球体のコックピットブロックの中。シートに座り、操縦桿を握る。
足の間から、モニターがせり上がり、その画面が見える。
「各パラメータ、良好。RXー0、起動可能」
「よし。やれ!」
指示に従い、手順通りに動かす。
「RXー0、無事に起動。各モデュールのチェックに入ります」
アームの稼働、レッグの稼働。メインカメラにも異常はなく、モニターにも異常はない。
「各部、問題なし。凄いですね。これが100年以上も前の機体とは思えません」
「確かに。しかも、これがデブリの中を漂っていたなんてな……」
「てか、これ、あのお伽話の機体に似てません?」
「あのとはなんだ?」
「『連邦の白い悪魔』ですよ。1人のエースパイロットが、敵を沢山やっつける話ですよ」
「あれは実話だ」
「そうなんですか!?」
「あぁ。あれは1年戦争という時期の時の話だ」
「ちょっと、そこの2人。無駄話してないで、さっさとテストパイロットを出してあげて」
外での大人たちの会話。
そして、私が乗っているこの機体。
肩のマーキングにある『RXー0』と、赤色の一角獣を模したマーク。そして、純白の装甲。
腕部と背部に近接戦闘用兵装のラックがあり、装甲には至る所に溝が入っている。
そして、この見た目から、私達はこう呼んでいる。
「“ユニコーン”のハッチ、開くぞ」
宇宙デブリの中で、漂っていた謎の機体。その調査部隊に、私はいる。
「よっ!大丈夫だったか?」
「問題はない。この機体、足さえあったら戦場に出しても戦えるだろうね」
「確かに。この損傷じゃなぁ……」
脚部は、フレームが剥き出しになっており、元の姿ではないことが一目でわかる。
「そう言えば、もう一機、回収してましたよね。この色違いの奴」
「あぁ。黒色の方か。あれは頭部がないが、脚部は残っていたな。黒色のを元に復元するか?」
「やってみる価値はあるんじゃない」
「よし。やってみるか」
整備員でもある、ジャンク屋の男が肩を回しながら、このドックから出て行く。
周囲ではまだ、ユニコーンの整備や調整で、人の声が行き来している。
「着替えよ」
私は、更衣室を目指して、前へと進み出す。
「あーあ。今日も残業かー」
「流石に残業代は出るわよねぇ?」
「そ、それなんだが……」
廊下では、女性二人に言い寄られる小柄で身体の細い男性が慌てていた。
その男性が私を見つけて、私に助けを求めてくる。
「あの、私ももらってない。残業代」
「そ、そんなぁ……」
貰ってないから、貴方の味方にはなれませんよ。
「ほら、さっさと残業代をよこす!」
「ひ、ひぇぇ……」
さて、この人達は放置しておいて、更衣室は……。
「あ、ちょっと君。いいかい?」
また、誰かが話しかけてきた。本当に今日はなんなんだ?
「あのユニコーンについてなんだが」
「はい」
「ユニコーンのデータを元に、機体を作ってみようかと思ってな。どうだ?」
新たな機体。興味はある。
〜それから数ヶ月後〜
「本当に作ったのですね」
「あぁ。勿論。コイツは、バイコーンだ。そして、伝統に肖って、RXー1バイコーンガンダムと呼ぶ」
青い装甲に、ユニコーンと似たアンテナが2本。
バイコーンの名に恥じない姿だ。
「これ、起動できますか?」
「まだ試験段階だ」
「そうですか……これ、私の愛機にしていいんですよね?」
「最初からそのつもりだ」
私の愛機。バイコーン。ちょっと名前がアレだけど、でも、気にしない。
バイコーン……。
「あ、朝ご飯……」
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