【WR】戦姫絶唱シンフォギア S.O.N.G. of Valkyries 全員生存RTA【22:04:21,87】   作:REALGOLD

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恥を忍んで舞い戻ってきたので初投稿です。


おまけ 最上 詞のイグナイトイベント

心の闇と向き合うおまけ、はーじまーるよー!

 

タイトルを読んでの通り、今回は本走中に触れることのないイグナイトイベントのムービーを垂れ流していこうと思います。

 

アニメほんへを見たことのない初見兄貴たちに軽く説明しておくと、平成ライダーで言う暴走フォームみたいなものです。

 

戦闘力だけ見ればとってもうま味なのですが、導入初回は確実に起動失敗する上に、飛ばせない極長トラウマムービーを閲覧しなければならないので、チャート上にイグナイトはお蔵入りしたというわけなんですね。

 

主人公キャラはクリエイト可能ですが、バックボーンのストーリーは全部で6種あり、それぞれムービーの内容もことなるので、気になった兄貴はいたいけな美少女たちをドゥンドゥン泣かせてみましょう(鬼畜)

 

 

では前置きはこの辺りで。

本走主人公の「最上 詞」ちゃんのトラウマスイッチを押しちゃいましょう。

ポティットナ!

 

 

 

 

 

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 

 

 

 

 

 

モジュールのスイッチを押し、コンバータが宙へと浮かぶ。

先端が鋭利な針のようにとがったそれは、私の胸の中心へと穿たれ、体の内側から焼けつくような痛みが走る。

 

深々と突き刺されたコンバータを両の手で抑え込むが、痛みはあふれて止まらない。

一瞬でも気を抜けば私の全部が持っていかれそうな衝動に、いつか(フィーネ戦)の立花ちゃんは耐え続けていたのかと思うとゾッとする。

 

そしてその大きな闇が、私を飲み込む瞬間。

 

 

一瞬で周りの景色が、どこかの村へと変わった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 

 

 

 

 

 

「なにここ……山奥の集落?」

 

見渡してもあるのは、田んぼ、木造住宅、かかし、神社、あとは樹木。

誰もが想像する田舎の村の風景がそこにあった。

 

だが、今の私の記憶にはこんな風景は存在しない。

どころか、本物の田んぼをみるのだって初めてなくらいだ。

 

怪訝な表情を浮かべつつ、周囲を調べるため高台にある神社を目指して歩き始めた。

のどかな風景という言葉がぴったりとあてはまるこの場所が一体どこなのか、私に何のかかわりがあるのか、そもそもなぜこんなところにいるのか。

 

エルフナインの言っていた「心の闇」に何か関係しているのか。

 

疑問は尽きず、ひたすら考え込みながら歩いていると、第一村人を発見した。

 

 

「……私?」

 

 

私に瓜二つな、『明るい』着物を着た少女が神社の石階段をすいすいと登っていく。

それを追いかけるように私も駆け足で追いかける。

 

神社の本殿にたどり着いた少女は、その横わきにある入り口から中へと入っていった。

神社の関係者なのかと思ったが、どうやら違うらしい。

 

なぜならそこには、表札がかけられていたからだ。

 

 

()()」と書かれた表札が、そこにかけられていたからだ。

 

 

「私の実家……ってこと?」

 

急に露わになった情報に戸惑っていると、辺りの空間がぐらつき、一瞬で風景が変わる。

 

 

畳張りの大広間。外を眺めれば見事に整備された庭園が広がり、気候も相まってあたたかな風が流れ込む。

床の間にかけられた掛け軸には、()()、そして()()を首にかけた()()が異形の化け物と戦っているさまが描かれている。

 

日本家屋、というのだろう。弦十郎おじさんの屋敷もこんな具合に、和テイストの造形や装飾品が多かったのでよく覚えている。

 

美しい、と万人がそう称えることだろう。

だが、私はそうでもなかった。むしろ真逆の意見だ。

 

 

(気持ちが悪い……気を抜くと反吐が出そう)

 

 

部屋のなにもかもに嫌悪感を発して、鳥肌が止まらない。

特に目の前の掛け軸には、嗚咽が漏れてくるほど。武者のあの顔と目を見るだけで、びりびりに引き裂いた後に完全焼却したくなってしょうがない。

 

「縁、ここに座りなさい」

 

「はい、お父様」

 

唐突に空間が歪み、親子の姿が大広間に出現する。

私の横には、先ほど見かけた同じ顔の少女が座り、正面にはこれまた面影のある4~50代の男性。ひょっとするとこの人が私の父親なのだろうか。

 

「巫女稽古は順調なようだな。この後は本家の方がいらっしゃるから、粗相のないようにしなさい」

 

「はい、お父様」

 

なるほど、珍しい立派な日本家屋だった理由がこれで納得できた。

相当規模の神社の分社で、その中でもかなりの権限を持っている立場なのだろう。そこそこ裕福な生活をしていたように思えるが、では何故私はF.I.Sの施設へと行くことになったのか?

