自殺したと思ったらオルフェノクになっていた。 作:地支 辰巳
あと5話以内には完結させますので安心してください。
梓を探すため、私は璃々さん達とは分かれて裏口の方から侵入をしていた。
もちろん私一人だけでは無く、紫乃や私が頼んだ木場さんやその仲間の長田さんと海堂さんと一緒に侵入をしている。
「ちゅーか、スマートブレインの中なんて入って、もし居なかったら俺ら出ることは難しいじゃねぇか?」
「大丈夫ですよ海堂さん。淡路さんの知り合いがここで見たらしいのて」
「はい。私の知り合いは物事を覚えることが得意な、インテリな人なので信じるに値するのは確かです」
紫乃や木場さん達が一緒に来てくれていて私は本当に心強い思いでいっぱいだった。私一人だけだと、梓を助けられないと絶望して心が折れていたかもしれないから。
木場さん達は他のスマートブレインのオルフェノクと何ども戦ってきていたようで、強いのは確かで、しかも木場さんや長田さんはオリジナルのオルフェノクらしく私や紫乃なんかよりも強い。
そんな心に余裕を持ちながら私達は進んで行き、エレベーターに乗ってとりあえず上の方の階に梓がいると思って上層階のボタンを押した。
こっちのグループで梓を発見したら璃々さんのグループに連絡すると打ち合わせしているので、早く梓を見つけて璃々さんを安心させてあげないと。それに、……家族の事で私は梓を救えなかったから、今度は絶対に救わないと親友失格になると思うから。
♠︎ ♠︎ ♠︎
エレベーターから降りた私達は慣れない動きながらもそれっぽくクリアリングした。
その結果どうやらこの階には何も手がかりが無いみたいで、私は落ち込む気持ちを切り替えながら、次の階へのボタンを押した。
次の階に着くとこちらでも同じようにクリアリングをすると、社長室と思われる場所を見つけた。
「ここが社長室なのか。こんな所にあったんだね」
スマートブレインに来た事がある木場さんでも知らなかったみたいで、ここに何かあると確信した私達はお互いを見て頷きあって、突入をした。
突入した部屋の中は広々した空間で事務的で座りやすそうな椅子と机そしてその上に置いてあるパソコンのみだったのだが、部屋の中には黒服の胸元に薔薇を刺したいかにもな用心棒が二人いた。
私達は警戒することを忘れずにオルフェノクに変身すると、その用心棒二人は何の言葉を発することは無くオルフェノクに変身した。
そのカブトムシのようなオルフェノクとクワガタのようなオルフェノクを相手に私達は臆することなどなく、向かっていった。
カブトムシのオルフェノクを相手取るために距離を詰めた私に後ろから木場さんが助太刀に来てくれて、お互いにヒット&アウェイの要領で戦いを優勢に進めた。
相手の使ってくる薙刀を私が身体から出した茎で防せぐと、ここが好機と判断したのか木場さんはそのままカブトムシのオルフェノクに切り付けながらも詰めていって、剣を受け止めた薙刀をも打ち上げてそのまま胴体を切り去った。
カブトムシのオルフェノクはそのまま青い炎を上げながらも灰となって崩れていった。
私は心の中で木場さんに賞賛を贈ってから、もう一方はどうなっているかを見てみると、クワガタのオルフェノクは青い炎を上げながら倒れ込んだ所で、その周りにはトドメを刺したと思われる、全身白い鶴のようなオルフェノクの長田さんが出した無数の白い羽と全身黒い鴉のオルフェノクの紫乃が出した無数の黒い羽が舞っていて、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
敵を撃破した私達は社長のパソコンを調べるもパスワードがかかっていて、周りを探してもパスワードのメモが無いようなので諦めて、部屋を出て別の階に向かった。
♠︎ ♠︎ ♠︎
エレベーターに乗って別の階で降りて、今回も先程と同じようにクリアリングしようとしたところで、私達は廊下に立っている二つの影を見つけた。
