【WR】戦姫絶唱シンフォギア S.O.N.G. of Valkyries 全員生存RTA【22:04:21,87】   作:REALGOLD

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楽しかったです。



※本作最長の文章になっております。ご注意ください。
※未来さんのセリフを一部追加しました。(2025/07/20)




XV Part12(XV編 完結)

空っぽの星、時代をゼロから始めるRTA、ついに完結します。

 

前回神様特有のチート能力を真ん前から打ち砕いたところからです。

あれだけド派手に奥義を決めたんだから、華麗にスタンディングでも決めてくれているでしょう。

 

「……まさかな。神獣鏡の禍払いで……オレたちの錬金術を」

 

「とどめ、は刺さずに捨て置いてやろう。神に肉薄した褒美だ、星の行く末をその目で御覧じろ」

 

あれれ~?おかしいぞ~?(KNN)

あんなに勝ち確ムーブで叩きこんだのに、仲間は全滅、シェム・ハはピンピンしてるどころか第二形態に進化しています。

どういうことだ!説明しろ苗木!

 

端的に相手が上手だったというか、異端技術特効の神獣鏡を纏ってる相手に聖遺物由来の攻撃が通るはずもなく……メタられてる相手に特攻をかました形になりますね(笑)

ふざけんな!(迫真)

 

「月遺跡の爆砕も済んだ、ユグドラシルは屹立済み。嗚呼、胸躍る!」

 

「勝った気でいるなよ、まだ私がいるでしょうが……!」

 

詞ちゃんもありったけを振り絞って立ち上がりますが、聖遺物を殺す武器相手にはどうしようもありません。頼みの綱である奏さんも攻撃の余波で気を失っています。

 

これって……。

あぁ、人類の負けだ。

 

「最早児戯にもならぬ。だが、目障りな獣だけは狩り取っておくか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――同時刻、合衆国の緊急放送より。

 

 

私は、合衆国を代表するものとしてではなく、一人の大人として皆さんの前に立っています。

我々が住むこの世界は、未曽有の危機に何度も相対してきました。自然の驚異、人災、これら全ては我々の命を脅かす脅威です。

 

しかし、人間社会はいつだってその脅威を乗り越えてきました。それは単独ではなく、良き隣人たちとともにです。我々は手を取り合い、共に戦うことができる生命体なのです。

 

我々人類の歴史は迫害の歴史だと、そう語る歴史家は多くいます。それは紛れもなく真実です。

人は、わからないものに恐怖する。理解できないものを排除する。悲しいことですが、それが人間という生き物なのでしょう。

 

たとえ隣人であろうと些細なすれ違いで争ってしまう。歴史家たちの言っていることは正しい。

 

しかし、それは人間の裏面でしかないことを忘れないでほしい。

 

我々は争い、殺しあう。しかしそれと同じように、助け合い、愛し合うことができるのです。

傷つけあい、憎みあい、しかしその傷はお互いに埋めることができるのです。

 

相容れない何かがあるでしょう、許せない誰かがいるかもしれない。

 

だがどうか、信じてほしい。

傷つけあうだけがすべてではないと。

 

私は、矛盾しながらも生きる人を、その可能性を信じています。

 

この世界に住まう全ての皆さん。

どうか心あらば、皆さんが持ちうる力で彼女らを手助けしてほしい。

 

彼女たちは今、極東で戦っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

―――同時刻、某国の軍駐屯地より。

 

みんなあの子たちの手で守られてる。どうしようもないからって押し付けてきたんだ。

だってそうだろう?特異災害とか、理解できないものを遠ざけるのは人間の性だ。面倒ごとはだれだって嫌いなんだよ。

 

でもさ、まだ酒の味も知らない子供が矢面に立って血を流して、怪我して、怖い思いしてさ。

俺たちは何やってるんだって、思うんだよ。

 

みんなはどうだ?

家族がいるやつもいるだろう。同じくらいの歳の娘がいる奴もいるだろう。

いいのか、俺たち大人がこんなところで震えて待ってるだけなんて。

 

俺たちの手には何がある?

 

戦う力だろ。

なら、今がその時じゃないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさに惨劇。

立っているのはあの神ただ一柱。対する雷光(アステリオス)のメンバーは、一様に倒れ伏している。

 

うめき声一つも出てこない。指の感覚もほとんどない。なぜ生きているのかが不思議に思えるくらいに全身がズタズタだ。

満身創痍を通り越して、もはや死体の一歩手前。

 

それは、最上 詞も例外ではない。

 

「ここまでだ人類。最早敵うべくもない」

 

「……」

 

絞りに絞った気力で、その場に直立し、彼女は斧を構える。

刃は欠け、傷つき、輝きを失ったが、彼女はまだ折れない。折れてはいない。

 

「能わず。もはやお前の刃は我に届かぬと知れ」

 

それを失笑と共に眺めていたシェム・ハは、軽く片手を上げて、指先についた汚れを払うかのように腕を振り下ろす。

瞬間、そこには絶望が広がっていた。

 

「……軍勢が……」

 

「否。こんなものはただの端末に過ぎんが、今のお前には十分であろう」

 

空一面が、陸一面が、銀で覆われる。

夥しい数のシェム・ハの軍勢が、詞の心を砕きにくる。ざっと見積もって六万以上の大小様々な端末が、たった一人の敵対者目掛けて砲口をむける。

 

その様子を、シェム・ハは興味を失ったかように見下していた。

 

考えろ、この状況の打開策を。

考えろ、奴を倒す算段を。

考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ!

 

荒い吐息の音だけがあたりを包んでいる。冷や汗も出ない。震えが止まらない。動揺のあまりに、胃の中のものを吐き出しそうだ。

 

だって、こんなのどうすれば―――

 

 

『よう、お嬢ちゃん。お困りかい?』

 

 

陽気な男の声が、聞こえた。

幻聴が聞こえ出したかと、笑いが込み上げてきた詞は顔を伏せて膝を折る。

 

『下じゃねえ、左だよ』

 

途中で聞こえた声にはっと顔を上げ、失笑がすっと消えていく。

今度ははっきりと聞こえた。左だ、と。

 

声に従うように、その方向へ視線を向けると、迷彩柄の車両がこちらに向かってくるのが見える。

日の丸をつけた戦車だ。後方にも車列が見える。

 

『こちら、陸上自衛隊第7機甲師団。千歳から飛ばしてきた。これより雷光(アステリオス)を支援する』

 

「自衛隊……?」

 

何故ここに、と疑問に思うのは早かった。

どこからかまた無線で声が聞こえてくる。

 

