先日のライブの殺害予告犯の件はすぐにニュースに取り上げられた。朝の情報番組は、その話題で持ちきりとなり、一種のお祭り状態だった。それを見ていた俺と月は苦笑いを浮かべたが、それはすぐに真顔へと変貌を遂げる。
アナウンサー「ーーそして、犯人を捕まえたのはPhoton Maidenのマネージャーを務める神山天さん15歳です。近くにいた観客が、銃を持つ犯人に対応している姿を確認しました」
天「見られてたのかよ!?しかも俺の名前出てるし!」
月「いや、そりゃあんな派手にドンパチやってたら仕方ないでしょ••••••」
うんそうだね納得()。悔しいが認めざるをえないようだ。これ地上波でしょ?俺の顔日本中にバラまかれたって事じゃん。マネージャー引退して隠居したいまである。
月「学校で何言われるか楽しみだねー?人気者まっしぐらかもー?モテモテかもー?」
天「モテる事に関してはノアさんがいるからどうでもいい」
月「おっ、言い切った。やっぱ好きなんすね〜」
天「•••••••••」
これ以上話してたら、月が更にエスカレートして何言い出すかわからないから俺は黙った。
月「ノアさんも幸せ者だな〜。こんなに一途に愛してもらってるんだから。私も彼氏欲しくなっちゃうよ」
天「だったら作ればいいじゃないか。お前顔良いからモテるだろ?」
月「まぁ終業式の日にコクって来た男子はいたけどねー•••確かサッカー部のキャプテンだったっけ?興味ないから断ったけど」
天「ほぉ、なんでだ?」
サッカー部のキャプテンとはこれまたベタだが、月がどういう理由で断ったのかが純粋に気になった。
月「だってサッカーって走ってボール蹴るだけじゃん。そんな人と付き合ってもなー、と思って」
天「世界中のサッカーやってる人たちに謝れ」
それ言ったら野球はボールをバットで打って走るだけだし、バスケはボール跳ねさせながら走るだけじゃねぇか。
月「やっぱ付き合うならお金持ってる人かなー」
天「めっちゃ俗物的やん•••恥ずかしくないの?」
月「恥ずかしくないもーん。お金ないと生きていけないんだからねぇ?」
天「同意を求められても少し困るな。金なんて最低限生きていく分でいいだろ」
月「そんなんでノアさん養えるの?」
ぶっちゃけ養う養わない以前に確実に共働きになることうけあいだろう。仮にノアさんがPhoton Maidenを卒業しても、そのまま演技力を活かして女優の道に進むと思っているからだ。その時は彼女のマネージャーをしてみたい。
月「夢が膨らむねー」
天「人の頭の中見てんじゃねぇよ」
しれっと思考を読んできたので俺は注意する。月はヘラヘラと笑うばかりで反省の色など全くなかった。
月「今日ノアさんとデートなんでしょー?いいの?いつまでも私と話してて」
天「••••••あー、そろそろ行くか」
時計を見ると、待ち合わせの時間が近づいていた。俺は立ち上がって、玄関へと向かう。
月「気をつけてねー」
天「あぁ」
軽く返して、俺は家を出る。そのままスタスタと歩いて駅前へ歩を進める。
天「まだ暑いな••••••」
もうすぐ八月が終わろうとしているが、暑さが和らぐ事などなかった。もうそろそろマシになってもいい頃だと思うのは、俺だけなのかもしれない。
天「•••急ぐか」
このままダラダラと歩いていたら遅れそうな気がして怖くなったので、地面を蹴って走り始めた。
軽く息を吐きながら、駅前に到着する。周りを確認するが、ノアさんの姿はない。手当たり次第に金髪を探してみるか。そう思って歩こうとしたらーー目の前が真っ暗になった。
?「だーれだ?」
しかもリア充漫画でたまにあるアレまできたよ。ここはノッてやるか。
天「乙和さんですよね?こんな事するのあなたくらいしかいませんよ」
?「ち、違うよ!」
天「•••じゃあ衣舞紀さんですか?意外とお茶目なんですね」
?「だから違うって!」
