敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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テスト明日が最終日じゃあ!明日乗り切れば冬休みまで耐えるだけや!よっしゃ遊ぶぞー!リア友と温泉行くぞー!テスト勉強?んなもん知らん()


魂の拠り所

俺は不思議と早く目が覚めた。いや、不思議だとか無意識だとかそんなのじゃない。明らかに感じる気配を察知して、防衛反応で意識が勝手に覚醒したのだ。

 

天「••••••父さんか」

 

もう分かっていた。一階に父さんがいる。それでいて、殺意にも敵意にも似た『何か』がそこにはあった。警戒しながら一階に降りると、父さんは玄関の近くで立っていて俺を睨みつけていた。

 

猛「•••天••••••。軍本部に行くぞ」

天「その言葉が出るってことは•••交渉はダメだったか」

 

俺の言葉に、父さんは静かに頷く。が、そんなノコノコとついて行く義理も理由もないので、俺はその場にとどまった。

 

猛「早くしろ。でないと、月ともう一人いる誰かが起きるだろ」

天「悪いけど、前言った通り俺は軍に行くつもりはない」

猛「そう言うとは思っていた••••••だからこうする。今から公園に行くぞ。そこなら人目もない。お前を力尽くで叩き潰して、引きずって行く」

天「はぁ••••••できることなら父さんと殺り合いたくなかったんだが•••仕方ないか」

 

俺は壁に預けていた身体を起こして、父さんと一緒に家を出る。そしてそのまま公園まで行き、お互いに距離を取る。そして同時に構えた。

 

猛「今回は教えるとかそんなものは何もない•••ただお前を叩き潰す!」

天「やってみろよこのクソ親父がぁ!」

 

俺は地面を蹴って、一気に父さんとの距離を詰める。そこに拳を放つが、父さんも同じようにパンチを繰り出す。俺たちの拳が重なり、大きな音と衝撃が走った。

 

天「ぐうぅ!」

 

やはり、というか当たり前だが力負けしてしまう。地面を蹴って空中にいる状態だったので、吹っ飛ばされる。

 

猛「そんなもんか!?ぬあぁっ!」

天「ーーッ!」

 

飛んできた拳は、ブォンっと空気を殴る音と共に襲いかかってくる。受け流して、首に手刀を叩き込む。が、父さんには全く効いた様子がなかった。

 

猛「はあぁっ!」

天「がはっ!」

 

受け流していないもう片方の腕が俺の肩に当たり、俺はその部分を中心に衝撃を与えられる。肩が地面に引っ張られるかのように、殴られた方向へと向かって行く。

 

天「うるあぁっ!!」

 

そこを何とか耐えて、勢い任せに父さんの顔面をぶん殴った。流石の彼も今のは効いたらしい。よろけている。

 

猛「ぬぅ•••クソがぁ••••••!」

天「クソ•••馬鹿力め•••!」

 

今ので肩が軽く逝ったかもしれない。あり得ないほどの激痛が襲いかかり、他の事が何も考えられない程だ。

 

天「ふぅ•••」

 

息を整えて、痛みに耐えながら構える。が、父さんは構えるのではなく、後ろ腰に手を伸ばした。出てきたのはドデカイナイフ•••いや、ナイフとは形容し難い•••もはやマチェットと言ってもおかしくない大きさだった。

 

天「おいおい•••刃物相手に素手でやれって言うのかよ••••••」

 

俺は薄ら笑いを浮かべて、心を落ち着かせる。そして警戒レベルが爆増した。

 

猛「ぬうぅんっ!」

 

筋肉の塊の巨体が地面を蹴ってこちらに一気に襲いかかる。突いてくるナイフの鎬を殴って位置をズラす。パンチは返す刃で切られかねないので、足で父さんの頭を狙う。

 

天「死ねっ!」

猛「甘ぇんだよ!バカが!」

天「ーーなっ!?」

 

ナイフを持っていない片方の手で俺の足を掴み、そのまま振り上げて地面に叩きつける。

 

天「ぐあぁぁぁ!!」

 

身体全体に凄まじい衝撃と痛みが走る。受け身など一切取れずに、モロに入った。肺もダメージを負って、呼吸が乱れる。

 

天「はぁ•••はぁ•••くっ」

 

