朝起きたら通話ずっと繋げたままでビックリした。これ多分寝息とか寝言とか全部聞かれてしまったパターンだろ。完全に詰みである。というか確実にいじられる。昨日もガラにもなくあんな事言ったから尚更だ。次第に顔が赤くなっていき、昨日の自身の発言を悔やむ。
天「(あんなこと言わなければよかったー•••)」
今の俺だったら羞恥心だけでランニング114514km走れる自信がある。2◯時間テレビのマラソン枠確定で取れますねぇ!
天「いや、そんな事はどうでもいいんだ•••」
とりあえずさっさと学校行く準備をしなければ。俺は月が来る前に身体を起こして、一階に降りた。
陽葉学園に到着した俺は、周りから見てもわかる程絶望した顔をしている事だろう。ノアさんからどういうイジメがくるか恐怖でたまらない。
そして七月も半ば。夏休みがすぐ近くまで来ていた。それに便乗するように暑さもどんどん増してきており、ただ座っているだけなのに汗が顔を伝う。
天「あつっ•••」
顔にへばりつく汗が鬱陶しく感じ、腕で拭い取る。教室には一応エアコンがあるが、まだついていない。周りのクラスメイトも、制服のボタンを開けたり、下敷きやらなんやらで扇いでるやつらばっかりだ。
咲姫「暑いね•••」
同じく多少ながら汗をかいている咲姫がいつものようにこちらに向かってきた。
天「毎度思うが、わざわざ俺のところまで来なくてよくないか?女子と話してた方がよっぽどいいだろ」
咲姫「私は天くんと話す方が好きだから••••••」
可゛愛゛い゛な゛ぁ゛咲゛姫゛く゛ん゛。ノアさんと付き合ってなかったら惚れてますねクォレハ。
天「まぁ、いいならいいんだ•••。俺もそこまで言うつもりもないし」
咲姫「昨日ノアさんとお話ししながら寝たって聞いた」
天「••••••ちょっと待て、何で知ってるんだお前」
嫌な汗が流れる。これ恐らく恋人やりやがったな?
咲姫「私たちのグループにノアさんからそう言った連絡が」
天「•••••••••」
バッグから携帯を取り出して開く。グループの方に通知がきており、すぐにトーク画面へと入る。
ノア『寝落ちした天くんの寝息すっごくカワイかった!普段の声とは思えない安心した声で萌えた!これは天使だ•••もう悔いはない』
天「••••••やったな、あの人」
咲姫「私も聞いてみたい••••••」
天「ぜってぇやだ!」
教室中に、俺の悲痛な叫びが響き渡った。何事かと視線が一気に集中して、それはそれで恥をかいてしまった。
昼休みになり、俺はノアさんの到着を心待ちにしていた。顔は笑顔だったが負の感情はモリモリだった。
陽太「おい福島、今日は天のところ行くのはやめといた方がいいんじゃないか?」
ノア「どうして!?天くんとご飯食べたいのに!」
陽太「いや、なんかすげぇ嫌な予感がする。多分お前死ぬぞ?今日だけは大人しく新島と花巻と一緒に食えマジで!」
必死な様子で神無月はノアさんを説得していた。ノアさんは不満タラタラなご様子だった。
陽太「俺は様子を見てくるが•••頼むからお前はくるなよ?」
ノア「はいはいわかった。もう•••」
仕方なく、彼女は自身の教室へと戻っていった。神無月は大きく息を吐いて、一年の教室に向かう。
陽太「よぉ」
天「•••お前だけか?ノアさんは?」
陽太「今日は来ねぇよ」
それだけ言って、神無月はドカッと傲慢に座る。咲姫も隣に座っていて、なんとも言えない空気になる。
陽太「••••••どうせ福島に何かされたんだろ」
天「よくわかったな。ここに来たらブチのめすつもりだった」
陽太「野蛮だな•••」
真顔でそんな事を言うものだから、神無月は軽く引いていた。
咲姫「意外と根に持つタイプ••••••?」
天「いや、そういうわけじゃないが•••恥晒されたのがやけにイラついてな」
陽太「まぁお前恥かくの昔から大嫌いだったからな」
少し笑いながら、神無月は俺の肩を叩く。
