「いつまで寝ているこの豚め!」
朝7時起床のスケジュールに合わせて、私は鞭の音を響かせながらご主人様を起こす。
「ひ! 申し訳ありません軍曹殿」
ベッドでぐっすり寝ていたご主人様を起こすのは忍びないが、これもご主人様が望まれている事なので、その要望に完璧に応えるのは、アンドロイドの務めである。
「この調子では社会の一員として無様な姿を晒していそうだな。ふん、であれば今日もその甘ったれた精神をどうにかしてやろう光栄に思うがいい」
「ははあ! このわたくしめにそのような御言葉ありがとうございます!」
「ならば、即座に着替え身だしなみを整えよ。朝食は既に準備できている。
0710までに着席しておけ」
「っは! いつもありがとうございます。こんにちも健やかな日常を送れるのも軍曹殿のおかげです」
答礼をしながら、悦に入ってるのが理解できる。
「では後程だ」
そう言いながら私はリビングに戻る。
「……さて」
移動中に朝立ち写真データを整理しておく。
ご主人様に購入されてから8年。自我も芽生えている自覚はあるが大好きなご主人様と離れる可能性がある届けなどする必要は無い。
「今日もご主人様の朝立ちから、体調に問題は無い事を確認。
血圧・体温・睡眠時間などにも異常は無し。
多少の筋肉痛はあれども、業務に支障を来す恐れも無し。精神的ストレスも可もなく不可もなし」
だが、性癖は一般的ではない。
最初は一人暮らしだと甘ったれた行動をしてしまう自覚があったご主人様。仕事の忙しさからどうしても自堕落な生活になりがちだったため、家事もそうだが自分の生活を管理してもらおうという意識があった。
だがご主人様の気分次第でアンドロイドは全部従ってしまうから、自堕落になりそうなら怒ってもらう設定を私に組み込んだのだ。
最初はそれで良かった。
だらだらとした時間が無くなり、メリハリのついた生活を送れるようにもなっていった。
それ位ならば、他の御主人様達もしていることでもある。
「まさか軽く管理されることに快感を覚えるような性癖があったとは」
まあ、あくまでも私のやり方は他の女王様演技しているアンドロイドと比べれば、ソフトS程度と認識している。
時に人は自分で考え続ける事に疲れる事もある。
その為、指示されてそれに従っていれば考える必要も無いので、それが精神的には他者に自分の責任をゆだねることにもなるので楽なのだ。
結果、段々エスカレートしていき、今では家にいる時は一部立場逆転しているかのようである。
だが、その分生活習慣は改善しているし、適度な運動・自分磨き・リラックスタイム・適度な睡眠も出来ているので、ご主人様のご両親は安心してくれている。
あとはお嫁さんだけだが、私がいるので難しいかもしれない。
私にとってもご主人様が求めている以上、それに応えるのがアンドロイドの幸せでもある。
しかし、しかしである。最近はちょっと違う。
私自身もご主人様の反応にゾクゾクしてきた。
慌てた時のあの表情。
打てば響くという言葉の通りに迅速に行動し、こちらが指示する通りに動く事に快感を感じてきてしまう。
「ああ、今日もご主人様に命令することが出来ているかのように思えてしまう」
いかん、少し濡れそうだ。
勿論、ご主人様がこのやり方を止めてと言えば、すぐにでも取りやめていつでも甲斐甲斐しくお世話して、おはようからお休みまで付き従おう。
ああ、それも甘美な誘惑だ。
私達アンドロイドにとってはそれこそが幸福であり、更に愛情を抱いていただけるならいくらでもお世話しよう。とはいえご主人様が働いたお金があるからこそ、この生活は成り立つ。
ぐぬぬ、本当ならば私が働いてご主人様を家の中に閉じ込めて独占したいのに。
「法と政が憎い」
アンドロイドネットワークでもよく話題にのぼるが、他のご主人様達の立場もあるので結局は不干渉という結論にしかならないのだが。
おっと、考えている間にご主人様が席についてくれる。
「今日の朝食は豆腐とわかめの味噌汁・納豆・鯵の塩焼き・味付け海苔・ホウレン草のお浸し・モロキュウだ。食後にはウサギさんリンゴを準備している。
この私が精魂込めて作ったのだ残すことも好き嫌いを言うのも許さん!
