出会いは大事だと言うが俺はそう思わない
DJってなんだろうな?俺がこの界隈に入った時に一番に感じた疑問だ。そもそも俺は芸能人のマネージャーとしてこの世界に飛び込んだはずだ。今までは軽く売れてる程度の芸人のマネージャーをやったりしていたが、今回はあまりにも勝手が違う。•••DJのグループって何やねん。俺何すればいいんだよ、マジで。大体の説明云々はプロデューサーの姫神さんがしてくれたが、イマイチ理解が追いつかん。いや、マネージャーとして仕事をできるのは大いに嬉しい。だけどDJは聞いてねぇって(困惑)。これから顔合わせとかするわけだけど•••不安だ。姫神プロデューサーが言うには殆ど歳が近かったり変わらないメンツだから、変に肩肘張らずに気楽にしていいとのこと。そうして、打ち合わせ室に通された俺は目を疑った。目の前にいた四人は全員女子だったのだ。しかもかなりの美少女たちだ。気楽どころか余計に緊張するんだけど、ねぇ。どないしてくれんの?これ。
姫神「今日からキミたちのマネージャーとしてサポートしてくれる、神山天くんだ。歳は16だったかな?仲良くしてやってくれ」
天「神山天です。よろしくお願いします」
礼儀正しく、真面目なトーンで腰を折って頭を下げた。さて、相手方の反応次第では仕事のやる気が変わるぞマジで。
咲姫「私と同い年•••よろしく、天くん」
いきなり名前呼びかよ!?えっと、今喋ったのが•••出雲咲姫さんか•••ん!?陽葉学園の一年生!?俺と同じ学校じゃねぇか!?というかここのメンバー全員陽葉学園の人間かよ!?死んだわこれ。
衣舞紀「神山天だね、よろしく!へぇー結構可愛い顔してるんだ」
カッチーン。この神山天、可愛いと言われるのが何より嫌いな人間だ。この人は新島衣舞紀さんか。絶対許サンズ。
乙和「よろしく天くん!」
元気な声で返してくれたのは花巻乙和さんか。あ、この見た目で二年生か•••一年生かと思った•••マジで申し訳ない。
ノア「•••••••••」
さて、最後の一人、福島ノアさんだが•••一切言動を発さず、俺を見つめているが•••何、怖いんだけど。
衣舞紀「ノア?どうかしたの?」
ノア「かっ、可愛い!!!」
は?(キレ気味)一瞬だが眉間に皺が寄ったのを感じた。何なんだ一体•••可愛い言うのやめろよ本当•••。
ノア「声と身体は男なのに顔がすっごい可愛い!待ってこんな可愛い男の子っているの!?」
しかもなんか変なスイッチ入ってるし何なんだよ。ってこっち来やがった!?後ろーー壁だ、詰んだ。
ピト。福島さんの手が俺の腕に触れた瞬間ーー、
天「ぐっ!!?」
ゾクゾクするような気持ち悪い感覚に襲われて、膝から崩れ落ちた。
ノア「えっ!?だ、大丈夫!?」
福島さんが俺に手を差し伸べようとしたが、俺はその手を払った。
天「さっ、触らないで•••ください•••」
触られた腕をつい抑えてしまう程、感覚の暴走が凄かった。まだゾクゾクしていて、痺れに近いような感じがする。
姫神「あー、言ってなかったな。彼、何というか、敏感なんだよ。だから、触ったりとかは勘弁してやれ。彼の為だ」
ノア「ご、ごめんね。知らずに触っちゃって」
天「は、はい•••今後気をつけてもらえれば•••」
何とか立ち上がって壁にもたれかかる。どんだけ後残るんだよこれ•••。
姫神「それじゃ、私は仕事に戻る。後の事は神山くんが指示を出してくれるから、それに従うように」
咲姫•衣舞紀•乙和•ノア「はい!」
姫神プロデューサーは打ち合わせ室を出て行き、俺たち5人だけが残った。とりあえず今後の事を話すために、俺も座った。
天「じゃあ、早速今後の予定についてーー」
咲姫「その前に」
俺の出鼻を挫き、出雲さんが口を開いた。俺は言葉を中断して、出雲さんが話せるよう促した。
咲姫「天くんの事を、まず知りたい」
天「俺と貴方方との関係は仕事としての間柄でしかありません。お互いプライベートに踏み入る事なくやっていきたいと、俺は考えているのですが」
俺は冷静に意見をぶつける。どうせマネージャーとしての仕事が終わったら絡むこともないんだ。一々関係を作るなんてバカバカしい。
咲姫「個人的に、天くんに興味がある」
天「••••••何も話しませんよ。あくまで仕事なんですかrーー」
咲姫「えいっ」
天「うわぁ!!」
つん、と俺の肩を出雲さんは指でつついた。俺はビクッ!と跳ねる。
咲姫「話してくれるまで、つんつんし続ける」
天「ちょっ、や、やめっふぐぅ!!」
俺が嫌がっていようとお構いなしに出雲さんは指でどんどん俺の身体に触れてくる。あ、ダメ、これ限界•••。
天「まっ、待って•••こ、これ以上は•••」
咲姫「話す気になった?」
天「わ、わかった•••は、話すから•••勘弁して•••」