父さんを睨みつける。殺意の塊のような気配を纏った今の彼は、俺の父親などではなかった。

 

天「ふんっ!」

 

指を蹴って何とか拘束を逃れる。仕方ない。本当はこんな手を使いたくなかったが、俺の今後がかかっているんだ。死ぬかもしれないが好きにさせてもらおう。

 

天「•••ふぅ••••••」

 

意識を集中させる。その先は、脳ではなく、魂。脳の処理速度をはるかに超える、魂の力に俺は手を伸ばそうとしていた。

 

天「よし••••••」

 

身体の感覚が過敏になる。空気の一つ一つが身体をくすぐる。魂に意識を接続することで、人間は潜在的な能力を飛躍的に向上することができる。俺の場合は、感覚の強化。空気の流れや相手の動きで、『次』を何となく予想することができる。

俺は静かに構える。魂に接続している間は、自分との勝負だ。少しでも気が抜ければ接続が切れ、とてつもない代償を受ける事になる。魂の損傷だ。それはつまり、脳を傷つけているのと同じ事になる。

 

猛「ぬぅあぁ!」

 

父さんはナイフで斬りかかる。見える。先程よりもくっきりと父さんの動きがわかるように見えた。流れる動作で鎬を殴り、父さんの手首を殴る。ナイフを握る手の力が落ちたところを狙って、今度はナイフに蹴りを入れた。ナイフは父さんの手を離れて地面に突き刺さる。

 

猛「な、なにぃ••••••?」

天「これが、今まで魂について研究してきた結果だ。ちゃんと魂は存在するし、それでいて危ない。こうやって接続できるのも、俺くらいだろう」

 

あくまで俺の自論だが、魂は脳の先に存在するのではなく、人を人たらしめる何かとして魂があるのではないかと推測している。以前の俺が敏感な面倒体質だったのも、この魂による影響だったのだろう。そして、人との交流や触れ合いを経て魂が強化されて、体質の克服を果たした。それによって、今は自由に魂に接続できるのだろう。

 

天「ぶっちゃけ危な過ぎるけどな•••でもしょうがねぇ。こうでもしないとあんたを潰せる気がしないからな」

猛「クソッ、ぬあぁ!」

天「はあぁ!」

猛「ぬぅっ!?」

 

父さんが拳を繰り出してきた。それを紙一重で躱して、同時にパンチを繰り出す。俺の拳は見事に父さんの顔面ド真ん中をぶち抜いた。鼻血を出しながら、父さんは顔を抑える。

 

猛「ふんっ!ふんっ!うるあぁっ!クソッ!何故当たらん•••!」

 

パンチ、キックを休みなく繰り出すが、俺はそれを全て避けていた。ステップで、すり足で、上半身を捻って。あらゆる技術を用いて攻撃を躱していった。そこにカウンターで蹴りを一発入れると、父さんは力尽きて、倒れた。

 

猛「はぁっ、はぁっ•••何なんだ、お前••••••本気でやっても勝てねぇなんて••••••」

天「俺の勝ちだ•••父さん••••••俺は軍なんかには入らん。いや、もう軍は信用しない。国もだ。そんな突拍子もないアホな事を考えつく連中には、縁を完全に切る」

猛「•••••••••わかった。俺から話しておく。••••••だが、この先は知らんぞ」

天「承知の上だ」

 

俺は踵を返して、家までの道を歩く。父さん?どうせこのまま仕事に戻るだろ。今はさっさと家に帰って寝たい。魂に接続したおかげで身体は疲弊しきっていた。もうボロボロだ。

 

天「•••うっ、ぐうぅ••••••」

 

接続を切ると、とてつもない頭痛と感覚の暴走に襲われる。これがあるから魂の力を使いたくないのだ。以前と比べて魂は何倍と強化されていた。敏感になっていた身体に耐性ができたのがいい礼だろう。だが、成長した魂でさえも、接続後の後遺症は残る。もし数ヶ月前の状態でやったら俺は確実に死んでいただろう。

 

天「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ••••••、マズいなこれは••••••。ぶっ倒れてしまう••••••」

 

よろける足で、無様に歩を進める。ゆっくりと時間をかけて引きずっていき、ようやくついた我が家の玄関を開ける。それと同時に、俺の意識は途絶えて、消えた•••。




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