自殺したと思ったらオルフェノクになっていた。 作:地支 辰巳
灰色の山333
私がいるクラス一組全員を乗せたバスは学校を出発して、近くにある管理された山に向かっていた。
学校からは二組、三組、四組、五組をそれぞれ乗せたバスがこのバスに着いてくるように出発していた。
今回の作戦ではあまり人に見られない方が被害を小さく抑えられるから
一組の私は一組を見といて、三組のかすみは二、三組を見てくれて、
四組の紫乃は四、五組を見てくれるから、
私と紫乃とかすみのクラスが離れたのはラッキーだったなぁ〜なんて今は思ってしまう。でも、ちゃんと林間学校は楽しむつもりで来ているし、安全面でも気をつけて他の人が危ないな〜と感じたら助けるぐらいの意識はある。
それよりこんな晴れやかな気持ちで行事に参加するなんて初めてな気がする、
だって楽しい行事でもこれが終わったらまたあの生活かーと思ったら気が滅入ってしまってばっかだったからね。
「梓どうしたん?そんなめちゃくちゃ良いことありましたみたいな笑顔をして」
周りの女子達も私の顔を見て、何があったかぐいぐい聞いてくる。
そんなにも嬉しそうな顔してたんだ…。
「あー分かった。最近入った生徒会が思ったよりも楽しかったんやろ?」
「あーうんうんそう。生徒会長が思ったよりも良い人で、
『いきなり勝手に入れてごめんね、本当に適当にしちゃったからさ』
なんて言ってくれて、
しかも会話も弾んで楽しかったなと思い出したらちょっと笑っちゃた」
嘘ついちゃったな。でも本当の事言うわけにもいかないから、これは仕方ない
ごめんね。
「確かに、会長さん前にスピーチしてる姿見たけどすごくかっこよかったし、
それでいて優しいとかめちゃ憧れるやん。梓も近くで見たからよりそう思ったやろ?」
うん、正直言って憧れる。
一緒に暮らし初めてからそれを感じることがより多くなっている。
私生活でも全然欠点とかダメな所もなくて、料理が出来る、部屋も綺麗、服のセンスも良い、完璧だな〜っていつも憧れる。
しかも同じオルフェノクっていうところも良い。
絶対強いだろうし、かっこいい姿なんだろうな。
まだ見せてもらったことないから帰ったら見せてもらおう。
「うん。三年生の先輩の中で一番憧れるね」
「そやんなー。そういえば、三年生っていえばさ部活の先輩から聞いたんやけどクラスメイトの女子三人が1週間ぐらい前に行方不明になったらしいねん」
あー私が図書館で殺しちゃった先輩の事だろうな。璃々さんが『後始末は私が
やっておくから心配しなくていいよ』って言っていたから、それのおかげで大事になってないんだろうな〜。璃々さんには感謝しかないね。
「そうなんだ。見つかるといいね」
「結構柄は悪かったらしいねんけどな、でも行方不明って聞いたらたまに噂で
聞く都市伝説が関係してそうで怖いねんな」
みんなが頷いたり返事をしているけど、私全然都市伝説とか聞いたことないだけど。自分が関わってるだけどなんか気になるな。
「え、都市伝説ってどうなの?私聞いたことない……」
「梓聞いたことないんや?じゃあ話そうか。
最近色んな所で人が行方不明になるニュースがやってるやん?
それには怪物が関わってるらしいねん。
なんか灰色?白?そんな感じの色合いの怪物が人を灰にして回ってるらしいねん。
灰になって死体も残らんから行方不明にされてるんやって。
それとその怪物、人に化けるらしいから梓も気をつけてや。
案外うちらの学校にいるかもしれんから」
確かにニュースで行方不明事件多かったと思ってたけど、それってオルフェノクが関わってたのか全然気づかなかったな。
そうか私が思ってるよりオルフェノクっていっぱいるんのかな?
