自殺したと思ったらオルフェノクになっていた。   作:地支 辰巳

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時系列は一気に飛びます。


進んでいく準備

私が目を覚ますとどこか知らない場所にいた。

何故知らない場所にいるかなんて考えてみても検討もつかない。

 

自分の最後の行動を思い出してみても、いつものように学校から璃々さんと暮らしている家に帰ってたと思う。でも、その辺の記憶が曖昧で誰かを見た気がするけど、この状況を見るに多分その人に誘拐されたとかなのだろう。私はオリジナルのオルフェノクなのに情けないな。

 

そんな風に自分の事を嘲笑していると、この部屋のドアが空いてそこから若い紳士的な格好をした男の人と地味な服を着て笑顔でいる少年が入ってきた。

 

状況を鑑みるにこの二人が私を誘拐した犯人という訳だろう。しかも何故だか私の本能がこいつらは危険だと訴えて来ている。だけどただ一つの出口であるドアからはこいつらがいて、他に出口も無さそうな様子だ。ここは自らがオルフェノクである力を使って強引に出るしかなさそうだな。

 

どうせ誘拐犯なんて灰にしてしまって問題なんて無いだろうし、どのくらい眠っていたかは分からないが、これ以上かすみや璃々達に心配をかけさせるわけには行かないから、とっとと帰らないと。

 

「あーなんかあいつオルフェノクになったけど、やっちゃっていいんだよね」

 

「ああ北崎、君に任せる。もちろん殺してはダメだからな」

 

私がオルフェノクに変身をして、三又槍で刺そうとしたところに、少年の方がオルフェノクに変身して私の槍を腕で受け止めてきた。

 

「な、あんた達二人共オルフェノクなのか。私がオルフェノクだと知っていて誘拐してきたの?」

 

私が少年のオルフェノクと戦いながらも男に質問をした。

 

「ああそうだとも伊予梓君。もっと言うと私が君を拐ってきたのは君がオルフェノクだからだよ」

 

一体どういうことなの?私がオルフェノクだからと言うことは三人は無事なのか?私が拐われたということは三人も誘拐された可能性も高いが、ここの部屋にいない事を見ると他の部屋に囚われているのだろうか。私はオルフェノクからの容赦の無い猛撃を受けながらも必死に考えを巡らせていた。

 

「私の周りの人も拐ってきたのか!一体何が目的なんだ。あんた達はスマートブレインなのか?私達の事を粛清する為か」

 

「拐ってきたのは君だけということは断言出来る。そしてスマートブレインと聞かれるとそうだが。いい機会だし自己紹介をしておこうか。私はスマートブレイン副社長の長門梗介だ。そしてそこにいるオルフェノクはラッキークローバーの北崎だな。そして君を拐ってきたのは私の独断だ」

 

分からない。何故私だけを拐ってきて、しかもそれは何故この副社長の独断なのか。何も分からない。

私はそのまま少年のオルフェノクの強い殴りを受けた衝撃で意識を失ってしまった。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

梓が消えてからそれなりの日が経ってしまった。私が雅人から受けた傷ももうほとんど治ったぐらいだ。梓が失踪してしまってからかすみや紫乃も必死に写真を持って今も探していて、私も写真を真理や雅人に見せて空いた手間があると探してもらっている。

雅人に頼む時は非常に苦労したけど、なんとか説得が出来て良かった。

でも今でも雅人はカイザに変身してオルフェノクを倒しているらしいので、そっちの方もすごく心配だ。

 

だけど今日になってやっと新しい情報が得られたのだ。なんと紫乃の知り合いのメガネをかけたインテリな男の人がスマートブレインで写真の梓を見たらしいのだ。そのお兄さんもオルフェノクの可能性があるけど、紫乃もあっちも気づいていないようだし、今は置いておこう。

 

それよりも重要なのは梓がスマートブレインに囚われているということだ。あの協力的では無いオルフェノクは粛清するという場所に囚われているということは良い待遇を受けていないことは明白だ。早めに助けに行けるといいんだけど。

もうすこしで私の傷も治るだろうから、それから危ないけどかすみや紫乃、巧が変身するファイズや雅人のカイザにも手伝ってもらおう。なんたってあのオルフェノクの巣窟のスマートブレインに乗り込むのだから。

 

 

私はスマートブレインに乗り込む手伝いをお願いをするためにあのクリーニング屋を訪ねた。

 

「あ!璃々さん。梓さんは見つかったかな?僕達の方ではまだ見つかって無いんだけど……」

 

訪ねてみると啓太郎が出迎えてくれて、会って直ぐに申し訳なさそうな顔をされてしまった。

 

「その事で話があるんだけど。中に入ってもいいかな?」

 

「もちろんだよ。どうぞ入って入って。今は新しくバイトの子が入ったんだけど、気にしないでね」

 

啓太郎から快く中に入ってみると中には昼ごはんを食べていると思われる巧とうん?この顔は沙耶じゃないか?何でこのクリーニング屋にいるんだ。

あっちもこちらに気づいたようで、目が合うと不自然に逸らされてしまった。

 

「この子が新しく入ったバイトの人ですか?」

 

「うんそうだよ。たっくんと同じ猫舌の木村沙耶さん。もしかしたら知り合いかな?」

 

確か前に梓が会った時に沙耶はデルタのベルトを持っていたはずだ。これは思わぬ収穫だな。これからの戦いには一人でも戦力が必要だから、沙耶にも手伝ってもらう事にするか。

 

「ああ知り合いなんだ。少し二人で話したいことがあるからいいかな?後で啓太郎と巧に話すことは話すから」

 

私は沙耶に目配せをすると、とりあえず二人でクリーニング屋を出て表で話を始めた。

 

「どうして沙耶がこのクリーニング屋にいるんだ?それに沙耶はデルタのベルトを持っていたよな?今も持っているのか?」

 

私が一気に質問したせいなのか、沙耶は少し萎縮してしまったようだが、時間が経つと意を決したのかはっきりとした口調で答えた。

 

「私は確かに今もデルタのベルトを持っています。そしてここに来たのはファイズとして戦っている巧さんのことを聞いてベルトを託せる人か見極めに来たんです」

 

そうか……沙耶もオルフェノクとかと随分と戦ったのが、この言葉から伝わってくる。沙耶は流星塾の中で一番優しかったからな辛いこともあったのだろうな。だけど巧にベルトを渡してもらっては困るな。戦力が一つ減ってしまうことになるからな。

 

「沙耶の事情は分かった。でも、ベルトを渡すのは少し待ってくれないか?実は私の仲間の梓がスマートブレインに捕まったんだ。それを沙耶にもデルタとして手伝ってほしいんだ。沙耶も森で会ったことあるんだろ?あの人魚のオルフェノクである梓に」

 

私のお願いに対して沙耶は随分と悩んだようだったが、暫くすると覚悟をした顔を私の方に向けて来た。

 

「分かった。梓さんを救出すればいいんだよね?私でよければ力を貸すよ」

 

これで戦力が随分と増えてくれた。私にかすみに紫乃、それに後で誘うがファイズとカイザ。そして今誘ったデルタ。後かすみが知り合いに声をかけてみると言ってくれたから、それもそろえば大きな戦力になることになる。スマートブレイン全体かは分からない。でも、例え全体だろうと構わない。

 

私は私の周りの人だけでも守ってみせる。それが私の夢であり、私の生きている意味なのだから。それを守らなければ私に生きている価値なんて無いから。

 

 

 

 




木村沙耶は本編を始めて見ていた時になんで死んだんやと思ったのをすごい覚えています。

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