タンを食べ終えると、次は何の肉を焼こうかとみんなで悩みに悩んでいた。特にどれを食べたいというのはなく、段々適当になりつつあった。
月「••••••何より」
もうみんなの腹が満たされつつあった。特に女性陣はほとんどが満腹だろう。月と衣舞紀さんもその例に漏れず、限界を迎えていた。
天「もぐもぐ•••」
そんな中でも、俺だけは休みなく肉を噛み続けていた。まだ腹に余裕があるので、適当に焼いては食べるの繰り返しとなっていた。
月「お兄ちゃん、よく食べれるね•••」
天「ん?まだそこまで食ってないからな」
いつもの食卓だったら、既に焼いたものを適当に取って食べていたからすぐに腹いっぱいになったものの、今は焼きながら食べるという、非効率的な事をしている。嫌でも間が空くので、その間に多少腹に余裕ができてしまうのだ。
乙和「うぅ•••もうお腹いっぱいだよ〜」
椅子に全体重を預けながら、乙和さんが声を上げる。
ノア「乙和、はしたないよ」
そう言って注意をするノアさんも、あまり人の事が言える状態ではなかった。乙和さん程あからさまではないが、体勢が悪いのは確かだ。
咲姫「しばらく、お肉は食べたくない••••••」
肉ばかり食べていた咲姫は、軽いトラウマに陥っていた。可哀想に。
月「はぁ〜、食べた食べた〜。もうお腹いっぱいだよー」
最後に肉を一枚だけ食べて、月は自身のお腹を撫でる。少し窮屈そうで、息遣いが少し荒かった。
天「衣舞紀さんは•••」
衣舞紀「私ももう限界かな•••」
表情こそ余裕を感じられるが、実際はギリギリの所まで来ていたようだ。
天「これはみんな晩飯いらなそうだな」
小さく笑いながら見渡すと、全員同じように頷いた。時刻も午後四時を回っており、焼肉を開始してから四時間も経過していた。時間が経つのが早い。
天「みんな部屋の中に戻ってて大丈夫ですよ。寝るなり何なりご自由に」
乙和「うぅ•••ちょっと横になりたいかも•••」
月「私も寝転がりたいです•••」
お腹の中に大量の肉を抱えたおチビ二人組は真っ先に家の中へ入っていった。
咲姫「私も入る••••••」
ノア「そうしよっか」
咲姫とノアさんも続いてこの場から離れた。残るは衣舞紀さんだが•••。
天「行かないんですか?」
衣舞紀「天を一人にはできないわ」
天「••••••そんなクサい事言わなくていいですよ」
衣舞紀「恥ずかしい事を言ったつもりはないのだけど•••私に対してだけやたら臆病よね?」
俺は何も言い返せず、ただ肉を噛み続ける事しかできずにいた。衣舞紀さんは微笑みながらずっとそれを眺めている。
衣舞紀「でも、そういうところも好きよ」
天「••••••そうですか」
俺はふいっ、と顔を逸らす。気恥ずかしくて、彼女の顔を見る事ができなかった。
衣舞紀「後どれくらい食べられるかな?」
天「正直もうそんなにイケる気がしません。結構腹いっぱいです」
もう腹がパンパンだぜ。後数枚程度しか入らない気がする。目の前の肉も僅かにしか焼かれておらず、今そこにあるのをラストだと決める。
そしてそれはすぐに平らげられ、俺の後半孤独のグルメが終了した。他の人達はもう寝てしまってる気がするので、俺と衣舞紀さんの二人で片づけに入る。
開始の準備とは違って、片付けはやる事が少ないのでかなり楽だった。
金網はゴミとして処理し、使った炭は適当なところに埋めて、椅子もただ物置にブチ込むだけでよい。
肉が意外と残ったのが少し残念だが、また明日も食べよう。佐々木さんやっぱり送りつけてくる量が多いわ。次はもっと少なくしてくれ頼む。
天「はぁー、終わったー」
衣舞紀「動いたら少しお腹が楽になったわねー」
基本が運ぶ作業だったので、なんだかんだ運動になった。俺もさっきより感覚的に楽だ。
リビングに入ると、四人が仲良く寝ている姿があった。俺と衣舞紀さんは顔を見合わせて、くすりと笑う。
別室から大きい毛布を持ってきて、被せてやる。
天「こうしてみたら•••みんなただの子供だな••••••」
