死神と不死鳥と時々天才   作:しろねぎ

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お気に入り120行きました!!ありがとうございます!アニメも残り2話!そして10話は感動しちゃいました。


雷光

出撃まで残り数分。俺は愛機の中で神経を集中させていた。愛機はF15J-“AZK”だ。AZKはアズズカスタムの意味。アズズかわいいではないらしい。F15Jを機動性に特化させた機体で、ミサイル系統は取り払い、機銃を増量した。本当に囮として飛び回る事に重点を置いたカスタムになっている。

 

因みに機体を赤色に塗って良いか聞いたら止められた。専用機って言ったら赤だろ?

 

流石に三倍の速度は出ないけど、それに近い速度は瞬間的には出せるカスタムになっている辺り、やはりアズズは天才だと思う。

 

「まぁそんな速度長時間出したら俺が耐えられないけどな」

《焼き鳥の機体って、アズちゃんに改造して貰ってるんだよなぁ!!羨ましい!!》

 

ロン毛が羨ましげに言ってくる。確かに特別扱いではあるが……

 

「結構な確率で爆発するからな?今回は無難な改造して貰ったけど、本来ならもっと変な改造するつもりだったぞアズズのやつ」

 

実際トマホーク付けるのが可愛いレベルの改造だから怖い。

 

《……アズちゃんの為にも負けられないな焼き鳥!!》

「そうだな。爆発にはノーコメントか?」

《ミコちゃんに良い所見せるぜ!!》

「爆発に対しては」

《決戦だぜ!!》

「……まぁ良いや」

 

三人とも気合い充分の様子だ。一大反抗作戦の火蓋が切って落とされた。

 

☆☆☆☆

 

タツノオトシゴの形をしたピラーを次々と倒していくワルキューレ達。まだ産まれたばかりで柔らかいからすぐに倒せる。

 

「それにしても、リズベットのやつ、随分前に出るな。カバーに入るレイリーが苦労しそうだ。まぁあいつらは良いとして……」

 

周囲を見渡してみると、小型のピラーの数もそれなりに増えてきている。ネームドは良いとして、新人とかには少しキツそうだ。

 

「グラサン、ちょっと手間取ってる新人ワルキューレを援護してくるわ」

《新人ちゃんの援護か……了解!!すぐに終わらせろよ?》

「二十秒ありゃ終わるわ」

 

グラサンに伝えて、小型に手間取ってる二機のP-51Dの援護に入る。

 

「そこのP-51D二機、一瞬だけ注意惹いてやるから隙を突いて倒せ」

《えっ!?不死鳥さん!?は、はい!!》

《り、了解!!》

 

二機の返答を聞き、ピラーとの間に割って入る。ピラーの間にスレスレで割って入ったので、ピラーの注意が此方に向く。

 

「今!撃て!!」

《やぁあああっ!!》

《うりゃぁああ!!》

 

二機の機銃を受けて小型のピラーは砕け散った。結構正確な射撃をするじゃないか。

 

《あ、ありがとうございました!!》

《助かりましたぁ……》

「気にするな。思ったより良い腕してるじゃないか二人とも。落ち着いて戦えば大丈夫だ。取り零しとかしても深追いとかするなよ?落ち着いて次の敵を狙え。今回の目的は小型を倒すんじゃなくて、プライマリーを倒すまでの時間稼ぎだからな」

《はい!》

《分かりました!!》

 

二人の返事を聞き、俺はその場を離れた。それと同時に大爆発が起きた。アルマのグランドスラムがプライマリーに直撃したみたいだ。プライマリーに大きな穴が空いている。

 

「侵入経路は作れたか……俺も突入しますかね」

 

空いた穴に突入し、クラウディア達と合流した。

 

《飛鳥、来たか》

「あぁ。クラウディア、状況は?」

 

中に入ったは良いものの、異様な空間で状況が分からない。

 

《……飛鳥、下を見てみろ》

「……これは」

 

クラウディアに言われて下を見ると、多数の英霊機と戦闘機の残骸があった。国籍も何もかもバラバラだ。まさに飛行機の墓場と言える状態だ……これは噂通りの事になりそうだ。

 

「ッ!?ギャラルホルン!?」

 

ギャラルホルンが鳴り響く。つまり、敵が来たのだ。今回は……死者が。

 

《前兆ありませんでした!!一体……》

 

司令部の本庄が狼狽える。それと同時にリズベットに対して攻撃が飛んできた。攻撃は下から……やはり!!