『同じく第5旅団、旅団長を殴って来た。こちらも支援に入る!』

 

『こちら第10師団。君達の歌を聞きに来た』

 

『第12旅団だ。虎の子のヘリまで持参したぞ。派手に行こう』

 

無線からひっきりなしに声援と支援の声が届く。

車両から自衛隊員が、詞たちの周りに集まってくる。倒れていたメンバーを介抱し、即座に応急処置が始まった。

 

でも、まだ終わらない。

 

『Hey girls!大統領の演説を聞いて飛んできたぜ!世界警察の援護は必要かい?』

 

『お隣からはるばるやってきたんだ、少しは活躍させてもらおう』

 

『麗しのレディをここまで傷つけるとは、度し難いな』

 

それぞれの旗を靡かせて、戦車隊が、装甲車が、ヘリ部隊が、兵士たちがやってくる。

マゼンダの陣を輝かせながら、次々にこの戦場へとやってくる。

 

呆気にとられている詞の元に、ようやく聞き覚えのある声が聞こえて来た。

 

『ツカサちゃん!』

 

「……ヴァネッサ?今どこに?」

 

『世界中駆け回ってるわよ!あちこちから救援志願が続出中なの!ジェムが足りなくなりそう!』

 

『ったく、息つく暇もない!通常兵器全部を哲学兵装に改造とか、我ながらロクでもねぇこと思いついたもんだぜ!』

 

『後詰は任せるであります!ツカサ殿はそのまま、真っ直ぐ戦うであります!』

 

大人たちが集まってくる。この世界のために、自分たちの生きる明日のために。

そう、戦ってるのは雷光(アステリオス)だけじゃない。

 

この地球に住む全ての人間が、戦っている。

 

「壮観だな……まるで映画みたいじゃん」

 

「国連軍も真っ青ですね」

 

「誰も……ちっとも、諦めてないみたい」

 

いの一番に起きた奏が苦笑いを浮かべ、セレナと未来もそれに同調しつつ大人たちの強さを目の当たりにする。

 

「……これが命題の答えなんだね、パパ」

 

「現代の人間、そして結束の力か」

 

「共通敵というワケダ。実に分かりやすい」

 

「柄にもなく目頭が熱くなってるのは、あーしだけかしら?」

 

目を覚ました錬金術師たちも徐々に表情を明るくしていく。

この場にいる誰もが、一度屈服した。

だが、落ちたのなら這い上がればいい。みんながそれを体現して見せたのだ。

 

絶望と同様に、希望は伝染する。詞もいつの間にか頬が緩んで、カリオストロと同様に目頭が熱くなっていた。

 

首を振って冷静さを取り戻し、相対するシェム・ハを見やる。

呆気にとられた面白い表情はとても見ものだ。心を折り砕いたと、勝ちしか見えないと豪語した矢先にこの現象だ。さぞ焦っていることだろう。

たった8人と4体の敵対者が、いまや5万を優に超える大軍勢へ変貌している。

 

最早戦術も戦略も不要。小細工も不要。

ただ前を向き、ただ明日を目指すのみ。

 

行くぞシェム・ハ・メフォラシュ。人間の底意地を御覧じろ。

 

 

雷光(アステリオス)ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……集結(アッセンブル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェム・ハ戦、2戦目です。

 

ほんへで使用していた乗り物に乗った、いわば決戦仕様というべき状態。

特大のゲロビや、超強化されたグミ、ダメージ半減のアーマーといった極悪装備が目白押しですが、最も厄介なのは確定怯みの榴弾です。

爆発範囲が広いので回避が難しく、ガードで受け流して対処しますが、これの直後にゲロビを撃ち込まれたらほぼ詰みます(3敗)

 

ただしそれは射程内に入っていたらの話。

この状態のシェム・ハには明確な弱点が存在しますので、徹底的にそこを突いていきましょう。

 

「驚嘆である。たかが端末がここまでやるとは」

 

「それを慢心って言うのさ。勉強になったなカミサマ」

 

「くっちゃべってる場合か天羽!オレたちの錬金術で飛んでること忘れるなよ!」

 

「能わず。この程度で逆転の糸口が見えたなどと思い上がらぬことだ!」

 

まずシェム・ハはエリア内を駆け回って超強化グミを撃ちまくってきます。

弾幕を張られてはこちらは何もできないので、ガードで流しつつ肉薄しましょう。

 

しかし相手もアホではないので、距離を詰めればその分離れようとします。

そんな遅延行為を見過ごせるはずもないので、ここで久々登場のアレを使います。

 

周囲の雑魚敵に目を向けるとあら不思議、何でか致命マーカーが出現。気になるのでちょいとぶん殴ってみましょう。

オラッ!致命!

 

「うろちょろしないでよ、面倒くさいんだから!」

 

「端末を足場に……獣にしては冴えているな」

 

ご無沙汰じゃないっすか!

先述した弱点というのが、至近距離まで詰めると射程の外に出やすくなること。つまりこの位置を保てば厄介な攻撃がそもそも来なくなります。

なので「立体移動」のスキルで一気に相手の懐に飛び込むことで、この後の攻撃を回避しやすくする必要があったんですね。

 

ただ相手も素直に殴られてくれるわけもなく、一定距離を開けるのを優先します。

離れたら「立体移動」で肉薄、攻撃中に離れようとするので怯ませるか、移動されたらまた「立体移動」という流れになります。

 

移動された場合、そのままひき逃げモーションに入るので回避の準備を怠らないように。

でないと轢かれた後の連撃で灰にされます(2敗)

 

「煩わしい」

 

おっと残念ながら逃げられてしまいました。

本来ならば移動後、速やかにアーマーをはがしにかかるのですが今回は相手の対応が早かったです。

仕方がないのでもう一度追いかけましょう。

逃がす訳ないだろ(ミカァ!)

 

「我らとて独立した「個」を備える以上、擦過して撃鉄する。それでは完全なる存在とは言えぬ……神とはちゃんちゃら……」

 

「衝突が悪だって?確かにね……でも」

 

「アタシも詞も、何度もぶつかったさ。だけどな」

 

もう一度肉薄しました。

ここでアーマーをはがすために、貫通攻撃を打ち込みます。つまりはとっつきの出番ですね。

って、あ、ちょ、動くと当たらないだろぉ!?