 

そもそもこの時間の私は、今どうしているのか?

 

(それに、あの家紋……どこかで見覚えが)

 

父(仮)の袴につけられた紋。最上の家のモノかと思ったが、どうにも既視感があった。

あれは確か、()()()()()()()——

 

 

「お父様」

 

 

ふと飛び込んできた声には、聞き覚えがあった。

幼さが目立つが、どこか落ち着いたその声色は、毎日のように聞いているものではなかろうか。

 

「本日の巫女稽古を修めましたのでご報告に参りました」

 

あぁ。これは、私だ。

 

降って湧いたかつての自分を知る機会に、ほんの少しだけ心を躍らせたが、直後にその熱は無残にかき消された。

戸からくる声を聴いた途端に、父は顔をしかめて見やる。

部屋の少女は無表情のまま、ただ父の行動を見ていた。

 

 

 

「あぁ、詞。まだいたのか

 

 

 

それが聞こえた瞬間、私の胃の腑の中身が一気に逆流し、冷や汗とともにあふれ出た。

体温とともに漏れ出ていくそれを、私は訳が分からないまま眺めることしかできない。鼻に刺さるような臭いが胃に響き、第二波が吐瀉される。

 

「……ぅえ……なん、れ……?」

 

まだいたのか。

その一言が延々と頭の中を反響し、頭蓋を割る勢いで脳内を駆け回る。

 

震えながらもなんとか立ち直って目の前の状況を見やると、部屋の少女が目の前にいた。

その目は、憐れむ目だった。

 

「かわいそうね、あなたって」

 

「はぁ?なに……が」

 

「わざわざこんな記憶を思い出しに来るなんて、よほどのマゾヒストよ」

 

 

どういうことだと問いただす前に、また光景が切り替わる。

部屋の中から一転して広い草原へと移り変わり、そこでは姉妹らしき二人が草原の花で冠を編み、母親らしき人物はそれを見てほほ笑んでいた。

 

「あら、縁は本当に何でもできるわね!こんな立派な冠見たことないわ!」

 

「お母様がやってたのを真似ただけよ」

 

姉のほうはできた冠を母に見せ、母はそれを絶賛する。頭にかぶせてもらったり、ほかの物のつくり方を教えてもらったりと微笑ましい光景がそこにあった。

 

ただ一人を除いて、だが。

 

妹のほうが何も動かないので少し近づいてみると、こちらも花の冠を編んでいるが、どうにも姉のそれと比べると出来が悪い。

ところどころ型が崩れ、ほつれも見られた。あれでは被っているうちにほどけてしまうだろう。

 

だが妹は諦めずにほどいては編み、またほどいて編みなおしてを続けている。

 

苦心しながらようやく完成したそれを、妹は満面の笑みで母に見せに行こうとする。

 

 

 

そこにはもう、母はおらず、一つの墓石が残るのみであった。

 

妹は、花冠をそっと母の墓石に供えて去っていった。

 

 

 

 

「……あの妹って、やっぱり」

 

「その通りよ」

 

後ろから声をかけられ、振り返ると先ほどの少女。姉がそこにいた。

 

「あの子は最上 詞。私の妹よ」

 

私に家族がいた。記憶を失ってからは己の過去に執着を持たなかったが、目の前に家族がいるという事実には素直に安堵している。

もちろんF.I.Sで出会った彼女たちもすでに家族のようなものだが、血のつながった家族にも、やはり安心を覚えるのだ。

 

だが、そうなると先ほどの姉の発言が気にかかる。

かわいそう、わざわざなどとネガティブな発言をしたのは何なのか。

それに先ほどの過剰反応。明らかに異常だ。

 

「姉さん……でいいのよね、わざわざってどういうことなの」

 

「貴方にとってこの記憶は、最悪の出来事ってことよ」

 

「家族の記憶が?家のこと知るのってそんなに悪いこと?」

 

「……これを見ても同じこと言えるかしらね」

 

 

また空間が歪み、家へと戻ってくる。

屋敷の廊下を歩く父と姉の背を追いかける私がそこにいるが、どうも様子がおかしい。

 

「お父様!待ってくださいお父様!」

 

幼い私は懸命に声をかけるが、父は存在すら認識せずに取り合おうとしない。姉はただ父の横を歩き、前を見ているだけだった。

そのうち私は折れてしまったのか、追いかけることをやめて泣き出してしまった。

 