完膚なきまでに精神をズタボロに引き裂かれた。もうお婿に行けないゾ•••(涙目)。とりあえず攻撃が止んだので、俺はようやく落ち着く事ができた•••まだ突かれた肩は震えているが。
天「それで出雲さん•••何が望みですか•••」
咲姫「天くんの事について」
微笑み、と表現するような微かな笑みを浮かべて出雲さんは喋った。俺は少し唸る。俺の事についてと言われても、何言えばいいかあまりわからん。
ノア「じゃ、じゃあ!そんなに顔が可愛いのはどうして!?」
天「可愛い言うのは勘弁して欲しいんですけど•••単純に母に顔が似た結果ですよ」
衣舞紀「天のお母さんって、神山柚木さん?」
天「はい、そうです」
母の存在を知っていた新島さんが疑問を口にして、俺はそれに対して頷く。まぁ有名人だしな•••母さん。
咲姫「底の見えない海••••••」
乙和「咲姫ちゃん、どうしたの?」
咲姫「天くんの色が、感情が•••まるで海•••」
感情を読み取れるのか•••?あぁ、いや、資料の方に色彩を感じる「共感覚」ってのがあったな。今のもその共感覚によるものだろうか。というか海って•••何で。
咲姫「家族でさえ知らないような、秘密をたくさん抱えてる•••?」
天「秘密、って言えるようなものは全くないけど•••」
それ俺がただ自分の事を表に一切出さないからだと思われ。まぁ変に解釈されようが別にいい。どうせちょっとの付き合いだ。
天「というかいい加減仕事の話していいですか?」
衣舞紀「あぁ、ごめんごめん!じゃあお願い」
天「まず歌やダンスのレッスンはこれまで通りに続けます。多少スケジュールが厳しくなるかもしれませんが•••俺が伝手で色々な会場を使わせて貰えるので、そこでライブをやるということも可能です。そこは皆さんの意思に任せますが、ある程度の要望であれば聞き入れます」
乙和「しっつもーん!」
挙手をして申し出た花巻さんに対して、俺は頷く。
乙和「天くんの好きな食べ物が知りたいでーす!」
天「仕事と関係ない質問はやめてください」
俺は一蹴する。花巻さんからブーイングが飛んできたが無視して続ける。
天「とりあえずは以上となります。明日もレッスンはありますので、学校が終わり次第、事務所にお願いします」
メモ帳をパタン、と閉じて胸ポケットに入れる。そして立ち上がり、
天「では、Photon Maidenの皆様、これからよろしくお願いします」
頭を下げて部屋を出た。とりあえず今日の仕事はこれで終わりなので俺は直帰するぜ。
事務所の外に出て、俺は大きく伸びをする。Photon Maiden•••才能豊かな少女達を集めた新星ユニットか•••俺の手の中に収まるような連中でない事は確かだが、やれるだけの事はやろう。これは仕事だ。責任を持たなければならない。でもちょっと疲れたんだよな•••主に出雲さんの所為で。
セ◯ンでミルク餡饅を購入して、近くのベンチに腰掛けてそれを一口齧る。甘くて美味しい。
咲姫「あっ•••」
天「ん?」
誰かの声がして後ろを向けば、出雲さんが目の前にいた。あ、もうお帰りなのね•••。
咲姫「隣、いい?」
天「えっ、あ、どうぞ」
困惑しながら許可を出した。ストン、と隣に出雲さんが腰掛けて、こっちをジーっと見つめる。食い辛ぇ•••。
咲姫「それ、美味しい?」
天「あぁ、はい。美味しいですよ」
咲姫「私も食べたい」
天「どうぞ」
たかだか餡饅一つでケチケチする程俺は小さい男ではない。快く出雲さんに餡饅を渡して、出雲さんは食べ始める。
咲姫「あっ、美味しい•••」
天「というか出雲さん、帰り道同じだったんですね」
咲姫「咲姫でいい。呼び捨てで呼んで欲しい。後敬語もなし」
天「えぇ•••(困惑)じゃ、じゃあ、咲姫」
女の子の名前を呼び捨てで呼ぶとか妹以外でこの人が初めてなんじゃねぇか。基本的に他人行儀で付き合ってきたから、男友達ですら名前で呼んでるやついねぇし。
咲姫「天くん、家はどこ?」
天「あそこをまっすぐ行ったら着く」
人通りの多い道を指差す。どうやら咲姫も同じだったらしく、少し驚いた顔をしていた。
咲姫「じゃあこれからは、レッスン終わりとか一緒に帰れるね」
不覚にもドキッとしてしまった。不意打ちの甘い言葉に俺の心が反応してしまった。普通に顔は美少女だからなぁ•••。
餡饅を食べ終えて、結局二人で帰路に着いた。なんか•••今日一日だけで色々あったなぁ•••そういや明日普通に学校だし、咲姫や他のメンバーに会わないように注意して行動しよう。これ以上面倒事に首突っ込みたくない。あ、母さんに今日の事報告するの忘れてた()俺は死を覚悟して家の中へ入った。
カレンデュラのエキスパ難過ぎません?ラスサビ入ったらもう死ぬんですけど()バンドリ時代のリンギングや六兆年思い出すなぁ•••