 

「故に、我はこの実験場にて「個」の統合を試みた!誰もが痛みに傷つき、分かり合えぬ夜に涙しない未来の為に!」

 

「その衝突のおかげで、私はここまで上り詰めた。成長ってのはスクラップ&ビルドの繰り返しでしょうが!」

 

「殴りあって分かり合うこともあるさ、アタシらみたいになぁ!」

 

ちょっと大人しくしててくれる?(半ギレ)

あまりにも移動ばっかりされるとただの遅延行動です。つまりはロスです。仕方がないので移動後即座に最短とっつきからの最大タメとっつきでアーマーを破ります。

 

「貴様とてそうだろう。獣と化すことを求められ、追い詰められてきた。その憎悪を、怒りを、人を喰らうための鋭利な牙と変えるために」

 

「だからなんだ!当事者でもないお前が、勝手に知った気になるな!」

 

「……チィッ!存外に喰いつく!」

 

あーしんど……。

ようやっとアーマーパージしてくれました。ただし全裸にはならない模様。

 

これでダメージが100%通るようになったので、アーマー破壊で怯んでいるうちにいつもの永続バフを叩きこみます。

そして間髪入れずに最大タメとっつきを叩きこみます。

どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

「負けちゃいらんねえな!」

 

「神殺しと人喰らい……!呪いの結晶が揃って楯突くか!」

 

やったぜ。

奏さんの奥義に上手く合わせて連携奥義が発動。これで2割削りました。

ここまで盛って連携奥義も併せて2割というところにラスボスの風格を感じますが、撃てると短縮できるので積極的に奥義攻撃で削りまイカン全力回避ィ!!

 

「無粋に足掻く!」

 

あ、危なかった……。

たった今撃たれた榴弾は確定で怯むので、最も事故要因になる攻撃です。あれを喰らったら場合、無防備なまま銀ビームか、轢き逃げが飛んできてGAMEOVERになります(9敗)

この榴弾と銀ビーム、轢き逃げが肉薄状態でも当たる攻撃なのでこれらの回避ができれば、後は自分の集中力との戦いです。

 

ではまた移動されたのでとっつきに行きましょう。

テッメェーッ!さっさとあの世へ行きやがれェェェ!!このクソがァ!いつまでもこの世にへばりついてんじゃあねぇッ!!コラァーッ!!

 

「依り代も嘆いているぞ。あの村さえなければ、あの家さえ無ければ、ここまで弄ばれなかったのにとな」

 

「追い詰めたのはアンタもでしょうが、被害者面すんな!」

 

「そうだ、あれほど追い詰めたのにお前は諦めなかった。それが何よりも眩しかったと知らずに!」

 

堅スギィ!

こんなんじゃRTA にならないレベルで堅いです。純粋にHP量が多いのもそうですが、致命攻撃が取れないのが何よりもつらい。体幹ダメージも意味をなさないので純粋にHPを削らなければなりません。

思いのほか奏さんがデレてくれないのもつらあじ。

 

「しぶてぇな……畳みかけるぞ詞!」

 

コノシュンカンヲマッテイタンダー!

やっぱ推ししか勝たんのです。これで4割強削りましたので、そろそろ第二形態に移行。

の前に特大の攻撃が飛んでくるので、またしても全力回避のお時間です。

 

またしても距離を取ったシェム・ハの両手から特大の方陣が形成されました。攻撃が始まった直後に右に回避しないとそのまま連撃を喰らってお陀仏です(13敗)

 

「せめて散り際は……白銀に煌めくがいい!」

 

死んで平伏しろ!私こそが企業だ!

方陣から例の如く銀ビームが照射されますが、今回のは極太ビームなので、真剣に回避しないと思わぬ被弾で乙りかねません(1敗)

 

更にこのぶっぱなし状態でフィールドを右往左往するので、軌道が読めていないと思わぬ被弾で以下略。

ここにきて超難易度なリセポイントですが、しかしそこは歴戦の走者。

通常プレイで何回も殺された経験があるので、ここの回避は万全なのであります。

 

「大雑把な攻撃ね、頭でも冷やしな!」

 

「人喰らいのみならず、神殺しまでも避けきるか……!?」

 

「わりぃな、アタシを捕まえられるのは二人しか知らないんだ!」

 

やったぜ狂い咲きィ!

形態変化前の攻撃をノーダメージで越えられたのはかなりデカいです。大抵ここで被弾して大慌てで軌道修正というのがオチなのですが、そんなことは無かったぜ!

この勢いのまま第二形態を叩きます。

 

そして、ついに奴らが帰還。

正真正銘クライマックスです。推して参りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開戦からすでに3時間が経過している。

地上の人類軍は奮闘しているものの、シェム・ハの端末たちとの戦いは拮抗していた。

 

是非もないだろう。

相対するは神の先兵、それも兵力は無限である。弾薬一つ、ナイフ一本取っても有限である人類側に勝ち目など万に一つもない。

子供でも分かる理論だ。

 

しかし、兵士たちは決して膝を屈することも、逃げ出すこともない。

 

何故ならば。

彼らの頭上を、12人の女神が駆けているからだ。

 

「吹かしすぎたか……!?」

 

シェム・ハの搭乗する機体のあちこちから火花が飛び散る。

それを見た詞は好機と見るや否や、全員へ号令をかける。

 

「勝機を零すな!」

 

その声をを皮切りに、一斉に大技の態勢に入る。収束されたエネルギーの総量、およそ10メガトン超。およそ生物に対して向けるべきでない熱量をもって、目の前の神を屠れるのか。

いや、屠らなければならない。

 

雷光(アステリオス)の全員が思った。

これで終わりにする、してみせる。友たちと生きる明日の為に。地上で信じ続けてくれている善き人々の為に。

 

12人が全力で練り上げたエネルギーを、それぞれの武装に束ね、そして突貫した。

 

プレラーティの戦槌が、カリオストロの巨拳が、サンジェルマンの銃剣が、キャロルの鋼糸が、ファラの(ソードブレイカー)が、レイアの硬貨が、ガリィの氷柱が、ミカの火炎が、未来の鏡光が、セレナの銀腕が、奏の光槍が、シェム・ハの玉座を打ち砕き、本体を引きずり出す。

 

そして、雷光の如く空を駆けた詞の貪斧が、神の喉元へと突き立てられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……大きくなったね、詞ちゃん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あり得ない声が聞こえた。

あり得ない顔が目の前にあった。

 

二度と見たくないと願った()が、目の前にあった。

 

容量以上の怒りを持った場合、急激に冷静になる。それをまざまざと思い知らされ、脳が急激に冷え込むと同時に嫌悪した。虫唾が奔るとはまさにこのこと。

目の前の神を自称する輩は、依り代であり死人である姉の人格を引きずり出し、詞の前にさらけ出したのだから。

 

この性悪女、と詞が叫ぶと同時に。

膨大な閃光が自身と仲間たちを包み、爆ぜた。

 

 