それに学校にいるかもか……まさか私なんてみんな思わないよね。
「確かに怖いね。私も学校とか帰り道とか気をつけてるよ」
そんな色んな意味で身近な話題が終わってからは特に内容の無い世間話をしていたけど、そんな事をしてる内に泊まる予定の山荘のホテルに着いたみたい。
♦︎ ♦︎ ♦︎
私達はホテルで、山に詳しい人の説明を聞いていた。山の人曰く奥に行きすぎると崖があったり熊が出るらしいからロープより先に行っては行けないらしい。
作戦のためにはその先で主犯格達を殺した方がいいかな。
人に見つかる確率が低いし。
その後私達は午前中で森林の説明や森の様子などについての講義や見学をして昼食を食べた。いよいよ午後からは山の中へ自由探検だ。
探検する人は一人じゃなければ学年の中から何人でも自由に決めていいみたいだから、
作戦を確かめるためにかすみや紫乃ととりあえず合流しようかな。
山の入り口でまだ待機をしてた二人を見つけると私とそこに合流した。
「やぁ、梓。とりあえず歩きながら話そうよ」
「うん、そうだね。かすみもそれでいいでしょ?」
「もちろん、私は二人の意見に従うから」
私達三人は山の頂上に行くためにある道を歩きながら話すことになった。
「私聞こえたんだけど私をいじめてる主犯格の人達ロープの奥に行くらしいの‥」
「ラッキーじゃん。わざわざ人に見つからない場所に自分達から行くなんて」
「うんうん、その通りです梓。
これは私達もその主犯格達をつけたほうがいいかもしれませんね」
「そうだね。私あの人達の行く方向を見てたから、お二人の通りチャンスと思ってつけてみましょうか」
私達は意見がまとまったのでそいつらをつけるために山の中に入っていった。
それそうと、もっと紫乃も自信を持って発言したらいいのに、今回の主役は紫乃なんだから。
でもたまに薄く笑みを浮かべてるから楽しみにはしてるんだろうね。
私達は主犯格達をつけるためにそれなり進んでいたが、ロープを超えて少し進んだ所にそいつらはいた。
三人でアイコンタクトをして音を立てないよう進んだ。
それから一定の距離を離しながらそいつらつけていたところに、私の耳におぼろげに女性の声が聞こえてきた。
「だれか……いませ……んか。たすけ……て」
その声はすごく弱っていて、オルフェノクの聴力を持ってしても少し聞こえるぐらいだった。二人も声が聞こえたのか、どうしようかという風に立ち止まった。
「二人共声、聞こえた?」
「ええ、少し聞こえにくかったですけど」
「これは助けに行った方が良いような気がします」
「う〜んじゃあ私が助けてに行くから二人は作戦を決行しといて」
「分かりました。こっちは私達に任せて梓さんは心配せずに行ってください」
「ありがと。二人共成功を祈ってるよ」
♦︎ ♦︎ ♦︎
私は声のした方向へ安全に気をつけながら向かった。
ロープを超えていたこともあり険しい道のりだったのだがなんとか声のした位置へ辿り着いた。
そこには木にもたれかかっている同い年ぐらいの女性がいた。
彼女の容態を見てみると気を失っているだけようで、格好は都市部で見かけるような格好だが所々服が破けていて擦り傷が目立っていた。
しかも彼女はカバンを背負って手にスマートブレインのロゴが入ったアタッシュケースを持っていた。
「う〜んどうしようかな?アタッシュケースは大事そうだし私が持って、この人は私が頑張って背負っていこうかな」
私はオルフェノクになった影響なのか身体能力が上がっていて、
彼女一人くらいならかつげる自信があった。
そして自分の見立て通り彼女をしっかりかつぐことが出来たがかすみとも紫乃とも結構距離が離れてしまったから
彼女が目覚めるまでは近くに見えている川で介抱することにした。
川に着くと砂利の場所に私のカバンを枕代わりにして彼女を寝かせた。
持ってきていたタオルを川の水で濡らして擦り傷の血などを拭いたりして、
今出来そうな事は大体出来たこと思う…。
このスマートブレインのアタッシュケースも気になるけど勝手に開けるのはさすがにダメだよね。
それから十五分ぐらい経った頃だろうか
彼女は意識が目覚めて周りを見回していた。
「あ、あの助けていただいたんですよね?ありがとうございます」
「いやいや、無事でなによりだよ。そういえば、私伊予梓って名前なんだけど名前はなんて呼んだらいいかな?」
「私は木村沙耶っていいます。気軽に沙耶て呼んでください」
「分かった沙耶。それよりもなんであんな場所で倒れていたんですか?」
「えーと、……いきなり襲われて人がいない場所へ場所へと逃げてきていたらいつの間にか山に来ていて足を滑らして落ちて気を失いました…」
え、襲われてたの?ずいぶん物騒だなと一瞬思ったけれど、
何もない人がいきなり襲われるものなのか?
やっぱりオルフェノクがいっぱいいるスマートブレインのこのアタッシュケースが原因なのかな……
「そのアタッシュケースの中は何が入ってるんですか?もしかしたらそれが原因かもしれないので」
「いや、これはいくら命の恩人だと言っても教えることは出来ません。助けていただいた方を巻き込む訳にもいきませんから……」
やっぱりそのアタッシュケースには何かあるんだろうな、もしかしたらスマートブレインの重大秘密だったりして。まさかね……。
私がケースの中身を考えていると、川の下流の方の道から少しワイルド感?
