「やっはろ」
「ん」
「おはよー」
「ん」
「よっす」
「ん」
…………。なんだろう……今朝はやけに挨拶される。何かあるのだろうか。
「おい、お前さん」
「ん?」
「今日、確かユニコーンのテストだったろ」
「ん」
「大丈夫なのか?」
「ん!」
「ん、って言われてもなぁ……」
食事中なんです〜。
「今回は、変形を試してみるからな」
「ん」
「気を付けろよ」
「あ、待って」
「ん?なんだ?」
「バイコーンのテストもしたい」
「おう。ユニコーンの後な」
よしっ。
『各シークエンス完了。どうぞ、始めてください』
えっと……始め方始め方……。
無い。
変形の方法がない?
でも、このシートのどこかに……。
『失敗ですかね?』
『わからん』
なんで……なんでなんでなんで。
あ、確かサイコフレームを搭載してるんだよね。
感情に影響されるものだから……。
『なんか……見られてる気が……』
はぁ。ムカつく。あんなにも大きいなんて。私よりも……私よりも……。ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく。
『サイコフレームの発光を確認』
なんで、なんで無いと馬鹿にされるの?許せない。
『変形失敗ですね』
っ!いや!失敗なんて……失敗、したら……また……それは嫌ぁぁぁぁ!!!!
ってなに!?
シートが変形してる!?
『変形を確認。各動作の確認をしてください』
確認って、操縦桿がないんだけど。
『予定にない動きをしないでください!!』
「私は動かしてない!!」
突然怒鳴られたから怒鳴り返してしまった。
『ユニコーンの暴走を確認!!各員、避難してください!!』
暴走……そんな……私、また……嫌。嫌だよ……懲罰房でもいいから、アレは嫌だ……。
「んで、調子はどうだ?」
「最悪……」
「それは気分だろうに……バイタルに問題はなしっと」
「なんで、医務室?」
「ん?懲罰房の方が良かったか?」
首を思いっきり横に振る。
「おい。そんなに振ると……」
「うぇ……気持ち悪い……」
「言わんこっちゃない……」
えーっと……深呼吸。そして、目を開けて、水平を保って……。
「相変わらず、おっちょこちょいなんだな」
「……相変わらず言うな。調整が上手くできなかったそっちが悪い」
「調整て……はぁ。確かに、こっちも悪いがな」
知らん!
「まぁ、落ち着け。バイコーンのテストは明日に回るが、そのかわり、武装はちゃんとつけるから……」
「それは本当?」
「あぁ」
「嘘じゃないよね?」
「嘘じゃない」
「………………………わかった。寝る」
「そうかい。なら、また明日、な」
「ったく。楽しみなのはわかるが、そこまで嬉しいのか?」
「勿論。それに、楽しみじゃなかったら、怒るでしょ」
「そりゃな」
なんて理不尽な。
「まぁ、取り付けた武装は、ビームサーベルを腕に2基ずつ。背部に2基の合計6基だ。シールドはユニコーンのものを流用している。デザインは少し変えたがな。ビームライフルの代わりにビームマグナムというユニコーンの武装の改造品、ビームマグナムIIだ。バイコーンのエネルギーを基にしているから、バイコーンの動力部が壊れない限り、撃てる。あと、ユニコーンと同じようにサイコフレームだからな。そして、頭部は完全にユニコーンを真似た。角はユニコーンのを2本つけたみたいなもんだ。変形もするし、シールドとかに追加装甲をつければウェブライダー形態にもなる。今日は追加装甲を付けてのテストだ。この状態なら全てのチェックが楽になる」
「説明長い」
「知らん。これでも短くしたぞ」
「早く乗らせて」
「はいはい。ほら、行ってこい」
背中を強く押されて、バイコーンのコックピットに向かう。
シートも何もかもがユニコーンと同じ。
「認証登録……?」
『あぁ。掌をコンソールパネルに手を重ねろ』
言われた通りに、手をパネルに重ねる。
「で、次は?」
『いつも通りだ』
「了解」
操縦桿を動かし、腕を上げ、顔を左に向け、動作の確認をする。
「問題なし。宇宙空間に出るよ」
『カタパルトを用意しろ!!バイコーンのテストだ!!』
ペダルを踏み、足を前に出す。
「脚部も問題なし」
そして、カタパルトのシャトルに足を固定させて、待機する。
『カタパルト固定。シャトル、問題なし。発射許可もオーケー。発射タイミングをバイコーンに譲渡します』
「了解。RXー1、バイコーンガンダム、出ます」
『バイコーンガンダム、出ます』
アイツの声が通信機越しに聞こえる。
バイコーンはカタパルトから射出されると、変形しながら優雅に宇宙を舞う。
「ウェブライダー形態、異常なし。あとはあの変形だけですね」
「アレは感情に任せてだからな。時間はかかるだろう」
アイツが乗ったバイコーンを見ながら、ただ、時間が過ぎていくのを見るしかなかった。
「動きっがっ、はっやいっ」
バイコーンの操縦は、簡単ではなった。
Gがやたらと動く上に、小惑星との衝突を避けなければならない。
「ここっまでくれっば」
母艦からはだいぶ離れたが、周囲には障害物が殆どない場所にまでつく。
「ここでなら……ん?熱源反応」
明らかに何かが近づいていた。
レーダーに引っかかるのは、MSの反応。
「こちら、バイコーン!UNKNOWNの接近を確認!」
『こちらでも検知した。今すぐ、増援を呼ぶ。それまで耐えろ』
「私だけでやってもいい?」
『ダメだ』
「はーい」
通信を切り、戦闘の用意をする。
「武装は問題なし。あとは……私の勇気だけ」
操縦桿を強く握りしめ、怖いのを我慢する。
「敵さんは……なにアレ」
カメラが自動的に敵をズームして、敵の姿が見える。
全身金色で、羽みたいな何かを背中につけているMS。
そして、そのフェイスマスクは、とある機体とそっくりだった。
「あれは……ユニコーン!?3機目がいたの!?」
ユニコーンだ。
「なら、ユニコーンのデータを改造、修正して作られたこのバイコーンがまともに戦えないわけがない……」
できるよね、バイコーン。