シェム・ハを中心として起きた爆風により、詞たちは再び地面へと叩きつけられる。

それを救護するべく人類軍の兵士たちが駆け寄るが、その隙を皮切りに端末たちが一斉に攻勢へと転じる。拮抗していた戦場が徐々に追い詰められていくことを体感した兵士たちは、焦りを見せ始めていた。

 

そして、神は告げる。

 

「ここからだ」

 

シェム・ハの掲げた手からまたも方陣が浮かぶ。

それは、世界各地に出現したユグドラシルの起動信号。それを受信したユグドラシルが一斉に唸りをあげて推進噴射を始めた。

 

それによって引き起こされるのは、惑星規模での地殻変動。そしてそれに伴う大地震。

今まさに神は、惑星の回転速度を高めると同時に、人類種への改造を施し始めた。月遺跡の破壊によるバラルの呪詛からの開放、それを守護するエンキの抹消、障害の排除。すべてが計画通りに進んでいる。

シェム・ハはほくそ笑んだ。我の勝ちだ、と。

止められるものなどもういない、と。

 

 

それが、大いなる過ちであるとも知らずに。

 

 

赤々と染まった空に、6つの流れ星が瞬く。

その星々は黄金に輝き、歌声を響かせていた。

 

その声の方向。はるかな宙へと人類軍の幾人かが視線を送った。

 

「月からの帰還とは驚嘆に値する……。なれどここまでよ」

 

その輝きは、徐々に小さく、か細くなっていく。消えかけのろうそくを目の前に、神は嘲笑を浮かべるばかり。一瞥しただけで興味を失くしていた。

雷光(アステリオス)のメンバーにも、その星々は見えている。

 

だから、彼女たちはこうする。

 

《Gatrandis babel ziggurat edenal》

 

少女たちはいっせいに歌い出す。

まるでそれが当たり前であるかのように。

 

《Emustolronzen fine el baral zizzl》

 

息も絶え絶え、体はボロボロ、出血も尋常ではない。

重症も重症である体を、「だとしても」と引き上げる。

 

《Gatrandis babel ziggurat edenal》

 

声の限り、この歌を止めない。

なぜなら、

 

《Emustolronzen fine el zizzl》

 

彼女たちは、帰ってきているのだから。

ならば、道しるべが必要だろう。

 

「流れ星、堕ちて燃えて尽きて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そしてぇええええええ!!!」

 

 

 

 

 

 

来たのか!?

遅ぇんだよ!

待ちかねたぞ!少女ッ!

 

地上で姉妹同士の感動的な再会シーンをやってる間に、ようやっと月旅行から帰ってきたS.O.N.G.一行、そして真の主人公、立花 響の帰還だァーーッ!

 

そしてシームレスに戦闘続行。

ここからはバーニングエクスドライブなS.O.N.G.シンフォギア部隊も加勢、総勢18人という本作最多のNPCとの共闘になります。

 

これだけ頭数をそろえても勝率は3割強といったところ。

君強すぎるんだよ、走者の計画(チャート)の邪魔なの(羂索)

 

こんな六眼持ちの無下限呪術持った公式チートキャラをどうやって倒せばいいのかって言われれば、こちらもチート並みの能力を持つことです。

では皆さんお待ちかね、最終戦恒例の限定解除のお時間がやって参りました。

 

でもただの限定解除じゃねぇぞ。

ド級の限定解除、ド解除だ!

 

「よく帰って来れたわね。ロケット乗っ取られて遺跡ごと爆破されたって聞いたけど」

 

「月遺跡の破壊前に、エンキさんが帰り道を演算してくれたんです。一緒に向かった調査員さん達もまだ月に残ってますから、早いとこ終わらせて迎えに行かないと」

 

「……言ってくれる。もうズタボロなんだけどなぁ」

 

「たとえ何回手折られても、立ち上がって立ち向かう。詞さんから学んだことですよ」

 

あーダメダメエッチすぎます!

すっかり大人びた顔の響ちゃん。こんなイケメンの女の子に手を差し伸べられたら即メス堕ちしてしまいます。

うおっ……顔良すぎ……。

 

そして繋いだ手から流れ込む光がミノタロスのコンバーターへと注がれていきます。その光が頂点へと到達したとき、究極形態への進化が始まります。

 

集いし星が1つになる時、新たな絆が未来を照らす!光差す道となれ!

リミットオーバーアクセルシンクロォォォ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

降 臨

 

 

 

 

 

 

 

大満足……。

これこそまさに究極形態、本作限定の決戦フォーム。その名も「ヴァルキリーエクスドライブ」です!

 

これまでミノタロスが喰ってきた、数多の強者たちのエネルギーが結晶となったカタチ。水晶のように輝くアームドギアたちが周囲を取り囲み、その背から生える純白の翼はまさに戦乙女に相応しいでしょう!

ルシス王国の王子かな?

 

興奮冷めやらぬところですが、戦闘の真っ最中ってこと忘れてますねクォレハ……。

 

限定解除のムービーが明けたら即座に戦闘再開です。

しかも開幕早々に厄介行動をかましてくるので、油断してるとホントに落とされます。こんなかっちょよくフォームチェンジしたんだから最後まで気を抜かないでほしいものです。

 

「この土壇場で出鱈目な奇跡を……だからとて!」

 

では「PERFECT SYMPHONY」をバックにシェム・ハ2戦目、続行します。

 

開幕早々にシェム・ハの端末たちが特攻をかけてくるので、是が非でもこれを回避しないとその後のシェム・ハの攻撃でチェインされて乙ります(13敗)

 

更に端末の特攻にはひるみ値が高めに設定されている上に、この後も定期的に飛来するため速攻でシェム・ハを落とす必要があります。

そして特攻で怯んだ相手に特大ブレードを叩きこむまでがワンセットなので、下手に端末を迎撃するよりも避けた方が無難です。

 

では飛んできた端末をちょちょいと避けまして、ブレードのモーションに入ったところで一気に距離を詰めます。変わらず「立体移動」が使えるので移動後即座にとっつきを喰らわせましょう。

堕ちろカトンボ!

 

「呪われた拳と槍「神殺し」、悍ましさの結晶「神稚児」「人喰らい」……全く度し難い。そして汚らわしいッ!」

 

「死人を人質にとっといてよくも言うッ!」

 

着☆剣!