近づいていくと、それは二人の男女だった。男の方はメガネをかけて落ち着いた雰囲気を醸し出して気取っている感じで、女の方は妖美という言葉を体現したような顔と格好をしていて、底が分からない感じだった。
「ようやく来たのね。待ちくたびれちゃったわ。お嬢ちゃん達」
「ええ、本当ですね冴子さん。あの副社長も我々ラッキークローバーを甘く見過ぎで……すよ……」
男の方は紫乃を見た瞬間から驚いた表情をして、言葉が詰まっていた。紫乃の方も男の方を見ていて驚いて、メガネを拭いたりもしていた。
「紫乃。あの男の人を知っているの?知り合い?」
「う、うん。あの人が私と本の趣味が合って、よく話してくれて、梓の居場所をここだと言ってくれた琢磨逸郎さん」
「じゃあこれはラッキークローバーの罠か?」
「いや、どうやらあっちも戸惑っているようだから、本当に知らなかったようだね」
「どうする紫乃?紫乃はあの人を倒せる?」
「私は……琢磨さんを説得したいです」
紫乃以外の他四人は、紫乃の意見を肯定するように頷き合った。もちろん紫乃の説得が効きそうに無いと思えば非情にも倒す覚悟は私だけでは無く、三人共もしているだろう。
相手方も準備が出来たようで、エビのようなオルフェノクとムカデのようなオルフェノクに変身した。こちらも覚悟は決まり全員がオルフェノクへの変身を完了していた。
♠︎ ♠︎ ♠︎
私と長田さんと海堂さんは冴子と呼ばれた女との戦いを挑んで、紫乃と木場さんは琢磨との説得兼戦闘を始めた。
「三体一まぁハンデのようなものね。見たところ、そこの結花ちゃん以外はオリジナルでは無いだしね。それに私、容赦は出来ないから」
「望むところです。私と海堂さんそして紀伊さんの三人なら貴方が相手でも勝ちます」
私も長田さんとは同じ気持ちだ。こんな所で負ける訳にはいかない。私は親友を取り戻さなくてはならないのだから。
三人で相手に攻撃する隙を与えないぐらいに攻めているのだが、相手が倒れない感じは流石は聞いていて通りのラッキークローバーということだろう。
長田さんの羽の攻撃が当たっているので、それが結構ダメージを与えてくれていて、私と海堂さんの近接での攻めが、ほとんど手の甲についたアーマーに守られてしまっているので何とも情けない気持ちになってしまう。
「長田さん、海堂さん。私が相手を拘束してみせます。その間に大技を叩き込んじゃってください!」
私のお願いにも二人は短くも了承の言葉をかけてくれて、やっぱりこの二人は本当に良いオルフェノクなんだなって改めて理解が出来た。
「あら?貴方だけで私のことを抑え込むことなんて出来るのかしら?」
「出来るじゃなくて、やってみせます!私の全力で貴方を止めてみせます」
いつまでも自分だけの正義を信じているままじゃダメなんだ。他の人の正義も信じてみないと。信じるに値しない正義なんていくらでもある。だけど、私はこの人達の正義は信じてみたいって思えたから。いや、ただそう思いたいだけかもしれなくても。
私は自分の身体から出せるだけのありったけの茎や根を出して、相手のオルフェノクを拘束させに行かせた。
最初の方は持っているサーベルで切られたりしたのだが、その切られた所から竜胆の花弁が出てくることで、視界を塞せげて、そのおかげもあり数を増した茎や根で拘束することが出来た。
「……ハァハァ。今です海堂さん、長田さん。私が拘束をできている内に」
私の声に答えるように、長田さんは大きくエネルギーのような翼を広げて、海堂さんは手に小刀を構えて拘束しているオルフェノクに攻撃を仕掛けてくれた。
長田さんの翼を受け、海堂さんの小刀を受け止めた冴子は青い炎を上げながらも人間態に戻れることは無く、少し、少しずつ奥に進んで行っていた。
「ま、まだ死なない。オルフェノクの王に会えるまでもう少しだと言うのにこんな所でま、だ」
そのまま冴子は灰になって崩れ去ってしまった。倒したのは私達だけど少し心が痛んでしまうのは私がまだ心を持っていると思ってもいいのだろう。
それにオルフェノクの王とは何なんだろう。梓がそれと何か関係があるっていうの?
