自殺したと思ったらオルフェノクになっていた。   作:地支 辰巳

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今回は独自解釈や独自設定が多くあります。ご注意下さい。


副社長とオルフェノクの王

私たちの部隊は琢磨さんを加えて合計六人で、副社長室がある階に来ていた。

そこには、合流する予定だった璃々さんの部隊が先に来ていた。

璃々さんの部隊は前に聞いていた人の数よりも一人増えていて、なんか帽子を深く被っている暗そうな人だった。それを言うならば、こちらにも一人増えているので、説明が必要かな?とは思う。

 

合流が成功して11人の大所帯となったので、乗り込んでからの情報交換をした。交換出来た情報には新しく加わった人が、璃々さんと同じ流星塾の出身の澤田亜希という人だということ。

次に、残る敵は副社長室にいるであろう、社長の村上峡児と副社長の長門梗介、そして最後のラッキークローバーである北崎の三人らしい。三人なら勝てて、梓を取り戻せると私は少し思ってしまったのだが、どうやら乾さんと木村さんの二人でも勝てなかったらしいのだ。だけどまだ諦める訳にはいかない。梓を助けるために11人に集まってくれたんだ。負けるわけにはいかない。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

いよいよ副社長室のドアの前に来たのだが、ドアが厚いからなのか、中の声はほとんど聞こえなくて、誰かがぼそぼそ話しているなぐらいしか分からなかった。

私は璃々さんや紫乃と顔を合わせて、ドアを突き破って突入をした。

 

部屋の中には、鎖に手を繋がれてぐったりとしている梓に、その近くのベッドの淵に座っている若そうな少年と立って話しをしている貫禄のありそうな二人の男性がいた。

 

「梓!!」

 

私が梓の元に駆けつけようとしたけど、木場さんにぎゅっと力を込められて引き留められてしまった。

木場さんが何故止めたのかは冷静に考えれば分かる事だった。相手は三人と分かっているのにわざわざ突っ込むなんて本当に自殺行為と何ら変わらない。梓に会えたと言う喜びからつい衝動的にやってしまった。

 

「やっと来たんですね。待っていましたよ。せっかくラッキークローバーを送ったというのに一人も仕留められないどころか、裏切るとは残念ですよ。ねぇ村上くんもそうは思わないか?」

 

「ええ。ですが、彼らは戦いに行きました。約束は果たされるべきなのでは無いですか?」

 

副社長であろう長門は苦笑いをしながらも、余裕を崩さない感じが出ていて、はっきり言って異質な存在に思えていた。村上と呼ばれた社長の方は真顔のままでこちらも全く油断をしていない。

私はどちらも強者だと言うことを身を持って体感していた。

 

「約束?ああ確かにそうですね。私に協力すればオルフェノクの王について教えると言いましたからね。今お教えしましょう」

 

「そんなことはどうでもいい!何で梓を攫ったの。梓は何も特別じゃない普通のオルフェノクだったのに」

 

私はつい長門に向かって声を荒げていた。あいつがこちらのことを無視してオルフェノクの王とか言うのについて話そうとしたから、ついやってしまった。

 

「梓さんもこれから村上くんに話すことと関係ありますから、まとめて話しますよ」

 

そう言った長門は梓の意識を目覚めさして、語り口調でこの場にいる全員に聞こえるような声音で話し始めた。

 

「まず初めに、オルフェノクの王というか、アークオルフェノクは死にました。いや、正確には私が完全(・・)に殺しました」

 

「どういうことですか長門さん。オルフェノクの王は私が知っている限り現代に復活はしていないはずです。何故殺せるんですか?」

 

「はぁ、話を遮らないでください。質問は最後に受け付けますから」

 

「さて、気を取り直していきますが、根本的に言うとオルフェノクの王とは役職名です。オルフェノクの王が完全に死ぬことで、次のオルフェノクの王になるに相応しいオルフェノクの王候補が生まれていく。そういう継承式でもあるんですよ」

 

「先代の王であるアークオルフェノクが死んだのが明治時代ですので、新しく王候補が出てくることになります。そして王候補として出てきたのが梓さんとそこにいる北崎ですね。

オルフェノクの王と候補はオルフェノクの未来を左右するほどの能力を持っていますから、探すのも容易でしたよ」

 

こいつが何を言っているのか理解出来なかった、いやしたくなかった。梓がオルフェノクの王の候補?確かに梓は他のオルフェノクとは違う使徒再生攻撃をしていたけど……よりにもよって何で梓が。もし神様がいるとしたらどうして梓にこんなにも重い境遇を押し付けるの?

