自殺したと思ったらオルフェノクになっていた。   作:地支 辰巳

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本編時系列では26話ぐらいから分岐しています。
真理と啓太郎は安全を考慮して留守番してもらっています。


人間とオルフェノクの半端者

沙耶から協力をしてもらう約束をした、私はあれからファイズである巧とカイザである雅人との協力をなんとかして取り付けた。

 

それから今私は梓を救うためにスマートブレイン近くに来ている。梓と親しかったかすみや紫乃はもちろんのこと、協力を要請した巧や雅人、沙耶も来てくれた。それと、かすみが協力を頼んでくれたオルフェノクで信用の出来る人達が三人が来てくれたみたいだった。

 

それで、事前の作戦会議で雅人の提案によってチームを二つを分けることになることになって、かすみが呼んでくれた三人のオルフェノクの人達と紫乃とかすみの五人が工事業者として裏から潜入していって、私と雅人、巧と沙耶の四人が正面から掃除業者に成りすまして潜入することになっている。はっきりと言ってしまえば不安だけど、もう清掃員の格好をしていて後戻りは出来ないので、梓を取り戻して大団円で終わりたいなぁとしみじみと思いながら作戦を開始することにする。

 

事前にスマートブレインの幹部と戦ったのある巧や雅人の情報によると、ラッキークローバーと言うのがいる可能性が高くて、確信に近いけど、オリジナルのオルフェノクだと思うので一応の覚悟はもちろんしてきている。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

「おい、俺この格好二回目なんだが、こんなんでバレないもんなのか?」

 

清掃員の格好をしながら入ったスマートブレインの本社の中で、巧がこの状況に対して今更ながら苦言を呈している。確かにこの格好でバレてない事は奇跡だと思うけど、私としては気にしない事にして進める所まで進みたいと思っている。

 

無事にエレベーターに乗った私たちはとりあえず上から探していこうと言う事で、高い階のボタンを押してそこに向かう事にした。かすみのグループとは何かあったか、梓を発見したら連絡をしようと事前に相談をしていたので、もしかしたら同じ階に行く事になってしまっているかもしれないが、その時はその時で大勢でスマートブレインに勤めているオルフェノクを倒しながら探すことになるだろう。

 

その階に着くと人気はほとんど無くて、嵐の前の静けさというやつに私は思えてしまった。このいかにもな雰囲気に巧や雅人、紫乃も息を殺して周りを警戒してくれているようだった。私だってこの異様な感じに警戒心がいつも以上に上がっている。

 

そしてその予感は当たっていたようで廊下を進んで行くと、そこにはまだ幼い様な表情をした少年と私も見覚えのある流星塾生の澤田が立ち塞がるように立っていた。

 

「やぁ、やっときたんだね待っていたよ。さぁ長門が足止めもしくは、殺しても構わないって言ったからやっちゃうね」

 

その少年は純粋そうな笑顔を見せながら、物騒な言葉を口にしてきていた。だが、そんなことよりも気になるのは澤田のことだ。なんで澤田がこんな所にいるんだ?私は澤田がオルフェノクなんて一回も知らなかったし、そんな事知るよしも無かった。隣の雅人も知らなかったようで、随分と驚いた表情をしている。私と雅人は澤田に対して真理をいじめる嫌な奴という印象を持っていたからこの再会は何とも言えない気分になってしまう。

そんな澤田を見た私と雅人とは違って、沙耶はすごく悲痛で辛そうな顔をしていて、何か知っていることは明白だけど、後で聞く事にしよう。

 

「ベルトを持っている人間が攻めて来ると社長が言ってたけど、残りのラッキークローバーの二人と一緒に行かなくて北崎の方に来て正解だったよ……。だってここで流星塾生の三人を殺せるんだから」

 

澤田の敵発言を聞くて、こちらの三人はライダーに変身をして、私と北崎?と澤田はオルフェノクに変身した。澤田は分からないけど、そっちの北崎は確実にオリジナルで、戦闘力は折り紙付きだろう。巧も雅人も最後に会ってから色んな経験を積んできたとは思うけど、それでも勝てるかどうかは分からない。

 

 

巧と沙耶は北崎の方を相手どって、私と雅人は澤田の相手をする様に動き出した。

 

「澤田!お前はここで倒す。お前が二度と真理に近づかないようにするためにな!」

 

