足長おじさんって今だと分かる人いるかなあ?
ティーポットの1メートル上から勢いよくお湯を注ぎ込む。
そうすることで茶葉は攪拌され、紅茶の豊潤な香りが際立つのだ。
そして、温めておいたティーカップも準備万端。
最後にゴールデン・ドロップをしっかりと忘れずに落とす。
「じいじ~。出来た~?」
少し離れていた場所で紅茶を待っているお嬢様が、待ちきれないという気持ちを体現するようにそわそわとこちらを見ている。
「すぐにそちらへ持ってまいります。おしとやかに待つことも淑女の条件ですよ。お嬢様」
だが、そんなお嬢様だからこそ大変愛らしい。
本来ならば、お嬢様の目の前で紅茶を注げばいいのだが、万が一でも零れて火傷させるようなことは許されない。
その為、水滴が撥ねて問題ないようにしていただけだ。
「どうぞお嬢様、まだお熱いのでゆっくりとお飲みください。」
そうすると茶菓子と一緒に、少し冷ましたとはいえまだ熱の残っている紅茶を飲むお嬢様。
アンドロイドアイできっちり写真データとして取り込んでおく。
このデータは離れて暮らしている祖母である主人の画像データに送っている。
また現在仕事中の旦那様・奥様へ送る必要は無いが、そちらに対しては異常がない限りは連絡が来た時くらいで充分となっている。
産まれた時からお世話している私にとってはお嬢様がどんどん成長していく姿はとても嬉しい。
さて、ティータイムが終われば、その後はお嬢様にとっても私にとっても、ちょっとした楽しみの時間となる。
それは単純な遊戯。
トランプ・ボードゲーム・言葉遊び・手遊び等、子供でも大人でも一緒に楽しめる古来からあるものだ。
ティータイムまでは一生懸命に勉強や習い事をしていたお嬢様にとっても、私にとっても最も待ち遠しい時間でもある。
無論私はお嬢様のレベルに合わせて遊びの相手をするが、時には少しだけ難しいレベルにする時もある。
これはお嬢様の思考レベルに刺激を齎すことで、お嬢様の考える力を伸ばすように仕向けている。
「う~ん」
今日は神経衰弱。
こういったものであれば、アンドロイドである私だと位置を完全に覚えてしまうので、それを理解できる年頃になってしまうと、一人遊びになってしまうようなものだ。
だがまだまだそれが分かってないお嬢様は、一生懸命に私に勝とうとしている。
そうなると、微妙な枚数差にして勝たせてあげたり負けにすることもある。
他にもしりとりゲーム等で、お嬢様が必死に言葉を思い出そうとするところも可愛らしい。
「これ!」
お嬢様が選んだのは、先ほど私がめくる番の2回前に、自分がめくったカードでダイヤの2。
そう、先ほど私が違うカードをめくった時に2があったので、それを獲得するために必死に思い出そうとしていたのだ。
結果、無事に獲得できたお嬢様は満面の笑顔で私に笑いかける。
思わず抱き締めて頭を撫でて上げたいが、今は勝負中。
「お見事です、お嬢様。ですが次は私が取らせていただきますよ」
だがお嬢様は少しずつ成長していっている。
最初の頃は3組ほどしか取れず、悔しくて泣いてしまうこともあったのだから。ちなみにその泣き顔を見た祖母である主人は微笑ましかったそうな。
そうして神経衰弱も終盤に差し掛かれば残ったカードを混ぜて、またカード位置を覚えなおすことと運が掛かってくるので、お嬢様は自然と少し疲れた神経をもう一度研ぎ澄ませていく。
結果、今日の所は運悪く私が1枚差で勝ってしまうこととなるのであった。
途中までは間違えてもばれにくいが、さすがに終盤でわざと間違うのはあからさまになってしまうので、これをするとお嬢様の機嫌は急降下する。
だから、終盤戦の勝負はお嬢様次第。
勝利を手繰り寄せるのは自分自身が頑張らなければならないということを、遊びを通して教えているのだ。
このことを旦那様と奥様は理解して下さっているし、アンドロイドに掛かれば、それを数字で表すこともできる為、毎日がどのように成長しているか解るのだ。
さて遊びで疲れてきたら、今度はシェスタの時間となる。
勉強・稽古・遊びにより、集中力が切れてきたお嬢様は眠くなってしまう。
「じいじ~」
本当ならば負けた悔しさから、もう一回遊ぼうとすることもあるが、今日の所は眠気が優先されたようだ。
「ふふ、また今度続きをしましょう」
ああ、本当に愛らしい。
私の主はあくまでも祖母である大奥様。
しかし、大奥様より奥様とお嬢様をお願いされ私はこの家にいる。
本来であれば主に付き従うべきだが、主が目に入れても痛くないほど可愛がっているお嬢様の為に。それは奥様を幼少の頃よりお世話していた経験もある私に任せてくれたのだ。
……ただ大奥様は知っている。
お嬢様の為というのもあるが、奥様が私を手放さないということも。
それは単純に奥様が私を気に入っていると言う事。
そして旦那様も理解しているところもある。奥様が私で性欲解消をしているということを。
旦那様も勿論性欲はあるし、夫として奥様とお嬢様も愛している。
ただ……奥様の性欲は人並み以上だった。
そしてアンドロイドである私はその性欲解消にはうってつけで、求められればいくらでも付き合うこともできる。
古い時代の価値観であれば受け付けれないのだが、今の時代アンドロイドはラブドール扱いが公然でもあるから、人によってはアンドロイド相手だと自慰行為の一種ともなるからだ。
そして旦那様はそういう価値観の為、あまり気にしていないと言う事だった。
むしろ性欲発散することで奥様の普段の生活に良い影響を及ぼしているのと、自分がしたい時だけになるから気分は楽になるそうだ。
気にする人ならとんでもないのだが、この家庭では問題ないのでそれをアンドロイドである私が気に留める必要も無い。
とりあえず今は眠ってしまったお嬢様をベッドへ運ぶ。
「すーすー」
あどけない寝顔を見れば、奥様の幼少期を思い出す。
大奥様がお世話係として私を購入し、それからはずっと奥様の傍で付き従っていた。
微笑ましい記録・悲しみの記録・笑顔の記録等様々な事象を共に歩んできた。
ただ……少女時代から段々と性に対して大変興味を持ち出して、当初は可愛らしいやり方で私で試していたが、最終的な結果として私は襲われた。
破瓜の時はゆっくりと愛撫して気持ちよくさせて差し上げたし、それからもご満足させるべく開発もした。知識はいつのまにやらどこかで仕入れてきては私で試していた。
さすがに所有権は大奥様のものなので、パーツ交換などはできなかったが。
ちなみに大奥様は気づいていたが、変な男が寄り付くよりはマシと見て見ぬふりしていた。
ただ、これが俗にいう光源氏計画というものであったのかと、アンドロイドである私が実感するところでもある。足長おじさんとして終わるはずだったのになあ。
とはいえ私自身、奥様が目に入れても痛くないほど可愛いので問題は無い。
ただ、いつかお嬢様も私を性的な目で見るのだろうか?
求められれば応じる所存であるが。
どちらにしても、それは未来の話。
いつか親子丼もしくは家族全員でする場合は、きちんとアンドロイドネットワークから経験談をダウンロードしておりますから、その時はリードさせていただきます。
そんな私はA.D.A製。白髪片眼鏡ダンディタイプ。
好みのタイプは、自分で手塩に掛けて育てた女性となります。
性教育は大事w