しかしタメとっつきでもそんなにダメージが入らないので、やはり連携奥義で畳みかける以外にありません。18人もいれば誰かしら奥義攻撃を撃ってくれると思ったんですが……。

いったい何がダメだったんでしょうかね~。

 

まぁ済んだことは仕方ありません。進めば二つの精神でひたすら神を殴りつけましょう。

オラッ!無駄に硬いHPしやがって!こっちの事情も考えてよ(棒読み)

 

「合わせるのも一苦労だ」

 

「かわいい顔が台無しね!でもチョベリグよ!」

 

「おたんちんめ、ほとほと困らされるワケダ!」

 

そうだ!それでいい!最高だ貴様ら!(主任)

パヴァリア三人組がようやっと連携奥義を叩きこんでくれました。この戦闘だけ連携奥義のモーションが専用になってるのもいいよね。

まぁ普段のモーションより時間がかかるんですけど(白目)

 

「一人で盛るな。オレたちも連れていけ!」

 

「それでこそ、私たちの総大将ですわね」

 

「派手に突貫する、だがそれでいい!」

 

「猪に付き合うのは骨が折れンのよ……!」

 

「パワーなら負けられないゾ!ブチかますゾ!」

 

最高だ貴様ら!(2回目)

急激にデレ始めました。今度はキャロル陣営総出でコロニーレーザーみたいなのをブチこみましたが、敵のHPは4割ちょいというところ。まだまだ足りていません。

 

「信じる仲間と貴女がいる。こんなに心強いことはないッ!」

 

「信頼は、何よりも強いんです!だからわたしは、歌の力を信じます!」

 

「これからたくさんの「楽しい」を見つけたい。切ちゃんや、詞さんと一緒に!」

 

「辛いことも悲しいことも、全部半分こするデス!もう、独りぼっちになんてさせないデス!」

 

最高だ貴様ら!(3回目)

F.I.S組恒例の合体ロボ攻撃が炸裂しました。6連チェーンソーを束ねて突撃するとか、とてつもなく見たことある攻撃をしてますが、あと2割弱。

ついに……ついに撃破が現実的なラインまで持って来れました!

 

「何があっても、死んでも生きて帰りましょうッ!絶対にですッ!」

 

「頼りないかもしれないけど、私も装者の一人として、みんなと一緒に頑張るんだ!」

 

「立ち止まって下向いてちゃ、明日なんて見える筈ねぇんだよッ!」

 

「一人では成せぬことも、皆となら成せる…。私はそう信じている」

 

「カッコ悪くても、足掻いて足掻いて泥臭く進む…!それがアタシらのやり方だ!」

 

愛してるんだァ!君たちをォ!ハハハハァ!

さっきまでの塩対応は何処へやら、土砂降りな十億連発のおかげでようやく瀕死状態!

苦節48パートの集大成がこの瞬間のためにあったといっても過言ではありません。

 

シェム・ハの残りHPは1割。

端末の特攻は継続されるので、ここで焦ることなく特攻してきたのを回避した後に確実に倒しましょう。

 

「断章のすべてをこの身に集めたのだ!ヒトに遅れる道理など、ありはしない!」

 

あぶねぇなおい!

ブレードの五連撃が飛んできたのでいったん回避します。これを喰らったらそのまま乙りますので焦りは禁物。

確実に行けるタイミングを見計らってとっつきで

 

「最速で、最短で、真っすぐに!一直線に!私はお前を、ぶった斬る!」

 

「束ねたのは……ヒトの、想い……!?」

 

ここだぁあああああああああああああああああああ!!!(致命)

 

 

 

SONG OF VALKYRIES

 

 

 

 

工事完了です……(放心中)

ついにここまでたどり着きました。数々のチャートガバ、親愛度ガバ、クズ運、その他の障害を乗り越えてシェム・ハを討伐。このRTAのタイマーストップまであと1戦ですが、ほぼ勝ち戦なのでウイニングランです。

ということはつまり、

 

 

日本の勝利である(大本営発表)

 

 

走者はコントローラーを置いて万歳三唱しておりますが、まだあと一戦あるってこと忘れてますねクォレハ……。

試走でも練習でも安定しなかった区間なので、浮かれるのもまぁ多少はね?ってことにしといてください。

 

「……っと、最後まで踏ん張れよ大将」

 

「終わったね……お疲れ様」

 

消耗し尽くした詞ちゃんをツヴァイウィングの二人が担いでくれてます。

大変美しいシーンなのですが、RTAなのでささっと倍速をかけまして、XV編のラスボスについてのお話を挟みましょう。

 

本作最終ボスもシェム・ハが出張ってきますが、この後プレイヤーキャラ以外全員がユグドラシル攻略のため離脱、強制で一騎討ちとなります。

サポート効果もオペレーターも頼れない状態で、完全体になったシェム・ハを相手取るという控えめに言って絶望的な状況です。

 

しかし、先ほども言ったようにこの戦闘は始まる前に完遂されております。

 

というのも、自キャラのステータス次第ですが、先ほど解放された「ヴァルキリーエクスドライブ」でのみ使用できる全プレイヤーキャラ共通の第八奥義『零式散華』という奥義があります。

 

これをブチ当てることで完全体シェム・ハを確実に屠ることができるという優れものなのですが、解放条件が極端に難しく、全ステータスカンストという鬼畜の所業によってようやく解放されます。

このゲームにおいてステータスをカンストさせるというのは、あらゆる訓練パートで漏れなくステータスを稼ぐのは前提として、緻密に緻密を重ねた育成計画を組んでミニイベントでほしいステータスを拾いながら親愛度稼ぎも並行してこなすという超マルチタスクをこなさなければなりません。

 

超長時間RTAになることがわかり切っていた本走において、完全なガバ無しで走れというのは無理があります。よってこの機能はスルーするつもりだったのですが……。

 

 

あ、そうだ(知将)

ステータスの緻密な管理ができないなら、薬で盛れば解決ゾ。

 

 

という天啓が降りてきたのです。

 

この最終戦は先ほどのシェム・ハ戦の難易度を縛りプレイで挑まなければなりません。最後の最後で特大事故を起こそうものなら、走者のメンタルがリミットブレイク!してしまいます。

 

だから最序盤で優しさでできたLinkerを確保しておく必要があったんですね。

 

では完全に戦勝ムードで気の抜けてる走者をほっといてシナリオを加速させます。

正真正銘 最後の時間加速だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幾度となく、幾度となく刃を合わせ、そのたびに少女の体は壊れていく。

しかしそれでも、目の前の宿敵を没せしめなければならない。

 

純白の翼を得た最上 詞は、そんな思いと共に神を狩って見せた。

 

消耗し尽くした彼女は、親友2人に抱えられながら地上へと帰還する。

最早ギアを維持できる余力もなく、地上へ降り立つと同時に純白の翼は光の粒へとほどけていった。

 