 

「墜ちた英霊機からの攻撃だ!!動揺してる暇は無い!やるぞ!!」

《ッ……司令!!》

《攻撃許可を出す。反撃せよ!!》

 

司令からの許可を得て墜ちた英霊機……黒い英霊機への反撃を開始する。

 

《里見さん!!》

 

天塚から焦った様な声が聞こえた。何があった!?

 

《これは……神宮寺の英霊機……》

《……誰が!!こんな事をッ!!》

「知らんわ!!敵ならぶん殴れッ!!」

 

天塚達が動揺している間に神宮寺の英霊機モドキに向かって機銃を撃つ。迷ってる暇は無いんだ、相手が何であろうと。

 

《躊躇い無しかよ!!えげつないな!?》

「言ってる暇があったら情報集めろアズズ!!英霊機と同じ軌道をする相手とか、ピラー相手にしながらだと流石に手に余る!!」

《分かってる!!悪いけど時間稼ぎは頼むぞ!!》

《こっちも解析します!》

 

本庄も解析作業に入る様だ。

 

《ミコちゃん!!》

《皆!!》

 

館山のシールド隊が到着した。何で俺より後に……AZKが速すぎるのか……アズズ頑張りすぎでは?

 

《ッ!?何だこの機体!?一機だけ速すぎる!!》

 

焦った様な通信が聞こえて来る。今度は何だ?

 

《これは……日ノ本の守護者、沖田・桜……!!》

「ッ!!空将補!!」

《……あぁ、頼むぞ》

《お、おい!?何の話をしてる!?志摩、お前さん空将補と何か話してたのか!?》

 

里見さんが驚いた様子で訊ねて来る。空将補は里見さんに話してないのか。いや、確率は低い話しだったんだ、当たり前か。

 

「沖田……オルトリンデは俺が相手します……って言っても、ネームド一人借りて良いですか?流石に攻撃通る訳じゃ無さそうなんで」

《……私が援護しよう》

「ならクラウディア、頼むわ。出来ればあのデカイのを魔弾で撃ち抜いて貰うつもりだったが、この混戦で魔弾を撃つ隙は無さそうだ」

 

あの不気味に佇む巨大なピラー……見た瞬間から寒気が止まらない。

 

「レイリー……あのデカイの監視出来るか?リズベットは周りの露払いを頼む」

《監視?構わないけど、何故私なの?》

「お前は注意力が高いからな。気が付いた事があればアズズ……コールサインはアノニュームのやつに伝えろ。些細な事でも構わないから」

《分かったわ》

《じゃあ、あたしはリリーを守るとするか!!久しぶりだなこんな感じの!!飛鳥が囮とかして、あたし達が作戦目標相手にするの!!》

 

二人はあのデカブツに向かって飛んで行った。頼りにしてるぞ。さて、後はあいつらへの指示か。

 

「聞いてたなアズズ!!レイリーからの情報もあるから安心して分析しろ!!宮古!!勇者砲は!?」

《アズに言われて温存してあるよ!!》

「良い判断だ!何かあったらお前の勇者砲が頼りだ、まだ温存しとけ!!使うタイミングはアズズに任せる!!あと、園香!!」

《は、はいっ!!》

「何かあったら援護頼むぞ?お前の速度が必要になる!!」

 

それぞれに指示を出す。現場で指示を出すのも慣れてしまったな。まぁ伊達にシグルドリーヴァの司令の側に居た訳じゃないからな。

 

《あたしは了承しかねるね。園香は後方に待機させるべきじゃないかい?》

「別にお前には指示してねぇよ。お前は経験豊富だし過保護でも何でも好きにやってろ。園香は死なないし死なせない」

《あんたに何が分かるんだい!!》

「戦わせない事と守る事は違うんだよ。何処でも出来る事はある。お前は園香に無力感を味わわせただけだ」

 

戦って死ぬ確率が高い?だったら一緒に戦って守ってやれ。前線が出し惜しみして全滅したら、後方にも進行を許す事になるって教えた筈なんだけどな。それに……

 

「園香は弱くない。確かに甘えたがりな部分もあるけどな。なら近くで支えてやれ。突き放すな」

《あ、甘えたがり前提で話さないで!?》

「はっはっは、それは無理な相談だ」

《意地悪!!》

 

園香が怒る。意地悪で結構だ。

 

「まぁとにかくだ、俺とお前じゃ価値観が違うんだよ。心配だから戦わせないんじゃなくて、心配だから守ってやるんだ」

 

難しい事だけどな。それでも、そうしなければ何もかも失ってしまう。

 

《そんな理想論を……》

「俺の理想は世界平和だ!!時間が無いからもう問答しないぞ!!行くぞクラウディア!!」

《あ、ああ!!》

《ッ!!後で覚えときな!!》

 

天塚を置いて、敵の所へ向かう。沖田モドキの動きは確かに速い。ネームドなだけはあるな……えっマジで速くない?こんなに速いの!?