雅人の渾身の攻撃と怨念の籠った叫びを聞きながらも澤田は臆する様子も無く、手に生成をした手裏剣のような武器を使って雅人の攻撃をいなしていた。

私も雅人の邪魔をしないようにしながらもオルフェノクの身体能力を使って攻撃を加えていっていた。

 

「俺は真理もお前らを殺さなくてはならないんだ。オルフェノクの本能がそう訴えてくるんだ……」

 

澤田は澤田でオルフェノクの本能と戦っている様で、随分と苦悩をしているのが、見て取れる様だった。私もオルフェノクの本能とも言うべき人間を襲うことが頭の中になだれ込んできたことをあったけど、そんな時は理性を保った存在でありたいと思い続けて何とか耐えていた。

 

「澤田悩むことなんて無いんだ。オルフェノクと人間の狭間で生きていたって良いんだ。私はそんなオルフェノクを知っているから……」

 

私は澤田を説得するように訴えかけた。戦いを避けられるものならば避けたい。流星塾生の中で争い合うなんて父さんも教論もそんな事は望んでいないと思うから。

 

「うるさい。璃々、お前のような純粋なオルフェノクになんて俺の気持ちは分かるわけないんだ……」

 

「璃々こいつはもう敵なんだ!戦いに集中するんだ。こいつを殺すだけを考えろ」

 

私はどうするべきかは分からない。だけど、たとえ真理のいじめていた澤田であろうと、もしここで殺してしまっては絶対に真理は悲しむと思うから、だから私は澤田を殺したくなんてない。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

私木村沙耶はここに来たことを少し後悔をしていた。何故ならば自分の想像を大きく超える形で、目の前のオルフェノクが存在していたから。

 

私自身これまでデルタとしてオルフェノクと戦ってきて、自信がそれなりについていたつもりだった。でも、目の前のオルフェノクはそれを余りにも凌駕していた。

 

北崎と呼ばれたその少年が変身するオルフェノクはこれまで戦ってきたどんなオルフェノクよりもパワーがあって、防御力があるが、負ける訳にいかない。私ばかりこんな弱音を心の中で吐いていたら、先に倒れてしまった私を庇うために未だにオルフェノクと殴り合っている乾さんがいるから。

 

全然効いていないと分かっていても、私はデルタムーバーをブラスターモードにして乾さんに当たらないように遠距離から打ち続けた。

 

「うっとおしいなぁ。でも、いいやハンデっていうのかな?お遊びとしてはちょうどいいからね」

 

北崎はまだまだ余裕そうな様子だけど、私は打ち続けた。あのオルフェノクも打ち続けたらはいつかは倒れると信じて。

 

「へっ、いつまでも余裕ぶってんじゃねぇぞ。一発逆転してやるからな」

 

乾さんはまだまだ大丈夫そうな様子で、左腕につけられた腕時計からメモリーを引き抜いてそれをベルトにセットした。ファイズの姿は段々と変わっていって、その姿は赤のラインが特徴だったファイズから銀のラインの特徴のファイズへと変わっていた。

 

そのファイズは私が気づいた時にはオルフェノクを殴っていたようで、オルフェノクの体は体格の良い体から、細身の動きやすい体に変化していた。

 

「へぇ〜けっこうやるもんだね。でも、スピードだったらこっちもまけてないから」

 

そこからの戦いは圧巻という他に無かったと思う。スピードがあり過ぎるあまり私からは全く確認することが出来ずないけど、時々見ることが出来た一瞬の動きではファイズもオルフェノクも同等に渡り合っていた。

 

私自身の体感では3分ぐらい見ていた感覚になってしまっていたのだが、どうやらそこまで経っていないようで、『Time out』という音声が聞こえたと思うと、そのまま乾さんが変身解除されて、私の方に吹っ飛ばされて来た。

 

「く、スピードもパワーも折り紙付きって訳かよ」

 

「たのしかったけど、もうおわりのようだね。じゃあね」

 

また体が体格のいいようになったオルフェノクが倒れた乾さんに止めを刺すためにこちらに近づいてきていた。最初は疑っていたけど、乾さんが本当は優しい人だって分かったんだ。守られてばかりじゃいられない。

 

私は乾さんの前に立つとそのまま『Check』とデルタムーバーに音声入力をすると、ポインターのついたオルフェノクに向かった必殺技のキックを放った。

 