それを見かねたのか、父は振り返って私に告げる。

それを聞いた瞬間に、私は姉の言っていたことを理解してしまった。

 

 

 

「所詮お前は代替品だ、いくら稽古を積もうが縁には勝てん。私と縁に無駄な時間をとらせるな」

 

 

 

電源を落とされたかのように、私はその場にへたり込んだ。心臓が張り裂け、血の気が引いていくを体感する。

呼吸は乱れて視界もブレにブレる。動機は激しさを増し、大粒の汗とともに涙も零れ落ちていく。

間欠泉から熱湯が湧き出るように、失われた記憶の底から続々と知らない事実が沸き上がり、情報の多さで頭がパンクしそうだ。

 

最上家、厳格な父、優秀で神童な姉、早くに病で亡くなった母、神社の巫女、姉へのコンプレックスなどなど、今まで無くしていた記憶がとめどなく修繕されていく。

 

そして、私のこの家での立場は「姉の付属品」「サブプラン」「万一の保険」。

誰も私を見ることはなく、村のみんなからも白い目を向けられ、父には冷遇され、姉は一切私に関与することはなく、私はこの広い屋敷で居場所もなく生きていたのだ。

 

「少しは思い出した?」

 

「……えぇ、知らないって恐ろしいわね」

 

「満足するのは早いわよ?本番は()()()()だもの」

 

 

苦虫をかみつぶした顔で睨むと、姉は顎で方向を指す。

そこには、崩れ伏していた幼い私が立ち上がる姿。そしてその背中は廊下の奥へと走り去り、後を追っていると部屋へとたどり着く。

 

私の自室か。

少しだけ深呼吸してふすまを開け、視界に飛び込んでくるのは幼い私の執念の結晶。

 

簡素な長机には辞典並みの分厚い教本が所狭しと並べられ、脇には使用済みと思われるよれたノートが塔を築いている。

机の上に転がっている筆記用具はどれもすり減って色あせたものばかり。おそらくおさがりのモノだろう。

 

部屋の至る場所に勉強のための本や、書き留めるための紙類、調べるための辞書、中には医療関係の論文レポートまでもが無造作に転がっていた。

 

そんな知識の泉の中で、一人机にかじりつくのは、幼い私。

泣きじゃくり、鼻をすすり、涙でノートをふやけさせながらもひたすらに勉学に励む姿は、見ていて気持ちの良いものではない。

 

 

場面は刻々と流れていき、何か新しい知識を得るたびに父や姉のもとに向かう姿と、また泣きながら部屋へと戻る姿を幾度も繰り返した。

 

努力が報われない。まさにこの光景のことを言うのだろう。

 

数学の問題を自力で解いた。姉はそれを暗算で終える。

神社の帳簿付けを一人でできるようになった。姉はひと月先の予測まで立てて仕入れと在庫管理を行う。

境内の掃除を効率よく終えられた。姉は重要な仏具の修繕を行っている。

壊れた壁の修繕を一人で行った。姉は村人の問題を解決していき感謝されている。

剣術師範が教える技をすべて覚えた。姉はそこから独自の戦法を編み出している。

巫女の舞を踊れるようになった。姉は人前でも悠々と華麗に舞って見せる。

ほつれた巫女服を自分で直した。姉はきれいで新しい巫女服を着ている。

 

私はその辺の小娘とみられる。姉は女神と称えられ期待され、それに応える。

 

私はこれができた。そんなものは姉がとっくに出来ている。

私はあれができるようになった。そんなものは姉がとっくに出来ている。

 

私は、姉は。

 

私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。私は、姉は。

 

姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、姉、

 

 

「もう……やめて……」

 

かすれた声は私か、幼い私か、どちらの声だったのか。

 

数年の時が流れ、最早泣きじゃくる声さえ聞こえなくなって久しい。幼い私の目は夜闇のように黒く塗りつぶされ、いつからか泣くこともなくなってしまった。

 

 

ついに学べることがなくなった幼い私は、別の何かを模索しているが、そこに。

 

現れてはいけない人がやってきた。

 

「詞ちゃん」

 

「……なに」

 

次の言葉を聞く前に今すぐここから離れろ。

私の本能はそう告げているが、足がすくんで動くことさえままならない。逃げたいのに逃げられない。聞きたくないのに聞いてしまう。

 

やめて、お願いだからその先を言わないで!

 

それをまた聞いたら私はどうなるかわからない!心が壊れて戻れなくなるかもしれない!

 

「もういいのよ」

 

やめて!!!

 

「無理しないでいいのよ」

 

姉さんは穏やかな笑みで、トドメを刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「詞ちゃんはなにもできなくてもいいのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







わたしはただ、ねえさんにかちたかっただけなのに……。
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