デモンスレイヤー【鬼滅×忍殺】   作:hynobius

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(あらすじ:無限列車の鬼、厭夢の頸を斬り落とした竈門炭治郎。しかし勝利に沸く間もなく上弦の参・猗窩座が現れた!炎柱・煉獄杏寿郎は炭治郎たちを庇い奮戦するが、徐々に傷ついていく)


「ストレングス・オブ・ワクシング・ムーン、パワー・オブ・ハシラ」
#1


ドクロめいた月が、「ショッギョ・ムッジョ」と呟いた。傾きつつあるその光の下に、かつて厭夢だった巨大な塊が横たわっている。鬼としても列車としても息絶えたそれの傍らで、なおも戦いを続ける男が二人!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」頸を断ち切るため、ワン・インチ距離に踏み込もうとする炎柱の刀が猗窩座の拳と衝突する!何たる凄まじい応酬か!力も技も互角。少なくとも、炭治郎にはそのようにしか見えぬ!

 

だが…見よ!衝突の度に猗窩座の拳はネギトロめいて挽き潰されるが、しかし次の瞬間には元の通りに再生しているではないか!一方の煉獄には次々と負傷が積み重なり、いまやボロクズめいた有様だ。まさにジリー・プアー(徐々に不利)!

 

「杏寿郎。死ぬな」猗窩座が不意に手を止めた。口に出すのは既に幾度も繰り返した問い、不死身たる鬼への勧誘だ。煉獄の強さを認めるからこそ、鬼となり永遠に己を高めるべきだと説く。そして言うのだ、「人間では鬼に勝てない」と。

 

しかしその誘惑を煉獄は一蹴する。「俺は俺の責務を全うする!ここにいるものは誰も死なせない!」そう言い放ち、上体を捻り切った独特の構えを取る!その構えは…ゴウランガ!炎の呼吸最後の技にして、一族の名を冠する奥義「煉獄」だ!

 

その闘気を前に、猗窩座も哄笑しながら両腕を引き切り、クラウチングスタートめいた屈み込みの姿勢をとる!「破壊殺・滅式!イヤーッ!」丸太めいたその脚が地面を抉り抜かんばかりの勢いで蹴り出す!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「…グワーッ!?」土煙の中から弾き出されてきたのは…猗窩座である!一体何が起きたのか?剣士ならざる皆さんには分からないだろうが、炭治郎と伊之助には微かに見えていた。煉獄と猗窩座が交わるその瞬間、列車めいた勢いで猗窩座を弾き飛ばした赤黒い影が!

 

「ドーモ」赤黒の装束に身を包んだ男は、古いイクサの儀礼に則って両手を合わせた。「デモンスレイヤーです…!」その顔には禍々しい「鬼」「殺」の字が彫り込まれたメンポが!煉獄は直観した。「君は…『茶柱』か!」彼がかつて柱であった「茶の呼吸」の剣士であると。

 

「私は既に鬼殺隊士ではない。故に柱でもない。」赤黒の復讐者は言葉少なに答えた。「休むがいい、煉獄=サン。この鬼は私が殺す」殺気を受けて、猗窩座も微かな動揺から立ち返り名乗りを返す。「上弦の参。猗窩座だ。分かるぞ、お前もまた強者だな」

 

「今日は佳き日だ。鬼に相応しい強者に二人も出会えるとは!杏寿郎には断られてしまったが、どうだ?お前は鬼になる気はないか?」「ほう。鬼になるとどうなる」「乗り気か、嬉しいぞ。鬼は不滅の体を持てる。死なず、老いず、強くなれる。今よりも遥かに!」

 

「間違いがあるな、猗窩座=サン」デモンスレイヤーが口を開く。高揚する猗窩座と対照的に、冷たい殺意に満ちた声。「何が違うと?」「鬼は不滅の存在ではない。何故なら私が全て殺すからだ」「はは。その答えは初めて聞くな。では仕方ない、鬼にならぬなら死ね」

 

血鬼術「破壊殺・羅針」。右腕を前へと押し出した猗窩座の足元に雪のような紋様が浮かび上がる。対するデモンスレイヤーは如何なる剣を扱うのか?否…無手である!まさかこの男は鬼を傷つける術すら持たず、自殺めいた突貫をしようとしているのか?それも否!

