自殺したと思ったらオルフェノクになっていた。 作:地支 辰巳
クローバーが動き出す
週末に私淡路紫乃は公園に来ていた。
来た理由なんてほとんどないただ落ち着いた所で、読書がしたかっただけ。だから私は公園で一人でベンチに座って読書をしていた。読書なんて家ですればいいじゃないかと思うかもしれないが、たまの休日ぐらいはいつもと違う環境で読書したくなったから。
だからだろうかいつもと違うことが起こるのは当然だと思う。
私は読書をしているがいまいち集中出来ていなかった。それは何故か、理由なんて分かりきっている。この都会の中でも広いと言える公園にいるのは子供なんかじゃない。私と目の前のブランコに座って読書をしている少しパーマがかかったメガネの男の人だけだ。それの何それの何が問題なのだろうと思うだろうが、私だって普通に男の人が読書しているだけだったら何も気にする事はない。でも、その人の読んでいるのがイェイツの詩集なのだ。
私も読書が好きで詩集も読むのだが普段詩集なんて読んでいる人がいないので、話が合うのではないかと期待してしまってついつい見てしまっているのだ。それにあっちの男の人もこちらをちらちらと見ているのにも気づいてしまってなんとも言えない気持ちになってしまっているのだ。
そしてついに痺れを切らしたのか男の人がこちらに近づいて来た。その足取りに私は期待と不安の気持ちを持って待っていた。そしてついに彼が来た。
「不躾で失礼なのですが、貴方が読んでいるのはゲーテのヘルマンとドロテーアだとお見受けするのですが、合ってますか?」
私が読んでいる本が気になって声をかけてきたようだった。さっきちらちらとこちらを見ていたのも私の本が気になっていたからなのは明白だった。私も彼の持っている本が気になって見ていたので同じかと少し嬉しくなってしまったが、落ち着いて返事をすることにした。
「は!、はいそうです!」
やってしまった。声が思いっ切り上擦ってしまった。どうしようかと彼を見ると何も言わずに隣に座った。その行動には少し恐怖感が芽生えたが、特に何かされるわけでも無かったので気にしないことにした。
「あの、貴方の読んでいる本はイェイツの詩集ですよね?中々読んでいる人見かけませんが、読書お好きなんですか?」
「ええ、好きですよ。僕もゲーテの本を読んでいる人なんて見ないものでつい声をかけてしまいました。すみませんね」
「いえ、私も声をかけてようと思っていたので。それより同じ趣味を持つ人として趣味の話でもしませんか?」
彼は私の提案に乗ってくれてお互いに好きな本や詩集などを力説したりして、時間を過ごした。名前は琢磨逸郎らしい、琢磨さんとの時間は生徒会のみんなと過ごすのとは違う楽しさだけど、すごく気分が良かった。琢磨さんは夜から用事があると言って別れたけどまた会おうと言ってくれた。次に会う時はどんな話をしようかなと楽しみにしながら私は家への帰路に帰った。
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「どうしたの琢磨君?今日は一段と機嫌が良さそうね。そんなに村上君と会うのが楽しみなの?」
「そんなんじゃありませんよ。ただ今日は有意義な時間が過ごせたなと思っていただけですよ」
バークローバーと呼ばれるこのバーには今三人の人がいた。カウンター奥にいて店員の格好をしている影山冴子、カウンターの席でお酒を飲んでいる琢磨逸郎、同じくカウンターの席に座って犬のチャコを撫でているMr •ジェイと呼ばれる三人だ。そこに店の入り口から入って来る男がいた。その男は店内に入ると迷う事なくすでに二人が座っているカウンターの席に座った。
「オルフェノクの中でも上の上に位置するラッキークローバーのみなさんに集まってもらったのは他でもない、あなた方にしか頼めない仕事があるからです」
「村上さん分かっているとは思いますが、本来僕たちは社長である貴方の命令を聞く必要なんてですよ。だからくだらない要件で我々を使わないでいただきたい」
「分かっていますよ。だから私としてはお願いをしに来ています。よろしいですか?」
「村上君よく分かったから。さっさとその仕事についてのお話をしましょう」
「ええそうしましょうか。ではまずはジェイさんに仕事を頼みたいと思います」
その言葉にジェイは相変わらずチャコを撫でながら頷ている。
「仕事というのは元々我々が持っていたファイズとカイザのベルトを回収していただきたい」
「今のところ、これまで回収に向かった社員であるオルフェノクはことごとく撃破されています。だからラッキークローバーである貴方がたにしか頼めないんです。位置はこちらから発見でき次第送らせていただきますので」
ジェイが頷いたのを確認すると村上は次の仕事を頼むため一度影山と琢磨の方を一度見た。
「お二人には裏切り者の始末をお願いしたい。こちらも位置は発見でき次第送らせていただきます」
「分かったわ」
「分かりました」
「そういえば北崎さんのお姿が見えませんがどこにいらっしゃるのですか?」
「ああ、北崎君ね。彼結構自由だから今頃適当な場所を散歩しているんだと思うわよ。副社長に抱き抱えられているっていう噂があるから心配なのかしら?」
「別にそれを思って聞いたわけではありませんが、噂が誠であればやはりあまり見過ごす訳にはいけませんね」
「村上さんは彼とは良い関係を気付くことは出来なんですか?こちらの仕事にも影響があると困りますので」
「悪影響は無いとは思いますが、私個人としては上の下の評価をしていますが、少々苦手でしてね。いかんせん彼の行動は不自然な所が多すぎる。私とも花形さんとも一定の距離を保ち続けて、隠れて何かをしているというのは分かっているんですが、何をしているかがこちらからは一切分からない。しかも何年か前に北崎さんを使ってどこかに襲撃に行ったらしいですし、彼の行動目的がさっぱりです」
「ふふ、別にいいじゃない。ベルトが奪われたことによりさまざまな事が起こっていると思うの。だからいずれ村上君と梗介君、どちらが上かいずれ決着がつくでしょうね」
「忠告として受け取っておきますよ。私としても彼とはいずれ事を構える気でいましたから、覚悟はしています」
宣戦布告のような言葉を言うと村上は席を立った。
「では御三方の仕事の成功を期待していますよ」
そう言い残して村上は店から去って行った。
「ねぇ琢磨君は村上君と梗介君、戦ったらどちらが勝つと思う?」
「確かに気になりますね。そうですね、周りのオルフェノクを巻き込んでやるとしたら数が多い村上さんの方に軍配が上がると思いますが、一対一だと誰もオルフェノク態を見た事が無いと言われる梗介さんが勝つかもしれませんね」
「冷静な分析ありがとう琢磨君。私も確かにそう思うわ。ふふ、どちらが最後に勝つか本当に見ものね」
久しぶりの紫乃の登場ですね。
やっとラッキークローバーも登場していよいよ中盤ですね。
今回の話は次回の話の前編みたいなものです。