東方幻葬郷~Invisible Illusion~   作:狭間 栞

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・・・・・・今、何が起こっているかというと結局ご飯を一緒に頂いている。

案の定廊下でうろうろと迷っているところを、あの緑髪の女の子が迎えに来てくれました。

構造が中々に複雑だったので本当に助かりました。

それで、今何を頂いているかというと・・・・・・白いご飯に焼き魚、味噌汁に沢庵と物凄い典型的な和食である。

しかし、美味しい。焼き魚ってただ焼くだけじゃなかっけ・・・・・・凄く美味しいんですが。

しっかりと脂の乗った身が、箸でほぐす度に湯気を上げながら良い匂いを鼻に届けてくる。

魚の香りはもちろん良いのだが醤油をかけるとまた格別。

魚やその皮独特の苦味は無く、むしろパリパリとして良い苦味が口の中に広がる。

そして魚の旨味と醤油の塩っ気が舌で丁度いい感じに合わさってまた・・・・・・というのはいいんだけど・・・・・・。

 

 

「早苗ーそこのお醤油取ってー」

 

 

き、気まずい・・・・・・。

えーっとですね、今その緑髪の女の子と僕、後、家の方らしき人が二人の四人で食卓を囲んでいるんですが・・・・・・。

女の子が隣で家の方二人が向かいに座っているという完全にこの結婚を申し込んでいった旦那さんみたいな感じ。

むしろそれだったら全然良かったんですが、なんせ見知らぬ人の家で初対面の人全員とご飯を食べるっていうのは流石に・・・・・・。

流石に何かを切り出して会話の中に入っていく、という気は僕には無く、三人がわいわいと話している横で無言でほそぼそと食事を頂く。

だ、誰か助けてくれ・・・・・・。

食事は凄い美味しいというのに、精神状況が非常に思わしくないというこの地獄、もういっそ殺してくれ。

心の中で涙を流しながら白米を口に運んだその時だった。

 

 

「ところで君」

 

「は、はい!」

 

「記憶喪失と聞いたが・・・・・・本当に何も覚えてないのかい?」

 

 

いきなり話しかけられてご飯が喉に詰まりそうだったが必死に抑えて呼びかけに答える。

突然の事だったので声が裏返ってしまったが、何とかその質問だけはしっかりと聞き取った。

こ、このタイミングでそれですか・・・・・・てっきりご飯食べた後に聞かれるかと思った・・・・・・。

話しかけてきたのは紫色の髪をした背の高い人だった、多分女の子のお母さんなのかな・・・。

質問内容を思い出してもう一度自分の事について思いかえす。

確かに記憶喪失だった事、何故か自分の名前がわかる事。

一部ではなく完全に名前と一般常識以外の記憶が飛んでいる事。

不思議でしかならなかった。

 

 

「完全に何も覚えていない・・・・・・という訳では無いのですが」

 

「ほぅ・・・・・・例えば?」

 

「来た場所や自分の住んでいた場所、自分が何者かっていうのはわからないんです。ただ名前だけがぼんやりと頭の中に残ってて・・・・・・」

 

「それはまた不思議な話だねぇ」

 

 

 

目の前の紫髪の人が口をあんぐりとさせながら頬杖をつく。

まぁ、普通はそうですよね・・・・・・自分でも不思議ですもん。

 

 

 

「それでそれで、君の名前っていうのはなんなの?」

 

 

横で小柄の金に似た色の髪の色をした女の子が割り込んで話しかけてきた。

この紫色の髪の人がお母さんならこの子は妹さんなのかな?

名前がわからない以上、この個性的な髪の色で覚えるしかない。

何にせよお父さんがいなくて助かった・・・・・・。

一家総出となったら本気で胸が締め付けられすぎて耐えきれないところだった・・・・・・。

まぁそれはさておき、自分の名前なんだっけ・・・・・・。

確かに覚えているとは言ったものの、すぐに出てくるものではなく頭の中のそれらしい文字をパズル方式で組み合わせていく。

一見、出鱈目に名前を決めているように見えるが何故か今の自分にはこの名前に自信があった。

記憶が無い以上、確かとは言えないが九割九分の自分の中での自分の勘が正の字出していた。

確か・・・・・・僕の名前は・・・・・・。

 

 

 

 

 

「天宮、天宮美琴(アマミヤミコト)と申します」

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