だけど、その必殺技ももたせられた少しで、直ぐに弾かれてしまった。

 

「あーあ、まぁそこそこってとこだね」

 

殺されるそう思った。誘ってくれた璃々にも助けるはずだった梓さんにも申し訳なさが湧き上がってくる。隣にいる乾さんにも私が足を引っ張っちゃったかなと悲しさともっと話かったなという思いがどんどん出てきてしまった。

でも、その時に携帯の音がここに鳴り響いた。

 

その音はどうやら北崎から聞こえてきたようで、北崎は人間の姿に戻ると携帯に耳を当てた。

 

「もしもし?あー長門?なに今忙しいんだけど?え?あいつ起きたの?分かった足止めは辞めで直ぐ戻るよ」

 

電話を切った北崎はこちらを一瞥してから、後ろにいると思われる澤田くんの無気力な様子を一瞬見ると特に興味も無さそうにしていた。

 

「僕は長門に呼ばれちゃったから帰るね。副社長室まで来れたらまた遊んであげるよ。じゃあね」

 

北崎が見えなくなると、私と巧さんはその場で座り込んでしまった。

また直ぐに北崎とは戦うことになるだろうけど、その時には負けるわけにはいかない。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

沙耶と巧が北崎と戦っている間、私と雅人も澤田との激闘を繰り広げていた。最初は最近オルフェノクになったばかりだから、楽に身柄を拘束出来るかなと思ってもいたけど、思い他強敵で私と雅人の二人がかりでも苦労を要する相手だった。

 

「俺はお前らを殺して、真理を殺さなくてはならないだ!早く俺の前から消えろ!」

 

「澤田ー!どけ!璃々、俺が澤田にとどめを刺してやる。そこで見ていろ」

 

私が雅人に倒された間に、雅人は足に私が見たことも無かったカイザの武装を取り付けると、そのままEnterボタンを押して澤田に向かってポインターを放ったのだが、それを澤田は手に持っていた手裏剣みたいなので受け止めた。

 

そしてそれが盾となって犠牲になり、カイザが放ったキックを澤田を防いで見せた。

しかし、衝撃は強かったようで澤田は後ろに倒れ込んでしまった。私はそれをチャンスだと思って倒れ込んだ澤田に駆け寄って、そのまま澤田の体の上に跨がって一発殴ってやった。

 

「澤田オルフェノクに飲み込まれるんじゃないよ!昔みたいに毎日毎日飽きもせずに真理をいじめていた純粋なお前に戻れよ!何の為に昔の仲間を殺す必要があるんだ」

 

「それがオルフェノクになり切る為に必要な事だからだ……。今の俺はどちらにもなり切れていない半端者だからな……」

 

「半端者で何が悪いんだよ。自分に正直になってくれよ澤田。本当は人間の心が捨てきれなくて迷っているんだろ?でも、それは必要なものなんだよ。周りに人がいる為に必要なものなんだよ。それが無くなったらお前の周りには誰も居なくなって、お前自身も空虚なものになる。それになりよりも真理が悲しむだろ」

 

いつの間にか私と澤田はオルフェノク態から人間態に戻っていて、私の余りの剣幕に驚いたのか、雅人も動きを止めてこちらの様子を疑っていた。

 

「半端者でもオルフェノクでもいいじゃないか。澤田が澤田自身であることを捨てなければ、私も、もちろん真理も受けいれるよ」

 

私の言葉を聞いた澤田は体から力を抜いて落ち着いてくれたようだった。もうこれで私たちと澤田が争う理由なんて無い。

 

「これでいいだろ雅人?私たちが争う必要なんて無いんだ」

 

雅人はカイザから変身を解除して、こちらに背を向けながらも返事を返してくれた。

 

「後で事情は聞かせてもらうからな澤田。お前が真理に手を出す素振りを見せたら俺は容赦なくお前のことを殺すから覚えておけ」

 

私が澤田の上から離れると、澤田はそのまま壁に寄りかかりに行って、私達に苦笑をしながら一言言ってくれた。

 

「俺って何なんだろうな」

 

その言葉を聞いた直後だった。北崎の携帯が鳴ったと思ったら、退却をしていったのは。

これで多分こっちの方の安全は確保を出来たのだろう。さて、かすみや紫乃の方は大丈夫なんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




チーム分けはこれ以上良い組み合わせが無かったと思う。
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