陽太「大事な彼女だろ?許してやる器量くらいは持っておけ」
天「••••••わかった。ちゃんと話をつける」
陽太「•••少しは聞き分けがよくなったな」
天「うっせぇな。中学の俺と一緒にするな」
あの頃はまだガキだったんだから仕方ねぇだろ。仕事のストレスも結構溜まってたし。
咲姫「さっきから全く食べてないよ••••••?」
天「あっ、食べる食べる」
咲姫から軽く促されて、俺はようやく昼食に手を出した。
学校が終わって、俺は事務所の方で仕事をしていた。Photon Maidenの面々は今頃レッスンをしているところだろう。
仕事も終わってかなり暇だったので俺は彼女たちが練習している姿を見ようと、仕事部屋を出る。少し歩いたところですぐに部屋が見えてくる。ノックを一応してから入ると、ちょうど練習中だったようで俺は大人しく隅に寄って眺めていた。
ダンスをしている姿は正直に言って美しい。誰しもが見惚れるであろうパフォーマンスを、俺は目の前でじっくりと眺めているのである。なんてマーベラスなんだろう。
天「•••あっ、ズレたな」
そしてこうやってミスをする姿も見ることができる。こちら側の人間の特権とも言えるだろう。いい立ち位置だ。
ノア「珍しいね。天くんがこっちにくるの」
天「えぇ、まぁ。仕事もないので」
乙和「最近仕事終わるの早くなーい?真面目にやってるのー?」
乙和さんがここぞとばかりにからかってくるが、俺は微笑を返した。
天「ライブの予定を詰め込んでますから、しばらくはそっちに意識を向けてるのであまり調整とかそこら辺はないんですよ」
衣舞紀「じゃあしばらくは天がレッスンを見にくるって事よね。咲姫とノアはかなり気合が入るんじゃないかしら?」
ノア「余計にプレッシャーですよ•••」
意外にもノアさんは弱気だった。
天「パフォーマンスとかそこら辺は素人なんですから、自分が思い描いた通りにやってください」
衣舞紀「そういえば天はダンスとか何も知らないんだったっけ••••••」
なんとも言えない顔で衣舞紀さんが苦笑いをした。今更過ぎて俺は言葉が出なかった。
咲姫「私はダンスをしないから•••」
天「咲姫はリードボーカルだろ?歌の方では期待してるからな」
咲姫「うん•••」
頬を赤くしながら笑顔になる咲姫が可愛かった。そして服の裾を誰かが握ったのを俺は感覚で感じ取る。振り向くとむくれたノアさんがいた。
ノア「私は?」
天「言わなくてもわかるでしょう」
ノア「言ってくれないとわかんない!」
ぶんぶんと俺の腕ごと自身の腕を振るノアさん。その仕草はワガママな子供を彷彿とさせた。
天「もちろんノアさんのダンスも素敵ですよ」
ノア「••••••それだけ?」
天「好きですよ」
ノア「〜〜!?」
ノアさんの顔が一気に赤くなった。本当にわかりやすくて今にも笑ってしまいそうだ。
乙和「こんなところでイチャイチャしないでもらえる〜?」
天「それは失礼しました。それでは、頑張ってください」
いいものが見れたので、俺はレッスン部屋から退散して、仕事部屋へと戻った。
暇だったので明日の分も予めやっていたら、コンコン、と扉がノックされた。
天「どうぞ」
一声掛けると、扉が開いてノアさんが入ってきた。
ノア「練習終わったよ?」
天「じゃあ帰りますか」
俺はパソコンの電源を落としてバッグに入れる。立ち上がろうとしたが、ノアさんに制されてしまった。
天「あの?」
ノア「もうみんな帰ってるし、スタッフさんはお仕事で忙しいんだ。••••••私、我慢できない」
顔を赤くしたノアさんが俺にくっついた。椅子に座ったまま彼女を抱きしめると、体重が思い切りかかる。軽いから別にいいが。
ノア「ね、いいでしょ••••••?」
天「はぁ、わかりました。ここが防音なのが救いですね•••」
俺はノアさんと唇を重ねて、後頭部に手を置いてこちらへと引き寄せた。
R18も投稿するヨ。みたい人向けね。