ギアの解けた詞の体は、およそ年頃の少女の姿とは思えない凄惨なもの。

しかし、誰がそれを嗤えようか。誰がそれを蔑めようか。彼女はこの戦いにおいて文字通りの旗印として最前線で戦ったのだから。

 

セレナや人類軍の医療班たちが駆け寄り、詞の治療が始まる。

 

が、機を図ったかの様に、ユグドラシル稼働時と同程度の揺れが地上を襲う。

 

「……何よこの揺れ、止まるどころか大きくなってるわ!」

 

「どうなってんだ!シェム・ハはぶっ倒したろうが!?」

 

『最悪!世界各地のネットワーク汚染も全く止まってない!連動してないんだわ!』

 

主犯であるシェム・ハとシステムは独立しており、かの神が直々に指揮棒を振っていたわけではないことが、S.O.N.G.分析班とヴァネッサから報告された。

つまり、もう一仕事残っている。ということだ。

 

詞もそれが聞こえていたからか、治療されているにもかかわらず体を起こそうとする。

 

「何やってる!瀕死の重傷だぞ!」

 

「君はよくやった、後は仲間に任せるんだ」

 

もはや人間一人押し返すこともままならない体では、戦場に立つなど以ての外。しかしそれでも、と詞は手を伸ばす。

あの姉の所業を、あのクソったれた神の悲願を、叶えさせてなるものか。執念で起き上がろうとするも、やはり体は言うことを聞かない。

 

「詞」

 

それを、横から優しく包む手があった。

詞が憎悪(羨望)した親友の手だ。

 

ボロボロで赤黒く汚れ切ったその手を、優しく、しかして固く握られた。そこから伝わる彼女の熱が、徐々に詞の心をなだめていく。

 

そして翼は親友の目を真っすぐに見て、凛とした声で、たった一言を添えた。

 

「あとは任せて」

 

あまりに短く、あまりにも鋭い一言。

たったそれだけの言葉が、あまねく重責としがらみを背負い続けてきた詞には、とてもとても重く感じられた。

彼女はかすれ切った声で返答する。

 

「…………まかせた」

 

事ここに及んで、初めて詞は人を信じ、託すことを覚えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユグドラシル攻略は、詞を除いた17名で決行された。

 

先んじて内部調査に赴いた人類軍のドローンにより、ユグドラシル内部は巨大な縦穴になっており、その道中を大規模な端末の軍勢が埋めていることが確認された。

更に中枢機構をただ破壊するのでは、乱立しているユグドラシルのいずれかに権限が移行され、中枢の行方がつかめなくなる。

というのがキャロルの分析結果であった。

 

故にとれる手段は一つ。

中枢の位置が割れている今、7つのフォニックゲインを束ねることで掌握。同時に爆破伐採するしかない。

 

道中の軍勢を雷光(アステリオス)が、中枢をS.O.N.G.が受け持つ二面作戦が立案、決行され、今まさに局面は最終段階へと入りつつあった。

 

 

ユグドラシル伐採作戦が決行され、10分が経過している。

仮設されたベースキャンプにて治療されている詞だったが、彼女の中には一抹の不安が残っていた。

 

言葉にはできないほどの、心の内にほんのちょっぴりこびりついている小さな小さな不安。

 

杞憂だ、と吐き捨てるのは容易い。しかし誰よりも近くで見てきた詞だからこそ分かる。

誰よりも近寄りたくないからと、気配を感じ取れるように努めた詞だからこその不安。

 

 

まだ、気配がある。

 

 

仮説キャンプの外が騒がしくなってきた。

兵士たちが入れ替わりで入退室する上に、この天幕内は診療所として稼働しているからだと思っていたが、そんな雰囲気ではない。

 

明らかなヒリつきと、敵意があった。

怒号と悲鳴と爆発音が飛び交うのを耳にして、それを感じ取った詞は悟る。

 

 

「しつっこいなぁ……お互い死にぞこないでしょうがよ」

 

 

()は、まだ生きている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

 

来やがったなイカレ野郎……!

というわけで正真正銘最後のボス「シェム・ハ・メフォラシュ」の登場です。

 

先の戦闘ダメージが抜けきっておらずボロボロですが、本作のラストを飾るにふさわしいスペックを持っており、文字通りの強敵です。

 

大抵の攻撃が致命傷につながる上に、こちらの攻撃をねじ込む隙が少ないため、長期戦になればまず勝てません。モーションの把握に加えて確かなプレイヤースキルも必要になります。

まともにやりあったら胃ガンの覚悟すら必要だったでしょう……(吐血)

 

先ほど述べた第八奥義が解放されていれば、何の憂いなく挑めます。しかし、この状態のシェム・ハは最盛期に近いスペックを持つとされており、逆に第八奥義で討伐する前提で組まれているのではという調整がされています。

 

そんな難易度ルナティックな神ですが、一応ガチ攻略できるよう弱点なども用意されています。が、それに頼るくらいなら最初から第八奥義を目指して育成すればヨシ。

最悪届かなくても薬の力でステータスを盛ればヨシ!というわけで戦闘に突入し次第即座にLinkerを詞ちゃんにぶち込ませていただきます。

 

「満身創痍ね……お互いに」

 

「我が悲願は、既に潰えた。だが貴様に勝利は譲れぬ」

 

「そう……まぁ私でもそうするわね」

 

ボロ雑巾にされた兵士たちを背にして、詞ちゃんが神に立ち向かいます。

意識のある兵士たちが詞ちゃんを止めようと手を伸ばしますが、そんなことしなくていいから……(良心)

 

いよいよこの時が来ました。BGMも最終戦にふさわしく「Xtreme Vibes」という選曲に涙が出、出ますよ……。

 

「自分の究極の願いを邪魔した奴を、ほっとけるわけないわよね」

 

「そうさな……そして、この依り代も貴様との決着を望んでいる」

 

 

このRTAも、詞ちゃんの因縁も、何もかもがここで決着します。

では最終決戦。シェム・ハ・メフォラシュ戦を開始しましょう。

 

 

「来いよ最上 縁(シェム・ハ)!これで最後だァ!」

 

「行くぞ!神稚児ォ!」

 

はいここで早速お薬の時間です。

詞ちゃんのステータスでカンストしてないのはINTとDEXの2種。これらをLinkerで補うことで第八奥義をこの場で開花させます。

 

現在の数値はDEXが90、INTが89なのでLinkerは3本必要になります。

ここまでチャート通りに進めていれば、在庫は最低でも3本あるはずなので丁度使い切ることになりますね。

 

ではアイテム欄を開いて………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Linker×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ッスゥ―…………(困惑)

 

なんで?なんで?なんで?