溢れる男が近づいてきた。
「ああーやっと見つけた。結構探したんだからな、じゃあ一応聞くけどそれ渡してもらえないか?」
「まだ追って来ていたんですか……。
前回も言いましたが父さんから託されたこれを渡すことは出来ません」
「そうか、奪うしかないか……でもそのデルタギアを使われてチームを組まされたあいつみたいに灰になるのはいやだからな。頭使って奪うか」
会話に置いていかれた私が聞いていて分かったことは、沙耶はあいつともう一人のやつに襲われてたこと、そして多分あいつらはスマートブレインの社員で、ケースの中のデルタギアを使われて?もう一人のやつが灰になったこと。
整理すると襲って来た二人はオルフェノクで、ケースの中にあるデルタギアはオルフェノクを灰にすることが出来る物でスマートブレインが回収しようとしているってことになるのかな……。
私がそんな考えを巡らせている間に男はこちらに一瞬で近づくと私の後ろに回り、首に指を押しつけてきた。
「さぁお前がデルタギアで変身すると俺はオルフェノクに変身してこいつの首が一瞬で飛ばすぞ。分かったならとっとと渡せ」
あーそんなことするんだ。沙耶が渡すとかどうかは分からないけど、どっちにしても良いタイミングが来たらオルフェノクに変身して反撃しようかな。
二人とも驚くだろうな〜、でも彼女に変な目で見られるのはいやだな。
「……その人は命の恩人でこのベルトとは関係ないので早く解放してくだい。……ベルトは渡すので」
渡す選択肢を取るんだ……優しい人なんだね。でも沙耶の顔を見れば分かる納得してなくてこの男を殺すか、逃げたいんだなと。
「渡す必要なんてないよ。私は自力でこの男から逃げるから」
「なに勝手に言ってやがんだよ。お前俺の事なめてやがるな、少しびびらせておく必要があるみたいだな」
男はオルフェノクに変身して私の恐怖心を煽って来た。
そのオルフェノクは全体的にゴツくて片手に金棒を持って猪がモチーフなのかなと思う見た目をしていた。
確かにこの見た目なら普通の人はびびってなにも喋らなくなるだろう。
でも私はその程度じゃひびらない。
「は、見たか小娘。お前がいくら威勢を張ろうが意味が無いんだよ」
「ねぇ、おじさん私から見たらそれ滑稽ってやつだよ」
オルフェノクの影が男に変化して私を煽ってきたので。私も煽り返すとオルフェノクに変身した。
「う〜ん、どうかなおじさん?私の方が強いと思うんだけど?」
「チッ、お前もオルフェノクなのか、しかもお前あいつの味方をするのか……」
私は男を殴ってのけぞった隙に一旦沙耶の元へと戻った。
「オルフェノクだったんですね……。それに私の味方してくれるんですか?」
「もちろんだよ。そのベルトであいつと戦えるでしょ?一緒に戦おうよ」
沙耶は頷くとアタッシュケースを開けてデルタギアを取り出し腰に装着する。手に持った無線機ような物に『変身』と言って『standing by』と鳴ると、
ベルトにはめ込んで彼女の体はベルトの音声『complete』と共に白と黒の戦士になった。
「さぁあのオルフェノクを倒しましょう梓さん。私のデルタの強さを見せてあげます」
沙耶の変身したデルタ?は私の中の恐怖心が上がるような感覚がしていたが、はっきり言えば少し恐怖を感じてしまっていた。
私は手に三叉の槍を生成し、こちらに近づいてきたオルフェノクの金棒と打ち合って、そこに沙耶が『ファイア』と言って援護射撃をしてくれた。
それを受けてのけぞったオルフェノクに私はすかさず蹴りを入れた。
「ぐ、お前らな。もう容赦はしねぇ」
オルフェノクは足を四足に変化されると私に突進して来た。
私はそれをもろに受けてしまったがその間にも沙耶が射撃を当ててくれて、
少し怯んだようだった。
「梓さん。このまま動きを止めてください。止めをさします」
沙耶の願い通り私は槍をオルフェノクに向かって投げつけた。それが刺さった時に沙耶は銃にメモリー?をつけると『チェック』と言ってオルフェノクに向かってポインターが伸びた。
動けなくなった隙に沙耶はジャンプをしてそのままキックの姿勢になり、
オルフェノクの体を貫いた。
貫かれたオルフェノクは赤い炎をあげて灰になった。
私と沙耶は変身を解くと、顔を合わせて笑った。
その沙耶の顔には私に対する恐れや偏見なんてなくて、ただ純粋に強敵を倒した笑顔のみがあった。
「梓さん今日は本当にありがとう。私は知り合いの人達と合流することにするよ。事情を知っている人ばっかりだから」
「そうなんだ。私の方こそありがとう色んな経験が出来たよ。それで何かあったら…はい、これ私の連絡先。連絡してきてね」
「もちろんだよ。梓さんって強いから、どうしようもなくなった時に連絡するね。その時にまた会おうね」
デルタギアというのにも色んな疑問が浮かぶけど、今それを聞くというのも野暮というものだろう。スマートブレインがあれを狙っているというのも気になるが、それは一連の出来事を話すと共に璃々さんに聞いてみようかな?
それからお互いがお互いを心配する素振りを見せながら、
沙耶は山を降りていって私はかすみと紫乃のいた場所へと戻っていった。
原作キャラありのオリジナル展開です。
時系列は原作5話、6話あたりです。
次回か次々回は原作と少し関わるかなと思います。
次回は大幅に遅れると思います。
ボアオルフェノク
猪の特徴を有した大きな体格をしたオルフェノクで、
スマートブレイン社員が変身する。
攻撃は金棒を使った大振りが多く動きが遅いが、
突進態に変化すると素早い速度になって突進を仕掛けてくる。
使徒再生攻撃は金棒の針一本一本が伸びて相手の心臓を貫く。