敏腕(感)男、マネージャーするってよ   作:如水くん

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皆様、お久しぶり(?)です、如水です。車校の仮免に合格致しましたので、投稿を再開致します。まぁ、八日から十日までまた投稿できなくなるんですけどね、ホンマ申し訳ない。


教室天国

暑い暑い外の地獄を潜り抜けて、俺は教室に飛び込む。まだ汗は床に垂れ、ごく小さな水溜りを作る。

冷房の冷たい風を身体中に浴びて、無意識にため息をつく。

いつもの自分の席に座って、椅子の背に身体を預けた。最早いつも通りに行動だ。

 

咲姫「おはよう」

 

そしてそこに毎日のように咲姫がやってくる。俺も彼女に顔を向けて、

 

天「ん、おはよう」

 

変わりない声音で返した。それだけでも咲姫からしたらいい反応なようで、小さく笑っている。

 

天「昼休み、みんなで話したい事がある」

咲姫「もしかして、ライブの事?」

天「そう、察しがよくて助かる」

 

メモ帳を開いて、スケジュール等の確認をする。顎に手を当てて難しい表情になったのが、自分でもわかった。

 

天「•••先に言っておくが、かなりハードな一週間になる。大丈夫そうか?」

咲姫「うん、大丈夫」

 

少し余裕のある顔で、咲姫は言ってのけた。安心感と共に緊張感の無さを危惧したが、それでもこいつはちゃんとやるべき事はやるヤツなのでその考えはすぐに消えた。

 

天「期待してるからな」

咲姫「そんな事言われたの初めてかも•••」

天「え、そうか?」

 

頑張れとかそういった応援はよくしていたが、よくよく考えたら期待してる、なんて言ったのは初めてかもしれない。

 

天「ま、まぁ•••口には出してないだけで、毎回期待はしてるから•••」

 

そしてなんだか無性に恥ずかしくなって、俺は咲姫から顔を逸らした。

 

咲姫「今の天くん、可愛いかも•••」

天「殴っていい?」

咲姫「ごめんなさい•••」

 

聞き捨てならない単語が聞こえてきて、俺は真顔を咲姫に向けた。すぐに謝ったのでこれ以上は何も言わなかったが、少し怖がらせてしまったかもしれない。

 

男子生徒A「••••••DVだけはするなよ?」

天「しねぇよ•••」

 

クラスメイトから変な心配をされたが、流石にそんなことはしない。妹には手あげるけどそれはあいつが悪い。

 

昼休みになって、俺と咲姫は食堂の方へ向かった。既に集まっていた衣舞紀さんたちが、こちらに手を振っている。

 

衣舞紀「こっちよー!」

天「わっかりやすいなぁ•••」

 

ただでさえこの学園では見ない髪色の連中だから尚更だ。少しばかり離れた席に彼女たちは座っており、そこまで行くのはまぁまぁ面倒だった。

 

咲姫「早く行かないと」

天「へーい•••」

 

みんなが食事を楽しみながらワイワイ騒いでいるのに、これから俺たちはクソ真面目な話をする。場違いもいいところだ。

 

天「とりあえずライブの日程は決まっているので、本格的に準備とかを進めて行きたいと思っています」

衣舞紀「それって、カバー曲を入れたりとか曲自体にアレンジを加えたりとかするの?」

天「可能ならしようかな、とは思っています。時間が押してるわけでもないですから」

乙和「じゃあじゃあ!私アイドルソングをカバーしたいなー!」

天「Photon Maidenの世界観が崩れるので却下です」

乙和「冷たい!」

 

カバーをするにしてもPhoton Maidenとしての世界観が残る曲を持ってこなければならない。乙和さんの言うアイドルソングなんてキャピキャピしたものは変な方向に行ってしまいかねないのだ。

 

天「乙和さんは話にならないので•••ノアさんは何かあったりしますか?」

乙和「見捨てないでよ〜•••」

ノア「さっき衣舞紀が言ったアレンジとかってどうかな?咲姫ちゃんがリミックスをしたりとかしてさ」

天「あー•••それはいいですね。それならカバーの方も咲姫にリミックスしてもらったりして•••」

 

が、今思えば咲姫がリミックスしてるところを見た事がない。どうしよう、これ。

咲姫の方に目を向けると、彼女は唸っていた。

 

天「DJやってるんだし、リミックスくらいはわかるよな•••?」

咲姫「うん•••でもやったことがない•••」

 

一番の問題発生。咲姫がリミックス未経験だった。やっべ、どうしようこれ。

 

