東方幻葬郷~Invisible Illusion~   作:狭間 栞

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【第弐章】『幻想』
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幻想郷(ゲンソウキョウ)ーー。

 

我々が住んでいる世界、あちらでいう「外の世界」と幻想郷を隔てる幻と実体の境界。

博麗大結界(ハクレイダイケッカイ)と称されるその結界によって、隔離された忘れられし者達の土地。

この土地を幻想郷といい、幻想郷の中央にそびえ立つ妖怪、神々、人間達が集う山。

このように様々な種族が集まっている山なのだが、幻想郷での地名はまとめて「妖怪の山」と呼ばれている。

 

いかにも危ない場所なのだがこの山の頂上に社を構えている酔狂な神社があるらしい。

名を守矢神社(モリヤジンジャ)と言い木枯らしが吹く今日この頃、いつもと変わらず境内の掃除をしようとする巫女の姿がそこにはあった。

 

 

 

 

「うぅ最近はこの格好じゃ寒いなぁ・・・・・・落ち葉も多くなってきたしそろそろ上着を着た方がいいのかなぁ」

 

 

 

 

今は夏から秋へと変わっていく季節の変わり目の時期、ついこの前が夏とは思えない程の快適な気温。

緑髪の巫女の姿は、白と赤の色であしらわれた一般的な巫女装束、だが肝心のその下にはさらししか巻いてなかった。

、いくら初秋だからと言ってもこの格好では流石に肌寒いだろう。

それでもやらねばなるまいと思い、苦虫を潰したような顔をしながらしぶしぶと物置から竹箒を取り出し境内へと向かう。

神在月の秋祭りもあるし、その後には年末年始や初詣が控えている。

何かと楽しみな事が多く、退屈な日々の中にあるお祭り事の為なら、と体を動かす。

今日も平和な一日でありますように、ふとそんな事を思った矢先であった。

 

 

 

 

「う・・・・・・」

 

 

  

 

呆気に取られる前にまず行動に入った。

近くに駆け寄って安否を確認するが、脈はあるし別段目立った外傷というものは見られなかった。

内心巫女はホッとし改めてその人の服装に目をやった。

よく妖怪や神々が迷いこんでくる事はあるが、妖怪にしてはそれらしい部分も見当たらないし、神が倒れているなんて事はまず無い。

明らかに人間のそれであり、格好が珍しいという所くらいしか変なところは無かった。

髪は男にしては少し長く、色は陽の加減からか少し茶色がかった綺麗な黒。

小さい眼鏡をしており、服装は腰の少し下辺りまで長い黒い上着に、中には白の服。

すぐに「外の世界」から来た人だと判別する事が出来た。

何にせよ、境内に虫とか鳥とかならまだしも、人が倒れているわけなので放っておくわけにもいかなかった。

 

 

 

「神奈子様ー!諏訪子様ー!け、境内に人が倒れてます!急いで来てください!」

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