私があっちの戦闘がどうなったのかを確かめるために目線を向けると、そこにはリラックスした表情をしている紫乃と木場さん、それに琢磨がいた。
♠︎ ♠︎ ♠︎
私と木場さんが琢磨さんの説得をしようと近づき、とりあえずは声で説得することにした。琢磨さんがラッキークローバーということで、木場さん達は幾度も相手をしているというのに私の意見には反対をしないでくれた。その優しさに応えるためにも私が琢磨さんの説得を成功させなくてはいけない。
「琢磨さん争うのは止めにしませんか?また前みたいに琢磨さんと本を語り合いたいです!駄目ですか?」
私の言葉に琢磨さんは一歩後ずさってくれたみたいで、しっかりと耳を傾けてくれていると分かって、まだ望みがあることを再認識出来た。
「あ、淡路さんがどれだけ説得しようとしても無駄ですよ。私はスマートブレインに所属している。そして淡路さんは乗り込んで来ている。争うしかないんですよ」
「そんなこと私はしたくない。私はただ自由が欲しくてオルフェノクになった。だって誰に邪魔させることなく過ごしたかったから。
オルフェノクは自由なんです。だから多くの倫理を外れるオルフェノクが生まれるのも仕方ないと思うけど、私は貴方にも自由になってほしいと思う。今の琢磨さんは私がいつも見る琢磨さんよりも窮屈そうだから」
琢磨さんの持っていたムチが木場さんに向けられて振るわれた。その振われたムチを木場さんは避けること無く受け止めた。ただ何も何も言わずにそのオルフェノクの瞳で琢磨さんを見て。
「僕はもう何人もこの手で殺しているんですよ。オルフェノクはもう人間は決定的に違う。僕はもう後戻りなんて出来ないんですよ」
「いいじゃないですか殺していても。私もこの手で私をいじめていた奴を殺しましたよ。何も殺すなと言っているわけではないんです。オルフェノクとして普通に暮らしませんか?」
「普通?普通って何ですか?オルフェノクとして会社に所属してそれが普通ではないと?」
私は少し、少しずつ琢磨さんに向かって距離を詰めて行った。それに伴って琢磨さんも後ずさっていくけどそれでも構わない。
「争いから身を引いて安全でゆったりと暮らそう?私も全力でサポートしますから、一緒にまるで隠居するように生きていきましょうよ。ね」
まるで愛の告白みたいになってしまっている感が多分にあるのだが、まぁそれもいいかと思える自分がいるので、私は全てが終わったら考えることにした。
琢磨さんは人間態に戻ると静かに膝をついていて戦う意思は無いようで、私は琢磨さんの身体に触れられる距離まで近づくとしゃがみこんで、同じ高さの目線になると手を差し伸べた。
「ゆったり暮らしますか……その後の人生はそういう風に過ごしても悪く……ないかもしれませんね」
私の手を握ってくれた琢磨さんは不器用ながらも笑ってくれていて、ああ今幸せだななんて柄にも無い事を思ってしまっていた。
どうやらかすみの方の戦闘も終わったようで、本能的に恐怖を感じていた女性は倒されていた。琢磨さんの短くてもしっかりと気持ちが伝わる謝罪を聞いてから、私たちは琢磨さんから梓がいるのは副社長室で、そこには副社長の長門梗介と社長の村上挟児がいるらしい。
行く場所が決まった私達は別働隊の璃々さん達に伝えると、そっちも情報が得られたので連絡しようとしていたらしい。
そして私達は璃々さん達と副社長室がある階で合流することにして、いよいよ目標である梓がいるであろう副社長室に乗り込むことになった。
僕の絵が上手かったら、主要なオルフェノクのデザイン画とかも描きたいんですが、下手なので何とかイメージで補ってください。