天「まさか•••咲姫か?お前そんな事するキャラだったっけ」
?「違う違うちがーう!」
ぱっ、と目の前が明るくなり、太陽の光が目に入る。振り返ると、頬を膨らませて怒りを露わにしているノアさんが立っていた。
ノア「絶対わざとでしょ!?遊んでたでしょ!?」
天「せっかく前フリしてくれたんですから、応えないのは失礼かと思いまして」
ノア「私は真面目に答えて欲しかった!」
人通りの多い駅前にも関わらず、ノアさんは声高らかに叫んだ。周りの目が集まってきて気まずい。勘弁してくれ。
天「とりあえず移動しましょう。すごく居心地悪いです」
ノア「えっ•••?あっ•••ご、ごめんね?」
周りを見て、彼女は察したように声を漏らして俺に謝った。俺は手を取って、すぐにこの場から離れた。
今度は人の少ない、というよりほぼ通っていない路地に来た。ここなら人目を気にしなくて良さそうだ。
ノア「さっき、ニュース見てたら天くんが出てきた•••」
天「俺も見ました。はぁ、どうしてこうなるかな•••」
俺はボリボリと頭を掻く。ライブの時間の事を事細かにマスコミに質問されまくるのはかなり面倒なんだけど。できることなら相手したくない。
ノア「見るからにめんどくさーいって顔してるね」
天「実際ダルいですよ。これでPhoton Maidenにまで近づいてきたら••••••」
どうせ、「殺されないか怖くありませんでしたか?」なんてデリカシーのカケラもない事を訊くのだろう。これだからマスコミは嫌いなのだ。
ノア「そこまで気にしなくてもいいと思うよ?あまり今回の件は大きくしたくないって姫神プロデューサーも言ってたから」
天「まぁ、あの人が言うなら•••大丈夫か」
未だに姫神プロデューサーの事はよくわかっていないが、信頼できるのは確かなので甘える事にしよう。
ノア「そ、それと•••」
何故かノアさんが顔を赤くしながらモジモジし始めた。え、何(小声)。
ノア「どうして、こんな人のいないところに連れてきたの••••••?」
天「特に理由はないです」
改めて周りを見てみれば人が少ないどころか人っ子一人いなかった。おや•••これは••••••。
天「まさかセックスする為にここまで連れてきたとか言いませんよね?」
ノア「ち、違うの•••?」
天「違いますけど!?俺の事なんだと思ってるんですか!」
それは心外なんだが。俺は性欲の塊ちゃうぞコラ。どちらかというと食欲の方が上だ。
ノア「だ、だって天くん、えっちだし•••」
天「それあなたが言います?(早口)」
ノアさんの頬に手を添えて、彼女の顔を見つめる。大きな瞳が揺れていた。
天「そんな事言うって事は、ノアさんもシたいんじゃないんですか?」
ノア「そっ、そんな事•••」
ぷいっと顔を逸らしたが、徐々に、徐々にだか顔がこちらへ戻りつつあった。そしてまっすぐ顔が見えると、震える唇を動かした。
ノア「そ、天くんと•••シたい••••••」
天「••••••わかりました」
俺はノアさんを抱きしめて、強引に唇を奪った。
行為を終えて、また人通りの多いところへ出る。手を繋いだまま歩くが、ノアさんの歩幅はいつもより小さかった。
ノア「まさか外ですることになるとは•••」
天「何事も経験ですよ」
ノア「天くんも初めてだったでしょ!?」
天「まぁそうですけど」
朝の月と同じようにヘラヘラと笑う。こういうところはやっぱり兄妹なのかねぇ。
ノア「もう•••それで、どこにいこっか?」
機嫌が戻ったのか、ノアさんは俺を上目遣いで見ながら訊いてくる。
天「とりあえずブラブラ回ってみますか。何か面白いものがあるかもしれません」
ノア「了解」
俺たちはいつも通り歩き始める。またライブや色々な事を通して彼女との関係を深めていこうと、俺は密かにそう感じた。
さーて書いてる途中のやつ終わらせないとなー。でもほかにやりたいことあるし、今日の分だけ終わらせて明日から頑張るか()