自殺したと思ったらオルフェノクになっていた。 作:地支 辰巳
高宮航太がカイザのベルトによって灰化してから数日経った頃、人通りの少ない場所にあるキャンピングカーの中には元流星塾のメンバー何名かと増田教論は思い詰められたような様子だった。
「どうすんだよ!カイザのベルトを持った高宮はいなくなるし、ベルトも行方不明だしよ」
「落ち着くんだ徳本くん。今、犬飼君に今まで連絡を取っていなかった流星塾生にベルトを知らないか聞いているから少し待とう」
「犬飼いったい誰に連絡を取ったんだ?」
「とりあえず真理と璃々にベルトの写真を送って会うことになったよ」
「マジかよ。二人共ベルトに見覚えがあるのか。これはどちらかが高宮からベルトを奪ったのか……」
「バカな想像はやめて徳本君。流星塾生のみんながそんな事するわけ無いじゃない。多分カイザのベルトの呪いで高宮君が灰化する前に託されたとかよ。きっと」
「阿部さんの言う通りだ徳本君。流星塾生がそんな事をするわけない。それに連絡が取れて会える事になったのだから、その時に事情を聞けばいいさ」
「じゃあみんな、俺は待ち合わせ場所に行ってくるから。もしも時のために誰か様子を見ておいてくれよな」
その言葉を言い残して犬飼は待ち合わせ場所に向かった。その後残ったメンバーで相談をして西田がもしもの時の連絡係として向かうことが決まった。
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私がカイザのベルトを手に入れたから二日ほど経った頃に流星塾の奴からメールが届いた。そのメールにはカイザのベルトの写真が貼ってあって、『知っていることがあればシーパラダイスに来い』とご丁寧に場所の指定までしてあった。行ったら行ったで面倒くさいことにはなると思うのだが、今の時点でどのくらいの流星塾生がオルフェノクに関わっているかが気にならないこともないので、念のためにベルトも持って行くことにした。
シーパラダイスに着いた私は待ち合わせ場所を探すためにとりあえず歩き回ることにした。その過程でなんと真理とファイズに変身している確か……梓が巧って言う名前だと言っていた男がいた。
まさかあのメールが私だけにピンポイントで送られてきた訳では無いと思うから、真理にも多分送られてきてあのベルトのことを知りたくて来たのだろう。
さて……真理に会うのは少し嫌というか会いたいけど会いたく無いというよく分かんない気持ちだけど、どうせ行き着くところは一緒だろうと思い私は真理と巧と呼ばれる男をつけてみることにした。
二人は雑談をしながらも待ち合わせ場所に近づいて来ていた。そして待ち合わせ場所に着いたと思うと、そこには確かに流星塾の犬飼が居たのだが、あっという間に灰化していってしまった。ここにスマートブレインの刺客がいるであろうことを私が悟ると同時に真理達の前に凶暴そうな歯を揃えたクロコダイルのオルフェノクが現れた。
二人はオルフェノクの登場に驚いたようだったがすぐに立て直したようで、巧の方がファイズに変身した。
私もカイザに変身しようか少し悩んだが、とりあえずは相手のオルフェノクとファイズの技量と実力を測るために待ってみることにした。
クロコダイルのオルフェノクの頑丈そうな体に対してファイズの攻撃は効いている様子が全然見られず苦戦しているようで、足から出たポインターを打ち込み叩き込むキックも弾かれて、その上何度も殴られてファイズが怯んでしまった。そこに追加でオルフェノクのパンチが入ってファイズの変身は解除されてしまった。
「巧!」
「くそー硬ぇじゃねぇかこいつ」
ダメージを負って満足に動けそうもない巧とそれに駆け寄る真理にクロコダイルのオルフェノクがどんどんと近寄って来た。
この場面だと真理に対して危険が及んでしまうと思った私は勢いのまま飛び出していってしまった。
「おいおい、待てよスマートブレインの刺客さんよ。私の大切な真理に対して何をしようとしているんだ?」
いきなり登場して来た璃々に対してクロコダイルのオルフェノクはその歩みを止めて、巧は訝しむような表情を向けて真理に至っては心底驚いたような表情をして目を見開いていた。
「え、……璃々」
「後で暇があったら話すからちょっと待っていてくれよ真理」
私は持っていたカイザドライバーを腰に巻いて、手にカイザファンを持ち913と入力してEnterボタン押して音が鳴ったのを確認して『変身』という言葉とともに斜めからベルトに差し込み倒して『Complete』の音声が鳴りカイザに変身した。
「璃々が、……黄色のファイズに」
「さぁ覚悟は出来ているんだろうなオルフェノク」
私はカイザブレイガンにミッションメモリーをセットして刃出して、オルフェノクに向かって振り下ろした。ファイズの攻撃とは違ってオルフェノクはダメージを負っているように見えて畳み掛けるように攻撃をオルフェノクに当てていった。
あまりのダメージに吹っ飛び倒れ込んだオルフェノクを確認してから、私はEnterボタンを押して『Exceed Charge』が鳴るのを確認するとカイザブレイガンから拘束する弾を打ち出しオルフェノクが拘束されると、そのまま駆け抜けオルフェノクの体を切り裂き灰化させた。
私はオルフェノクが灰化したことを確認すると変身を解除して、こちらを見ていた巧と真理に向き直った。
「初めまして巧君。そして久しぶりだね真理。雅人は元気にしているかな?最近は会ってないんだよね。あんまり長く話していてもお互いのためにならないから一言だけ言っておく、私はいつだって真理の味方だから」
私はそう言い残して真理の前から逃げた。何故逃げたのか自分でもよく分からない。ただ恥ずかしかっただけかもしれないし、気まずかっただけかもしれない。でも、これで良かったのだと思う。だってこれ以上関わるとあの日みたいに真理の記憶をまた少し消さなければならないかもしれないから。
「ちょっと待ってよ璃々!話が」
後ろから聞こえてくる真理の声を聞きながらも私は振り向くことはせず、その場から去って行った。
かっこいい最後を遂げるはずの西田が生き残ってしまいました。