拾ったじゃーーーん!

 

アイテムロックもかけたし、途中で使った時も個数確認したじゃーーーん!

 

この百合ゲー!フラグ管理までお花畑じゃないだろうな!

 

 

……………………(少女懸命に回顧中)

 

 

…………あ。

 

 

ラスボスに向けた保険ですが、3本以上打つと薬害でおっちんでしまうため2本まで使用します。

この際焦って連打使用しないようn……あ

 

 

ここかぁぁぁぁぁぁ!

アダム戦初戦の中ぁぁぁぁぁ!

 

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

 

ふーーざーーけーーるーーなーーーーーーーーー!

 

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

 

第八奥義がああああああああああ!

ガチ攻略することになるうううう!

 

詰んじゃう!

詰んじゃううううううううううううう!

 

チクショウが!こんなところまできてリセットなんて冗談じゃないわよ!

 

いいよやってやるよ!ラスボスだろうが裏ボスだろうが全員蹴散らしてこのRTAを完走させるんじゃい!

見とけよ見とけよ!

 

ラスボスのシェム・ハは即死級火力がデフォルトですが、当たらなければどうということはありません。よって攻撃は回避が絶対、ガードは最終手段となります。

 

また連撃パターンが豊富なので、確実にモーションの終わりを狙わないと不意なチェインで乙ります(114514敗)

 

とにかく相手のモーションを分析することが安定への第一歩。初歩的なことですが、これが一番大事です。

何でも基本は大事なんやなって。

 

開幕直後は彼我の距離が空いており、飛び掛かり斬りが確定で飛んできます。これは前方ローリングで回避できますが、ここで安易に近寄るのはNG。

何故なら開幕後確定で繰り出す5連撃は、カンストのHPでも半死級のダメージを誇ります。こんな序盤から死にかけてたらこの先生きのこれません(2敗)

 

よって回避後、安全圏まで下がってから走狗刃を最大展開。モーション中でも削れるようにします。

5連撃が終わるまでが長いので、この時間も有効活用してこそのRTAです。

 

基本的に距離が空いている場合は、飛び掛かりか銀ビームが飛んでくるので回避は容易。

しかしこちらも攻撃ができないので、着地狩りできる飛び掛かりは基本デレ行動にあたります。

よって安定をとるなら、ここで削る方針になるでしょう。

 

まぁ時間がかかりすぎるので今回は不採用となりますが……。

 

「死に体でよく動く」

 

「お互い様でしょ」

 

回避ィ!

早速飛び掛かりからの追撃が来ましたが、これを難なくよけてからの…………そこぉ!

 

「油断大敵……覚えときなさい」

 

「清々しいまでの野蛮さよな!」

 

それを、待っていたぁ!(螺旋王)

このようにラスボスシェム・ハはパリィが有効なため、追撃を狙って致命を入れてあげるのが最も効率的。

通常攻撃を狙ってもよいのですが、その際は合間に挟まれるキックや、パリィできない強攻撃を見極める必要があるので、安定度が下がります。もろちん狙えそうなら狙うんですけど。

 

 

 

ただ、パリィ致命を狙うにしても懸念点が一つ。

なんとこの神、こちらが調子に乗ってパリィ致命し続けてると極々稀に

 

 

「確か、こうだったか……!」

 

 

あちょっとまってやばいやばいやばい!

だめだめだめそれはだめしんじゃうからだめだって!

 

 

「こい、つ……!?」

 

 

うあああああーーー!なんでーーー!?(囧)

よりによってこんなところでクズ運引く奴がいるかよ!?

 

あーダメダメ!こんなところでパリィ致命喰らったらお通夜ムード一直線だから!

耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ!

 

「驚愕に値する。やはりしぶといな、貴様は!」

 

「……ハァ……ハァ」

 

イキテルー!(感涙)

なんとか瀕死の状態で踏ん張ってくれました。いくら「ヒーローの魂」があるとはいえあくまで保険なので、手汗握りしめながら戦いたくありませんよ!

 

引いてしまったものは仕方ありません。親父殿のようにリカバリーで埋め合わせましょう。

 

「理解できず。何故そうまでして抗う?自らを貶め、ヒトでないものと作り上げた人類の為に」

 

「…………アホ言ってんなよ。誰が、人類のために戦ってるって?」

 

「であれば、何のために立ち上がる?なぜ死に急ぐ?」

 

微妙に距離を開けながら、飛び掛かりを誘発。通常攻撃でもいいのでパリィできる攻撃をしてくれるとハッピーハッピーハッピー!(猫ミーム)なのですが、多分してくれないんだろうなぁ……。

 

「人類なんざ知るか!私はツヴァイウィングのステージが見たいんだよ!だから失せろ!」

 

ナカナカヤルジャナイ!

珍しく通常攻撃を振ってきたのでおいしくいただきました。この調子でブンブン丸しててくれよなー頼むよー(懇願)

 

通常攻撃でも致命が取れるのは、振り下ろしと斬り払いの2種。相手の手元をよく見ると片手または両手で剣を振り回します。両手の場合は強攻撃が来るので、手元をよく見ればパリィできるかの判断が付きます。

 

ここにきてもっと集中しないといけないとかとんだ苦行を強いられていますが、最終戦だから多少はね?

 

「何を訳の分からないことを言っている?!」

 

「人類の行く末なんて私には関係ない!私の望みを邪魔するから、お前を殺さなきゃいけないってだけなんだよ!姉さんを送って、お前を狩り取って、私はようやく戦いから降りられる!平和になった世界で、好きなものに囲まれて生きるのが私の望みだ!文句あるか!?」

 

「ッぁあ"あ"あ"!この、野蛮人が!」

 

いいゾ~コレ!

確実にダメージが蓄積しています。このまま何事もなく倒せれば万々歳なんですけど、油断してたら絶対に殺されます。最後の最後まで油断せずにパリィを取りましょう。

 

「依り代は貴様が折れることを望んでいた!明日に希望を持たなければ、楽に生きられたろうにと!だが貴様は折れなかった!ただ一人の姉を超えるという一点だけでな!貴様の執念は、異常だ!」

 

「やかましい!私は楽に生きたいんじゃない!必死に生きたいんだよ!楽しいことも、苦しいことも、必死に生きた結果なんだ!それをみんなが教えてくれた!」

 

「あの青髪を憎悪していたのではないのか?あれの血筋は、貴様がそうなった原因であろうが」

 

「そうね、でも、私の憎悪を他人にとやかく言われる筋合いはないッ!」

 

ディモールト、良い!