 

「破壊殺・脚式!イヤーッ!」「イヤーッ!」「ヌウーッ!」猗窩座のケリ・キックを回避したデモンスレイヤーのチョップ突きが猗窩座の肩関節を破壊!「ハァーッ!」更にデモンスレイヤーはボトルネックカットチョップの構えを取る!

 

見よ!振りかぶられた腕を覆うブレーサーの輝きを!あれは…猩々緋砂鉄ではないか?即ちデモンスレイヤーのチョップが猗窩座の頸を刎ねれば、日輪刀と同じく死に至るのだ!「破壊殺・乱式!」猗窩座は連打によってチョップを封じ逃れる!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ワン・インチ距離での木人拳めいた応酬!しかし、その中で猗窩座は東の空が微かに白み始めているのに気づいた。気づいてしまった。(夜明けが近い!一撃受けてでも、柱を殺してこの場を去らねば!)「破壊殺・空式!」

 

猗窩座が選んだのは衝撃波によりやや離れた相手を砕き去る、ソニックカラテめいた拳撃。これで煉獄にトドメだ!しかし赤黒の殺戮者を前にその隙はあまりに大きい!「イヤーッ!」「グワーッ!?」デモンスレイヤーの腕が猗窩座の腕を絡めとり、容赦なく関節破壊!ワザマエ!

 

(朝日が来る!早く、早く離れなければ!)しかし抜けぬ!復讐者の腕がアナコンダめいた締め付けで猗窩座を捕らえているのだ!「ヌウゥーッ!」やはり抜けぬ!「イヤーッ!」「グワーッ!」関節の再生直後に再破壊!無慈悲!

 

藻掻く猗窩座の目に更に恐ろしいものが映る。傷と疲労を押して炭治郎が駆けつけようとしている。恐怖を踏み越えて伊之助が襲い掛かろうとしている。何より、深傷を負ってなお煉獄杏寿郎が技を繰り出そうとしている!「イィィィヤァァーッ!」

 

渾身のシャウトと共に猗窩座の姿が消える。「ヌウーッ!」デモンスレイヤーの捕らえた猗窩座の腕が力を失い、ズルリと地面に落ちる。その付け根は最早何処にも繋がっていない。なんと猗窩座は自ら腕の強度を落とし、トカゲめいた自切によって拘束から逃れたのだ!コワイ!

 

山の端が白く輝く。数秒もしないうちに陽光が届くだろう。猗窩座は腕を再生する間も惜しんで地を蹴り、林の中へ逃げ込もうとする。その背に一つ、大きな衝撃があった。猗窩座は己の胸元を見る。一本の黒い刀が、胸の中央を貫いていた。

 

「逃げるな卑怯者!」炭治郎は吠えた。鬼と人の不平等に吠えた。猗窩座を倒しに行けぬ無力に吠えた。だが、その目の前を横切るものがあった。一本のロープだ。先端部に取り付けられたフックが、猗窩座に突き立った炭治郎の刀にしっかりと絡み付いている。

 

「Wasshoi!」シャウトと共に、デモンスレイヤーがロープを引いて跳躍した。ほんの一瞬、メンポの隙間に覗く瞳が炭治郎を捉えた。鬼と人が森の暗闇に溶けていく。炭治郎は、ただそれを見ていた。

(「ストレングス・オブ・ワクシング・ムーン、パワー・オブ・ハシラ」#1、おわり。#2につづく)

 




つづきは書きあがり次第たぶん数日中とかに投稿されます カラダニキヲツケテネ!
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