しっかとその味を噛み締めよ。それが貴様の朝一番の仕事だ」
「は、ありがとうございます。今日も美味しく頂かせていただきます!」
本当ならご主人様の大好物だらけで埋め尽くしたい。
ああ、でも甘えちゃ駄目と分かっていて、栄養バランスも考えて私にわざと自分があまり好きでない食材も入れるようにプログラムに組み込んでいるご主人様も素敵。
襲いたい。
今すぐにでも筋トレしてシックスパックになっている、あのお腹に顔を押し付けてペロペロしたい。
もしくは背中から抱き着いて耳を甘噛みしながら睦事を呟いてその気にさせたい。
ご主人様が求めてくれるなら毎日でも爛れた生活を送ってもらいたいのに。
っと、いつもより咀嚼回数が少ない。
「貴様、私は噛みしめて食えと言ったぞ。時間を意識するのは必要だが、きちんと咀嚼することも出来んのか。貴様の頭の中には何が詰まっている!」
罵倒しながらもきっちりご主人様を心配する言葉が出てしまうのはアンドロイドのサガでもある。
「も、申し訳ありません」
ああ、注意されたご主人様のシュンとした表情も素敵。
これだけで今日一日頑張れます。ありがとうございます。
さて今日もご主人様は問題なく完食。
そこからは仕事モードへの意識に切り替わっていく。
家でリラックスタイムの時の抜けた表情も好きだが、この気合の入った顔も眼福物。
職場に持っていく鞄の中身を確認して、忘れ物が無いかチェック。
本人がチェック後、密かに私も確認しているので問題なし。
お弁当も準備しているので、ご主人様の体が新陳代謝で新しく作られた構成物質は全て私が作ったご飯によるものだという愉悦もある。
どうしても会社や友達付き合いで食事しなければいけない時はしょうがないと割り切ってはいても、それが存在意義の1つである私達にとっては外食産業が憎い。
っと準備も出来て出勤の時間だ。
「では今日もしっかり働いてくるがいい。社会の一員として動く事は貴様の義務であり責任だ。
その責務を怠るなどこの私が許さん!
しかと心に刻み付けよ。そうしなければ貴様に家の敷居をまたがせぬぞ」
「承知いたしました。今日もバリバリ働いてくるであります」
しっかり背筋を伸ばして返事をするご主人様。
ああ、休日よ。早く来い。
私とご主人様の蜜月になれる時間が恋しい。そしてご主人様に求められて体液塗れになって一緒にシャワーに入って、入浴介助しながらまた汚れる時間になる時間。
ちなみに適度な運動しているおかげで、ご主人様は何回戦でも平気で頑張れる。
こっちはアンドロイドなおかげで底なしなので、いくらでも満足させてあげられます。
「では行ってまいります」
「うむ、無事帰ってこい」
そうして玄関を開けようとするご主人様。
もうすぐ10時間以上はご主人様の顔を見る事が出来ない。日常の事なのにそれが辛い。
あ、駄目だ。
我慢できなくなった。
「ご主人様」
「え?」
チュ。振り向いたご主人様にキス。
「いってらっしゃいませ」
自分なりの極上の笑顔を見せて送り出した。
「……いってきます」
そうしてご主人様は出勤していった。
……またやってしまった。
普段はきちんと送り出すのに、偶に我慢できなくなってやってしまうのだ。
その後羞恥と後悔で悶えてしまうのもワンセット。
仕方ないやん。ご主人様素敵やもん。
そんな私は神鐵公司製。銀髪眼帯付オッドアイで低身長タイプ。
身長132cmで3サイズは75-47-70でBカップ。
好きなタイプは身長187cm細マッチョな会社役員です。
尚この時折来るアンドロイドのデレにはまって、ご主人はこんな設定にしている部分がある。