衣舞紀「とにかく今はカバー曲を探すところから始めよっか。天は何か考えてたりする?」

天「••••••そうですね、『夢と色でできている』、『Re:Call』とか」

乙和「どれも知らない曲だ•••」

天「クソマイナー曲ですので•••」

 

これらの曲を知ってるのは本当にごく一部の人間だろう。なんでって?表に出回ってないからだよ。

 

ノア「私たちの方でも何か探さないとね。リミックスの方は後回しにして•••」

天「リミックスに関しては知り合いに当たってみようかと思います。いい意見が出ればいいですが•••」

衣舞紀「わかったわ。それじゃあ難しい話は終わりにして、ご飯にしましょう!」

乙和「わーい!やっとご飯が食べられるよ〜お腹ペコペコだー!」

ノア「乙和、うるさい」

天「•••••••••」

咲姫「天くん••••••?」

 

周りが盛り上がる中、俺だけはしかめっ面で目の前を睨んでいた。咲姫が気になって声をかけてきたが、反応に遅れてしまう。

 

天「•••••••••!ど、どうした?」

咲姫「ご飯、食べないの?」

天「い、いや、食べる•••」

衣舞紀「まだ考え事をしてるの?私が食べさせてあげよっか?」

天「いいですよ!自分で食べれますから!」

 

いつものように衣舞紀さんからからかわれるが、最早当たり前になりつつあって慣れ始めてる自分がいる。

とりあえず今はライブの事を頭から外して、食事に集中した。

 

乙和「天くんのお弁当って月ちゃんが作ってるんだよね?食べてもいい?」

天「はい、いいですよ」

 

スッ、と弁当箱を乙和さんの前に移す。箸で卵焼きをつまみ取って、それを口に運んだ。

 

乙和「かっら〜!?えぇ!?なにこれ!」

天「あ、俺甘い卵焼きそこまで好きじゃないので塩辛くして貰ってるんです」

乙和「早く言ってよ〜!口の中ヒリヒリする•••」

天「アイドルソングなんて提案したバチが当たったんですよ」

 

嘲笑気味に笑いながら、俺は乙和さんの食いかけの卵焼きを食べる。

 

ノア「それ、乙和がかじったやつだよ•••?」

天「これ以上は食わなそうですし、残すのももったいないので」

衣舞紀「どうして私の時は恥ずかしがるのに乙和はいいのかしら••••••」

天「扱いの差じゃないですか」

乙和「私には魅力がないって言いたいのか〜!?」

 

頬をぷっくりと膨らませた乙和さんが前のめりになって俺の目の前に顔を運んでくる。衣舞紀さんで慣れてるので、無表情を貫く。

 

天「変に気を遣わないってだけですよ」

乙和「本当かなー•••天くんが言っても信用ならないからなぁ〜」

天「随分と失礼ですね」

乙和「天くんにだけは言われたくない!」

衣舞紀「二人とも仲がいいわね〜」

 

冷静な俺に対して、ギャーギャー騒がしく言葉を垂れる乙和さん。なんか俺と月の言い合いみたいだ。乙和さん俺の妹説が浮上しますねクォレハ。

 

ノア「乙和ってさ、天くんの妹だよね」

乙和「姉じゃなくて!?」

天「こんな子供みたいな姉嫌なんですけど•••」

乙和「しかもかなり辛辣!」

天「妹にするなら咲姫がいいです•••手が掛かりませんし」

咲姫「私•••?」

 

会話に全く入ってきていなかった咲姫が、急に話題に上がったので反応を示した。

 

衣舞紀「でもこの中で一番子供っぽいって言われたら乙和なのよね•••咲姫は落ち着いてるし、天に関しては子供らしさがないし•••」

天「年齢的にはまだ子供なんですが」

ノア「でも天くんって立ち位置的には私たちの保護者でもあるから•••」

天「えぇ•••俺この歳でパパになるんですか•••」

 

なんかすげぇ心外なんだけど•••。

 

乙和「パパぁ〜クレープ買って〜?」

天「殺すぞ」

乙和「怖いよー!」

 

単純にムカついたので乙和さんを睨みつけると彼女は衣舞紀さんに抱きついた。

 

衣舞紀「天、あまり乙和をイジめちゃダメよ?」

天「わかってますよ。ちょっと遊んだだけです」

乙和「本気で殺しかねない声だったよ••••••!?」

天「喧嘩とか避ける為の演技ですよ」

 

とりあえずそれっぽい言い訳を並べておいたが、それでも乙和さんは信じ切っていなかった。これからの関係に少し距離が空いたかもしれないが、知らんうちに戻ってるだろうと、お気楽に考えていた。

というか妹ネタ何回目だよ飽きたわ。




つーわけで筋トレしてきます。ほな。
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