俺も人の事を言えた立場ではないが、今こうして目の前にいる彼女たちは俺より歳下に見えた。実際に一人歳下が混ざってるけど()
衣舞紀「私たちは部屋に行きましょうか。変に騒いで起こさない方がいいし」
天「そうですねっと」
起き上がる時に少し語尾に間ができた。衣舞紀さんを連れて自室に入り、俺はすぐにベッドに座った。その隣に衣舞紀さんも座る
天「はー、食った食ったー。眠たいんで寝ていいですか?」
衣舞紀「すぐに寝るのはダメよ。でも、私も少し眠いわね」
小さくあくびをする衣舞紀さん。俺はふっ、と笑ってしまう。
衣舞紀「お?笑ったなー」
天「いや、なんかあくびしてるのが珍しかったので」
衣舞紀「私だってあくびくらいするわよ。人の事をなんだと思ってるの?」
天「ある意味ダンス面で人間やめてる気がしますが」
衣舞紀「それはトレーニングの成果よ」
脳筋め•••いっつも筋肉で解決してないか、この人•••。
衣舞紀「それに、さ」
天「はい?」
そして何故か急に、やたら衣舞紀さんはモジモジとし始めた。
衣舞紀「今はみんな寝ちゃってるし、その、いいよね?」
天「••••••あぁ」
何となく察しがついて、自然と笑みが溢れる。彼女の肩を抱いて、顔を近づける。そしてそのまま、唇を重ねた。
衣舞紀「んっ、ちゅっ•••」
衣舞紀さんの手は俺の膝に置かれており、全く動かない。が、今キスをされている状態で身体の何処かを触られるのは、少しくすぐったかった。
衣舞紀「ちゅ、ちゅう•••ぷはっ。ね、続きもシちゃおっか••••••?」
天「ーーッ、それって」
つまりは、ヤるってことか•••?一階にはみんながいるのにか?
天「みんなが起きますよ•••?」
衣舞紀「声を抑えれば大丈夫よ」
軽いなぁ•••。もしもの事を考えていないのか?
衣舞紀「今は•••天に愛してもらいたくてたまらないんだもの••••••」
天「••••••あーもう、わかりましたよ」
•••決して、決して今の言葉で理性が揺らいだとかそんな事では断じてない。
俺は彼女の肩を押して、ベッドに向かって倒れさせた。
そそくさと衣類を整えて、俺たちはそろりと一階に降りる。まだ全員寝ているようで、ホッと息を吐く。
天「どうやら、大丈夫みたいですね」
衣舞紀「そ、そうね•••」
安心する中、衣舞紀さんの顔は真っ赤だった。
天「•••どうしたんですか?」
衣舞紀「えっ!?そ、その•••自分ってこんな声出せるんだな•••って」
天「•••ぶふっ」
予想外の答えに、俺は軽く噴き出してしまう。衣舞紀さんは少し怒った表情で、俺の頬を引っ張った。
天「いふぁいでふ」
衣舞紀「お返しよ」
天「ふみまへんふみまへん」
とりあえず謝っておいた。
しばらくしたら自然と眠ってしまった四人は目を覚ました。が、起きるのがあまりにも遅い所為で、外は暗くなっていた。
乙和「あれー!?もう夜!?どうして起こしてくれなかったのー!?」
天「すみません、ボーッとテレビ見てました」
点いたままのテレビを指差しながら、俺は答える。
ノア「うーんどうしよう•••この時間から帰るのは••••••」
月「明日も休日なんですから、泊まっていっては?」
咲姫「うん•••今から帰るのは•••」
天「いやお前家ここからすぐ近くだろ」
咲姫の今住んでるところは俺の家を出て数分で着く。他は難しくても咲姫はすぐに帰れるのは確実だ。
咲姫「泊まる•••!」
天「いやまぁ、泊まる事に関しては何も言う気ないからいいけどさ」
衣舞紀「じゃあ私も泊まっていこうかな。天、一緒に寝よっか?」
天「••••••いいですよ」
既にあんな事をしたんだ。今更恥ずかしがる必要もないだろう。俺はそっと頷いた。
月「じゃあお風呂入れますねー!」
月は元気よく走っていって、風呂沸きのボタンを押した。機械音声の後に、脱衣所から水の音が鳴り始めた。
天「••••••晩飯いらねぇな」
こんな時間になっても、腹は全く減っていなかった。それは他のみんなも同じようで、苦笑しながら頷かれた。
R18も久々に投稿しまっせ。見たい人向けですけど