 

「待ってください。長門さん、あなたはオルフェノクの王を殺したと言っていましたが、死んだのは明治時代なんですよね。あなたは一体何なんですか」

 

「私、いや、俺は今から800年前の平安時代にオルフェノクとなって、自身のオルフェノクの能力によって万年の寿命があるオリジナルのオルフェノク。スピリットタートルオルフェノクだ」

 

「貴方は一体何の為に800年もこんなことをしてきたんですか!?」

 

「ただオルフェノクのあり方を変えられたくなかっただけです。平安時代のようにオルフェノクは妖怪•鬼と呼ばれながらも隠れて悠々自適に生きる。そのあり方を維持する為にもバランスを崩すオルフェノクの王なんてものは必要は無いんです。だから殺しました」

 

「話は終わりですよ。北崎。ここにいる全員を殺したら貴方が王ですよ。村上くんも最後まで約束は果たしてくださいね。ここが最終決戦ですから」

 

「乗ったよ長門。ぼくがここにいる全員を殺して最強になるよ」

 

相手の村上も渋々ながらも承諾をして、相手方三人はオルフェノクに変身した。こちらも全員変身を完了させて、助ける目標である梓までもが、オルフェノクに変身して鎖を壊して、戦いの場所に参戦してくれた。

本音を言えば私が助けたかった所だけど、そんな事よりも今はここでこいつらを倒さないと結局は梓はまた巻き込まれてしまう。これが正真正銘の最後の戦いだ。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

戦いが始まってから、私は長田さんや紫乃さん、そして琢磨さんと共に、社長である村上の相手をすることになった。琢磨さんが争いから解放される為にはここで倒してしまわないと。

 

「琢磨さん。まさか貴方が裏切るとは思いませんでしたよ。上の上以上だと思っていたんですけどね」

 

「逃げることにしたんですよ。余生をゆっくりと過ごすために私はここを生きて乗りきります」

 

「そうですか。残念ですよ」

 

村上は言葉とともにこっちに対して衝撃波のようなものを放ってきた。私達四人はそれを受けながらも村上を押し出して、別の部屋に移動をした。

 

私と長田さんは飛翔態へとなると、長田さんは羽を打ち込み、私は鎌を持って空中からの攻撃を行なっていった。長田さんの舞わせた白い羽、私の黒い羽が空中を舞っていって、触れたら爆発を起こすバラの花と触れて辺りに爆発が起こりながらも、私達は攻撃の手を緩めなかった。

 

村上は近距離ワープを駆使しながら、地上と空中からの攻撃を上手く躱していた。だが、衝撃波を放った後や攻撃の後は、攻撃されなかった方が攻めていくことで、着実にダメージを与えることが出来ていた。

 

こちらが優先で進んでいたんのだが、いきなり蔓のようなものを伸ばして来て私と長田さんを絡みついてきて、二人まとめて地上に落とされてしまった。

 

「ッ、まだです。まだ負ける訳にはいきません」

 

「私も負けるにはいかないんですよ。ここでまとめて全員倒せばオルフェノクの未来には障害なんてものは無い。何故それが分からない!人間と一緒に過ごしていくなんてものは不可能だ」

 

「いいえ、出来ますよ。オルフェノクがどれだけ優れていようと一種で生きることなんて無理なんです。だから、いままで通りに暮らしていくべきなんです」

 

私と長田さんが攻撃を再開しようとしたら、琢磨さんが鞭で村上の体を縛ると、その上で海堂さんが取り付いて、身動きを封じた。

長田さんと頷き合ってこのチャンスに畳み掛けることにした。もちろん、海堂さんに攻撃が当たらないように。

 

距離を一気に詰めると、鎌を振り下ろして村上の体にだけダメージを与えた。そして、弱った村上から海堂さんを蹴って離すと、長田さんが翼を展開してその翼で村上の体を貫いた。

 

だが、村上の体は青い炎を上げることは無く、薔薇に体が変わっていって、消えてしまった。

その後少し警戒したけど、何も攻撃が無かったので全員が人間態に戻った。

少し呆気なく達成感も無いが、私達は勝ったんだ。

 

今は璃々さん達の戦闘の音は聞こえないから勝てたのだろう。

あっちも休んでいるみたいだから、私達四人も残りは梓とかすみに任せて少し休もう。

 

 

♠︎ ♠︎ ♠︎

 

 

私は雅人と澤田そして沙耶で、北崎を相手取っていた。北崎があの部屋の床をぶち抜いたせいで、四人だけが下の階に落ちてしまったのだが、他のみんなはそれぞれの戦いで大変で、四人で決着をつけるので全く問題なんて無い。

 

「さぁ始めようか。僕は王にならなきゃいけないからね」

 

「お前を倒して、みんなの仇を取ってやる」

 

雅人の気合の入りようが澤田の時とほとんど変わっていない。何故こんなにも雅人が殺気を放っているかは分からないけど、相手は生かしておいたら危険な存在だ。倒すことは私も賛成だから問題が無いんだけど。

 

先制攻撃で雅人と沙耶の射撃を北崎に向かって浴びせたのだが、相手の余裕そうな態度的に効いている気配が無いように感じた。

まだまだと言った感じで、雅人が剣先を出して突っ込んでいき、それに追随するように澤田が手裏剣を構えて接近戦に向かって行った。

私は沙耶と共に遠距離からの攻撃を仕掛けつつ、近距離組の様子を見守った。

 

雅人と澤田の攻撃は効いているように思えたのだが、北崎は狂気的とも言える笑い声を上げながら、二人をこちらに吹っ飛ばしてきた。

 

