカートリッジが入った箱が大量に捨てられているだろう。仕事の忙しさも加速して、その分万年筆の出番も増えた。それに比例して使用するインクの量も増えるのだ。
月「全部パソコンでいいじゃない。どうして手書きにこだわるの?」
乙和「あっ、それは私も気になるかも」
天「パソコンなんてあんなデカいもの、外に持ち歩きたくないだけだ。メモ帳にサッと記録しておいた方が、すぐ確認できるだろ」
月「うっわー細かい•••モテない男の特徴だよ?」
天「いや知らんがな•••」
今の流れでモテるモテないの話題入る必要ねぇだろ。というか俺には乙和さんがいるからモテる意味ねぇじゃん。
月「しれっと惚気ないで?」
天「さも当たり前のように俺の心の中読むのやめろや」
月「というか早くお風呂入ったら?疲れてるでしょ?」
天「あぁ•••そうするわ•••」
乙和「じゃあ、私も入ろっかな」
少し疲れた様子で脱衣所に向かおうとしたら、乙和さんもセットでついてきた。
月「あー•••騒がないようにね?」
天「一々言わんでいい」
少し苛立ちを露わにしながら、俺は静かに言葉を紡ぐ。乙和さんの顔は少し赤くなっていて、俺の服の裾を小さく握っていた。
咲姫「騒ぐ•••?•••••••••???」
咲姫はどういう状況なのか理解に苦しみ、首を傾げた。まぁ、彼女は知らない方がいいだろう。恋人同士の裏の部分だし。
天「じゃ、行きますか」
乙和「う、うん•••」
さっきまで元気だった乙和さんは、すっかり弱っていた。多分ライブの後致したのを思い出してるんだな••••••。
風呂場に入った後は、乙和さんはいつも通りになった。一緒に湯船に浸かると、彼女はキャッキャと楽しそうにしていた。
乙和「こうして見ると、天くんって身体つきいいよねー」
天「まぁこれでも父さんに鍛えられてますから」
ペタペタと、興味津々の様子で乙和さんは俺の身体に触れる。
乙和「おぉ〜硬い!そっかー、私、こんな逞しい身体に抱きしめられてたんだね•••通りで安心するわけだ」
乙和さんが俺に密着する。俺は彼女を抱きしめて、頭を撫でた。
乙和「頭撫でてもらうの、好きかも••••••とても落ち着く••••••」
天「そですか。てっきり子供扱いするなって怒るかなーと思いましたけど」
乙和「天くんだからいいの!他の人はダメ!」
天「ワガママですね••••••」
乙和「そういう天くんは誰でも抱きしめたりするの?」
天「特定の相手だけですね。乙和さんや月とか••••••」
言われてみれば俺も乙和さんと同じような感覚だったわ。反省反省。
乙和「天くん、月ちゃん抱きしめるんだ?」
天「たまにあいつが来るんですよ。その時に」
乙和「やっぱり、お兄ちゃんだな〜」
天「腐っても兄ですから」
乙和「だからこんなに頼りになるんだね」
天「••••••どうでしょうね。俺も月に頼ってる部分は多々ありますので」
家事とか全部任せてしまってるし、なんか俺が情けなくなってくる。これ以上考えたら、俺が惨めになりそうだからやめておこう。
乙和「もっとぎゅー!」
天「はいはい」
要望に応えて、更に密着するように乙和さんの身体をこちらへ寄せる。柔らかい肉が俺の筋肉に沈んで形を変えた。
乙和「えへへ〜!あったかーい!」
天「なんでこんなにワガママなんだろうなぁ•••この人」
乙和「ワガママじゃないもーん!天くんが好きなだけだもーん!」
それは大変嬉しい事だが、いつもいつもそうやってせがまれてたらいずれ疲れてしまいそうだ。
天「どうせ風呂上がった後もくっつくんでしょう?」
乙和「当たり前じゃん!もう私は天くん無しでは生きていけないからね!」
天「来年俺が修学旅行行ってる間どうするつもりですか」
乙和「••••••私もついて行く!」
天「その時あなた三年生ですよ!?」
突拍子もない意見が飛んできて、俺はつい叫んでしまう。風呂場で二人の男女が裸になってくっついて、っていう光景自体あまり見ないが、ここまで騒ぐのは中々ないだろう。
乙和「•••なんだか暑くなってきた。そろそろあがろっか?」
天「そうですね」
俺たちは同時に立ち上がる。こうしてみると本当に乙和さんって小さいな•••。それでこんなデカい胸してんだから驚きだよ。
乙和「なんだかエッチな視線を感じるぞ!」
天「気の所為ですよ」
乙和「ホントかなぁ•••天くんエッチだし」
天「乙和さんにだけは言われたくないです」
乙和「なんだよなんだよ!今度は冷たいぞ!」
乙和さんは俺に抱きついてプンスカと可愛らしく怒る。
月「もう、いつまでイチャついてるの?私と咲姫さん待ってるんだけど?」
天「あぁ、すぐ出る」
中々上がってこない俺たちを見かねたのか、月は脱衣所にまで来ていた。すぐに身体を拭いて、自室に駆け込んだ。
ベッドに寝転がると、それについてくるように乙和さんも寝転がる。そしてすぐに抱きついてくる。最早いつも通りの日常と化していた。
乙和「明日はおやすみだね!何処か行こうかな?」
天「いえ•••疲れました。明日はゆったりしたいです」
乙和「そっかー。じゃあ明日は一日中ゴロゴロする日?」
天「そんな感じですね」
今日だけでもかなりの疲労感だ。多分明日にまで持ち越しになる程の。その所為で、出かけようなんて気が一切起こらずにいた。合わせてくれる乙和さんに申し訳ない。
乙和「つまりはお家デートみたいなものかな?私初めてだからちょっと楽しみかも!」
だが彼女は彼女なりに楽しみを見いだしているようで、安心した。それが表情に出たのか、俺は微笑んでいた。
乙和「明日もまた楽しくなるね!」
天「そうですね」
一番楽しそうにしている乙和さんを見て、俺はふっ、と笑う。本当に俺にはもったいない人だ。だが、彼女は俺を選んでくれたんだ。誇ってもいいだろう。
感想評価、オッスお願いしまーす。今日だけでプロテイン五個も消費しちゃったよ〜www腹減ったぁ。