何とか撃破が現実的に見えてきました。しかし集中力が切れて手元を見なくなることがあるので、絶対に目を離さないように。脳みその処理機能も低下してきましたが、もう少しで撃破!撃破です!

 

ひたすら致命攻撃が続くのでここらでEDの話でも。

 

この最終シェム・ハを倒した後、エピローグが流れてエンディングに突入ですが、タイマーストップはエピローグが終わった後になります。戦闘終了後はシナリオを加速させて、スタッフロールに突貫します。

 

そして、エピローグの内容はノーマル、グッド、トゥルーと別れていますが、シナリオ量が一番少ないのはノーマルです。

よってRTAではこれを狙うのが基本ですが、本RTAの場合はチャートの都合上、強制的にトゥルーEDに進みます。

 

ノーマルEDは特に必要なフラグなどがないため、通常プレイではよくみるEDとなるでしょう。

中身は、プレイヤーキャラとシェム・ハが相打ちした後で「人類の為にその身を捧げた英雄を称える」ために石像が建てられる。という何ともむなしいエンディングとなります。

ノーマルというかデッドEDなんですがそれは……。

 

グッドEDは、NPCキャラの誰か一人でも親密度「親友」にしておけばフラグが立ちます。

本来なら相打ちになるところを、「親友」になったキャラとの想い出による回想で踏みとどまるというギャルゲーのようなEDとなっています。

エンディング後に「親友」キャラとの後日談が入るのも、ギャルゲー要素を加速させています。

ようは百合EDですね。

 

そして本走でも到達するトゥルーEDの内容は

なんで等速にする必要があるんですか?

 

 

「精細さが欠けてきたな、先ほどのはらわたへの一撃か?」

 

(…………目が霞む。出血しすぎた…………()()()

 

「前も見えておらぬだろう。もう休むがいい、我が腕の中で!」

 

 

ヌゥン!ヘッ!ヘッ!ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!(大号泣)

 

絶妙な距離を開けていたのが裏目に出ました。

ブンブン丸するだけでなくつかみ攻撃や格闘を使ってくるのを失念していたので、詞ちゃんのHPがカスほどしか残っていません。

「ヒーローの魂」も発動したので、もう後がありません。マジで一発喰らったらアウトです。

 

「……瞠目に値する。だが、それでこそよな」

 

幸い敵HPも半分を切りました。

ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って、ピンチの連続だった戦いを終わらせましょう。

 

「最後の、力が枯れるまで……ここから一歩も、下が、らない……!」

 

「……神稚児ォオオオオ!」

 

飛び掛かりからの追撃を弾いて致命!

これにより多少のHPを回復できますが、「ヒーローの魂」の持続回復も合わせても一撃喰らったら即死なので気は抜かない!

 

致命からの復帰中に距離を取って飛び掛かりを誘発して、また致命!これをひたすら繰り返せば倒せるはずでおっと銀ビームはマズイ!

 

「散れ!」

 

全力で回避!ひたすら横移動しながら徐々に近づいて、その無防備な背中をぶっ貫く!

 

「がら、空きィ!」

 

あと2割!

 

「答えよ!不完全な我らも、貴様らも、不完全であるがゆえに傷つけあう!何故貴様は一つになることを拒むのか!?」

 

「一つになるってのは、優劣がなくなるって事だろ……それは、成長の阻害だろうが!」

 

「その優劣が原因で、未来にまた苦しむ結果になる。貴様はそれを望むのか?貴様がかつて味わった、あの涙の日々を!」

 

 

 

「バカね……生きるってのは苦しいのよ。苦しくて、つらくて、投げ出したいものよ。その苦しみの中からわずかな宝物を見出すのが、ヒトが生きる目的ってやつじゃないの」

 

 

 

あと、一撃!

ついに来た!ここまで長かった!ゴールは目の前!

 

「だとしても、我は!あの涙を!この依り代が味わった絶望を!世に振りまくなど見過ごせぬ!」

 

「八千八声 啼いて血を吐く ホトトギス……そうさ、ヒトの生は苦しみの連続だ。だからこそ、救いを求めて、自分だけの……『神様も知らないヒカリ』を、追い求めるんだ」

 

致命マーカー出現確認ッ!

抗う定め!鎖さえも!断てよ!

 

 

 

ダイ、セツ……ダァアアアアアアンッ!(DIE SET DOWN)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 

 

 

 

 

「貴様ァ!どこまでも往生際の悪い!離せ、離せぇ!」

 

神の叫びは彼女には一切届かない。

抉り込まれた5本の指は、神の喉元へ鍵穴のようにしっかりと嵌め込まれ、どれだけもがこうと外れなかった。

 

それと同時に彼女の胴を貫き通した自身の右手も同様に、上下左右に振ろうと抜けることはない。

 

それは、彼女の覚悟の表れ。

二度と離すものか、ここで全てを終わりにする。

 

 

たとえ自分が朽ち果てようとも。たとえ自分が塵と終わろうとも。

(お前)をここで殺す、と。

 

 

戦場に福音が鳴り響き、祝福の光が降り注ぐ。

視界の隅で断頭台(無限式貪斧刃)が組み上がっていくのに比例して、神は冷や汗を流した。たかが聖遺物の能力と侮ることなかれ。

あれは、『ヒト』と定められるものであれば万物違わずに捕食する獣の顎と同じ。

 

神稚児の依代に納められ、『ヒト』のくくりに片足を入れてしまった今のシェム・ハであれば、難なく平らげてみせるだろう。

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal(終焉のメロディが)

 

Emustolronzen fine el baral zizzl(残響に変わるその時)

 

Gatrandis babel ziggurat edenal(戦姫の歌は幕を閉じ)

 

Emustolronzen fine el zizzl(旅立ちへと消える)

 

 

何億年ぶりかに冷や汗を流している神の耳元に、歌が聞こえた。

それは、目の前にいる死に体の女の、()()の歌だった。

 

 

 

 

 

 

その歌を聴き終えた神は彼女を見やる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この女……既に事切れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










ほんへ完結ッ!
ここまで来るのに5年もかかりましたが、これにて本RTAは終了でございます。

途中1年近く放置したにもかかわらず、応援くださった皆様。コメントをくださった皆様、評価くださった皆様。
本当に、本当にありがとうございました。

なお、次回のエピローグとおまけをもって、本作の完結とさせていただきます。
詞ちゃんの人生を完結させるまではもう少しだけお付き合いいただきますが、RTAとしては今回が最後です。

処女作でしたがたくさんの方に見ていただけたこと、本当に感謝しております。

それでは、走者はこのあたりで。

超長時間のご視聴、ありがとうございました!
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