「木村!こうなったら決めるぞ」

 

「わ、分かった草加くん」

 

二人はポインターを北崎に向かって付けると、同時にジャンプをしてキックを放った。北崎はそのキックを受けて後ろにジリジリと下がっていったが、雅人と沙耶を一気にこちらに押し返してきた。

私はその隙を逃さないようにスピードを上げて、北崎の前まで来て手に生成したクナイを差し込もうとした。

だけど、北崎は殻を破るように細身の体になると、その体格に見合うようなスピードで私の腕を掴むと床に叩きつけて、頭を足で押さえ付けてきやがった。

 

「ふっ、もしかしたら足が滑って殺しちゃうかもねこの女を」

 

こんな奴の挑発になんか乗らないで欲しいと思っていたのに、澤田が馬鹿みたいに突撃してきた。当然の様にガタイが戻った防がれてしまったのだが、意外にも押し返されることは無く、競り合っていた。

 

ここがチャンスだと思って、手から生成したクナイで押さえてきてる足の足首を斬りつけると、一瞬足の拘束が緩んだのでその間に脱出して澤田と共に距離をとった。

 

それにキレたか知らないが、また殻を破りこちらが認識出来ないほどのスピードで迫ってきた。これは避けられないと悟ったのだが、北崎の動きがいきなり止まった。いや、誰かが押さえたのだ。

 

それは見たことの無いオルフェノクだった。まるで羊やヤギのような角がある顔や全体を見るとまるで悪魔のバフォメットのようなフォルムのオルフェノクだった。

 

「と、父さん」

 

雅人の悲しそうで哀愁漂う声音からもその言葉からも私は察してしまった。

このオルフェノクは私達流星塾生にとってのお父さんだ。

お父さんがオルフェノクだったのはショックというか、自分もオルフェノクであることを隠して流星塾にいたので、複雑な気分というのが正直な所だ。

 

そこからの戦いはオルフェノクの私でも目で追えないほどのスピードだったのだが、互角のように感じていた。

それから、体感的にはあまり感じていない時間が経つと、北崎が体にからを纏って、膝をついていた。

 

「後はおまえたちに任せる」

 

そのオルフェノク、多分お父さんは私達に後を任せて去って行ってしまった。寂しくないと言えば嘘になるくらいには悲しかったけど、本当にお父さんが助けてくれたんだという安心感の方が割合的には大きかった。

 

意識を北崎に向けるとさきほどよりも弱っているようだが、気迫などは変わっている様子は見られなかったので、回復する前に早めに倒おそう。

 

「みんな、北崎はお父さんのおかげで弱っているから、倒すなら今の内だから決めにいこう」

 

まず、私と澤田が接近をして、それぞれの得物であるクナイと手裏剣で同時に相手の胴体を切り裂いた。その事と弱っていたことも相まって北崎は殻は消え去っていった。

 

ここをチャンスと察してくれた沙耶により北崎にポインターが差し込まれて、追加で雅人の武器から出た光弾により拘束された。

 

沙耶がジャンプをして、両脚蹴りで北崎の体を貫き、それと同時に雅人が北崎の体を切った。

それにより、北崎の体は青い炎を上げて、いつもみたいに直ぐに灰となって崩れ去らなかった。

 

「僕がオルフェノクのなかで、最強なんだ。僕こそが最強に相応しいよね。きょうすけ」

 

北崎の肉体は遂に崩れ去った。彼はただ純粋なだけだったのではないか?

私はそんな自分の考えを不毛でもう答えの得られないと結論付けて、彼を最強のオルフェノクとして記憶の片隅に残すことにした。

 

まだ梓の所と紫乃の所で戦闘が行われているが、今は他の仲間を信じて、この余韻に浸ることにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回には最終回に出来ると良いな。
 


長門梗介

平安時代に死んでオルフェノクになった。そこでオルフェノクの仲間と共に妖怪などと呼ばれながらも楽しく暮らしていたのだが、時が経ち、自分だけが長い寿命を持っていると理解した。そしてまた昔の日々のように過ごしたくて、自身が望むオルフェノクの理想形を実現するためにオルフェノクの数を調整したりオルフェノクの王を殺したりして現代まで過ごして来た。
記憶はオルフェノクになった前後と重要なことと、最近の事以外は朧げになっている。
現代ではオルフェノクの王候補として拾ってきた北崎と共にオルフェノクと人類の人数を調整していた。長門梗介という名前も近代になって新しく名乗り始めた偽名。


スピリットタートルオルフェノク激情態

霊亀がモチーフのオリジナルのオルフェノク。平安時代に虐げられて生きていた梗介が偉い奴らよりも生き続けて貴族共を見返してやると願ったことが反映されている。その特異的なモチーフによって万年は生きる能力を宿していて、寿命では死ぬことは無い。オリジナルの例に漏れず強い戦闘能力を持っていて、オルフェノクの王にも引けを取ることは無い。激情態になったタイミングは初期のオルフェノクの仲間が全員灰になった時。
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