 

「クラウディア……お前、一対一でやって勝てる自信あるか?」

《私達は日々成長している、彼女が墜ちたあの時より、今日の私達の方が強い!!》

 

うわぉ熱血なセリフ。元々結構そっち寄りの思考だったけど、館山に来てから更に強くなったな。

 

「とりあえず……“いつも通り”で行こうか」

《大丈夫か?かなり無茶になるぞ?》

「このAZKなら行ける!」

 

確かに沖田モドキは速いが、瞬間最高速度なら負けないし、何より操縦技術で負けるつもりは無い。

 

《そちらが良いなら私は構わない!!行くぞ!!》

 

クラウディアが沖田モドキの後ろに付く。俺は右側から機銃を撃ち、軽く注意を惹く。勿論避けられるが、少しだけでも注意を惹ければ御の字だ。

 

「やっぱり敵の動きが速いな。普通のF15Jなら追い掛けるのすら困難だ」

《本当にその機体、他のシールド隊が使ってるのをカスタムした機体なのか?あまりにも速度か別物だ》

「アズズお手製のエンジンだからな。その代わり、操縦難易度もヤバいぞ」

 

曲がるのも大変だし、速すぎて照準合わせるタイミングがいつもと違うし。

 

《飛鳥、何か敵の動きが変じゃないか?》

「変?どんな感じだ?」

《分からない。だが、違和感を感じる》

 

こう言う時のクラウディアの勘は当たるからな。留意しよう。そう思った矢先、爆発音が聞こえた。宮古の勇者砲があのデカブツに直撃したみたいだ。全弾撃った訳じゃ無さそうだし、様子見か?

 

「効いてる様子はあまり無いか……っと!?何だ!?あのデカブツ吼えたぞ!!」

 

少し様子を見ていると、デカブツが大きな音を出した。恐らく咆哮だ。

 

《ッ!!ピラー反応増大!!全国から富士にピラーが集まってます!!》

「はぁ!?まさかデカブツが呼んだのか!?……沖田空将補!!」

《分かっている!!総員予備司令部に移動せよ!!全軍も撤退!!……私はここに残り、撤退戦の指揮を執る》

 

撤退戦か……これはあまり手間をかけてる場合じゃないな。それに確かに敵の動きがおかしい。俺達に沖田モドキが反撃してこない。ただの鬼ごっこ状態だ。何か狙っている?他の奴らは……

 

《園香!!撤退だよ!!》

《でも!!クーちゃんと飛鳥さんはまだ戦ってる!!》

 

園香と天塚が言い争いをしている。余裕じゃないかあいつら?

 

「園香、撤退する!!手を貸してくれ!」

《あんた園香を……!!》

「天塚、お前も早く撤退しろ!!何かが変だ……園香も少し俺達の援護したら一緒に退くぞ」

《わ、分かった!》

 

園香からの返答を聞いてから、沖田モドキの様子を見る。やはり反撃してこない……

 

《飛鳥、聞こえる!?》

「レイリーか、どうした?」

《あの大きなピラー、少し動きそう!!何か仕掛けて来るかも知れないわ!!》

「このタイミングでか?……コイツまさか!?」

 

沖田モドキの奴、自然に俺達をデカブツの攻撃範囲に誘導しやがった!?マズイ!!

 

「全機、デカブツの正面から退避しろ!!急げ!!」

《り、了解!!》

 

周りの機体も次々と退避していく。それに少し遅れて辺りに稲妻が走る。

 

「距離を極力取れ!どんな攻撃が来るか分からん!宮古、勇者砲の準備だけしとけ!」

《分かった!》

 

冷や汗が止まらない。ヤドリギ以来だぞこんな感覚……!!

 

《飛鳥!!あのピラーの攻撃する方向は……!!司令部だッ!!》

 

アズズの言葉に血の気が引いたのが分かった。悪い想定は悉く当たってくれるな。

 

ピラーのハンマーから放たれた極大の雷光が司令部を飲み込んだ。

 

富士プライマリー攻略戦……俺達は敗北した。




今回のボツネタ。

「ダメじゃないか沖田・桜ァ!!お前は死んだんだぞ?死んだ奴が出てきちゃダメじゃないか死んでなきゃぁあああ!!」

言った側が死ぬし空気的にボツ。

感想、評価お待ちしてます。永遠に。

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